ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第34話〝助けて〟

時は少し遡る。

 

 オレ達、スサノオグループは〝ギビマ〟のある場所を訪れていた。

 聞けば、その場所は〝ギビマ〟の特徴の1つとしても、観光名所でもあるという。

 そのような場所にしてオレ達も行ってみようかと思わせている場所こそが――

 

「着きましたね」

 

「あぁ、ここが――」

 

「〝藤棚〟か」

 

 訪れてきたオレ達が目に入ってきた景色に思わず感嘆の声を上げられた。

 何せ――藤の花だらけの景色だったからだ。

 それも藤の花は他の花のように地から植えられず、建てられている棚を伝わって咲いていた。

 天井を見上げてみると見事に紫一色だらけの絶景にオレもスサノオグループのメンバー達もただ、ただ――目を奪われていた。

 ――ただ、血気盛んなオレ達がなぜ花の花園――〝藤棚〟に観光しに行こうと考えついたかというと……

 

「――ワノ国では藤の花には「魔滅」の意味が含まれてて、その為に魔除けとして使われている事もあると聞いているが……」

 

「ここ〝ギビマ〟でも意味が全く同じで魔除けとしても使われているとはな……」

 

 〝藤棚〟を歩き回りながら花見しているオレはそう呟いていた。

 そうなのだ。ワノ国から遠く離れている島にもワノ国でのと同じ意味を含められている花の花園が存在しているのにオレ達もつい興味を惹かれていた。

 だからこそ、その花園を訪れていたのだ。

 藤の花が多く咲いている絶景にオレ達が感動している中、ページワンが呟いた。

 

「――しかし、藤の花が魔除けとしての効果は果たしてあるんだろうか……?」

 

「ん……あぁ、それはな――」

 

 ページワンのそのもっともな疑問にオレは耳にしている情報による解説を始めた。

 

 

――昔、それも遥かな昔。

 

〝ギビマ〟に住んでいる人々が幸せに暮らしていたが……

 

そこに魔物が襲いかかってきたのだ。

 

それはそりゃ――暴れ回っていた。

 

魔物の暴れ回りに人々が困り果てていた。

 

……だが、そんな事態でも魔物が全く暴れ回っていない地があったという。

 

その地には――藤の花が植えられていたらしい。

 

それに気付いた人々が試しに〝ギビマ〟の周囲に藤の花を植えてみたら……

 

再び襲いかかろうと訪れてきた魔物も〝ギビマ〟の地を踏められなかった。

 

その他の魔物もやってきても――踏めてこなかったので人々は藤の花の力を確信し、信頼を置くようになった。

 

 

「だから――今でも藤の花を外からの襲撃に対しても島の周囲に多く植えられ続けているんだ」

 

「しまいには藤の花への信仰、崇拝もあるらしいが……まぁ、藤の花に関しての起因を考えれば、そりゃそうなるというか」

 

「「「へぇ〜」」」

 

 オレの解説にページワン達も感心した。

 

「――さすがスサノオさん。詳しく知っているッスね」

 

 その声に対してもオレは苦笑しながら

 

「まぁ――このガイドに書かれてあるからな」

 

 そう言うオレの手に持つガイドをページワン達に見せていた。彼らも納得している中で今度も呟く者がいた――小紫だ。

 

「……でも、ある意味〝鬼〟といえるスサノオさんが普通にここを歩き回っていますね……」

 

「!?こ、小紫?」

 

 静かにそう言う小紫の目には――何か言い難い色があった。

 その目をオレは一瞬も目を逸らさずにしばらく見つめ――

 

「……まぁ、所詮言い伝えは言い伝えだからな」

 

「…」

 

 オレのその言葉を最後にオレ達の間には異様な緊張感が漂っていた。

 

「…(…マリア!何なんだ!この空気!)」

 

「…(…知らないわよ!)」

 

 そんな緊張感にページワンもマリアもつられて緊張してしまう。

 彼らの緊張を感じ取ったのか、オレはこの雰囲気を断ち切る為に言い放とうとする。

 

「――よし!このまま花見を続「いたぞ!奴らだ!」け―…あ?」

 

 オレの言葉を遮った声がその場に響いた。

 その声の源にオレもページワン達も視線を向けていたら――何やら鎧を着用して槍を手に持っている人々――おそらく〝ギビマ〟の兵隊が騒々しく駆け寄ってきた。

 そのまま――兵隊はオレ達の周囲を完全に囲まり、槍を向けた!

 

 そうして――こういう緊張感が走っている状況に陥っていた。

 

 ……コイツらはどうやら――オレ達が何やらカガヤとかなんとかを殺そうとしたと疑っているようだ。それでこうやってオレ達を囲まり、拘束しようとしているな。

 そして、オレ達――暴獣海賊団はページワンを含む血気盛んな海賊達が多く所属している。だからこそ、こういうマネされてて大人しくそれを受け入れるのはあり得ねぇ。

 現に――ページワン達は唸りながら戦闘形態をとっていた。

 ――このオレは得物を向けられて黙る程のお人好しではねぇ。むしろやり返す、誰かにケンカを売ろうとしているのか思い知らせてやる主義だ。

 だからこそ――オレ達に槍を向けている者達を叩き潰そうとする――かと思ったら……

 

「……ん〜」

 

 なぜかオレはさっさと動かずに鈍い表情を浮かべていた。

 オレは最初こそこいつらを叩き潰そうかと思っていたが……今の〝ギビマ〟の人間達の様子を思い出した途端に暴れようとするのを止めた。

 そりゃ、オレにとっても身に覚えのねぇ事で拘束されるのは嫌だし、ムカついてしまう。

 だが、だからといって疑いが晴れぬままに叩き潰すのはどうだろうかと考えてしまう。というか、この状況で暴れるとかえって面倒事に繋がってしまうだろうとオレはそう思っている。

 という訳でオレは――

 

「――お前ら!大人しくしろよ!」

 

 兵隊に向かって突進しようとするページワン達をオレは制止した。

 そう、オレは暴れずに大人しく拘束される事にした。少なくとも事態を把握して次の判断を下すようになるまでは大人しくすべきだとオレは結論した。

 オレからのまさかの制止の指示に目を見開くページワン達にオレは続いて釘を刺す。

 

「いいか、手を出すんじゃねぇぞ」

 

「!?ス、スサノオさん!?」

 

「!でもよぉ!」

 

「そうですぜ!こいつらは!」

 

「いいな?」

 

「「「……はい」」」

 

 まだ納得できていねぇページワン達にオレは再び釘を差した。再びの制止の指示によってページワン達は渋々ながら――頷いてくれた。

 そして……ページワン達が頷いた瞬間に小紫が動き出した。

 

「…!?」

 

 彼女は突如マリアの手を握りながら――なんと兵隊達に向かって駆け寄った!

 

「「「!?」」」

 

 小紫の突然の行動にオレ達は目を見開く中、彼女達は兵隊の――おそらくリーダーらしき男の前に立ち、そして叫んだ。

 

「――助けて!」

 

「「「え!?」」」

 

 なんと小紫が涙を流しながら弱々しい表情――見る者が庇護欲をかき立てられてしまうような表情を浮かべながら保護を求めたのだ。

 彼女のそんな行動に連れられたマリアもページワン達も驚愕する。

 

「こ、小紫!?」

 

「ア、アイツ!?何してるんだ!?」

 

 ページワン達の驚愕の声をよそに小紫は指を組ませて祈る形で助けを求め続けていた。

 

「お願いします!私と――マリアを助けてください!」

 

「お――おうっ!」

 

「こ、小紫……?」

 

 小紫の懇願、何より――儚くても可愛らしさに兵隊リーダーも息を呑み、毒気を抜かれて――そして彼女達を怖がらせないように優しい表情を浮かべるように努力していた。

 彼女の意図があまりにも掴めねぇ行動にページワン達も――マリアも混乱していた。

 ――だが、マリアとページワン達が驚愕し混乱している中で彼女の意図を察する事ができた人物が1人いた――このオレだ。

 

「(――なるほどな……)…チッ!人質にしようと思ってたんだがな……ふざけたマネしてくれるなぁ!小娘共ぉ!」

 

「「「……ヘッ!?」」」

 

「!……怖かったですぅ!」

 

 突如オレが言い放ったその言葉にマリアとページワン達も驚愕した。そして何かに気付いたらしい小紫もついにビビる――様子を見せ始めた。

 オレの言葉を聞き――そして小紫の様子を見た兵隊リーダーは素早く小紫達を後ろに庇い、オレ達を鋭く睨みつけながら宣った。

 

「――彼女達はもはや人質にできないぞ!観念して――拘束されるんだな!」

 

 リーダーのその宣いにオレは

 

「……どうやら、そうみたいだ」

 

 そう呟きながら両手を上げた。

 まだ混乱しているページワン達もオレが両手を上げたのを見て――自身達も恐る恐る両手を上げた。

 

          ●

 

檻の中

 

 〝ギビマ〟にももちろん悪事を働く者と海賊を含む襲撃者を閉じ込める檻が存在している。

 その檻は閉じ込められる者をそう単に出さないように堅牢でできている。

 そんな檻にオレ達は入られていた。

 

「…」

 

「……スサノオさん、説明してくれますよね?」

 

 目をつぶりながら静かにしているオレにページワンは事情説明を求めていた。

 彼、そして他の仲間・部下達も真剣な表情を浮かべながら、オレの口から放たれるだろう言葉に耳を傾げようと構えていた。

 当然だ。オレが大人しく拘束される、小紫が兵隊に保護を求める等のページワン達からすれば訳分かんねぇ状況が起こり続けているんだ。いい加減に事態を把握したいのも理解できる。

 そんな彼らにオレは苦笑しながら説明を始める。

 まず、あの場でオレが暴れずに大人しく檻に入れられるのを受け入れた理由を。

 そして

 

「――小紫はそんなオレの意図を察したのだろうな。だからこそアイツは〝ギビマ〟に何かが起こっているのかを知る為にああいう行動をとったんだろうな」

 

「ちょうど、アイツとブラックマリアの見た目は可愛らしい女の子だ。それを利用して、うまくすれば中枢に潜り込もうとしたんだろうな」

 

 小紫の行っていた行動に秘められている意図に関してのオレの推測を耳にしたページワン達は納得した。

 

「――アイツ……真面目な奴だから、そういう事はやらないのかと思ってたら……なんか、スゲェな……」

 

「リュドドド!まぁ――アイツも立派な海賊――という訳だ!」

 

 知恵が回る小紫の行動にオレはニャリとしてしまう。

 

「あとは小紫とブラックマリア……そしてハッテンがこの〝ギビマ〟での何かを把握してくるまでは待機……だな……」

 

 そう呟くオレは天井を見上げた。ページワン達もつられて天井を見上げる。

 

          ●

 

休憩室

 

 〝ギビマ〟のある建物の一室――人が休めるように作られた休憩室に私――小紫とマリアが連れ込まれて、そこでゆっくりしていた。

 私達を連れて行ってくれた兵隊リーダーは傷心だと思わされている私達をそっとしようと部屋を出ているのでいない。

 

「――だから、あの場でそうしたの」

 

「……なるほどね〜」

 

 そこで私はマリアにあの場での行動を起こした理由を説明していた。

 その内容は実は――スサノオがページワン達に話した通りである。

 そうスサノオの睨み通り、私は〝ギビマ〟に起こっている事態を把握する為にあえてか弱い女の子のフリをし、兵隊達に媚ってきたのだ。

 

「……なるほどね〜」

 

 事情を知ったマリアはうんうんと頷きながら納得していた。

 

「……でも、ああいう手をとってくるとはね〜」

 

 私のとった手段にマリアは感心した。

 ……ふふっ、そりゃね――

 

「まぁ、私は可愛らしいし……それを利用しない手はないでしょ」

 

 そう悪どい笑みを浮かべている私にマリアもプッと吹き出した。

 

「……さっすが、悪ですな〜」

 

 悪どく笑い合った私達だが、ふと私は少し不満気な表情を浮かべた。

 

「……間違いなくスサノオさんが私の考えを読めたでしょうね……だからこそ、あの場でああ言ってくれたし」

 

 私は自身の企みさえも見通しなスサノオからの力添えに不満気にため息をつくも――微かだが、微笑みを浮かべていた。

 そんな私を見たマリアも微笑んだ。

 

「――あなた達は本当に互いに理解し合っているわね」

 

「なっ!///」

 

 マリアのその言葉に私は顔を真っ赤にして――

 

「――ち、違う!!///ぐ、偶然よ!そうよ、そうに違いない!!///」

 

「ふふっ……」

 

 必死に否定している私にマリアは微笑んでいる。その微笑みに私は口を一文字にして――

 

「……と、とにかく!――この〝ギビマ〟に何かが起こっているのか、それを調べなきゃ……」

 

「……そうね」

 

 私達は目を鋭くする。

 ……そこにはまだ幼いといえ、確かに海賊がいた。

 

          ●

 

どっかの空間

 

「何だと?――それは確かか?」

 

「ハッ……予定より早く海賊団が拘束された報告が来たので不可解と思い、確認してみたら……我々が雇っていたのとは全く別の海賊団でした」

 

 そこで2つの影がそう会談していた。その内容は――

 

「……で、どの海賊団だ?」

 

「……暴獣海賊団というそうです。その名は聞いた事がありませんので……新顔かと」

 

 ――暴獣海賊団の拘束に関してだった。

 どうやら影達の計画によれば、本来は少し先で別の海賊団が拘束される筈が――間違えて暴獣海賊団が拘束されるハメになったらしい。

 

「……予定より時期が早い上に別の海賊団が拘束される…か…」

 

「どうしましょうか?」

 

 お辞儀をしている影からの問いかけに片方の影は思案に耽り――

 

「……時期がズレるといっても――些細なズレだ。計画はそのまま進める」

 

「暴獣海賊団やらは……生かしても良い事はない。むしろ――我々の支配にビビを入れるかもしれん」

 

「……では」

 

「あぁ、その海賊団を口封じしろ」

 

「ハッ!」

 

 影のその命を聞いた影は消え去った。それを見届けた影は呟く。

 

「……しかし、よりにもよってこの日にやって来るとは……運がないな、暴獣海賊団とやら――」

 

 

――だが、本当に運がないのは果たして……

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