ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第52話〝ソード王国〟

 〝モンプル〟に侵略しようとしたソード王国の兵隊――「漆黒の使徒」は……

 

「大人しくしろよ!!テメェら!!」

 

「妙なマネしたら容赦しねぇからな!!」

 

 オレ達――暴獣海賊団により叩き潰されて、全員縄にかかっていた。

 オレ達に太刀打ちできない「漆黒の使徒」はもはやどうする事もできずにただ、オレ達を睨みながら唸るしかできなかった。

 そんな「漆黒の使徒」を見張っていたオレ達の中からこういう声が出てきた。

 

「……なんか……おかしくねぇか?コイツらの身体……」

 

「……確かにな」

 

 そういう声に同感の声が多く出てきた。そして、このオレも同感だった。

 その懸念通りに「漆黒の使徒」の身体は――異常だった。

 それは身体の一部分が何らかの動物の姿になっていたのだ。

 ある者は腕が犬の顔になっていて、ある者は下半身だけが肉食獣のそれになっていて、ひどい時には動物の身体に人間のボディが生えてるような格好をしている者さえも存在していた。

 ――仮に「漆黒の使徒」が動物系の〝悪魔の実〟の能力者であったとしても――やはり異形且つ異質であった。

 

「……動物系の〝悪魔の実〟の能力者――にしては……なんか違うな?」

 

 その異常さに訝しげなオレ達に向かって「漆黒の使徒」の中のある男が声を上げた。

 

「当然だ!!オレ達はオリジナル〝悪魔の実〟の能力者じゃねぇからな!!」

 

「「「!?」」」

 

「……〝オリジナル〟?」

 

 その男の言葉にオレ達は訝しげに目を細める。そんな様子に気を良くしたのか、誇らしげな笑みを浮かべる男は言葉を続ける。

 

「オレ達――「漆黒の使徒」は〝人造悪魔の実〟の能力者だ!!」

 

「「「〝人造悪魔の実〟!!?」」」

 

 そう言い放たれた言葉にオレ達もさすがに心から驚愕した。

 無理もない。食えば力を得られる不思議な実。それが〝悪魔の実〟だ。

 不思議と謎に溢れているこの世界でも、その異質さはやはり規格外だろう。

 そんなものを人の手で造られる事が可能であるという事実にオレ達は驚愕せざるを得ないのだ。

 

 

漆黒の使徒――

 

ソード王国が開発した〝人造悪魔の実〟を食った能力者の事を指す。

曲がりにも〝人造〟だろうが――〝悪魔の実〟の能力者だけはあって、その戦力は普通の兵隊より勝っているであろう。

……その姿が異形且つ異質であるとしてもだ。

 

 

〝人造悪魔の実〟――

 

〝悪魔の実〟に関して長らく研究してきたソード王国の手により造られたものである。

それを食えば、オリジナル動物系〝悪魔の実〟のように動物の力を得られるは得られる。

ただし――オリジナルのようにそのまま力を得られる訳ではない上にリスクを負わされるだろう。

 

第1のリスクとして――身体の一部分を何らかの動物の姿に変身させる事しかできない上に、変身したまま普通の姿に戻れない。

変身させられる部位は個人によって異なる上、どの部位に変身させられるかはランダムらしい。

すなわち――ギャンブル性が強いのだ。

 

第2のリスクとして――実を食っても能力を発現するのはせいぜい10人に1人程。

 

第3のリスクとして――能力を得られなかった者は笑顔以外の表情を失い、どんなに憤っても悲しくてもひたすらバカ笑いする事しかできなくなってしまう。

 

以上なのが〝人造悪魔の実〟のリスクである。

オリジナル〝悪魔の実〟と比べてみれば、力を得る代償が高くて効率が悪い。

 

――ただ、そんなリスクをそのままにおかずに修正しようとソード王国も研究に研究を重ねている事で近年にその成果が出始めているらしい。

 

さらに、動物系の〝人造悪魔の実〟を造るには動物の血が必要だという。

その前提から超人系・自然系の〝人造悪魔の実〟を造るのが困難だといわれても無理はないだろう。

 

――なお、「世界最大の頭脳を持つ男」と称される天才科学者――Dr.ベガパンクも試作品として〝人造悪魔の実〟を造り出していたらしい。

その完成度はDr.ベガパンクが納得していない為に「失敗作」だとみられるようだが……

 

 

 「漆黒の使徒」の正体、〝人造悪魔の実〟の存在――そして、それを遂げてみたソード王国にオレ達も息を飲む。

 

「……〝悪魔の実〟を研究する果てが〝人造悪魔の実〟……かぁ」

 

 そりゃ、完全な成功作とはいえずに欠点・修正点が多く存在しているといえ〝悪魔の実〟を造り出せたソード王国にオレも感心せざるを得なかった。

 

「(こりゃ――クイーンさんも無視できないよなぁ〜)」

 

「(それどころか――対抗心を激しく燃やし、科学者のプライドをかけて自らも作ろうとする……筈だな〜)」

 

 百獣海賊団が誇る科学者のとるであろう意向を想像してみた事でつい笑ったオレに「漆黒の使徒」が誇らしげに言い放つ。

 

「そうだ!ソード王国はもはや悪魔の力を自在にできるといえよう!!」

 

「オレ達、ソード王国は悪魔の力をもって――世界を支配するのだぁ!!」

 

 その言葉にはオレ達もさすがに眉をひそめる達と驚愕する者達の二派に分かれた。

 

「「「世界を支配!?」」」

 

 ソード王国のそんな企みに驚愕する者達が驚きのあまりに口にしたが、その者達も一旦冷静になると共にオレ達は考察してみる。

 

「……ソード王国って確か――加盟国だったか?」

 

「あぁ……つまり、「世界政府」に対しても企みを隠してきたって事か?」

 

 考察中でのその説がそうだろうとオレ達も睨んだ。

 

「その説が有力だろうな……侵略はギリギリセーフでも世界支配はさすがにアウトだろ」

 

「……しかし、「世界政府」のソード王国への扱いをみるとアイツらは上手く猫を被っているようだ」

 

 そういうふうに意見を出し合う中でオレからも意見を出した。

 

「……「世界政府」の中に潜り込んだか、中の奴らと手を組んだのか――丸め込んだかもしれんな」

 

 自身が思い浮かんだその可能性に少し眉をひそめる皆にオレは「何せ」と言葉を続ける。

 

「奴ら――「世界政府」は機能できていねぇからな……!」

 

 あの〝フレバンス王国〟での出来事と天竜人の存在を思い浮かべたオレは苦虫を噛み潰したような顔になる。

 オレが何を思い浮かべたのか理解した皆も同じような表情を浮かべた。

 そんなオレ達に「漆黒の使徒」はなんと――共感の意を示した。

 

「その通り!!」

 

「だからこそ――腑抜けな「世界政府」の代わりにオレ達、ソード王国が世界を管理してやるのだ!!」

 

「――あの方達なら、それができる!!」

 

 熱心にそう言い放っている「漆黒の使徒」の姿にオレも〝あの方達〟とやらが少し気になってきた。

 

「……〝あの方達〟って……誰だ?」

 

 だからオレが試しに問いかけてみるも

 

「フン!教えるとでも!?」

 

「そう!オレ達の忠誠をナメんな!!」

 

 「漆黒の使徒」がキッパリと否定していた。

 ……ただな――

 

「……いやいや!?テメェら!丁寧に〝人造悪魔の実〟とか、ソード王国の世界支配という企みを教えているじゃん!!」

 

「……その内容を考えれば、むしろ――重要機密情報じゃね?」

 

「あぁ……少なくとも〝人造悪魔の実〟を口にした時点でもはや忠誠もクソもあるのか?」

 

 オレ達がそうツッコんだ。

 そうなのだ。例え、うっかりだとしても――か〜なり重要な情報を口に出したよな?お前ら……

 

「「「あ゛……」」」

 

 オレ達のツッコミにより、自身達の失態を自覚した「漆黒の使徒」はアホ面丸出しな顔をみせていた。

 

「……アホだろ。コイツら」

 

「全くだな……」

 

「「「う、うるさい!!」」」

 

 そのあまりにもなアホ具合さにオレ達も呆れ果てた。

 「漆黒の使徒」もさすがに顔を真っ赤にしながら怒鳴りつけるも、それ程の勢いが感じられていなかった。

 しかし、あれからオレ達が問いかけてみても「漆黒の使徒」ももう失態を犯さないようにこれ以上に情報を出さずに口を固く閉じていた。

 そんな「漆黒の使徒」をとりあえずに放置するオレ達は会談をする。

 

「バカンスを邪魔されたと思ったらとんでもねぇ事になったな……」

 

「〝悪魔の実〟の研究、そして〝人造悪魔の実〟……興味深いな〜」

 

「それに「漆黒の使徒」だったか……コイツらを叩き潰した時点で目を付けられたかもしれんぞ?」

 

 別々な意見が思うままに出されている中

 

「……スサノオさん?」

 

 オレの意図を尋ねる声が出て、皆もこのオレに視線を向ける。

 その視線にオレもしばらく思案に耽り――

 

「よし!」

 

 考えを固めたオレは口にする。

 

「――ソード王国を攻めに行くか!」

 

「「「!」」」

 

 オレが口にした提案に皆が目を見開くも激しく動揺していなかった。彼らもオレならそう言うだろうと予測していたからだ。

 

「――コイツらを叩き潰した時点でもはや戦争は避けられねぇかもしれん……」

 

「なら、先にこっちから仕掛けてやるまで!」

 

 自身が口にした理由に皆も頷くところにオレは続ける。

 

「――それに〝悪魔の実〟の研究――〝人造悪魔の実〟――興味深ぇ」

 

「その技術を頂くぞ!」

 

 その理由にイタズラを企むような笑みを浮かべる者も出てきた。

 

「……だが、それ以上に――」

 

「バカンスを邪魔されたツケはまだ払ってもらっていないしな!」

 

 そう最後の理由を宣したオレに皆も苦笑するも共感の意を示した。

 

「確かにな!!」

 

「バカンスを邪魔されたイラつきはまだ収めていねぇしな!!」

 

「おぉ!そうともぉ!!」

 

 皆がそう雄叫びを上げる中、フドウが声を上げる。

 

「だが、腐っても一国――それも軍事国家を相手にすると……それなりの準備を必要とする上に骨が折れるだろうな」

 

「それに……軍事国家としてただの城を建てられる訳ではねぇだろう」

 

 フドウからの冷静でハッキリしている意見に周囲は納得していた。オレも否定はしなかった。

 

「…」

 

 ふとオレはオレ達の船、カイリュー号。そして「漆黒の使徒」の艦隊をも凝視する。

 やがて獰猛な笑みを浮かべる。

 

「……どうせなら――」

 

「お邪魔をするなら……まずは派手な挨拶する方がいいよな!」

 

          ●

 

時は過ぎ

 

ソード王国城

 

 そこには雪が降っていて、積もった雪が覆っていた。

 

「う〜寒いな」

 

「まぁ、雪が降っているからな……まだマシだがな」

 

 城の周囲に守衛として立っている数人がいて、その中の2人が軽い会話していた。

 

「後で奴隷共を虐めようぜ!」

 

「おぉ!それはいいね!少しは温めるだろうよ!」

 

「ハハハ……それにしても……何か雪が少し多くなったな」

 

「あぁ……それどころか、風が強くなって――?」

 

 そう会話している2人はふと自身達の周囲の異変に気付いた。

 

「お、おい……風が強くなっているぞ!?」

 

「あぁ――……!!」

 

 その2人、そして他の守衛も目を見開く。

 何せ、城に巨大な雲――積乱雲が近付いてきたから。

 

「せ、積乱雲ぅぅぅ!!?」

 

「は、入るんだ!!中に!!」

 

 その積乱雲に守衛は愚か、外にいる者は城の中に入ろうとする。

 

「クソッ!!邪魔だ!!」

 

「押すな!!テメェ!!」

 

「チッ!!……ん!?何かが飛んでくるぞ!?」

 

 騒がしている人々は上空を何かが飛んできているのに気付き目を細める。

 やがて、それが何なのか理解した途端に人々の顔が真っ青になる。

 

「ち、ちょっとま、待って……」

 

 その中の1人が全員の総意を大声で口にする。

 

「――何でウチの船が飛んでくるんだよぉぉぉお!!」

 

 そう叫んだ者を潰すかのように空を飛ばされている十数隻のソード王国の船が城の数ヶ所にすごい勢いで墜落してきた。

 

「うわぁぁぁ!!」

 

「ぐわぁぁぁ!!」

 

 その衝撃に人々が多く吹っ飛ばされて、残りの少数も混乱しているところに追い打ちをかけるように

 

「!!――積乱雲が!!」

 

「おわぁぁぁ!!」

 

「がぁぁぁぁ!!」

 

 積乱雲が城を襲った。

 ――しばらく城は積乱雲に覆わされ、人々も振り回されていく。

 だが、積乱雲が別々に散らばり消えていった。

 そんな事態になんとか立てる者は今の状況を把握しようとする。

 

「せ、積乱雲は消えたのか?」

 

「……どうやら、そうみたいだ」

 

「――被害は!?」

 

 慌ただしく走り回っている人々の前にそれは姿を現す。

 

「「「!!」」」

 

 それを目にした人々が目を大きく見開く。

 その中の1人が口をなんとか開こうとする。

 

「ド、ドドド……」

 

 なかなか、うまくしゃべりにくい1人がついにそれを口にした。

 

「ドラゴンゥゥゥ!!?」

 

 その叫び通り、姿を現してきたのがダークグレーの〝竜〟だったのだ。

 人々の驚愕にその〝竜〟は雄叫びを上げた。

 

「ガアァァァァァ!!!」

 

          ●

 

 〝竜〟――オレはまず、翼を震わせ続けて積乱雲を発生させた。〝風雲〟を作られるオレの手にかかれば、体力を要しても他愛ない事であった。

 その雲を皆が乗ったカイリュー号を抱えるオレの周囲に纏わせながらソード王国に突進していった。

 なお、ソード王国の艦隊――十数隻の船をも飛ばせていた。その艦隊を武器としてソード王国に叩き込むのにも使えるからだ。

 

 ――そう、これこそが暴獣海賊団のソード王国に対しての挨拶だ!!!

 

 とにかく、混乱している人々にオレは宣言した。

 

「オレ達は暴獣海賊団だ!!!」

 

「オレ達はソード王国にケンカを売りに来たぁ!!!」

 

 オレがそう宣言すると共に地に置いたカイリュー号から暴獣海賊団が降り参った。

 その宣言、そして暴獣海賊団の登場に人々が激しく動揺し、混乱した。

 

「海賊!?」

 

「ソード王国に――ケンカを売りに来たぁ!?」

 

「正気かぁ!?たかが海賊団が国にケンカを売ろうとするなんて!!」

 

 オレ達、暴獣海賊団の目的に人々が激しく動揺している中、1人の声が響いた。

 

「怯むなぁ!!お前達ぃ!!」

 

「「「!!」」」

 

「我らを何だと心得る!!――ソード王国だぞ!!」

 

「ソード王国にケンカを売った愚かしさを暴獣海賊団とやらに思い知らせてやれぇ!!」

 

「「「オ、オオ――ッ!!」」」

 

 その勢いにオレも暴獣海賊団に号令をかけた。

 

「――お前らぁ!!!」

 

「行くぞぉ!!!」

 

「「「オオッ!!!」」」

 

 

――今ここに暴獣海賊団とソード王国の戦争が勃発した。

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