リュウグウ王国――
赤い土の大陸にある世界政府の本拠地〝聖地〟マリージョアの真下、海底10000mにある魚人島を治める魚人族と人魚族による王国の事を指す。
その島は巨大なシャボン玉に覆われており、その中は地上の島と変わらない空気のある環境で人間も普通に生活できるという。なお地上と同じで歩行が難しい人魚達はシャボンにより作られた浮く椅子に座り、尾びれを動かして移動するらしい。
島民はもちろん魚人族と人魚族で構成されている。
その国の中心を〝海神〟、〝海の大騎士〟と称される国王ネプチューン率いる王族が住み込む〝竜宮城〟と呼ばれる王宮が象徴している。
そこには――
「おぉ……これが海の民族の城――ってやつか」
「……いかにもカイドウさんと若が住んでそうな城だな……」
オレ達、百獣海賊団が招かれていた――
●
時は遡る――
「……結構残っているな」
オレとキングさんは船の甲板からうちの船員達、そして――解放した奴隷達を見つめて呟いた。
オレ達、百獣海賊団は聖地から去って以来、シャボンディ諸島の無法地帯に船を寄せているのだ。
奴隷達にご飯を与えてやってから、オレ達の世話になって残るかどこかに行くかの選択肢を与えて自由にさせていたが――
「はい。ほとんどは残るみてぇで」
どこか――おそらく故郷等の居場所に戻るのを選択した奴隷の数は少なくて、その一方でオレ達の世話になろうと残るのを選択した奴隷の数が多かった。
部下のそういう報告を聞いてキングさんは呟く。
「……おそらくだが――元いた所に戻ってもまた奴隷に戻されるかもしれねぇ恐怖感が湧き出るだろう……それなら、オレ達に付く方がまだ安全だと考えるんだろう」
「……あ〜なるほどな〜」
キングさんの推察にオレは納得し、そうかもなと感じた。
まぁオレの仲間もそうだが、奴隷には元海賊と犯罪者も多いだろうし。オレ達の強さ、メチャクチャさに惹かれてついていくのを心に決めてもおかしくはねぇだろう。
しかし……奴隷の中にも海賊と犯罪者でない一般人もいる。そういう人々にも居場所と親しい者がいるかもしれぬだろうに……それなのにそこに戻って、そういう人々と再会するのよりオレ達に付いていくのを選択するなんて奴隷の身としての心の傷はそれ程に大きいというのか……
奴隷を見つめながらオレはそう思案に耽ってしまう。するとオレ達の船に近寄る影がいた。
「!?……フィッシャー・タイガーか……」
聖地襲撃でのオレ達の共犯――フィッシャー・タイガーだった。彼がオレ達に向けて手を振りながら叫んだ。
「あんた達に話がある!」
●
「魚人と人魚の奴隷達はもうリュウグウ王国に向かった。あそこは海底10000mにあるし、危険はないだろう」
オレ達とタイガーは船内で会談を行った。タイガーは解放した魚人と人魚の奴隷の行方について話した。
そうか、魚人と人魚の奴隷はもう逃げられたか。さすがに海中では再び捕らわれる心配はいらねぇだろうし、リュウグウ王国まで追いかけるには時間がかかるだろう。
タイガーの説明に頷くオレはふとある事について声掛ける。
「タイガー……記事――読んだのか?」
「ん、読んだぞ……あぁ、あんたらが気にする事はない」
オレからの問いかけに応えたタイガーはオレの意中を察し、すぐ言う。
「〝聖地〟への襲撃を決めた時にこうなる覚悟はしているんだ……むしろ歓迎だ」
「……そうか」
実はオレが聖地襲撃の責任を全てタイガーに被らせてしまった事に気を揉んでいたが……彼がそう言うならば、この話題をこれ以上続ける訳にはいかねぇな……
タイガーに頷いたオレは続いて疑問を問いかける。
「それで――あんたは一体何の為にここに……?」
「あぁ……まず聖地での共闘の事……感謝する」
そう言ったタイガーは頭を下げる。その礼をオレはイヤイヤと受け取らなかった。
「オレ達も奴隷にされた仲間を助ける為に動いたんだ。あんたの動きと重ねたのは良かった」
オレのその言葉を聞いて、いつも顔をしかめていたタイガーもつい少しだが――微笑んだ。
「……人間にもあんた達のような奴がいるんだな」
タイガーがそう――おそらく誰にも聞かれないように小さく呟いた。現にオレもその呟きの内容を理解できなかった。しかし――何となくタイガーの表情から何かを感じ取れた。
「――言っとくが、天竜人共は人間じゃねぇよ。あれは――豚だ」
「人間をあんなのとは一緒にしないでくれよ」
オレは素早く天竜人の事を人間ではねぇと断言した。
もしもタイガーが人間があんなのばかりだと考えてるとしたら――虫酸が走る。なんとか違うと分かってくれば――
オレがそう考えながらの言葉にタイガーは目を真ん丸にして、そして重々しく頷く。
「……そうだな、あれをあんた達と一緒にするのは失礼だった……申し訳なかった」
タイガーが再び頭を下げた。今度はオレも頷いた。
「分かってくれて何よりだ……」
オレがそう言うとタイガーも少し微笑む。その微笑みを締まった彼は新たな話題を話し出す。
「それであんた達との事を王族に報告した。そしたら――」
「――王族の方からあんた達を歓迎したいと言ってきたんだ。つまり王宮にあんた達を招いているんだが――どうする?」
タイガーからの説明――それも王族からの招待にオレはもちろん――そばに立ちながら沈黙を守っていたキングさんも目を見開く。
「だ、だが!オレ達は海賊だぞ!そんなオレ達を招いても大丈夫なのか!?」
「フフッ……普通の海賊なら当然招きできない――だが、あんた達は話の通じる奴ばかり……事を起こす事はないだろう。それに奴隷だった魚人達と人魚達にとっても恩人……!恩人をぜひ歓迎したいと王族はそうおっしゃる……」
微笑んでいるタイガーのその言葉にオレはつい口を閉じる。そしてキングさんに確認する。
「キングさんは――どうすべきだと?」
「……若の好きにしていいとオレは思う……ただ、カイドウさんに報告させてもらうが」
キングさんからそう言われたオレはしばらく思案に耽る。そしてタイガーに確認する。
「――もしも行くとしてもここにいる元奴隷達をリュウグウ王国に連れても?」
「――もちろん」
確認に対してのタイガーの答えにオレは今後の方針を決めた。
「――オレは海の民族――魚人と人魚の国を歩く事はいつでもできるかもしれねぇが――城を見る機会はそう中々ねぇと思うんだ」
「だから――行ってみてぇと思う」
オレの王族からの招待を受けるともいえる言葉に対してタイガーは微笑みながら――頷く。
●
そうしてリュウグウ王国王族からの招待にオレ達は応えて竜宮城に来ていた――
オレとキングさんはもちろん――ヤマトとフドウとジャックとハッテンを連れてだ。
ヤマト達にとってもリュウグウ王国の見学も聖地での襲撃の後の良い憩いになれるだろうな。
ちなみに百獣海賊団の船員達と元奴隷達はリュウグウ王国のホテルで休養している。
竜宮城の外観を見て興奮したヤマトが言い出した。
「見て見て!龍の像に「竜」の文字!キングさんの言う通り、まるでお父さんとお兄さんの城みたい!」
「リュドドド……だからこそ何とも言えねぇがな」
キングさん、そしてヤマトの言った城についている「龍」の飾りを見てオレは苦笑してしまう。
っていうか……なぜ海底――それも魚人と人魚の城に「龍」に関してのものがあるんだ……?もしかして魚人と人魚そして龍に何らかの関わりがあるのか……?
そう考えてしまうオレにヤマトは声掛ける。
「タイガーさん……一緒に行けなかったね……」
「ん……まぁな」
タイガーとはリュウグウ王国に案内してもらっていたが――入口辺りで別れてしまった。どうやら彼はオレ達の歓迎会に参加しないようだ。
『オレもあんた達の歓迎会に参加したいのは山々だが――オレ自身はもちろんだが、海軍本部から追われていくだろう奴隷だった魚人達を率いたいんだ……!そうなると急がなければならない……という訳で参加できないんだ』
竜宮城の入口辺りで別れる直前にタイガーから不参加の理由を説明した。そのもっともな理由にオレも納得して残念がる。
『そうか……あんたとは色々話してみたかったんだが……』
『ハハ……それは電伝虫でできるだろう……それに縁があればいつでも海で会えるだろう』
オレの態度につい声を上げて笑ったタイガーは縁があればいつでも会えるだろうと話してくれた。
『それでは……またな』
「まぁ、いつでも会えるだろうよ!」
「……うん!」
タイガーの言葉を思い出し、オレはそれを口にする。ヤマトもその時の事を思い出していたのか、大きく頷いた。すると――
「ようこそお越しくださいました」
タツノオトシゴの人魚が数人の兵士を引き連れてオレ達の元へ姿を現した。彼はリュウグウ王国右大臣でオレ達を歓迎会場に連れていく為に来たのだ。
「百獣海賊団の皆様ですね?」
「あぁオレ達がそうだ」
右大臣の確認にオレが応答し、頷いた彼が入口を指し示す。
「どうぞ、こちらへ――」
●
右大臣の歓迎会場への案内によりオレ達は城内の通路を歩いていた。しばらく誰もが口を閉じていて静かだったが――
「右大臣殿、王族がなぜオレ達を招いているのか知っています……?オレ達百獣海賊団は悪名高いと自負しているが……」
やはり気になってしまうオレの問いかけに右大臣も振り返って苦笑しながら答える。
「さようですな……失礼ながら百獣海賊団の名は聞き及んでいます……それでここに招くのは危険ではないかと懸念にしている者が多くいらっしゃいます。国王もです――」
「しかしながら――王妃が我々が救い出せられない魚人と人魚の奴隷達を救ってくれた大恩人にせめて礼さえも言おうとしないのは筋が通らないとおっしゃられてな……それであなた方を招いて歓迎しようと決めたのです」
「事を起こす可能性については奴隷にされた仲間を取り返そうとしたのが聖地での襲撃を起こした動機であるから、信用できるとタイガー氏からの提言がありました」
右大臣が微笑みながら問いへの答えを口にしてくれた。その答えにオレも眉を上げた。
そういう事があったんだな……タイガーはもちろん王妃やらがオレ達を信じて歓迎しようとするとはな……
少し驚いているオレをよそに子供達がワイワイと騒ぎ出した。
「王妃様もタイガーさんもいい人だね!」
「フッ……スサノオさんの偉大さを感じ取れるとは目が高いな……」
「兄上は……だけど、そうだね〜」
「…」
「リュドドド……お前らな……」
ワイワイと騒ぐ子供達とそれに苦笑するオレ。それを見て右大臣も微笑む。
しばらく歩んでいるうちにある部屋に着いた。そこには豪華な食事が用意されているテーブルがあり、すごく大きなシーラカンスの人魚と金魚の人魚が座り待っていた。その2人がオレ達の姿を目にした途端に立ち上がった。
「ようこそ――リュウグウ王国へ。ワシはリュウグウ王国国王――ネプチューンじゃもん」
「私はリュウグウ王国王妃――オトヒメです」
「それはどうも――オレはスサノオ、百獣海賊団総督〝百獣のカイドウ〟の息子です。この度は歓迎会への招きをありがとうございます」
ネプチューン達の挨拶にこちらからも挨拶し返す。海賊にしては丁寧な挨拶にネプチューン達も感嘆する。
「ほぉ」
「まぁ……よく来てくださいました!さぁ掛けて!」
オトヒメからそう言われ、オレ達も席に掛けていく――そうして歓迎会が始まった。
ネプチューンがオレに声掛ける。
「早速じゃもんが……思惑がどうであれ、天竜人から魚人と人魚を救い出してくれたお主達に礼を申し上げたい――財宝を差し上げよう」
ネプチューンがそう言ってきて、ヤマト達が目を丸くする。だがオレとキングさんは歓迎会をやる以上、財宝ぐらいは差し上げてくるだろうなと予想した為に驚かなかった。だからこそ――オレはイヤイヤと拒否する。
「そういう事に関してはオレより交渉してほしい者がいる――なぁ?キングさん」
オレがキングさんに視線を移すと皆も彼を見る。頷くキングさんは懐から電伝虫を出した。それもスイッチはオンになっている。そして、その先にいる相手は――
『――ウォロロロ……オレはそこにいるスサノオとヤマトの父――カイドウだ』
電伝虫から親父がネプチューンに挨拶してきた。思わぬ者の声にネプチューン達は目を見開く。
「白ひげと同じ「四皇」――〝百獣のカイドウ〟……!」
『あぁ――だが、安心しろ。別にリュウグウ王国をメチャクチャにしようとは思わねぇよ……ただ息子がオレに断りのなしに交渉する訳にはいかねぇと連絡してきたんだ――全くできた息子だぜ』
親交のある穏健派の「四皇」〝白ひげ〟とは違う武闘派の「四皇」にネプチューンもつい警戒心を隠せない――が、親父は自らからリュウグウ王国をどうしようとはしねぇと宣言してくる。それどころか息子自慢をしてくる。そんな彼にネプチューンもフッと微笑んでしまう。
「お主も我が子は可愛いものじゃもんな」
『ウォロロロ!そうだ!息子達は最高だぜ!』
「おいおい……」
「お父さん……」
親父の親バカ加減さにオレもそしてヤマトも恥ずかしがってしまう――だが、そんなオレ達を見つめたオトヒメも声を上げながら微笑んでいた。ネプチューンも微笑んだが、話を元に戻していく。
「それはそうとして――礼として財宝を受け取ってもらえんか?」
『あぁ……』
ネプチューンの言葉に親父も調子を引き締め、言い出す。
『財宝はいらねぇ。その代わりに――リュウグウ王国との貿易がしてぇ。バブリーサンゴと加工用のサンゴが良くできていると聞いているぞ……!』
親父の要求、それも海賊にしては文明的な要求にネプチューンは驚愕する。オレも少し驚く――もっとも別の理由でだが――
少し以前にリュウグウ王国との交渉に関して話し合いがあった。結局親父がやるという事で話が決まっていたが、その際に親父がオレの希望を求めていた――それでオレが百獣海賊団とリュウグウ王国が貿易すればいいなと冗談気に言ったのに……
「(親父……あんたって奴は……)」
フッと微笑むオレをよそにネプチューンが言い出す。
「別に大丈夫だが――いいじゃもんか?それでは我々にも利益が出るのでは……?」
『ウォロロロ!オレ達にも利益があるからいいんだろ!それでどうだ?』
「――そちらがそれで良いなら――いいじゃもん」
『ウォロロロ!成立だな!』
親父とネプチューンの話が付いて、オレ達の空気に和気藹々とした空気が漂っていた。
『それで――ヤマト!フドウ!ジャック!ハッテン!お前らの希望はどうだ?』
親父が続いてヤマト達の希望を問いかけてきた。ヤマト達も驚くが――
「ん〜リュウグウ王国と貿易するよね?いずれ欲しいものが見つかると思うからいいよ!」
「ヤマトと同じく」
「兄上達と同じく」
ヤマトとフドウとハッテンが今のところ希望はないと答えた。リュウグウ王国との貿易ができれば、いずれ欲しいものが見つかるだろうからだ。だが――
「カイドウさん。オレからいいですか」
ずっと沈黙を守っていたジャックがつい喋り出した。
『おう、何だ?』
「オレは――リュウグウ王国の武術を学びたいです」
「だから、しばらくリュウグウ王国で修行しても?」
ジャックの要求にオレ達は驚愕する。オレはすぐ確認する。
「オレ達は歓迎会が終わったら帰るつもりだ――つまり、ここでしばらく別れる事になるが、それでいいのか?」
「えぇ、オレは強くなりたいです。それもスサノオさんの部下に相応しい程に――だけど、今のオレはあんまり強いとは思わねぇです」
「なら、オレの種族特有の戦術を身に付けなければ――強くなれない!だから――いいですか?」
ジャックの答えにオレは口を閉じ、そしてネプチューン達に視線を移す。ネプチューンも頷く。
「ワシは別に大丈夫。武術を教え込む者を用意しようじゃもん」
『おう、悪ぃな』
「いや、ようやく礼になれそうで良かったじゃもん」
ネプチューンがどこか安堵が見られる表情を見せる。親父も笑い出す。
『ウォロロロ……話はこれで終わりだな――スサノオ、楽しめよ』
親父がそう言い、電伝虫を切った。少々物々しい話はこれで完了したと思ったら――
「あの〜ジャック君」
オトヒメがジャックに声掛けてくる。
「……何ですか」
「あなたは――魚人ですよね。なら聞きたい事があります」
「あなたは――我々と人間性を――どう感じられますか?」
オトヒメがジャックにそう問いかけ、問われたジャックも眉をひそめる。ネプチューンが慌てて
「お、おい。オトヒメ」
「ごめんなさい、あなた。でも聞きたいの。人間の海賊団にいる魚人の――それも子供の」
そう言うオトヒメの目は真剣だった。その目を見つめるジャックはしばらく黙り込む。そして、その口が開く――
「正直――人間とか魚人とか種族等どうでもいい」
「種族に拘ったり差別がどうのとかは下らねぇ」
「人間に差別されるのにムカついてんなら力で黙らせれば良いだろう」
「そもそも種族の優劣等――小せぇものだ」
「違いがあるとすれば個人の優劣だけだ」
ジャックのまるで自身の種族を貶めるような言葉にオトヒメ、そしてネプチューンも固まる。オレも冷や汗かきながらジャックに声掛ける。
「ジャック!自分の種族を貶めるような言葉はよせ!それは仲間を貶めるのと等しい!」
オレの注意にジャックは眉を下げて頭をかいた。
「それは……悪かったです」
「しかし、さっき言ったのは本音です」
ジャックのその言葉にネプチューンとオトヒメが口を閉じて真剣な表情になる。オレはそんな2人を見て、そしてジャックに視線を移して言う。
「お前、確かに魚人だと差別された筈だ……それはいいのか?」
オレの指摘にジャックは頭をかきながら静かに言う――
「そりゃ――種族をバカにされてイラつく時もある。でも――」
そう言うジャックの目がオレの目を捉える。
「あんたと出会って――〝種族が違うだけで見下すなんて下らねぇ〟――あんたがそう言ってくれて、それからどうでも良くなったんだ」
その言葉にオレが眉をひそめるのをよそにジャックが続く。
「多分――種族関係なく〝オレ〟を見てくれる人がいたからと思うんです……だから――」
「もういいんです」
そう言うジャックの顔がオレでも見た事がねぇ程に満面の笑顔だった――
「……そっか、お前はもう既に満足しているんだな」
その笑顔にオレは頷いてフッと微笑む。
再び静寂が場を支配するが――拍手の音がする。
オトヒメだ。
「――ジャック君、貴重な意見をありがとうね」
彼女がジャックに向けて微笑む。ネプチューンも頷く。
「そうじゃもん……種族関係なく見てくれる者がいる――それだけでも幸せじゃもん」
ネプチューンがオレ達をまっすぐ見つめる。
「お主達に我々と人間の理想を見た気分じゃもん」
ネプチューンがそう言い、微笑む。その微笑みにつれてオレも微笑む。
「リュドドド……種族が違っても――思考、心等に違いがあるとは思えねぇからな」
「フフッ……そうじゃもんな」
オレとネプチューンが微笑み合って、穏やかな空気が場を支配する――
「はいはい!難しい話はここまでにして、これから食事を楽しめましょう!!」
その日の食事会でオレ達とネプチューンとオトヒメは和やかに楽しい時間を過ごした――
●
スサノオ達が宿に向かった後、ネプチューンとオトヒメの2人で話をしていた。
「〝百獣のカイドウ〟と百獣海賊団――彼らに関しては悪い噂しか聞かなかったのに、いざ話してみれば……意外となかなか気持ちの良い集団じゃもん……」
「そうですわね!あなた!……スサノオさんは本心から魚人であるジャック君を大切に思っているようですし!」
「本心から……もしや、あの力を使ったじゃもん?」
「はい、少しだけですけど!……ジャック君から手厳しい言葉を頂いたけど」
「ハハハ……彼の言葉には痛いところを突かれたな……ただ考えされるところもあったが」
「はい!――彼らを見習って、皆が彼らのように種族等関係なくお互いを想い合える……私達の可愛い天使達が笑い合えるそんな世界になる為に……せっかく彼らが手を差し出してくれた縁を大事にしましょう!」
彼らの姿に希望を灯し、力強く理想を語るオトヒメにネプチューンも優しく微笑む。