ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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☆「ワノ国」侵略を開始した「百獣海賊団」は今ー


第4話〝ロジャー海賊団〟

〝百獣のカイドウ〟率いる「百獣海賊団」が「ワノ国」に入国してからしばらく時が経ち――

 

「ウォロロロ!!スサノオ!ヤマト!楽しんでるか!?」

 

「うん!」

 

「だー!」

 

 「百獣海賊団」は「ワノ国」の郷の1つ、「白舞」にある屋敷で宴会を開いていた。

 ――実は「百獣海賊団」の本拠地は「ワノ国」の沿岸にある島――「鬼ヶ島」になる筈だった。だがそこ、その内部に構える事になる屋敷はまだ建設中であった。

 そのために屋敷が完成するまでの間に「百獣海賊団」は「白舞」の屋敷に住む事になっている。

 

「ウォロロロ!!しかし!この国の技術はすげェな!!」

 

「あぁ、仮に出来が悪いものでも他のところで作られたものより性能が良い……不要なものでも売ったら、さらに金が多く転んできたからな」

 

「ムハハハ!!ムカつく事に勉強になれるものばかりでよォ!オレ様の科学力もさらに高められたぜ!!」

 

 カイドウはキングともう1人とで「ワノ国」の技術力に関しての賞賛を口にし合った。

 ――今の「ワノ国」はオロチの意向で武器工場が多く建てられ、稼働している。

 その政策に大勢の人々ももちろん反発したが、オロチの後ろ盾として控えている「百獣海賊団」の武力により黙らざるを得なくなった……

 しかも、それだけではない……「ワノ国」では将軍は絶対。納得したがたくてもその命令に従わなければならないのだ。

 それに……今の「ワノ国」には将軍になる筈だった男――光月おでんがいないのも大きな理由になっている。

 ……だが、いつか必ずおでんが帰ってくる。その時こそが巻き返しの時だと――そう考えた人々は今はとにかく耐え忍ぶ判断を下した。

 

 そんな状況だが、それが「百獣海賊団」には都合が良かった。これで邪魔される事なく物事を進められるのだから……

 その事実、そして武器工場稼働で得られた利益の大きさにより上機嫌になったカイドウはある男に声をかける。

 

「おう!高められた科学力ってやつを期待するぞ!!――クイーン!!」

 

「はいッス!楽しみにしてくれよ!!カイドウさん!!」

 

 彼からの言葉にそう応えたのは――グラサンをかける丸くずんぐりとした巨大な体型、スキンヘッドに金髪の弁髪とドジョウひげをする大男だった。

 彼は「百獣海賊団」の新たな幹部である。名はクイーンという。

 

百獣海賊団幹部

〝疫災のクイーン〟

 

 実は彼はある天才的な研究チームに所属していた程の科学者だ。

 それ故にその腕に目を付けたカイドウからの勧誘を彼が受けたが……その時はすぐ承諾しなかった。それは彼が研究チームから脱退しても変わらなかった。

 ――だが、「百獣海賊団」が「ワノ国」に入国してから1年後に彼はようやく「百獣海賊団」に加入し、その幹部になった。

 何かがあって心変わりしたのか……それはとにかく、彼の加入により「百獣海賊団」の技術力が格段に向上していった。

 その事実からカイドウはその科学力ごとクイーンに信頼を置けるようになった。その科学力がさらに高められた今ではかえってだ。

 そんな彼からの期待を受けた事で調子に乗ったかのようにハイテンションになるクイーンの姿にキングはボソッと呟く。

 

「……フン、豚の作ったカラクリなど高が知れるだろうがな」

 

「……あァ!?言ったな!?どうせ何も作れねェこの焼き鳥野郎が……!!」

 

「「……あ゛ァ゛!?」」

 

 ……どうやら、同じ立場に立つ筈のキングとクイーンはそりが合わないらしく今のようにいつもいがみ合っている。

 ――そう、〝犬猿の仲〟の如く……

 とにかくケンカを始めようとする2人にカイドウは怒鳴る。

 

「おい!!今は宴だ!!ケンカはよせよ!!」

 

「!!……すまねェ」

 

「!!……ういッス」

 

 彼からの叱責を受けたキングとクイーンも一旦矛を収める事にした。

 

「全く……気を取り直して宴を楽しもうぜ!」

 

 それを見届けたカイドウは気を取り直して宴会を楽しもうと酒を飲もうとした瞬間、騒がしい音が響いた。

 ――何やら部下が慌ててカイドウの元へ駆けてきた。

 

「カイドウ様――!!カイドウ様――!!」

 

「どうした!?」

 

「オロチ様から緊急のご連絡です!!」

 

「あァ?オロチの奴から……?」

 

 オロチから、それも緊急の連絡が来ているのに眉をひそめたカイドウは部下から「ワノ国」の固有種の電伝虫――スマシを受け取り、それで彼と繋がる。

 

『おお!カイドウか!』

 

「おう、どうした?」

 

『実はな……この国にお前達とは違う海賊団が入国してきてな……気付いた時はもう既に出ていった後なんだが……』

 

『その海賊団は「ロジャー海賊団」といって……しかも、あのおでんもいたそうだ……』

 

「……あァ!!?ロジャー!!?あいつがこの国に来ていたのか!!?」

 

「えええ〜〜ッ!!?「ロジャー海賊団」が来ていたのォ!!?……っていうか、おでん!!?そいつは「白ひげ海賊団」にいたよな!!?確か!!?」

 

 そして知らされた情報にカイドウが怒り、クイーンも目を丸くし口を大きく開けて驚愕する。

 

『か、カイドウ……今調査中だが、今のところ様子に変わりはない、とられたものもないそうだ……』

 

「ッ……ロジャーの野郎……!!オレのシマに入り来やがって……!!しかも、ケンカを売らずに出ていっただと……!!?どういうつもりだ……!!?」

 

 カイドウは自身のナワバリへのロジャーの来訪、そして手玉に取られたような事態に怒りを抱いたものの、そこから上がる不自然な点により彼の意図を掴められず疑問符を浮かべるしかなくなる……

 

 彼も見当がつかない「ロジャー海賊団」の「ワノ国」への来訪の目的……それはその国にあるものを写し取る事であった。

 そのものとは――〝偉大なる航路(グランドライン)〟の最終拠点への到達方法を記した石〝ロード歴史の本文〟だ。

 それが「ワノ国」の地下にあって、その事実はオロチもカイドウ達も知らなかったのだ。それ故に「ロジャー海賊団」に重要なものをまんまと写し取られてしまったのだ。

 ――しかし、将来「百獣海賊団」配下に入団するある魚人が「ワノ国」の海中を捜索した事でそれは発見されカイドウに管理される事になるが、それは別の話……

 

 

――そして……

 

「何?おでんの妻子がロジャーの船から降りて「九里」にいるのか?」

 

 「ロジャー海賊団」の「ワノ国」への密入国に関しての新たな情報をカイドウが受け取った。その内容とは光月おでんの妻子に関するものだった。

 

『キョキョキョ……おでんの家臣共がオロチの元へ乗り込んでくるらしい。今なら奴らを消す機会!やっておくれ、頼んたぞ……!』

 

 しかも光月おでんの家臣、錦えもん達がイヌアラシと河松を城に残し、オロチの元へ斬り込みをかけに向かうという事態も発生していた。

 ――普段は錦えもん達の存在により思うようにいっていなかったおでんの城に刺客を送る実に絶好の機会だった。

 

「……ちょうど良いかもしれん」

 

 その報せを受けた事で何か熟考したカイドウはやがて部下達に命じる。

 

「ガキは――ほっといて、トキかというおでんの妻の強さを確かめて来い」

 

 以前から強いと聞かれた光月おでんの妻をやっている女だ――同じように強いに違いない……そう、()()()のように……

 どこか遠い目をしたカイドウはそう期待をかけた。

 

 ……しかし、海賊達が襲来してきたのに対してトキは大した強さをみせず、しかも鮮やかな手並みをもみせずに終わったという報告を受け取ったカイドウは彼女に対しての興味が失せる事になる……

 

 

やがて時が経ち――

 

「ん~~悪くねェ朝だな」

 

 屋敷で寝ていたカイドウが目覚め、見晴らしの良い朝を迎えていた。

 

「……」

 

「すーすー」

 

「スサノオとヤマトは……まだ寝ているのか」

 

 まだ寝ている我が子達の姿にカイドウも微笑みを浮かべる。

 そんな彼の元へ部下が駆けてくる。

 

「――カイドウ様!今日の新聞です!!」

 

「おう……顔色が悪いな、どうした?」

 

「い、いえ、それが……!!」

 

「?」

 

 カイドウは青ざめている部下の様子に首を傾げるものの、受け取った新聞に目を通してみる。そして……

 

「――あ゛?」

 

 彼が凄まじき形相を浮かべ、地獄の底からわき上がるような声を出した。

 さっきのとは明らかに豹変した彼が血走らせる目で凝視する新聞にはこう書かれていた……

 

 

 

 

 

『「ロジャー海賊団」が〝偉大なる航路(グランドライン)〟を制覇!!!』

 

――それは世界の新たな節目だった

 

 

 そのニュースが世界を大きく揺るがした。

 

「「ロジャー海賊団」がとうとうやったぞ!!」

 

「海賊ロジャーが前人未到の〝世界一周〟を果たした!!!」

 

「ついにこの海の〝覇者〟が誕生した!!」

 

「奴こそ海の王!!」

 

「「海賊王」だ!!!」

 

 〝世界一周〟――それは今までの約800年、「世界政府」が誕生して以来、許可なく航海を続けるのを許されぬ法と海の過酷さにより誰もがそれを達成できなかったものだ。

 ――しかし、それを海賊ロジャーが成し遂げたのだ。

 その偉業を讃えられて――富、名声、力の全てを手に入れたといっていい彼の事を――

 

 

 

 

 

――「海賊王」ゴールド・ロジャー

 

 と呼ばれる事になる……

 

 

 「海賊王」の誕生が世界を動かした――激しい程に。

 

 まず――海軍

 

「「海軍」の威厳にかけて何としてでも「海賊王」ゴールド・ロジャーを見つけて捕らえろ!!!」

 

「他の海賊は――ほっとけ!!「海賊王」が最優先だ!!」

 

「動ける奴は全員ロジャー海賊団の捜索、追討に動け!!」

 

 「海軍」は〝絶対的正義〟を掲げて世界中の海の治安を守る軍隊として――物々しすぎる程に動いた。

 本部から各支部までの海兵――それこそ雑用まで一人残らず動員され、「ロジャー海賊団」を捜索していった……

 

 次に――海賊

 

「ロジャーの野郎を討ち取るぞォ〜〜!!」

 

「へへ……!!あいつから「海賊王」のイスを分捕ってやる……!!」

 

 全ての海に存在する海賊達もまた「ロジャー海賊団」を探し出す――「海賊王」の座を奪うために……

 

 ――だが、海軍も海賊も「海賊王」と「ロジャー海賊団」を探し――探し回り――それでも見つからない。

 ぜいぜい同じく探してる他の者に潰され――潰す――実にメチャクチャ……大混乱になっていた。

 

 だが、大勢の海賊達と海兵達が執念深く探し回っているのにも関わらず、なぜか「ロジャー海賊団」は見つからない――まるで影さえも消えたかのように……

 それもその筈。実は「ロジャー海賊団」は人知れず解散していた。

 海賊団解散を宣言した船長ロジャー本人が真っ先に船から降りて以来、1人――1人――あちこちの島々に船から1人ずつ降り続けて「ロジャー海賊団」がバラバラになっていった――

 そんな中、また1人――「ロジャー海賊団」の船を降り、ある島の土を踏んだ。

 船に残っている仲間達に別れを告げて、ある島――「ワノ国」に帰ってきた男――その名は光月おでん

 

 

『光月おでんが帰ってきました!!!』

 

『おでんが「花の都」へ向かおうとしています!!』

 

『たった今確認しました!!……早ッ!!早ッ……ものすげェスピードです!!あっという間に着くのかと……!!』

 

『いかがしましょう⁉オロチ様に連絡しようとしても繋がっていませんし!!』

 

「……分かった」

 

 その報告をカイドウは能面の如き無表情で受け取った。

 ――実は彼は自身を差し置いて「海賊王」になったロジャーとその海賊団を自らの手で叩き潰すために探し出そうとしたら、同じく彼らを探している海賊達と海兵達の混迷を極めた潰し合いに参加させざるを得なくなり、ついさっき帰ってきたばかりだった。

 そこで受け取ったおでんが今「ワノ国」に帰ってきたという情報からその結論を導き出したカイドウは怒りを爆発させた。

 

「ロジャーの船にいたおでんが今帰ってきたばかりって事は……ロジャーの野郎もついさっきまでここに来ていたって事じゃねェか!!くそったれェエ!!」

 

「〜〜あの野郎を追いたいが……今オロチの奴を殺されると面倒になっちまう!!」

 

「それに……あのおでんがやっと来やがったし……奴の顔を拝みに行くかァ!!」

 

 今における状況からその判断を下したカイドウは溜まりに溜まった苛立ちを全て解放するかのように雄叫びを上げながら龍に変身し、天を飛翔する。そのまま「花の都」へ――

 

 ――そして、光月おでんは城の前で多くの民衆の前で……裸になり、おどけていた……

 

 

「くそったれェェェエ!!!」

 

 あれから屋敷に帰ったカイドウは激しく怒り狂い、暴れ回った。

 それ程に最近の出来事が彼の機嫌を悪くしたのだ。

 何せ……目指していた「海賊王」の座を一足早く奪われてしまった事、その座を奪おうとしても「ロジャー海賊団」がなかなか見つからない事、強いと聞かれてた光月おでんが自身との戦いを選ばず不様な姿をみせたという事が起こったのだ。

 その事実からカイドウの機嫌が良くなれずに悪いままでいるのも道理である。

 そんな彼をずっと黙りながらも見守っていたキングがようやく口を開く。

 

「……カイドウさん」

 

「あァ?」

 

 彼から声をかけられたカイドウは怒りを収められず、それでも顔を向ける。意識を向けられたキングはハッキリと話し出す。

 

「ロジャーと「ロジャー海賊団」が見つからないのは確かにイラつくが、まさか完全に姿を消した訳ではないだろう。いつか必ず尻尾を出す筈……それを待てばいい」

 

「光月おでんに関しても同じだ。奴とは――5年後に戦えるだろう」

 

「ここで暴れても事態が変わる訳じゃあるまい……」

 

「だから――そろそろ頭を冷やしてお坊ちゃまとお嬢に顔をみせたらどうなんです?」

 

 カイドウを怒らせてる事に関してキングが冷静に意見を述べ、しまいに子供達への顔見せを促す。その意見、何よりそう促されたカイドウもさすがに口をつぐんだ。

 

「……そうだな、いつまで怒る訳にはいかねェな……!」

 

 そしてそう呟くカイドウの顔つきはさっきのとは一変して落ち着くものになっていた。

 

 ――そうだ、今暴れてもしょうがねェ……なら、待とう。

 

 そう考えた彼は自身を宥めてくれたキングに素直に礼を言う。

 

「悪ィな、世話焼かせたな」

 

「いや、あんたの右腕だ。これぐらいはやるものだ」

 

 その礼を受けてキングも微笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして苦笑をも浮かべる。

 

「それはそうとして……お坊ちゃまはあんた以外の奴が「海賊王」と呼ばれるのが不愉快でな……機嫌が悪いんだ。だからこそ顔をみせてやってくれ」

 

「……あ〜そうなのか……」




☆カイドウ以外の奴が「海賊王」だなんて、そんなの認めないよ!!
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