ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第82話〝巻き返される事態〟

 ――〝オーシャンヴァリー〟のあちこちには数々の起爆装置がそれぞれ置かれてあった。

 ――もしも、〝オーシャンヴァリー〟の中にいる人々と〝エッジオブパシフィック〟が何かを少しでもしてしまったら――すぐ爆破され、甚大な被害を被る事になってしまうだろう。

 その事を恐れた人々が起爆装置を置いてきた首謀者達――〝黒の組織〟に従わざるを得なくなっているのだ。

 そういう背景から〝オーシャンヴァリー〟はもはや、〝黒の組織〟の手に落ちてしまった――

 

 

 

 ――かと思われた。

 

「――よし!停止できた!」

 

「――これで爆発が起こらないな!」

 

「何だ!?テメェら――がはぁ!?」

 

「よくも邪魔して――げぽぉ!?」

 

 ――だが、〝オーシャンヴァリー〟は今……〝黒の組織〟の手から逃れられそうとしていた――

 

「リュドドド!どうした!?――大それた事を考えてきた割には随分弱ぇな!!」

 

 〝オーシャンヴァリー〟の中のある場ではスサノオ――オレは立ち塞がってくる黒ずめの者達――〝黒の組織〟のメンバー達を何の事はなく吹き飛ばしていた。

 反撃できず、ただ吹っ飛ばされていくソイツらの弱さに対してオレは文句を付られずにはいられなかった。

 ――そうなのだ。これ程の大事を起こしてきたからこそ、それに値する強さを持っているのだろうなとオレはそう考えていたんだ……

 ……だが、その期待を悪い意味で裏切られている程に弱かったのだ。その弱さに不満を抱えずにはいられないオレにその声が掛けられてきた。

 

「――スサノオさん!こちらも終わらせました!」

 

「!おぉ!」

 

 ――ヤヒコがそう報告してきたのだ。

 彼もまた、オレのいる場所とは別の場所でも〝黒の組織〟のメンバー達を撃破してきたのだ。

 ――そう、オレとヤヒコは〝黒の組織〟の監視係、警護係を排除する役目を請け負っていたのだ。

 人々を脅している起爆装置の対処に動き出しているオレ達に対して〝黒の組織〟はもちろん黙られず――排除しようとしていたが……

 

「――まぁ、手間が省けるがな」

 

 その結果は見ての通り、オレ達にあっさり返り討ちにされていた。

 抱えている不満をよそに厄介事が収束されていくであろうという事に笑みを浮かべるオレにヤヒコは不安そうに声を再び掛ける。

 

「――しかし、オレ達がこのように激しく動くと……爆発を起こされるんじゃ?」

 

 倒れているメンバー達を見下ろしているヤヒコはその懸念を口にしていた。

 ――確かに誰が見てもハッキリ分かるような〝黒の組織〟の意に反する事をすると、その報復として起爆装置をすぐ起動させられてくるのもおかしくはないだろう。

 その可能性を懸念しているヤヒコに対してオレは――笑みを浮かべていた。

 

「――リュドドド!心配すんな!ここには――皆がいるからな!」

 

 そう確信しているオレは他の場でも動いているであろう仲間に思いを馳せていた……

 

          ●

 

 オレ達が暴れ回っている一方で肝心の起爆装置は――

 

「よ、よし……停止できたな……」

 

 ――ページワンは目前の機体を停止させていた。そう、彼は起爆装置を対処する役目を請け負っていたのだ。

 なお、戦闘にほとんど長けている代わりにそういう分野にはさっぱりである筈のページワンでも対処できていたのは――ハッテンから起爆装置の対処方法を伝達されていたからだ。

 とにかく、ここにまた1台の起爆装置を停止させられたページワンは息を吐き――

 

「――お前の方はどうだ?」

 

 ――手に持つ電伝虫に話しかける。その相手こそが……

 

「――ゼノン!」

 

『……このオレがお前程に手際が悪い訳ではない』

 

 電伝虫から発されている声――ゼノンからのその言葉にページワンも額に青筋を走らせるものの、その調子からそちら側の状況を察せた。

 

「……つまり、対処できた訳か」

 

『…』

 

 なんと、ゼノンもまた起爆装置の対処に動いていたのだ。協調性がない筈の彼がなぜか積極的に動き出して1台の起爆装置をまた停止させてきたのだ。

 ――彼自身にも何か思う事があるらしい……とにかく

 

『……これで〝黒の組織〟とやらの手駒を少し潰せた筈だ』

 

「あぁ!そうだな!」

 

 ――こうして動いているページワンとゼノン。そして、ハッテンの暗躍により少しずつ停止され始めている数々の起爆装置のうちの数台もさらに停止されていった。

 

 ――先立って対処に向かっていったハッテンから情報を受け取ったオレ達は密かに――しかし素早く起爆装置の置き場所に駆け向かった。

 ――そして、その場にいる監視係・警護係をオレとヤヒコが撃破しようと動き、残りのページワンとゼノンも起爆装置を対処していったのだ。

 

 ――さらに、ヤマトグループは万が一に備えて人々の避難誘導を行っている。

 ――ヤマト自身は目印として、また爆発に対応する為に〝オーシャンヴァリー〟で最も高い建物の楼上に座っており、ギルド一家、小紫とブラックマリアも人々の避難誘導に動き回っている。

 

――こうして暴獣海賊団の動きにより〝黒の組織〟の形勢が潰され続けていた。

 

 

 

――そして

 

――動いているのは別に暴獣海賊団だけではなかった。

 

          ●

 

「へっ、これで停止できたぜ」

 

『これであと――6台だな』

 

 ――ある起爆装置の置き場所にはノーグルが、またそことは違う場所にはゼンシャーが起爆装置を対処していて――そして停止させられていた。

 ――〝オーシャンヴァリー〟に到着してから散らばっていった〝エッジオブパシフィック〟のチームはヴォイジから伝達されてきた情報を元に数々の起爆装置の置き場所にそれぞれ駆け向かい、そこで対処していた。

 そこで一旦落ち着いた2人は電伝虫での会話をしていた。

 

「……しかし、あの白き狼が実は――海賊だったとはね……」

 

『……だが、海賊にしては表裏がない人間らしいからここは信用していいってヴォイジが言ったし……』

 

 ヴォイジから伝達されてきた暴獣海賊団の存在に2人は眉をひそめるが――

 

『……でも、今は――警戒しておくに留まらせておくしかないね!もうこれ以上敵を作る訳にはいかないし!』

 

「あぁ……あと、目も悪くはねぇヴォイジの旦那もああ言ってきているんだ……今はそうするしかねぇな」

 

 少なくともヤマトと会話してきたヴォイジからのそういう連絡、そして身を置かれている状況から今はそういう対応に落ち着こうと2人はそう判断した。

 

『――そちらに奴らは?』

 

「あぁ」

 

 そして、そのゼンシャーからの問いかけにノーグルもニャリとする。

 

「――アルベリヒとリングが遊んでやっているぜ」

 

 ノーグルは他の2人の仲間達を思い浮かべながらそう喩えていた。

 

          ●

 

「が…は……!」

 

 ある場所では黒ずめの男がダメージを負い――そのまま倒れた……彼は攻撃を受けていたのだ。そして、彼を攻撃したのが――

 

「……これでここはクリアかな」

 

 ――アルベリヒであった。

 彼は起爆装置の対処の邪魔をさせないように監視係・警護係を撃破する役目を請け負っていたのだ――もちろん、その役目を果たしているのは彼だけではない。

 

『……ここはクリアした』

 

「そうか!お疲れ!」

 

 アルベリヒが手に持っている電伝虫からリングの声が響かれてきた。彼もまた違う場所で監視係・警護係を撃破していたのだ。

 

『……他の所もクリアしたそうだ』

 

「そうか!――一時はどうなる事かと焦ったが……なんとかなりそうだ!」

 

『全くだな』

 

 そして、他の場所でも仲間と部下達が請け負っている役目をクリアできているのを知ったアルベリヒとリングはまだ油断を捨てないものの、事態が収束されようとしているという事実に安堵を吐いた。

 

「……まだ奴らがいるが――とりあえず、ここさえ乗り越えれていれば……あとはなんとかなる」

 

『あぁ』

 

 そう口にしてみる事で自身を引き締めらせるアルベリヒに対してリングも相槌を打つ――そこには少しだが……和気藹々としている空間が広がっていた。

 

 

――暴獣海賊団と〝エッジオブパシフィック〟の活躍により〝オーシャンヴァリー〟での禍は晴れろうとしていた……

 

 

「……そろそろ――やるか」

 

          ●

 

「おい!どうなってんだ!?」

 

 ――ある場所では黒ずめの集団が騒いでいた。なぜ騒いでいるのかというと……

 

「――あちこちに置いてある筈の起爆装置が次々に停止されているぞ!?」

 

「起爆装置を守る筈の奴らとは連絡が全く付かねぇ!――役に立たねぇ奴らめ!」

 

 ――〝オーシャンヴァリー〟の中に置いてきた〝エッジオブパシフィック〟を脅迫する為に必要であった数々の起爆装置が次々に停止されてきたからだ。

 さらに、それらを守る役目を請け負っている筈のメンバーとも連絡が取りにくくなっていた――恐らく、もう撃破されているかもしれない。

 そういう状況から自身達にとって順調に進んでいる筈の事態が悪化されているという事実に黒ずめの集団――〝黒の組織〟は狼狽えていた。

 

「どうすんだよ!」

 

 その中の1人がリーダー格に焦りながらそう問いかける。その問いかけにリーダー格は素早く口を開く。

 

「慌てるな!!」

 

「「「!!」」」

 

「チッ……」

 

 その一喝により騒いでいる集団がすぐ静かになったのを確認できたリーダー格はさらに電伝虫を手にする。

 

「――応援を召致してくる」

 

 集団に向かってそう言っておくリーダー格は〝オーシャンヴァリー〟にはいないメンバー達――その集合場所に電伝虫をかけようとしていた……だが――

 

「……あぁ?」

 

 その集合場所とも連絡が取れにくくなっているのに対してリーダー格は訝しげにしていた。

 

          ●

 

「あ……が……」

 

「ぐぬ……が……」

 

 リーダー格から連絡を取ろうとされていた集合場所には――死屍累々が広がっていた……そう、〝黒の組織〟のメンバー達のだ。

 彼らは突如ある集団からの襲撃を受けて全滅されられていたのだ。その集団こそが――

 

「……あらあら…ああいう事をしていたから、一体どんな奴らなのかと思ったら――」

 

「……大した組織でもなかったようね」

 

 ――なんと、女だらけの集団だった。それも一見ただのカタギではないようだった。そして……

 

「……そなたらごときが――わらわに敵わうとでも思ったのか……?」

 

「――誰だろうが……このわらわに手を出す事さえも――できはしない……!」

 

「――そう……」

 

「――このハンコックには!!」

 

「……あの方以外は」

 

 そこに堂々と立ち留まってる絶世の美女――ハンコックがそう言い放った。

 

「「「ハンコック様〜〜!!」」」

 

 そんな凛々しい彼女に女達は目をハート形にして歓声を上げた。

 ――そう、その集団こそが……九蛇海賊団であった。

 彼女達はまず〝黒の組織〟を潰そうと〝オーシャンヴァリー〟に向かおうとしていた。

 だが、そこにハッテンからの情報が届いてきたのだ。彼は〝黒の組織〟の集合場所に関しての情報をも入手していたのだ。

 そして、その集合場所にいるメンバー達の事はハンコック達に託されたのだ。

 

「……とにかく、これで一件落着――かしら……?」

 

「……そういう事になるじゃない……?――〝オーシャンヴァリー〟の中では落ち着いてきているそうだし」

 

 ――サンダーソニアとマリーゴールドはボソボソと小声でそう身を置かれている状況を分析していた。

 だが、それを知らないハンコックは声を上げていた。

 

「皆の者!――勝鬨じゃい!」

 

「「「オオ〜ッ!!」」」

 

 

――この出来事も起こったのも重ねて〝黒の組織〟はもはや万策尽きた――かと思われた。

 

 

――だが

 

 

          ●

 

「ぬっ!?」

 

「あぁ!?」

 

「「…」」

 

 ――ある場所でも暴獣海賊団と〝黒の組織〟の戦いが起こっているのだが……

 

「……思ったよりやりますね」

 

「チッ……早くペーたんとヤマトのところに急がなきゃならねぇのによぉハマハゲ」

 

 ……だが、その戦いは意外にスサノオ達のように一方的ではなかった。

 キサメとうるティは自身達と張り合っている目前の黒マントの2人組からその強さを認識した事で構え直そうとしていた。

 そんな2人に対して2人組も同じように身構えながら――不気味な程に沈黙を守っていた……

 

「「…」」

 

          ●

 

 ――一方である場所でもその戦いが起こっていた。

 

「……意外に弱くはねぇな?」

 

 ――ジャックは目前の敵――黒マントの2人組に対してそう評価していた……そう、ジャックグループもまた〝黒の組織〟と戦っていたのだ。

 その戦いも一方的ではなく、張り合っている為にジャック達もスサノオ達の元に向かえずにいた。

 

「「…」」

 

 

――やはり、〝オーシャンヴァリー〟……否、〝エレインホール〟を蝕んでいる禍もなかなか収められていないようだった……

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