「「オ゛ォ゛オ゛オ゛オ゛!!」」
ラウフェイとメニヤは生意気にも自身達に刃向かってくる者達をに思い知らせようと容赦ない攻撃を加える。
凄まじい勢いでそう放たれてきた攻撃に対してオレとヤマトとフドウも何の事はなくかわしながら――自らからも攻撃し返していた。
「おぉ!?」
「わっ!!すごいな!!――「ナンバーズ」の皆もすごかったけど、これはそれより上だ!!」
「あぁ、ルナーリア族としての肉体を持つオレには効かないだろうが――勢いはあるな」
ヤマトとフドウがその攻撃に感嘆している中でオレはふと思う……
――「巨神兵」、古代巨人族の攻撃を直に受けてみてぇな……
オレが密かにそう思っていたのはご愛機であった。
ただ、これからやるであろう連戦にかかってしまう体力を考えれば、「巨神兵」からの攻撃を直に受けてみる機会はまた今度にと定めた。
オレ達の攻撃を受けたラウフェイとメニヤがよろめきながら――戸惑っているようにみられた。
無理もないだろう。まがりにも――古代巨人族で能力者である2人は心から〝痛い〟と実感させられた攻撃をほとんど受けた事がないからだ――それこそソード王国の支配者とその側近数人の手による攻撃以外では。
それ故にか、たかがオレ達の攻撃に痛みを感じてしまったのに屈辱感、それから繋がる怒りを覚えたらしいラウフェイとメニヤが激しく暴れ回った。
――何でもいい。自身達に傷を付けやがったコイツらをさっさと潰さなきゃ!!
「「「うわぁぁぁ!!」」」
「おわぁ!!――おいおい!!暴れるなよぉぉぉ!!」
「そうだ!!テメェらが暴れると地震がすごくて、足が立てられねぇからな!!」
「す、スサノオさぁん!!早く倒してくださぁい!!」
「そ、そうで〜す!!古代巨人族と戦いたいのは別にいいけど、早くしてぇ〜!!」
ラウフェイとメニヤが暴れ回っている影響で地震が多く起こされていた。しまいには――「巨神兵」が守護する筈の城にも被害を与えられていた。
城下で激突していた暴獣海賊団と「漆黒の使徒」もその被害に敵味方関係なく振り回されていた。
それで「漆黒の使徒」は被害の原因であるラウフェイとメニヤに文句を言いつけ、暴獣海賊団もオレ達に戦いを終わらせる、少なくとも被害を出さないようにするのを要求してきた。
「巨神兵」の先程より激しい攻撃をかわしながら皆の様子、何より皆からの要求を耳にしたオレはヤマト達に視線を向ける。
「ヤマト!フドウ!」
「うん!」
「あぁ」
オレからの声に状況を把握し意を同じくするヤマトもフドウも頷き――
「〝熱息〟!!!」
「〝疾風氷牙〟!!!」
「〝裁火鉄槌〟!!!」
「「ゲボァ゛ァ゛ァ゛!?」」
オレからのさらに大きい火炎、冷気を前衛とするヤマトの体当たり、フドウからの燃える剣の面での振り下ろしを身に受けたラウフェイとメニヤの身体が後ろにすごい勢いで吹っ飛ばされていった。
「「ア゛ガァ゛!!」」
2人が激しく地に叩きつけられるも
「「……ギィ゛イ゛イ゛イ゛!!」」
さすがは「巨神兵」。2人はよろめきながら、それでも立ち上がってくる。
オレ達の攻撃によるダメージに表情をしかめている2人はますます怒りながらもオレ達に立ち向かっていく。
「ほぉ!!これでも倒れずにか!!」
「さっすが――古代巨人族!!」
「フン!倒し甲斐があるな」
「倒ズゥ!!」
「潰ズゥ!!」
なかなかの強敵の登場に戦意を燃やし、獰猛な笑みを浮かべるオレ達と強者だと思っていた自身達を地に叩きつけられたという事実に怒りを燃やす「巨神兵」が激突する。
その激突を少し遠くの城下から凝視している暴獣海賊団と「漆黒の使徒」は思わず戦いを止め、呆気に取られていた。
「あ、あの「巨神兵」が……!?」
「マジか……」
「漆黒の使徒」はあの「巨神兵」がたかが海賊にいいようにされているという事実に心から驚愕した。
「――ハハッ!!さすがぁ、スサノオさぁん!!ヤマトさんもフドウさんも!!」
「惚れ惚れするぜ!!」
「巨神兵」とほぼ互角に戦えているオレ達に改めて感激した暴獣海賊団は歓喜の声を上げた。
「――オレ達も負けられねぇなぁ!!」
「あぁ、オレ達も続くぞ!!」
オレ達の強さ、熱に当てられた海賊達も「漆黒の使徒」に再び攻撃を加えようとする。
「――!!しまった!!」
「おい!!テメェら!!気を付けろ!!」
呆気に取られていた「漆黒の使徒」も暴獣海賊団の進撃に我に返り、戦闘形態を構えた。
そうして――暴獣海賊団とソード王国の戦争が再開された。
そして、そんな中でのある海賊はこう思っていた。
「(……〝そっち〟はどうなったんだ?)」
●
ソード王国城
その中部には廊下が当然ながら存在している。
その1つのを駆けている者達がいた。
「そろそろ着くかもしれない……準備を、小紫さん。ブラックマリアさん」
「えぇ、大丈夫です」
「もちろん♪」
先導を務めているテゾーロさんからの言葉に彼の後ろをついている小紫――私とマリアがそう答えた。
私達は今、ソード王国との戦争の勝敗を握るであろう重要な任務に就いているのだ。
その重要さによりテゾーロさんもつい私達に声を掛けていた。それに対しての私達からの答えにテゾーロさんも頷く――ただ、その表情は険しかった。
「――君達の覚悟を侮辱しているようで悪いなんだが……できるだけ、この私に任せておくんだよ」
「……そういう気持ちだけでもありがたく思わせてもらうよ!」
「……まぁ、妻子持ちのあなたならば心配してしまうのも理解できますが」
「悪いね」
私達はテゾーロさんからの言葉にそう返しておく。
正直――そういう感じの言葉には普段ならイラつくが……テゾーロさんは妻子持ちであるだし――その上に私達の意思を一応尊重してくれているし。
なお、テゾーロさんの妻子は今回ではソード王国――軍事国家を相手にする為にさすがに危険性が高くて〝モンプル〟に残してきたのだ。
ステラさんはその事には不満を抱いていたが、夫の意図を理解している為に渋々ながら従った。
とにかく、そういう会話をしている私達はやがてある扉の前に辿り着いた。
「!!――ここが……」
「あぁ、これがそうだろう」
その扉の厳重さにその先が目当ての場所だと確認した私達。
――ハッテンの〝幻火〟にかけられた「漆黒の使徒」から得られたソード王国内の地図、特に「ある場所」に繋がる道は間違っていなかったともいえた。
「下がって。君達」
私達を下がらせたテゾーロさんは扉に向かって黄金を纏った右拳を構え――
「〝黄金爆〟!!!」
頑丈そうな扉を激しく吹っ飛ばした。その厳重さからはるかに頑丈と思われていたが、さすがテゾーロさんの〝黄金爆〟でもすごく凹まれただけに留まられた。
とにかく、開かれた扉から入ってきた私達はその先の空間に目を見開く。
「うん……ここだね」
「これが――研究施設……!!」
「――ソード王国の心臓部」
それこそがソード王国の全てを司るといっても過言ではない研究施設だった。
その出来様はワノ国のスケープに建てられている施設にも負けてはいないようにみえた。
その施設に来た私達の目的――それはもちろん、ソード王国の研究を全て頂くというものだった。
「――君達!分かるが……仕事中だよ!」
「「……えぇ」」
その施設に備われている機械、しまいにはドラム缶に入らされている不気味な肉塊をつい凝視してしまう私達をテゾーロさんが気付かせてくれた。
「さて、まずは資料「おやおや」を――!!」
テゾーロさんがまず資料の探索を始めようとする途端にその声が響かれ、私達も構えた。
やがて、目前にその人物が現れてきた。
「……あなたが――ソード王国の科学班班長……モリス氏かな?」
「おや、この私の事まで既知だとは……やはり、ここに迷ってきた訳ではないようだ」
そう私達の目的を悟った人物――それはサングラスをかける科学者らしく白衣を着用している青年。彼こそがソード王国の科学者達の集団、科学班班長――モリスだ。
ソード王国科学班班長
モリス
彼は微笑みながらまるで親しい者に話すように侵略者である筈の私達に声を掛ける。
「君達がここに来た理由は分かってる……その上で言わせてもらおう……」
「コソ泥のマネは止めて頂きたいものだがね」
その言葉にテゾーロさんも穏やかに微笑み
「悪いですね〜我々は海賊としてあなた方の技術を頂きますよ」
ハッキリとそう答えたテゾーロさんはモリスに向かって駆けていく。
「……やれやれ〜」
立ち向かってくるテゾーロさんの姿にモリスはサングラスに指をかけながら微笑むも――彼から漂っている空気が鋭くなる。
●
ソード王国城の無数の廊下の中でのある廊下にも駆けていく者達がいた。
「急ぐぞ!」
「言われずとも!」
――ペドロとページワンがある場所に向かっていた。そこにいるであろう人物に会う為に……
「――ぜいぜい足を引っ張んじゃねぇぞ!ページワン!」
「はん!それはお前の方じゃねぇのか?ペドロ!」
「……フン!生意気な!」
そう言い合っていた2人だが、それでも目当ての場所に辿り着けた。
そこは広間だった。そして、そこにいるのは――
「……騒がしい」
そう静かに呟いた漂う雰囲気から冷たさを感じさせる青年。彼こそが――
「うむ……ゼノンだな」
その姿と聞いてきた特徴が一致したのを確認できたペドロからの確認に彼――ゼノンは表情を変えなかった。
ソード王国「漆黒の三極性」
ゼノン
ゼノンは逆に2人に問いかけてみる。威圧感を出しながら。
「……まさかとは思うが――オレと戦いに来たのか?」
「その通り!」
その問いかけ、そして威圧感にペドロ達は怯まずに戦闘形態を構える。
そもそも、ペドロ達がゼノンに会おうとするのは彼がソード王国の幹部陣――「漆黒の三極性」の一人であるからだ。
暴獣海賊団のソード王国との戦争における勝利条件は研究入手以外にも――ソード王国の王と「漆黒の三極性」の撃破を含まれる。
もちろんソード王国の幹部だけはあって、なかなかの実力者なのだが……ペドロとページワンはそれでも怯まずに立ち向かおうとする――勝利の為に。
そんなペドロ達の姿勢にゼノンは気に入らなさそうにする。
「……愚かしい……」
そう呟くゼノンによって場の空気が重くなる。その重さにペドロ達も息を呑んでしまう。
「……ソード王国の敵は――」
「!来るぞ!ページワン!」
「あぁ!」
ゼノンの雰囲気に察したペドロ達は待ち構える。
そんな彼らにゼノンは攻撃を開始する。
「排除するのみ」
●
ソード王国城内のある廊下でも駆けていく者達がいた。
「……いい加減にしなさい。うるティ」
「うるせぇナリ!――何でペーたんと一緒じゃないんだナリ!」
「(ナリ……)それは話し合って決まったんでしょう。そろそろ納得しなさい」
弟ページワンと組ませられなかったうるティが不満を隠さずに言い続けるのにキサメはため息をつく。
「……ここですか」
そんなキサメ達もその広間に何の異常もなく入れた。
そこにいる人物とは――
「あは♪――ようこそ♪」
それは無邪気そうだが――狂気をも感じられる女性がいた。
「……失礼ですが、あなたが――」
「うん♪私がヴァニカだよ♪」
キサメからの確認に彼女――ヴァニカが陽気そうにそう答えた。
ソード王国「漆黒の三極性」
ヴァニカ
「……本当に楽しそうですね」
「うん♪血を滾らせる戦いができそうだからね♪」
耳にしたのと違いがない彼女の様子にそう言ってしまうキサメにヴァニカが自身の態度の理由を口にする中、黙っていたうるティが口を開いた。
「あ――!!そんなのどうでもいいナリ!!」
「「!?」」
「さっさとお前を倒して――ペーたんの元にさっさと行くんだナリ!!」
そう怒鳴りつけ、攻撃を開始するうるティにポカンとしたヴァニカも狂気的な笑みを浮かべる。
「あは♪いいよ!やろうよ!」
息をつく間もなく戦いを始めようとする2人にキサメはため息をついてしまう。
「はぁ〜……始めますか」
●
ソード王国城内のある廊下でもやはり駆けていく者がいた。
「おい!オレより前に出るな!!」
「やかましいわ!!」
いつものように言い合っている明日郎とシシリアンが互いに相手に負けじと前へ出ながら駆けていこうとした。
そんな勢いで駆けていった2人もある広間に入った。
そこにいる人物とは――
「「……!!」」
「ようこそ、歓迎するよ。君達」
あれ程にいがみ合っていた明日郎とシシリアンも口を一文字にし、目を鋭くさせる程に不気味な笑みを浮かべている男性がいた。彼こそが――
「テメェがダンテって奴か!?」
「その通り」
明日郎からの確認に彼――ダンテは誇らしげに両腕を広げながら肯定した。
ソード王国「漆黒の三極性」
ダンテ
「よく来てくれたよ。君た――」
ダンテが続いて傲岸不遜に喋ろうとするところを明日郎とシシリアンが容赦なく攻撃する。
「オラァ!!」
「隙ありぃぃぃ!!」
そんな2人の姿勢にダンテが気を悪くするどころか――楽しげにしていた。
「さぁ――始めようか……」
●
「がぁ……」
そう断末魔の声を出した兵士が倒れ込み、あっけなく死屍累々の一部に成り下がった。
そんなものを作り上げたのが――
「……なかなかやるな」
「……このぐらいは当然だろう――あの人達の部下として」
――ジャックがハクジを素直に称賛し、彼自身は謙虚な様子をみせていた。少なくとも〝あの人達〟――スサノオとハクジの部下としては当然の結果であると。
「……とにかく、行くぞ」
「あぁ」
そんな2人はある扉を――勢いよく開ける。そうして入った先には――それはそりゃ、厳かで立派にできている大広間だった。
――当然だ。そここそが謁見の間だから……そして、そこで堂々と座しているのはもちろん――
「……あれが――」
「……ソード王国の王――」
「「ルシウス」」
ジャックとハクジの言い重ねた言葉に玉座に座している青年――ルシウスは穏やか――しかし、不気味さが勝ってしまう笑みを浮かべていた。
ソード王国国王
ゾグラティス・ルシウス
――暴獣海賊団とソード王国の戦争はピークを迎えようとする。