ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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☆それからも冒険を続けた「暴獣海賊団」の次に向かう先はー


第49話〝里帰り〟

 「ギビマ」を出た「暴獣海賊団」はそれからも海を旅し、様々な島にも上陸し冒険した。

 

 しばらくして1年――

 

 「暴獣海賊団」は今、「ワノ国」に向かっていた。

 何せ、「暴獣海賊団」はどれだけ冒険しても年に一度に「ワノ国」に、それも〝金色神楽〟が催される前日に帰るようにしているからだ。

 

「リュドドド!!キサメ!ハクジ!ミチカツ!これが「ワノ国」だ!!入国前だがな!!」

 

 そして「暴獣海賊団」は無事「ワノ国」に到着した。

 その光景を目にしたオレはつい笑みを浮かべ、キサメとハクジとミチカツに向けてその国の事を紹介した。3人もその巨大な滝を前に感嘆の声を上げた。

 

「これはこれは……」

 

「すごいな……!!」

 

「うむ……」

 

 誰だろうが容易に手を出せない、まさに〝天然の要塞〟の如き巨大な滝の猛威に3人は圧倒された。

 

「――しかし、まさか「ワノ国」こそが「百獣海賊団」の本拠地だったとは……」

 

「「百獣海賊団」の本拠地に関しての情報が皆無だったからな」

 

 「ワノ国」が「百獣海賊団」の本拠地だったという事実にキサメとハクジが驚愕を隠せなかった。

 だが、そんな中でミチカツは奇妙な事に少し腑に落ちた顔をもみせていた。

 

「……実は……ムザン…様…が「百獣海賊団」の本拠地に関しての情報が皆無である事…そして「ワノ国」の詳細も謎である事から見当をつけていたが……まァ、それはいいか」

 

 とにかく、感銘を受けた3人の姿にオレは誇らしげに頷き、そしてもっと度肝を抜かせるためにその指示を下す。

 

「よし!「滝登り」で行くぞ!!」

 

「アイアイサー!!――鯉を捕まえなきゃ!」

 

 3人の新入りが「ワノ国」を訪れた記念として「暴獣海賊団」は「滝登り」の方法で入国していった。その方法に3人はもちろん肝を抜かれたが、受けが良かった。

 その後に3人が「鬼ヶ島」を目にする際にもその豪華さにやはり感嘆の声を上げた。

 

 

「ウォロロロロ!!よく帰ってくれたな!!スサノオォ!!ヤマトォ!!」

 

 「鬼ヶ島」であぐらをかいている親父がオレ達の帰還に歓喜の声を上げた。

 

「おう!!ただいま!!」

 

「お父さん!!ただいま!!」

 

 オレ達が満面の笑みを浮かべながら元気に挨拶したのを受けて親父も満面の笑みを返す。

 

「〝電伝虫〟で報告を受けていたが、随分良い冒険ができたらしいな!!」

 

「お前らがナワバリにしてくれた「ギビマ」を含む島々も悪くはなかったぞ!!」

 

 親父は我が子達に向けて笑みを深めた。その笑みを受けてオレ達も笑い返す。

 

「うんうん!!すごかったよ!!あの島とか!!あの島とか!!特に「ギビマ」とか!!」

 

「ああ、予想を裏切ってくれたものばかりだったからな」

 

 楽しい冒険の日々を思い返すオレ達が顔をほころばせた。そんなオレ達の姿に頷く親父だが、少し話題を切り替える。

 

「お前らの冒険の詳細は後で聞かせてもらうとして――」

 

「手にした利益、それに」

 

「キサメ、ハクジ、ミチカツとかいったか。どういう奴らなんだ?」

 

 真剣になった親父からその問いを投げかけられてオレも気を切り替えて説明を始める。

 

「おう!!3人ともよく働いてくれているぞ!!」

 

「キサメは強い上に働きが速い!!魚人だから海中探索、海戦でも活躍したぜ!!」

 

「ハクジは強いのはもちろんだが、奴の〝武装色の覇気〟もなかなか面白ェんだ!!」

 

「ここの剣術師範になる予定のミチカツの剣の筋もいいから兵達の戦力強化も見込めるぜ!!」

 

「そうかそうか!!」

 

 オレが快活に語ったのを受けて親父はその内容もあって満足気にする。新たな戦力、そして戦力強化の成果を見込める事によってオレ達はご機嫌だった。

 だが、その時にオレはある話題をあげる。

 

「……親父、実はヤマトから話があるんだ」

 

「ん?何だ?」

 

 オレがそれを口にした事で親父は首を傾げながらヤマトに視線を向ける。父親に見つめられたヤマトはついビクッとしたものの伝えなければならない事を言うんだと意を決する。

 

「……お父さん。僕……」

 

「――性別を「男」だと偽るのをもうやめる事にしたんだ!」

 

「……は!?」

 

 ヤマトが申し訳なくもはっきりと言い放ったその言葉に親父もさすがに唖然とした。

 ……ヤマトが「男」ではなく「女」として改めて生きる決意を知った親父は結局ヤマトの気分のままに振り回される事態に呆れた。

 だが、ヤマトが「男」だと偽る事そのものに対して幼稚さを感じたという理由を親父は真摯に受け止めて最終的に理解してくれた。

 

 

それから時が少し過ぎ――

 

『YОYО!!年に一度の〝金色神楽〟だぜ!!!』

 

『お前らも楽しめ〜!!』

 

「「「うおおおお!!」」」

 

 百獣海賊団主催の宴〝金色神楽〟が始まった。

 その宴にオレ達「暴獣海賊団」ももちろん参加していた。

 

「リュドドド!!楽しんでるかァ!!お前らァ!!」

 

「「「もちろん〜!!」」」

 

 〝金色神楽〟の盛況に笑みを浮かべたオレは「暴獣海賊団」の海賊達、皆に対してそう問いかけてみた。その確認に皆も朗らかに応えてくれた。

 しかも、そういう皆の様子も冒険中で時々行われた宴の時よりさらに楽しそうにしていた。その時点で〝金色神楽〟の規模がやはり格別なんだというのが分かる。

 規格外な〝金色神楽〟を誇らしく思うオレはまずある者に視線を向ける。

 

「――明日郎!!お前も本当に大した腕だな!!うめェぞ!!これ!!」

 

「あ!本当にね!」

 

「ぐ、悔しいが……おいしい……」

 

 目前の料理に舌を巻いたオレ達はそれを作った張本人、明日郎を褒め称えた。周りからの賞賛に明日郎も胸を張る。

 

「満足してくれて何よりだぜ!!」

 

 明日郎は「食」への執着が強い。それは美味を求める程に。

 だが、そんな彼が様々な味を噛み締めていくうちに更なる美味をなかなか得られにくくなった。美味を渇望する明日郎はそこで自ら料理するようになってみせた。

 そしてその腕は試行錯誤を重ねた事で人々の舌を巻く、それこそ犬猿の仲であるシシリアンも賞賛せざるを得ない程に成長したのだ。

 そんな明日郎の料理をオレ達が頬張りながら宴を楽しんでいた。

 

 だが、そこに

 

「――もし」

 

 突然声をかけられた。その声にオレ達が揃って視線を向けてみるとそこには1人の侍が立っていた。

 リーゼント風のポンパドールの青い髪と面長な顔つきで細いつり目が特徴な侍――黒炭オロチの家臣〝居眠り狂死郎〟だ。

 

狂死郎――

 

彼は黒炭家御用達両替屋にして「ワノ国」の将軍黒炭オロチに仕える侍の1人でワノ国トップのヤクザ「狂死郎一家」の親分である

オロチ従属の侍の中でも屈指の力量を持つ実力者なのだ

なお、酒が入ると会話の途中で眠り出すという癖を持っている故に〝居眠り狂死郎〟と呼ばれている

 

 そんな男の登場にオレは片眉を上げる。

 

「〝居眠り狂死郎〟……だったか」

 

「はっ、その通りでございます――あなた様とは初対面でございましたな」

 

「確かにな」

 

 その身分を言い当てたオレに狂死郎は頭を深く下げる。そんな彼が口にした言葉にオレも頷く。

 そういえば、オレは〝居眠り狂死郎〟とは会ってみたいと思っていたが……なかなか顔を合わせなかったな。

 そう考えたオレは改めて目の前の狂死郎を凝視するが。

 

「……なるほど、強いな」

 

「カイドウ様の息子にそう評価して頂けるとは、光栄でございます」

 

 その強さを感じ取れたオレが率直にそう言う。その言葉を受けて狂死郎が頭を下げる。そんな彼ともう少し会話してみたいが……

 

「一体何の用だ?」

 

 今は狂死郎の用だと考えたオレはその問いを投げかける。それに応えて狂死郎が恭しく答える。

 

「はっ。拙者は――」

 

「小紫という者を我が遊郭に誘いに参ったでござる!!」

 

「「「!?」」」

 

 狂死郎が言い放ったその言葉にオレは片眉を上げ、そして話題に上げられた小紫本人も目を見開く。

 

 

時は少し遡って――

 

 〝金色神楽〟にはカイドウと同盟を組んでいるワノ国将軍、黒炭オロチとその取り巻きも参加していた。もちろん、部下である狂死郎もまた同行していた。

 そして彼らも宴を楽しんでいた。

 

「ムハハハ!!今年も華々しいな!!〝金色神楽〟は!!」

 

「そうですな!!」

 

「これもあなた様の権威の証明でございますからな!!」

 

「――その通りじゃ!!ムハハハ!!」

 

 〝金色神楽〟の盛況を受けてオロチは笑いあげ、そんな彼に取り巻きが媚びを売る。周りからの賛美によりオロチもますます大笑いする。

 

「ムッハッハッハ!!」

 

 一見ご機嫌な黒炭オロチだが、彼を身近で見続けた狂死郎は知っている。実はオロチは今の「ワノ国」の有り様を面白く思っていないという事を……

 オロチは「ワノ国」とその民への復讐を糧として生きてきた男だ。

 だからこそ、一度は荒れ果てた筈の「ワノ国」が息を吹き返し〝生命〟を取り戻せた上で発展されていく状況がオロチには気に食わないのだ。

 ……ただ、〝ワノ国の純粋な人間〟は相も変わらずほとんど苦しめられているらしいが……

 もちろん、そのような状況を作った「百獣海賊団」に対してオロチはイラ立ちを覚えずにはいられなかった。

 といえ、オロチは大して強くはない。だからカイドウに強く出れない――そんな状況に身を置かれたオロチのイラ立ちがますます募った。そんなオロチを狂死郎が労しく思う様子をみせるも

 

「……(好機だ。まさかカイドウとオロチが仲違いしかけるとは)」

 

 君主である筈のオロチの苦しい立場を内心喜ばしく思っていた。

 実はそもそも、狂死郎は黒炭オロチに対して忠誠心を一欠片も持ち合わせていなかった。何せ、彼は――

 

「(これでおでん様の敵討ちの追い風になろう)」

 

 亡き光月おでんに今も忠誠を誓っているのだから。

 

狂死郎――

 

その正体は「九人赤鞘男」の1人、傅ジローである

彼はあの〝伝説の一時間〟の後で追手から逃れ、生き永らえていたのだ

だが、彼は自身の無力さとカイドウ及びオロチへの恨み、怒りを募らせた事で今の容姿に変貌を遂げた

そんな彼は新たな顔と名前を得た事を逆に利用してあえてオロチからの信用を得る事で敵陣に潜り、「光月家」を再興する突破口を見出そうとした

「ヒョウ五郎一家」の壊滅により空となったナワバリを掌握し、新たに両替商や遊郭などの事業展開を始めた事で彼は「将軍家御用達」というワノ国中で名の通る有名人となった

また彼は義賊としても活動しており、夜な夜な黒炭将軍家配下の屋敷に忍び込んでは大金を盗み出し貧困にあえぐ下々の民が生きられるように配って回っていた

正体不明の義賊はいつしか〝丑三つ小僧〟と呼ばれ、貧民達の希望の星となっていった

 

 そのような波乱の所業をしてきた傅ジロー――狂死郎はオロチから視線をそらし、バカ騒ぎする海賊達を眺める。内に怒りの炎を燃やしながら……

 

「(……「百獣海賊団」……「ワノ国」を泥足で踏みまくる害獣どもめが……!能天気に笑いながら首を洗って待つがいい。その時が来るまではな――)」

 

 激しき憎悪を仮面で隠す狂死郎がバカ騒ぎを冷めた目で眺め続ける――が、突然手に持つ盃を落とす。その時の狂死郎の顔は驚愕に溢れた。

 

「(まさか、そんな事が……起こり得るのか……!!)」

 

 そんな狂死郎の視線先は「暴獣海賊団」が騒ぐところだった。

 彼にとっては怨敵の息子が率いる海賊団に過ぎなかったが、その中にいるある者の姿を目にした瞬間に心から驚愕した。

 

「(なぜ、あなたがここにいるのです……!!)」

 

 その者は――青緑色の髪の少女だった。

 だが、その少女がここにいるという事実に狂死郎も動揺せざるを得なかった。何せ……

 

「(――日和様……!!)」

 

 彼女こそが狂死郎――傅ジローが仕えた光月おでんの娘、光月日和だったからだ。

 君主の娘がよりにもよって「鬼ヶ島」の中で楽しそうにしている事態に狂死郎は衝撃を受けずにはいられなかった。

 

「……失礼!」

 

「あァ!?何だ!?――何だ、狂死郎の旦那か」

 

 動揺が収まらない狂死郎はたまらず身近の海賊に声をかける。驚いて顔を向けてきた海賊に狂死郎が話しかける。

 

「「暴獣海賊団」にいるあの少女――青緑色の髪の少女だが、あれは?」

 

 その問いかけを受けて「暴獣海賊団」に視線を向けてみた海賊は何の事はなく答えた。

 

「ああ、あのガキか……小紫といってな、若様に拾われたガキどもの1人だぜ」

 

「若様に拾われただけはあって、若手達の中でも有望株らしいぜ!」

 

 その説明で実情を知った狂死郎は内の炎をさらに燃やした。

 

「(……スサノオッ!!)」

 

 スサノオ。怨敵カイドウの息子に対して狂死郎は怒りと恨みが湧き上がらずにはいられなかった。

 

「(お労しい……日和様……!!)」

 

 そして海賊の道を歩ませられる日和の境遇に涙を流さずにはいられなかった。故に思った。

 

「(なんとか、あの方を害獣どもから救わなければ……!!)」

 

 そう考えた狂死郎は「暴獣海賊団」の元に駆け足で向かった。

 

 

「拙者の目から見ても小紫は花魁として大成できる器!!」

 

「だからこそ誘いたくて参ってきたでございます……!」

 

 熱心にそう語る狂死郎の姿勢にオレは口を一文字にする。そして言い放たれたその要求に対して毅然と返す。

 

「……まずは小紫の意思を聞いてみねェとな」

 

 その言葉により周囲の視線が一気に小紫に集まる。その多くの視線に一瞬怯んだ小紫だがすぐ微笑み、そして回答する。

 

「断らせて頂きます」

 

「!!」

 

 その答えにオレ達がつい笑みを浮かべた中で狂死郎が驚愕する。それに構わずに小紫が続ける。

 

「私は「暴獣海賊団」の海賊としてやっていくつもりでございます」

 

 言い放たれたその言葉に狂死郎もたまらず口を開く。

 

「なぜ!?」

 

「なぜって、さっき言いましたが?」

 

 意思を一欠片も変えない小紫に対して狂死郎はなんとか説得しようとする。

 

「考え直してくだされ!!その美しき顔に傷を付けられるのは耐え難い!!」

 

「構いませんよ。そんな事ぐらい、海賊として生きると決めた時にもうとくに覚悟しておりますから」

 

 だが、説得に対しての小紫の返しに狂死郎は顔を歪める。

 

「だ、だが……あなたには海賊より花魁の方が合っております」

 

「……あなたの意見など知りません」

 

 それでもしつこく続ける狂死郎の説得を小紫はきっぱり言い捨てる。そんな彼女の態度を目視したオレは狂死郎に宣おうとする。

 

「……狂死郎。小紫がこう言う以上、船長としてお前の申し込みを断ら「小紫殿!!!」――せ?」

 

 すると狂死郎が声を荒げる。

 

「なんとか考え直してくだされ!!あなたの美貌ならば花魁としてやっていけます!!」

 

「あなたは――あなたは海賊なんかとして生きるべきではない!!」

 

「……あ゛?」

 

 狂死郎が必死にそう言い張った――まるで〝小紫〟を否定するかのような言葉にオレは怒りを覚えた。

 そして、小紫も顔を激しく歪めた。

 

 

「……」

 

 ――こいつ……私の覚悟をバカにしやがって……

 

 自身の覚悟を侮辱したかのように言い放つ狂死郎に小紫――私の内に怒り、殺意が湧き上がった。

 とにかく、狂死郎の必死な説得に私がうっとうしく感じるようになった。

 

「(……だが、なぜこいつはこんなに私を気にかけるんだ?…ー!)」

 

 そして狂死郎の態度を疑問に思う私だが、ふとある可能性を考えついた。それを確かめるために私は口を開く。

 

「……いいですよ、狂死郎さん。あなたの遊郭に行っても」

 

「ま、誠でござるか!?(よし!これで日和様を保護できる!)」

 

 私がそう言ったのを受けて狂死郎の顔に喜びが溢れた。だが、そんな狂死郎に私は速やかに続ける。

 

「ただし……条件が一つあります」

 

「!……何でござるか?」

 

「耳をご拝借しても?」

 

 その言葉により狂死郎は身を屈めて私に耳を傾げてくる。それに私は小さな声で静かに言う。

 

「それはふふっ……服を脱いで頂いても?この場で」

 

「!!?」

 

 その要求を耳にした途端に狂死郎は素早く私を凝視する。その顔は真っ青だった。その様子に推測が的中したと確認できた私は妖しく笑う。

 

「……おや?できないのですか?」

 

 私に煽られるも狂死郎はしかし凍りついた。

 無理もないのだ。狂死郎の背には輪を描く鳥の紋――「光月家」の家紋を描かれてある。そのような背を「鬼ヶ島」――「百獣海賊団」の本拠地の中でみせたらどうなるのか……予想に難くない。

 故に狂死郎は脱がない、脱げないのだ。そんな彼を私は冷めた目で嘲笑しながら言い放つ。

 

「できないのならば、話はこれで終わりです」

 

 固まったっきり動けない狂死郎に私は背中を向けた。

 

「騒がせました。皆」

 

 せっかくの楽しみを邪魔された皆に私は頭を深く下げる。そんな私に皆が気遣わしげにしてくれる。

 

「いやいや、大丈夫?」

 

「心配ありがとうございます。もう気にする事はないでしょう」

 

「……本当にいいのか?」

 

 それでも気にかける皆に向けて私ははっきりと宣する。

 

「この私は――「暴獣海賊団」の海賊なんですから」

 

「「「……」」」

 

 そんな私の姿勢に皆が気圧される。静まり返るその場でスサノオが言い出す。

 

「小紫がいいと言うんなら、もういいじゃねェか!!」

 

「気を取り直して騒ごうぜ!!」

 

「「「!!…おおおお!!」」」

 

「あ……」

 

 私の姿が遠のいていくのに未練をみせる狂死郎にスサノオが話しかける。

 

「……小紫の意思がそうである以上、船長としてお前の要求は認められないな」

 

 スサノオの宣言に俯いた狂死郎はそのまま踵を返した。それを背で感じた私は考えを巡らす。

 

「(やはり、まさかと思ったが……奴は――「九人赤鞘男」の者かもしれない)」

 

 まさか敵中に潜り込む者がいるとは……

 その事実に驚く私だが

 

「(まァ、実際()()()()()()()時点でそう考える者がいてもおかしくはないか)」

 

 そもそも私自身も同じ事を行っている。それ故に納得する。

 

「(でも……〝居眠り狂死郎〟……奴は一体――〝誰〟なんだ?)」

 

 狂死郎の顔に全く見覚えがない私はその疑問を抱く。そして彼の処遇について思案する。

 

「(奴の正体をバラすのは……)」

 

「(今はやめとこう。とりあえず様子見だ)」

 

「(「九人赤鞘男」の1人ならば、強さは確かな筈)」

 

「(……でも、私の邪魔をしようとするなら――)」

 

 そこまで考えた私の目は――

 

「(ただにしてはおかぬ)」

 

 冷たかった。どこまでも……

 

 

――今年の〝金色神楽〟はつつがなく幕を下ろした

 

――小さなしこりを残しながら……




☆盛況を呈した〝金色神楽〟!!
 だが、その裏では…
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