ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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☆「百獣海賊団」に敵なしの筈がー!?


第2話〝子宝そしてババア〟

〝スサノオ〟が〝最強生物〟の子としての片鱗を初めてみせた日からさらに1年――

 

百獣海賊団――

 

それは海賊〝百獣のカイドウ〟が率いる海賊団……!!!

それも泣き叫ぶ子さえも黙る程の悪名高い荒くれの集団である……!!!

そんな集団だけはあって気性がすごく荒くて、しかも立ちはだかる面倒事を〝力〟で無理矢理突破してきたという……

 

「ー…」

 

そもそも、その海賊団は元々カイドウの強さに惚れ込んだ凶暴な者達が集まった集団なのだ。

すなわち、強さと戦いに飢える者ばかりだというのは想像に難くないんだろう

 

「――ェー…」

 

〝実力〟を第一とし、〝力〟さえあればどうであろうが――関係ない

 

「――えェェー…」

 

まさに〝弱肉強食〟……!!気に入らぬものは〝力〟で黙らせて潰し、欲しいものは〝力〟で奪えばいいのだ。それこそが――「百獣海賊団」の常識なのだ

 

「――えェェェ……!!」

 

それ程の武闘派である「百獣海賊団」は今――

 

 オギャア――オギャア――

 

「頼むから、泣くのを止めてェェェェェ!!!」

 

 赤ん坊相手に苦戦を強いられていた……

 

 

 あの悪名高いカイドウが息子を溺愛している――

 元々彼の強さに惚れ込み、ついていくのを決意した者にとってその事実は受け入れがたいかもしれない。

 しかし、いざその光景――

 息子を抱っこする父親――あれ程に恐ろしかったカイドウの厳つい顔がほころびながら我が子を優しい眼差しで見つめていて、息子の方も笑顔一杯で父親を見つめ返す。

 その微笑ましい光景を見てみると、つい頬が緩まざるを得なくなっちまう。

 ……しかも、それだけではない。

 戦いが起こった時なんだが、その際に我が子を背に戦うカイドウの暴れぶりは目にする者が改めて惚れ惚れしてしまう程だという。

 

 ――あれこそはまさに仁王の如くだった……

 

 子ができるとあんなふうにさらに強くなれるのだろうか?

 ……そもそも、なぜカイドウが子を作ろうとしたのかというと――

 

『このオレの血を受け継ぐ子供がいれば、十分な戦力になるんだろ?』

 

 ……なんとまァ、子供本人を直で見ない最低な言葉だった。

 まァ、そんな彼でも今は息子の事を戦力としてではなく我が子として見ていて大事にしているから心配は無用なんだが……

 とにかく戦力強化には子作りもありだというカイドウの考えが実ってきたのか。スサノオが生まれてから2年後に「百獣海賊団」が子宝に恵まれるようになったのだ。

 

 オギャア――オギャア――

 

「よしよし」

 

 「百獣海賊団」のアジトには育児室が存在する。そこに現在いる赤ん坊達を全て集めて、それを親達が育児しているのだ。もちろん育児経験のある看護師達の手を借りてだ。

 それでも今まで〝力〟で好き勝手にやってきた荒くればかりだ。赤ん坊の育児という慎重さをかなり必要とする作業にはすごく苦労せざるを得なかった。それこそ、戦闘をする方が楽だという程であった。

 

「おーおー、大変だこと」

 

「しかし、「百獣海賊団」もこれじゃ託児所だな……」

 

「いいのかな……天下の「百獣海賊団」が託児所なんかやってて……」

 

「いいんじゃねェか?ほら、カイドウさんは戦力強化には子作りもありだと言ったし」

 

「それはそうだが……」

 

 泣き止まない赤ん坊達を慌ててあやしている親達と看護婦達の姿を眺める船員2人がそう議論していた。

 その2人は現在の「百獣海賊団」のあり様には思うところがあるようだ。

 無理もないかもしれない……元々荒事を好んでいた2人はそれが存分にできる集団に入ったというのに逆にほのぼのとした空気が漂ってきたので不満を感じずにはいられないのだろう。

 そんな2人に近付くのが1人……否、2人。

 

「よぉ!おめェらは子を作らねェのか?」

 

「すぅ…すぅ…」

 

 寝ている赤ん坊を抱っこする男が2人にそう問う。

 

「んーいやァ……」

 

「あァ……まだ迷っているが、ただ赤ん坊相手に苦戦しているお前らを見るとなかなかな……」

 

「というか、海賊が託児所なんかやっていいのかなと考えていてな……」

 

 その問いに2人は顔をしかめながら率直にそう答える。その姿勢に男も苦笑を浮かべる。

 

「ははは……確かになァ、赤ん坊は昼夜関係なく泣きやがるし~どんな気分になったのか分かんねェし〜やる事が多いだし〜戦いよりかなり大変だぜ……」

 

 その大変さから2人が子を作るのを躊躇してしまうのを理解できる男だが……

 

「でもな……」

 

「惚れた女との間にできたガキは可愛いもんだぜ」

 

 「大変だがな!」と笑う男に2人も口をつぐむ。

 

「じゃ、そろそろ食事の時間だ」

 

 

「ウォロロロロ……」

 

 ある部屋でカイドウが堂々と座っていた。そして、その目の前には――

 

「ん〜♪」

 

「きゃはは」

 

 少し大きくなったスサノオが鼻歌を歌いながらベビーベッドの内部を覗いていた。そこにはカイドウの娘にしてスサノオの妹――〝ヤマト〟が明るく笑っていた。

 

カイドウの娘

(スサノオの妹)

ヤマト

 

 そう、カイドウは息子に続き――娘ができたのだ。

 そんな彼が我が子達を優しく見守っているとその部屋に来訪者が現れた。

 それは褐色の肌をして白髪のロングヘアをハーフアップに束ねたかなりの美形な男だった。突然姿を現したその男にカイドウは視線を向けて――

 

「――おう、()()()か」

 

「ええ」

 

 その男はキングだった。普段被る黒いマスクを今は被らずにその素顔を露わにしている彼が赤ん坊を抱っこしながら、カイドウからの声かけに笑みを浮かべて応える。

 

「……カイドウさん、子供達はどうです?」

 

 そしてキングがカイドウにそう問いかけるとスサノオが彼に気付き、顔を輝かせる。

 

「あ!きんぐ〜!」

 

「ああ、お坊ちゃま。元気そうだな、お嬢も」

 

 彼からの親しげな呼びかけに柔らかく応えるキングにカイドウも笑みを浮かべながら口を開く。

 

「おう……お前の子――フドウはどうだ?」

 

「ああ……笑顔を絶やさないままでいる」

 

「だーだー」

 

 そう、キングもまた敬い慕うカイドウにならって自身も子を作ったのだ。そうして生まれたのが彼の息子――〝フドウ〟だ。

 

キングの息子

フドウ

 

 その子はキングの特徴――黒い翼と背面から噴出する火をもちろん受け継いでいる。そんなフドウが明るく笑うのを眺めるキングの目には愛しさ――しかし同時に苦悩も存在していた。

 

「……悩んでいるのか?」

 

「……ああ、この子を果たして生ませて良かったのかと思ってな……」

 

「……」

 

 実はキングの正体とは――既に絶滅してしまったとされる「ルナーリア族」の生き残りである。

 それも特殊な体質を持つ希少種族な故か、今でも執拗に狙われている。

 そういう背景から今の世界のどこにも「ルナーリア族」の安らげる場所がもはやないんだと考えずにいられないのが彼らの現状だ。

 そんな世界にフドウを生ませて本当に良かったのだろうか……

 この子が安らぎを得られず、苦しみながら生きる羽目になるのでは……

 我が子の今後を考えると苦悩せずにはいられないキングに向けてカイドウはしかし獰猛な笑みを浮かべる。

 

「ウォロロロロ!!」

 

「⁉」

 

「忘れたのか!!あの時、オレがお前に言った事を!!」

 

「!!」

 

『オレの陰にいろ!!誰にも渡さねェ!!』

 

 最初に出会った頃のカイドウが言い放ったその言葉を思い出したキングはハッとする。

 

「お前はもちろん!その子も誰にも渡さねェ!!オレ――いや、オレ達の陰にいろ!!」

 

 そんな彼にカイドウはスサノオにチラッと見ながら力強く言い張る。その宣言を受けてキングは――穏やかに微笑んだ。

 

「……フッ、オレとした事が……女々しい事を考えてしまったな……」

 

「ウォロロロ……お前も人の親だ……」

 

 そんな彼にカイドウはニヤリとする。すると――

 部屋の扉を叩かれる。それにカイドウとキングは顔を合わせ、頷き合う。

 ……実はキングはその特殊な素性な故に部下達にも正体を隠している。そういう訳から彼はその場から素早く姿を消した。

 それを見届けたカイドウは許可を出す。

 

「入れ!」

 

 それに応えて入室した部下が用件を伝える。

 

「失礼します!例の客が来たとの事です!」

 

 その報告にカイドウも片目を見開く。

 

「そうか!来たのか」

 

 頷く彼にスサノオが疑問を投げる。

 

「きゃく〜?」

 

「!ウォロロロ……そうだな、お前らにも会わせよう。何せ、あいつの能力は面白ェしな」

 

 首を傾げるスサノオにカイドウはニヤリとする。

 

「あのババアの能力はな」

 

 

「ニキョキョキョキョ……立派に海賊をやっていて何よりじゃ、カイドウ……」

 

「フン、お前こそくたばっていなかったようだな……ババア」

 

 「百獣海賊団」のアジトに祈祷師のような風貌に頭に2本の蝋燭を巻き付けた山姥のような老婆が姿を現した。

 その彼女はかつてカイドウが見習いだった頃の海賊団の船員だったのだ。そういうツテもあって彼女がカイドウに話を持って来たという。

 

「キョキョキョキョ……」

 

〝ババア〟

黒炭ひぐらし

 

 不気味に笑うひぐらしの目の前に堂々と立つカイドウが単刀直入に言う。

 

「わざわざオレに話があるんだってな」

 

「そうじゃ!あんたにとって悪くない話じゃ!」

 

「ほう……聞こうか」

 

「では早速……」

 

 説明を始めようとするひぐらしに対してカイドウはしかし制止する。

 

「そうだな……だが、待て」

 

「うん?」

 

「ウチの子達にお前の能力を見せてやれ」

 

「ハイ!?」

 

 カイドウが口にしたその頼みの内容に目を丸くしたひぐらしが素早く彼の後ろにいる小さな子供と看護婦が抱っこする赤ん坊に視線を向けた。

 

「あんたのこ、子供か、かい?」

 

「そうだ……何だ?」

 

「あ、いや……あのむっつりの暴れん坊が子持ちだなんてな〜と思って……」

 

 そう言うひぐらしの目が心なしか温かい目になっていた。

 

「……早く見せやがれ」

 

「おおッ!」

 

 それで少しイラついたカイドウの命令にひぐらしは少し冷や汗をかきながらスサノオ達の前に足を素早く運んだ。

 

「「?」」

 

「キョキョキョキョ……よ〜く見てごらん……」

 

 疑問符を浮かべる子供達の前でそう言ったひぐらしの顔が突然美形な別人の顔に変わった。

 

「わッ!?」

 

「あ〜〜!?」

 

 それを見たスサノオとヤマトが目を丸くする。

 

「ハイ!」

 

 その途端にまた別の男の顔に変わられた。

 

「おお〜ッ!」

 

「だーだー!」

 

 それが子供達にとっては受けが良かったらしく楽しんでいた。

 ……ひぐらしは〝マネマネの実〟の能力者である。

 その能力は右手で触れた人物を記憶し、その人物に変身できるものだ。それ故に彼女の顔が別人の顔に変われたのだ。

 ひぐらしがその能力を使い、ある者または別のある者などの人々を欺き、自身の進めているある計画をさらに推進させるように暗躍してきたのだ。だが――

 

「ハイ!ハイ!ハイ!」

 

 それが今、ひぐらしはその能力で子供達を楽しませていた。

 

「キョキョキョキョ……どうじゃ!」

 

「すごい!すごい!」

 

「だーだー!」

 

 ドヤ顔をするひぐらしに対してスサノオは拍手してヤマトも満面の笑みを浮かべた。

 子供達が十分楽しめたのを確認したカイドウはひぐらしに対して話を仕切り直す。

 

「戯れはここまでにして……お前はオレに話があって来たんだろ?」

 

「おお……そうじゃ!わしはあんたに土産話を持って来たんじゃ」

 

 

「あの事件から10年……あんたは〝武力の化身〟だ、カイドウ。キョキョキョキョ」

 

 ひぐらしが〝百獣のカイドウ〟率いる「百獣海賊団」に対して〝土産話〟を述べ始める。そんな彼女の前にはカイドウが威風堂々と座り、その後ろにはマスクを被ったキングを含む海賊達が控えていた。

 

「人類の歴史上……〝武力〟は世界中のあらゆる問題を解決してきた……」

 

 静かに話すひぐらしの声に熱が少しずつ入り始めた。やがて

 

「そりゃそうさね、人間は〝動物〟だ!!弱肉強食こそ自然の姿!!!」

 

「全くその通りだ!!」

 

 人間の本質、世界の真理に関しての考えを熱演するひぐらしにカイドウも共感の意を示す。そんな彼に彼女も怪しく笑う。

 

「これから「ロックス」の残党達が台頭してくるよ……!!「武器」がものを言う世界。いい話があるんだよ……キョキョキョキョ」

 

 ひぐらしが口にするその事にカイドウも興味を惹かれ耳を傾げる。その姿勢にますます笑みを浮かべたひぐらしは話を続ける。

 

「まず、あんた達……今こうやってシマを持っているが、もっと条件の良いシマが欲しいとは思わんか?」

 

「それもどこの誰だろうとも攻め入るのが困難で、また情報を知らされる事もない最高の地があればと思った事は……!?」

 

「あァ!?そりゃ欲しいが……そんな場所があるのか?」

 

 それ程に条件が良い地が存在するという事実に驚愕し片目を大きく見開いたカイドウにひぐらしはニヤリとし――ついにその地の事を明かす。

 

「もち!!存在するとも!!それこそがわしらの故郷――「ワノ国」じゃ!!」




☆「ワノ国」を脅かそうとする陰謀…!!
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