〝エレインホール〟でのある航路をただ通航していた〝カエルダック〟をファイアー海賊団が突如襲いかかってきた。
だが、そのファイアー海賊団はその小船に乗っていたジャックグループによりあっけなく返り討ちに遭ったのだ。
そんなところに突如、ある海賊が新たに現れてきた。
「「「!!?」」」
突如登場した海賊――その女の絶世の美貌にその場にいる人々のほとんどが男女関係なく逆らえずにあっけなく魅了されていった。
「「「お、オオ〜〜ッ!!?」」」
「な、なんという美しさ!!」
「あ、あの貴女は一体!?」
その女の美貌に人々が感極まっていた中である人々はその身元を知りたがっていた。
その疑問に答えるかのようにその声が人々が上げている感嘆の声を通り抜いて場に響かれた。
「は、ハンコックォォォ!?」
「……〝七武海〟の1人がなぜここに!?」
――その身元を知っているシシリアンは彼女の登場に驚愕し、その名を大声で口にした。同じく知っているペドロも目を見開きながら、その身元を口にした。
その彼らにより明らかにされた彼女の身元に感極まっていた人々も驚愕せざるを得なかった。
「――ハンコック!?」
「それって……確か――〝王下七武海〟の1人だっけ!?」
「あぁ……〝海賊女帝〟とも称されている彼女は――少し前に表舞台に初めて姿を現してからそう時間がかかっていないにも関わらず――その暴れぶりにより〝七武海〟として迎え入れられた程の女傑……!」
「そんな海賊がなぜここに……!?」
〝王下七武海〟の1人にして〝海賊女帝〟とも称される程の大海賊であるハンコックの悪名、そしてそんな大海賊が目前に直で存在しているという事実に人々は恐れ入っていた。
「…」
だが、そんな人々を気にしない――それどころか目に映されていないように見受けられているハンコックは――なぜか不機嫌な様子をみせていた。
「――で?誰じゃ?わらわの獲物を横取ったのは?」
そして彼女は周囲を見渡しながら不機嫌そうで、しかし傲慢不遜にそう言い放った。
――どうやら、彼女はファイアー海賊団を狩ろうとしていたらしい。
だからこそ彼女はファイアー海賊団を追いかけようと〝エレインホール〟までもやってきたのだ。
――しかし、そこまでして狩ろうとしていたファイアー海賊団――獲物が自身とは無関係なところで突如撃破されてしまったのだ。
ハンコック的には獲物を横取りされたともいえるので気に入らなさそうにしているのも道理であろう。
そんな彼女に人々が震え上がっている中で――勇敢なのか、恐れ多くも声が掛けられていた。
「あ!――これ、あんたの獲物だったの〜?……だとしたら、ごめんね〜」
「「「!?」」」
――ヴァニカが相変わらず軽い調子でハンコックにそう言い付けた。その言い草は一応謝っているようだが……聞く人が聞けば――バカにしているように聞こえてしまうところもあった。
そう感じていたのか人々が目前の事態に慄いていた。そして――ハンコックもピクッと眉を上げた。
「……そなたは?」
「ん!――私はヴァニカだよ♪血がたぎる戦いをしたい女だよ♪」
決して軽くはない威圧感を抑えずに放ってくるハンコックからの問いかけにヴァニカは何の事はないように軽く自己紹介していた。
そんなヴァニカの態度にハンコックはピクピクっと顔をしかめていた。やがて
「……よかろう」
笑顔になった――それはそりゃ爽やかで可愛らしく……かえって裏に何かがあるのではと思わせている程だった。
その笑みに人々が慄きながら――しかし、その美しさにどうしても魅了されてしまっていた。
その途端にハンコックが動き出した。
「!」
ヴァニカがその姿が消えたのに目を見開いた、その瞬間にまさに――ハンコックからの蹴りを受けようとしていた。
「――では血がたぎるといい!」
そうハンコックはヴァニカを容赦なく叩き潰そうとしていた。対するヴァニカもつい動揺するものの、素早く構えた――
鋼の音がする。
「「!?」」
ヴァニカ、そしてハンコックも目を見開く。
何せ――ハンコックの蹴りをヴァニカが防いだ訳でも身に受けた訳でもなく――ジャックが防いでいたからだ。
さっきから――それこそファイアー海賊団の襲撃時でも動かなかったジャックの登場に目を見開くハンコックをよそにヴァニカが文句を言い付ける。
「――ちょっと!ジャック!これは私の戦いだよ!邪魔しないでよ!」
ハンコックという強者の登場により、やっと本格的な戦いができるのだと考えていたヴァニカだからこそジャックの動きを面白く思わず、文句を言わずにはいられないのだ。
だが、その文句をジャックは聞き受けず逆に指示し返す。
「お前らは余計な手を出すな!コイツはオレがやる!」
自身の文句を聞き受けてくれないどころか、逆にこう言われるのにヴァニカは当然納得できず――怒りが湧き出ずにはいられなかった。
「はぁ!?ど「そなたは」う――!?」
だからヴァニカが再び文句を言いかけるところに今度はハンコックが口を開く。その表情は――驚愕を表現していた。
「そなたは――ジャック!……しかも」
震える声でそう言いつけたハンコックの視線が続いてジャックの後ろ――ヴァニカ達へ移されていった。
「……シシリアン、ペドロまでいるのか……!」
その中のシシリアンとペドロの姿を視認できたハンコックはますます驚愕する。
「――そなた達がいるという事は……つまり、ここには――」
ここにジャック達がいるという事実からある事を導き出したハンコックは――
「〜〜!!」
――なんか、なんともいえない表情を浮かべていた。
……その表情から多分――〝歓喜〟…〝苦悶〟…〝混乱〟…数々の感情が混ぜ合わせられているように見受けられていた。
そんな表情にヴァニカ達が訝しげにしている中、彼女の事情を知っているジャックとシシリアンとペドロは表情を変えない――ただ、内心はハンコックに呆れているが……
「……つ、つまり!こ、ここには――暴獣海賊団がいる――という訳じゃな!」
なんとか激情を抑えられたらしいハンコックがそう言い放った。その事に対しては別に否定していないジャックは一応挑発しておく。
「……だとしたら――どうすんだ?」
「――知れた事!」
その挑発に対して、なんとか調子を取り戻せたハンコックも堂々と言葉を返す。
「――暴獣海賊団を……猛獣の群れを狩ってくれよう!!」
そう宣言したハンコックはもう片足での蹴りを放とうとする。
その攻撃に対してジャックもパンチを放とうとする事で対応する。
鋼の音がする。
「「オオッ!!」」
その事態を目にした人々が感嘆の声を上げた。
――ハンコックの蹴りとジャックの拳が激突し、張り合っていた。
「ぬぅ!」
「ぐぐ……」
しばらくそうしているうちに2人とも後ろに下がっていった。
「……フン!ただの海賊ではないようじゃな!」
「……〝七武海〟だけはあって強ぇな」
そう言葉を交わし合うジャックとハンコックがそれからも睨みつけ合う。
……だが
ドガァァァァァン!!!
「「「!!?」」」
――この近くに突如爆発が起こされていた。
●
時は遡って
〝エレインホール〟のある地域には――その建物が建てられていた。それは立派で清楚的な建物だった。そここそが――
――〝エッジオブパシフィック〟本社である。
もちろん〝エッジオブパシフィック〟の本拠地としても知らされている建物である。
その中でのある一室にその人物は座していた。
「…」
堂々としているその人物――褐色肌と明るい色の髪、タレ目が特徴の青年は何か悩んでいるのか顔をしかめていた。そこに
「社長」
青紫の髪に紙で作った花のコサージュをつけている美女が声を掛けていた。
その声に青年――社長はハッと顔を上げ、すぐ微笑む。
「あぁ、コナンさん」
その微笑みに美女――コナンも微笑み返すとすぐ顔をしかめる。
「――また「世界政府」ですか?」
「あぁ」
その問いかけに社長も苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら頷く。
その肯定にコナンもますます顔をしかめてしまう。
「……しつこいですね」
「全くだよ」
社長は自身を後ろに傾けながらため息を吐き――そして苦笑する。
「――でも、まぁ……逆にいえば我が社の発明を認めているといえるから――光栄かな?」
社長は「世界政府」のしつこさにそう皮肉っていた。
――実は〝エッジオブパシフィック〟は以前ある発明を遂げてきたのだ。
それこそが――「電伝虫」シリーズの新作の開発であった。
――「電伝虫」関連で多彩な応用につられての種類が数々存在している。だが、その事に関して社長はある不満を抱えていた。
それは――空からの映像がないという事であった。
空からの映像は空飛ぶ乗り物から「映像電伝虫」で映像を撮ればいいだけという話だが、社長はそれを良しとせずにその使用用途につられての新たな種類を開発しようとしていた。
そうしてできたのが――「映像電伝鳥」であった。
その効能はテストで確かめてきた結果、ほとんど「空からの映像」を撮れていたというものであった――ただ、空から映像を撮るだけはあって映像に揺れがあった。
――仮にその揺れが弱くても納得できなかった社長はその効能に修正を加えていく事にした。
幾度かの修正で「映像電伝鳥」の上昇していった効能には――映像解析・映像認証の機能も加えられるようになっていた。
その機能を加えられた「映像電伝鳥」の効能は「電伝虫」関連の常識に革命を起こせられるのだろう。
その「映像電伝鳥」の事をどこから耳にした「世界政府」はその効能を評価し、それを開発してみせた〝エッジオブパシフィック〟に勧誘を迫ろうとしていた。
だが、例え――一度でも、その内容が他愛なくても――自身の行動に責任を持つべきだと考えている社長は「世界政府」今までのやり方を知っているからこそ、自身が人の為として設立してきた〝エッジオブパシフィック〟と「映像電伝鳥」等を悪用されてしまう可能性が高いと睨んでいて、勧誘をハッキリと断った。
しかし、それでも諦めきれない「世界政府」から懲りなく勧誘が迫り続けてきた。
そうして――始まった〝エッジオブパシフィック〟と「世界政府」の睨み合いが今も続けられていた。
――そして、ついさっきも「世界政府」からの勧誘を受けたばかりだった社長はうんざりしていた。
「……お疲れ様です」
「本当だよ……しかし」
社長は苦悶ながら真剣な表情を浮かべる。
「……断り続けてきたからこそだろうな――「世界政府」の奴らがそろそろイラつき始めている」
「……最近、連続殺人事件も起こっているし――警戒を強める必要があるね」
「社長……」
きな臭くなってきた状況に社長は警戒を強化するのを決心する。
その決心には異議がないものの、社長の身に危険が及ぶ可能性が出てきたのにコナンは心配の声を上げる。
――〝エッジオブパシフィック〟が開発した「映像電伝鳥」の効能が高ければ高い程……
――面倒事に巻き込まれる事になっていく……
社長室に置かれている電伝虫が突如鳴り出してきた。
「ん」
その着信音に社長は応えてスイッチを押すと――
『――よぉ』
「「!」」
その電伝虫から重々しい声が響かれた。
その聞いた事がない声、重々しさに社長とコナンは目を見開くものの、すぐ冷静になり構える。
「……誰だい?」
『――オレ達は〝黒の組織〟だ』
「〝黒の組織〟?」
社長が慎重にそう問いかけてみるとそう名乗られた。
コナンはその名には心当たりがないらしく、首を傾げる。同じく心当たりがない社長は慎重に言葉を選び――問いかけを続ける。
「それで――何の用ですか?」
『要求は1つだけだ』
『――「映像電伝鳥」をもらおうか』
だが、その問いかけに対してハッキリとそう要求された。
その要求に固まった社長はため息をつき――
「……誰か知りませんが――ウチの発明品を見知らぬ者達にはいそうですかと渡す訳にはいきませんね」
『だろうな』
社長がハッキリとその要求を否定すると予想付いているらしく声に別に驚く様子はみられなかった。
『お前の事は聞いているからな――そう来るのだろうなと予想していた』
「ではどうすると?」
だが、イラつきもまた感じられない声に眉をひそめた社長はそう問いかけてみる。それに対して声は――
『だから――こうするまでだ』
ドガァァァァァン!!!
「「!!?」」
その音に社長とコナンは社長室の窓から見えている〝オーシャンヴァリー〟に爆発が起こされているのを視認した。