ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第53話〝巨神兵〟

「かかれぇ!!」

 

「「「オオッ!!」」」

 

 襲来者を排除しようと気を奮い立たせて立ち向かってくるソード王国軍に対してオレ達、暴獣海賊団は戦闘形態を構えるも冷静に凝視していた。

 

「……少なくはねぇが…多くもねぇな」

 

「あぁ、スサノオさんが発生させた積乱雲が襲いかかった上に奴らの艦隊をも墜落させてきた事で数を減らしてくれたからな」

 

 ソード王国軍の人数が少なくはないが、同時に多くはないという事実に皆は先制攻撃が上手くいったのだと頬を上げた。

 そう――オレ達はまず、こっちから先制攻撃をかけて敵の人数を減らす事にしたのだ。

 ……暴獣海賊団の海賊達の強さは知っているし、信用はしている。

 ――だが、ただの軍団なら問題なく蹴飛ばせられるが……〝人造悪魔の実〟の能力者達で組織されている軍団を相手にする以上、オレ達でも骨が折れるだろう。

 そういう背景もあって、敵の数を減らしてオレ達が戦える条件に持っていこうのに繋がったのだ。

 まず、このオレが発生させた積乱雲とそれにより伴われ飛ばせている奴らの艦隊をくわしてやった事でソード王国軍の人数が激しく下がったのだ。

 ……だが、まだ終わりではねぇぞ?

 

「……お前ら、少し待て」

 

「「「!?」」」

 

 駆けてくるソード王国軍に対して待ち構えている皆にオレはそう声を掛けておく。

 そう声を掛けられた皆は少し驚くも、その指示に従って待ってくれた。

 

「…」

 

 そんな皆につい頬を崩したオレはソード王国軍に視線を向ける。

 そして――

 

ドクンッ!!

 

 オレはソード王国軍に「覇王色の覇気」を放ってやった。

 その覇気にあてられた者が一瞬で意識を刈り取られ、気絶した。

 それによりソード王国軍の大人数が倒れ、人数がさらに減っといった。

 その様にはオレも満足した。

 ――かつて海軍基地で「覇王色の覇気」を覚醒できたオレは親父に教導してもらった事で覇気をほぼものにできた。

 しかし、敵に向かって放つ機会が少なくねぇ為にウズウズしていたオレだからこそ、満足できた。

 ――オレの「覇王色の覇気」もなかなかだな。

 そして、皆もそんな景色に感嘆の声を上げた。

 

「おーおー……よくやってくれるなぁ……スサノオさんは」

 

「当然だ。スサノオさんは最強だからな」

 

「……だが、スサノオさんの「覇王色の覇気」からおそらく、生き残った者は実力者だろうよ……油断すんなよ」

 

「あぁ……大体――5000人か?」

 

 オレへの称賛する声が上げられる一方でソード王国軍の残りに警戒の声もあった。

 そして、残りの人数がおそらく約5000人だろうと推測されていた。

 ――聞けば、ソード王国の城には約3万人も滞在しているといわれる軍団が積乱雲と艦隊の墜落により、大体約1万5000人に減らされたところにさらに約5000人に減らされていった。

 だが、人数が約66名である暴獣海賊団に比べれば、まだ多い上にオレの「覇王色の覇気」にギリギリながらも耐え抜けた実力者の集まりだ。

 そんな者達に対してオレ達も気合を入れるべきだろうな。

 

「――よぉし!!やるぞぉ!!お前ら!!」

 

「「「オオッ!!」」」

 

 オレからの号令をかけられた皆がソード王国軍に向かって駆け始めた。

 

          ●

 

「オラァァァァァ!!」

 

 ダークグレーの〝竜〟の姿に変身しているオレが凄まじい勢いで暴れ回っているも

 

「……やっぱ、オレの「覇王色の覇気」に耐えただけはあって、なかなか倒れないか」

 

 オレの暴れ回りに倒れずに立ち向かおうとする兵士達につい感心した。

 

「クソッ!やはり「覇王色の覇気」かよ!!」

 

「あの方以外の「覇王色の覇気」の持ち主――それも海賊!」

 

 「覇王色の覇気」の主であるオレに兵士達も険しい表情を浮かべるも

 

「――オレ達は「漆黒の使徒」!!あの方達に選ばれたエリート!!――海賊ごときにやられる訳がねぇ!!」

 

「オレ達「漆黒の使徒」は全員強ぇなんだからよォ……!!」

 

「それに僕は天才だから……」

 

 怯まずに自身にそう意気込ませる――パリコリンとカメレオンの能力をそれぞれ宿る「漆黒の使徒」がオレに向かって更なる攻撃を加えようと果敢に立ち向かっていく。

 ――そして、暴獣海賊団と「漆黒の使徒」の激突でも――

 

「私も器用なトコ見せちゃおっか♡」

 

「お前らみたいな単細胞の攻撃がオレに届く事はないんだよ……!!」

 

「私の美しさを拝みなさい」

 

「あなた達をズタズタにしてあげましょう」

 

 ラーテル、タカ、ザトウムシ、オオアルマジロ等の能力をそれぞれ宿る「漆黒の使徒」からの攻撃にも皆は怯まずに対応していく。

 

「……確かに少しオリジナルに近しくなっているな」

 

 その呟き通りに彼らの姿はオレ達が最初に対峙した「漆黒の使徒」の異質な姿と比べれてみれば、むしろオリジナル動物系〝悪魔の実〟の能力者のに近しかった。

 当然だ。ソード王国も〝人造悪魔の実〟のリスクをそのままにしておかずに修正しようと研究に研究を重ねていったのだ。

 その過程で少しずつリスクが修正されていったのだ。

 オレ達が最初に対峙した「漆黒の使徒」は第1世代だとして――

 次に……ほぼオリジナル動物系〝悪魔の実〟の能力者に近しくても、能力者本人のとは異なる意志を持つ動物の頭部が必ず現れてくる、そして実を食っても能力を発現するのはせいぜい5人に1人程に留まったのが――第2世代である。

 ――その次がオリジナル動物系〝悪魔の実〟能力者のように人獣型に変身できるもそれっきり元の姿に戻れない、そして実を食っても能力を発現するのはせいぜい2人に1人程に留まったのが――第3世代であった。

 すなわち、彼らは〝人造悪魔の実〟によって得られる能力をコントロールできればできる分だけ「漆黒の使徒」でも上位にあたるだろう。

 そのように層が厚いといえるであろう「漆黒の使徒」に暴獣海賊団はしかし、だからこそ好戦的な笑みを浮かべ戦意を燃やす。

 

「もう諦めておでにベロベロされなよぉ〜〜」

 

「――なかなかやるな!だが……」

 

「だが?……何だぁぁぁ!?」

 

 ある海賊と戦っているが、そう言い放たれる言葉の続きが気になる「漆黒の使徒」の背面に突如衝撃を受けた。

 それで素早く振り返ると――

 

「!!……どういうつもりなんだぁ〜……」

 

「……出来そこない共がぁ!!」

 

 「漆黒の使徒」が目を血走らせながら怒鳴りつけた先には――異質な姿をしている「漆黒の使徒」の姿があった。

 彼はなぜか同じな筈の「漆黒の使徒」に攻撃を放っていたのだ。

 そして、今も彼らは怒鳴りつけられても無表情を――なぜか変えずに攻撃を繰り返した。それを受けた「漆黒の使徒」も怒りを抑えずに

 

「上等だ……処分してやるよ!出来そこない共がぁ!!」

 

 その「漆黒の使徒」を潰そうとしていた。

 そんな仲間割れに見受けられる状況が如何なる数ヶ所でも起こっていた。

 その状況に事情を知る海賊達も感嘆した。

 

「さすがだな……」

 

「あぁ、全くだ……」

 

「――ハッテンの幻術は……」

 

 ――実はハッテンが捕らえた「漆黒の使徒」に〝幻火〟をかけ続けてきた事で一時的だが、操り人形と化させていたのだ。

 自我を持っている時は口を固く閉じていた「漆黒の使徒」から新たな情報を得られるのはもちろん、「漆黒の使徒」に向かって攻撃させる事でソード王国軍を疑心暗鬼に貶めようとした。

 ハッテンのそんな企みが成功するかのようにソード王国軍は半分ぐらい仲間割れを起こした事で勢いをなくし始めていた。

 

          ●

 

「クソッ!!」

 

「どうすればいいんだ!!」

 

「化け物共が……!!」

 

 自身達の情勢が悪い事、それに乗りかかって破竹の勢いを見せている暴獣海賊団に「漆黒の使徒」が焦りを隠せなくなる。そして現状打開の手を考えようとする。

 

 ――何か、あるのか?奴らを止める手は!!

 

 そう焦っている「漆黒の使徒」の総意が届いたのか――

 

 突如その音が響かれた。

 

「「「!!」」」

 

「な、何だ!?」

 

「これは……もしや」

 

 その音にオレ達が目を細める一方で「漆黒の使徒」が安堵の表情――笑みを浮かべた。

 

「!!……ヘヘッ!――「巨神兵」のお出ましだ!!」

 

「ハハッ!!――これでもらったぜ!!」

 

 その音の原因――「巨神兵」の来訪に勝利を確認した「漆黒の使徒」は歓喜の声を上げた。

 そして、その響かれる音が少しずつ大きくなり、それにつられて地も震えてきた。

 やがて――「巨神兵」がその姿を現してきた。

 

「現れたか」

 

 その姿にオレは怯まずにニャリとした。

 ――実はその存在の事はオレ達には把握済みなんだ。

 

          ●

 

『本当か!?それは!』

 

『はい……』

 

 「巨神兵」の情報に思わず興奮したオレからの確認に〝幻火〟にかけられている「漆黒の使徒」は頷いた。

 その肯定によりオレの笑みはますます深くなる。

 

『リュドドド!楽しみになってきたじゃねぇか!!』

 

 まだソード王国にさえも行っていないにも関わらずに戦意を燃やせずにはいられなくなったオレをよそにフドウは呟く。

 

『しかし……ソード王国は思ったより――腹が据わっているとはな……』

 

 ある研究をし、その果てに「巨神兵」さえも作り出せたソード王国にフドウも感心せざるを得なかった。

 

『――あの古代巨人族さえまでも研究して、作り出せたとはな』

 

          ●

 

「「ガア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛……!!」」

 

 雄叫びを上げながら現れてきた「巨神兵」とは――

 

 通常の巨人族よりもはるかに大柄で角が生えている男女2人だった。

 

 ――男性の方は突き立った角とライオンのように逆立つ髪毛と顎髭を生やした青色の肌を持つ巨男であった。

 

「ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛……」

 

ソード王国「巨神兵」

ラウフェイ

 

 ――女性の方は下方に向かって突き立った角と獣のように荒々しい長髪と赤色の肌を持つ巨女であった。

 

「イ゛ィ゛イ゛イ゛イ゛……」

 

ソード王国

メニヤ

 

 ――無論、彼らもまた本物の古代巨人族ではない。

 かつて「世界政府」が行った〝人体の巨大化〟研究により「ナンバーズ」を生み出したようにソード王国もまた古代巨人族に関して研究し、生み出したのが――彼らであった。

 

「ガア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!」

 

「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!」

 

 雄叫びを上げている彼らに人々が圧倒されている中で怯まずに対応しようと立ち向かっていく者達がいた。

 

「リュドドド……さぁて、手並み拝見だ」

 

 オレ――スサノオがラウフェイに対応しようと飛びかかっていった。その一方でメニヤの方には――

 

「やるよ!フドウ!」

 

「あぁ、ヤマト」

 

 ヤマトとフドウが駆けていった。

 

          ●

 

『「巨神兵」にはこのオレとヤマト――フドウが対応する』

 

 その提案に皆が眉をひそめる中、オレが理由も説明する。

 

『オレとヤマトは「ナンバーズ」と手合わせしてきたからな……適任じゃねぇか?』

 

『オレはとにかく――ヤマトにはフドウを付けておく』

 

 オレのその言葉にヤマトも共感の意を示した。

 

『そうそう!だから、僕達が「巨神兵」に対応するんだ!』

 

 熱心にそう言い放つヤマトはふとフドウに視線を向ける。

 

『――フドウもよろしくね!』

 

 晴れやかな笑みを浮かべたヤマトにフドウが頷くも

 

『別に異議はねぇが……』

 

 オレ達と「ナンバーズ」の手合わせを見た事があるフドウは否定せずとも、自らの意見も口にしておく。

 

『……「ナンバーズ」はスサノオさんとヤマトに対しては少し加減してしまうところがあるからな』

 

 オレ達と「ナンバーズ」の手合わせをよく凝視してきたフドウならではの指摘、そして推測も口にする。

 

『カイドウさんの躾もあるが……「ナンバーズ」は知能が低かった――だからこそ本能が強く働きかけているのもあるだろうな』

 

 フドウがそう言っておく事で「巨神兵」との戦いは油断大敵だと考えるべきなのだと忠告するも

 

『リュドドド!!――だからこそ、いいじゃねぇか!!』

 

 オレが獰猛な笑みを浮かべるのにフドウは少し眉を上げる。

 

『本気の古代巨人族と戦えるんだ!!それで――』

 

『――「ナンバーズ」に入れてあげるんだね!!』

 

『その通り!!』

 

 オレが喋ってる中でヤマトがそう言い足し、オレも肯定した。

 盛り上がっているオレ達にフドウも苦笑した。

 

『フッ……困った奴らだ……しかし』

 

 フドウはふと考えてみた。

 

『……ルナーリア族が古代巨人族と戦う……か――悪くはねぇな』

 

 そう考えたフドウも結局「巨神兵」との戦いに積極的になった。

 

          ●

 

「ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛!!」

 

「イ゛ィ゛イ゛イ゛イ゛!!」

 

 足元にいる敵――暴獣海賊団を踏み潰そうとラウフェイとメニヤが足を掲げる――が。

 

「〝熱息〟!!!」

 

「〝無侍氷牙〟!!!」

 

 ラウフェイには大炎を、メニヤには大氷が放たれた。

 

「「ア゛ァ゛!?」」

 

 思わぬ攻撃に2人もよろめくもなんとか体勢を直した。

 素早く2人は攻撃を放った者を睨み付けてみると――

 ラウフェイの目前にはダークグレーの〝竜〟が飛び浮かんでいて、メニヤの目前には黒い翼を振るわせるフドウと大口真神がいた。

 

「お前の相手は――」

 

「君の相手は――」

 

「「オレ/僕達だ!!」」

 

 そう宣言したオレ達に向かってラウフェイとメニヤは唸りながら――しかし、その強さを感じ取れたのか警戒感を出してきた。

 

「――ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛!!」

 

「――イ゛ィ゛ア゛ア゛ア゛!!」

 

 雄叫びを上げた2人の姿が変わっていく。

 ラウフェイは――牙と爪を生やす――そして、黄褐色や赤みがかった黄色の地に黒い縞模様も表れてきた――〝虎〟の力を表面化してきたのだ。

 メニヤは――牙と爪を生やす――そして、身体も黒い獣毛が表れてきた――〝狼〟の力を表面化してきたのだ。

 その姿を目にした海賊達は冷や汗をかく。

 

「……聞いたは聞いたが……いざ、あの姿を目にすると――汗が出るな……!!」

 

「あぁ……巨人族が――それも古代巨人族が……」

 

「〝悪魔の実〟の能力者だなんてな!!」

 

 ――そう、彼らは実は――古代巨人族関連の研究のただの実験体ではない……

 彼らは――〝人造悪魔の実〟の能力者でもあったのだ。

 ラウフェイは〝虎〟の力を宿る〝人造悪魔の実〟の能力者で、メニヤは〝狼〟の力を宿る〝人造悪魔の実〟の能力者であるのだ。

 その性質は第3世代から半歩程度である。

 

「ア゛ァ゛ア゛……敵ばぁ……潰ずぅ……」

 

「イ゛ィ゛イ゛……城をぉ……守る゛ぅ……」

 

 〝人造悪魔の実〟の能力を発揮しながら戦闘形態を構えた「巨神兵」にオレとヤマトとフドウは――

 

「「「上等……!!」」」

 

 獰猛な笑みを浮かべていた。

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