ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第83話〝明らかになる闇の彼方〟

「……うるティ、油断大敵ですよ?」

 

 黒マントの2人組に対して積極的に攻撃しようとする血の気が高いうるティに対してキサメはそう注意しておいた。その注意に彼女はイラつきをみせるものの――

 

「うるせぇな!――そんなの分かってるハマハゲよ……アイツらが思ったより強いのは」

 

「えぇ」

 

 ――否定できず、そして2人組に対して身構えていた。その姿勢にキサメも頷き、自身も警戒感を覚えるようにしておく。

 ……彼らにとっては目前の敵をさっさと叩き潰し、早くフドウ達が行ってきたであろう〝オーシャンヴァリー〟に向かいたかったのだ。

 ――だが、軽んじていた2人組の予想を越えた強さにキサメもうるティも自身の認識を改めて目前の敵に集中するのを決心した。

 そう気合を入れる2人に向かって2人組のうちの1人――Aが口を開く。

 

「……予想外のはこっちもそうだ」

 

 そう言い捨てるAの声には――微かだが……イラついているような響きがあった……そう、彼らはイラついていたのだ。

 何せ、彼らは――

 

「……お前らをさっさと排除して、事を進める筈が――思ったより長引いてしまった……これで予定が狂われてしまったな……!」

 

 キサメとうるティの予想以上の強さによって予定が狂われてしまったという事実に2人組はイラついていたのだ。それ故に――

 

「……だから――こうするまでだ」

 

 静かにそう言うAが手を上げると――

 

「「!」」

 

 ハッと上方を見上げたキサメとうるティが素早く後ろに下がった。その途端に何かがその場に降り立ってきた――それは

 

「「「…」」」

 

 ――またしても黒マントと黒マスクを被っている者だった。しかも、今度は――15人も姿を現してきたのだ。

 

「……またかよハマハゲ!」

 

「……!?」

 

 またしてもの怪しげな風貌にうんざりしてしまううるティをよそにキサメはその集団に対して訝しげにしていた――彼は彼らに何か違和感を感じているのだ。

 だが、思案に耽っているキサメの様子を気にかけない2人組は口を開く。

 

「さっさと終わらせる」

 

「――やれ!」

 

 Aがそう言う途端にもう片方――Bがそう宣言した途端に集団がキサメとうるティに向かって攻撃を加えようと動き出してきた。

 

「――あぁ!?ナメんなハマハゲ!」

 

「――私達を数で抑えようとしても、そうはいきませんよ!」

 

 対するうるティとキサメももちろん、ただ指をくわえずに攻めてくる集団を返り討ちにしようとした。

 

「〝ウル頭銃群〟!!!」

 

 うるティは連続的頭突きを放とうとするが――それが当たろうとする寸前に集団が全員、それも1人も残らずに素早くかわされてしまった。それも驚異的なスピードで――しかも、人とは思えない動き方でだ。

 

「あぁ!?」

 

「……!」

 

 自身の攻撃をかわされたうるティが驚愕する一方でキサメの方は目を細める――そのスピードと動き方に注目していた。

 

「…(あのスピード、それに動き方……)人間ではないようですね?」

 

 集団のスピードと動き方を慎重に分析した事からそう指摘したキサメに対してAは思わず感心した。

 

「ほぅ、目が高いな……だが」

 

 感心するものの、すぐ真剣になるAが手を掲げると集団が再びキサメ達に襲いかかろうとする――もちろん、人とは思えない動き方でだ。

 

「キモ!!」

 

 その動き方にうるティも思わず例のあの黒き虫を思い浮かべ、慄いてしまった。だが、キサメの方は冷静に――

 

「〝唐草瓦叩刻〟!!!」

 

 ――自身の得物〝鮫肌〟を大きく振り回し、そこから発生させた衝撃波を放った。

 その衝撃波に今度こそ集団が受け、やられる――かと思われたが

 

「フン!」

 

 その事態を目にしたAが素早く両腕を指揮するかのように振り回す。

 その途端に集団のうち――10人が全員それぞれ――身体がなんと、バラバラになり――散らばっていった。

 

「ハァ!?」

 

「……!」

 

 まさかの人の身体がバラバラになるという出来事にうるティも驚愕する一方でその正体に勘付いているキサメでも眉をひそめる。

 

「驚いたか?これこそが――」

 

「オレの作品だ」

 

 そんなキサメ達の様子に2人組も誇らしげにそう宣した。

 そう、2人組の言葉から黒マントの集団が実は……全員ロボットであったのだ。それも――

 

「見ての通り、武器にもなれるぞ」

 

 ――その身体の各部には刃物が仕組まれていて、身体がバラバラに散らばる瞬間にその刃物を出させてきた。

 すなわち――今、無数の刃物が空中に浮かんでいて――そして……キサメとうるティを囲んでいた。

 その景色にAがほくそ笑んでいた。

 

「クク……終わりだ」

 

「させるかハマハゲ!」

 

 その勝利宣言に対してうるティは抵抗する為に自身の姿を変身させる――能力を発動させたのだ。

 ――ただ、〝パキケファロサウルス〟そのものに変身する訳ではない。

 

「――全て壊してやるハマハゲ!」

 

 その特徴を持ち合わせながらも人間の姿をしている――そう、うるティは人獣型に変身していたのだ。

 

「手伝いましょう」

 

 その変身を受けてキサメも無数の刃物に対して抵抗しようと〝鮫肌〟を構えておく。

 

「……!」

 

 そんな姿に少し何かを感じてしまったAはすぐ刃物を2人にむかって襲わせる。彼の意を受けた刃物が容赦なくキサメ達に襲いかかろうとする。

 

「「――オオッ!!」」

 

 ――だが、その攻撃さえも2人は揃って自身を勢いよく振り回せながら攻撃を放つ事で対応していった。

 

「「……!」」

 

 数々の刃物による攻撃にさえも対応してきたという事実に2人組も驚愕してしまう。そこから発生した隙に気付いたキサメとうるティはその隙を見逃さずに駆け向かっていった。

 

「!させるか!」

 

 それに気付いたBが合図すると身体がバラバラに散らばっていない残りの5体がキサメ達の前に立ち塞がる。

 

「〝ウル頭銃〟!!!」

 

「〝唐草瓦叩刻〟!!!」

 

 だが、その5体さえも2人は怯まずに容赦なく叩き込んだ。

 ――だが

 

 ドオォン!!

 

 その途端になんと、爆発が起こってしまった。

 

「……フフ!」

 

 その爆発にBが含み笑う――やがて爆発的に笑い出した。

 

「――ハハ!どうだ!これこそが――」

 

「芸術だ!!」

 

 ――そして、そう宣言した……どうやら、キサメ達が叩き潰した5体のロボットは他の10体のように身体がバラバラに散らばらない代わりに――爆発する仕組みになっているようだ――すなわち、〝ロボット爆弾〟だといっていいだろう。

 その決して弱くはない爆発をまんまと受けてしまったキサメとうるティがやられた――かと思われた。

 

「「!!」」

 

 だが、余裕満々だった2人組は突如驚愕する事になる。

 何せ――硝煙からやられたと思われたキサメとうるティが突如目前に姿を現してきたからだ。

 

「「――オラァ!!」」

 

 そして、呆気に取られて固まってしまった2人組をキサメとうるティはただそれぞれ叩き込んでやった。

 

「「!!」」

 

 キサメ達からの攻撃をまんまと受けた2人組は勢いよく吹っ飛ばされた――が、空中で身体をなんとか立て直しながら地に着けた――ただ、マスクが剥がれ落ちた。そしてその顔は……

 

「……チッ、やはり厄介だな」

 

「……なかなかやるじゃん!うん!」

 

 ――なんと、ヤマトグループに見世物をしていた男性達――デイダラとサソリであった。

 ――もっとも、それを知る由もないキサメとうるティは2人組の顔があらわになったという事実から戦いが激しくなる予感がして身構えていた。

 

「……お前らの顔を拝んでやったハマハゲ!」

 

「……だが、すなわち――これからは本番かもしれませんよ」

 

「……察しが良いな――その通りだ」

 

「――ハハ!やっとこれからハッキリ芸術を見せてやるぜ!」

 

 キサメがそう指摘する通り、顔を見られてしまったサソリとデイダラはもはや――本気を出す事にした。

 ――そうして、その戦いは本格的になっていくであろうだった……

 

          ●

 

 一方でその場所で勃発している戦いが激化していた。

 

「ほらほら!」

 

「……!」

 

 ――ヴァニカが赤い怪物の手にもみえる手――〝紅いケダモノの手〟が黒マントの2人組のうちの1人――Cの手に持っている三連鎌に鎖鎌を足したような武器と激しくぶつかり合っていた。

 

「――ホワァァ!!」

 

「……!」

 

 一方ではシシリアンがもう片方――Dに向かって剣を振り回していた。だがDはその剣を両腕で防ぎ、逆にパンチを放ち返していた。もっとも、そのパンチに対してはシシリアンの剣で防げていた。

 そして、それぞれの戦いをジャックとハクジとペドロ達は様子見していた。

 

「……今のところ、張り合っているようだが?」

 

「あぁ――ここはアイツらに任せて向かおうと思っているが……」

 

「…」

 

 そう会話しているハクジとペドロをよそにジャックは鋭い視線を2人組に向けていた。

 ――実は3人とも〝それ〟を感じ取れていたのだ。故にその場にヴァニカとシシリアンを残してそうそう離れる訳にはいかないのだと考えていた……

 ――そして、ヴァニカとシシリアンも〝それ〟を感じ取れた。

 

「……何だろ?何かおかしいね〜?君の身体は?」

 

「あぁ……不気味だな」

 

「「…」」

 

 ――2人組から漂っている不気味な雰囲気にジャック達は違和感、そして嫌悪感を感じていた。

 ――発されているその雰囲気もそうだが、その身動きも人のそれだとは思えない程になっているのも重ねていた。

 だが、その違和感に関して思案に耽るヴァニカとシシリアンに向かって2人組は容赦なく攻撃していった。

 

「「!」」

 

「……!」

 

 まず、Cは鎌を見事なさばき方で勢いよく振り回し――ヴァニカに向かって激烈な勢いで振り下ろしていた。

 ――そして、Dもまたシシリアンに向かってパンチを勢いよく放っていた。

 

 場に鋼の音が響かれる。

 

「――あは♪」

 

 ――ヴァニカは自身に襲いかかってきた鎌を〝紅いケダモノの手〟で掴んでいた事で――防げていたのだ。

 

「――なんのぉ!」

 

 一方でシシリアンの方は……そのパンチの予想以上の強さに驚愕するものの、剣でなんとか防げていた。そして――

 

「――ハァァァ!!」

 

 ――「エレクトロ」を流していた。その激しき電撃をまんまと受けてしまったDに思わず視線を向けてしまったCの隙を見逃さなかったヴァニカは片手を勢いよく振り下ろしていた。

 

「あっは!」

 

 ヴァニカの〝紅いケダモノの手〟をCも直で受けてしまった――が……

 

「……ありゃ?」

 

 その手応えには何か違和感を感じずにはいられなかったヴァニカが首を傾げるのをよそにCは吹っ飛ばされながらも彼女に向かって逆に鎌を振り上げた。

 

「……!」

 

「!?オォ!?」

 

 その思わぬ攻撃にヴァニカもさすがに慌てながら腕を構え――攻撃を受け立った。そこから彼女も吹っ飛ばされていった。

 

「……!」

 

 一方で「エレクトロ」を流していたシシリアンが何かに気付く――激しき電撃にかかっている筈のDがシシリアンに攻撃を再び放ってきたのだ!

 

「ムッ!」

 

 それを今度はやむを得ずに腕で防ごうとしたシシリアンも吹っ飛ばされていく。

 だが、吹っ飛ばされたヴァニカとシシリアンはすぐ身体を立て直しながら地に着いた。

 

「……ん〜、やっぱり何かがあるような……?」

 

「……そちらもか?――こっちもだ」

 

 そして、2人組に攻撃を仕掛けた際に感じていた違和感を口にするヴァニカとシシリアンが彼らを凝視する。

 ――ヴァニカとシシリアンの攻撃を受けてなお、それでも攻撃を放ってきた2人組は――まるでダメージを負っていないように見受けられていた……が。

 

「「「……!」」」

 

 さすがにダメージがない訳でもなかったようで、彼らからマスクが剥がれ落ちていた。

 その落ちていったマスクを見たジャック達は素早くあらわになっているであろう顔を確認してみた。そして驚愕した。

 ――だが、その中のジャックは冷静だった。

 

「やはりな……」

 

「……その言い草、気付いていたのか?」

 

 ジャックのその呟きにそう言ったのが――なんと、先程ジャックと会話していたビジョップだった。そんな彼にジャックは片眉を上げた。

 

「そりゃな――テメェらには何かがあるなと思っていたからな」

 

「……そうか」

 

 その説明に対してビジョップは意外に納得していた――実は彼も自身の怪しさに思うところがあるのだ。

 そんな彼を笑う声が響かれていた。

 

「ゲハハハ!――やっぱ、怪しいもんな!アンタは!」

 

 そう笑っていたのは――ルークだった。そんな彼にヴァニカは獰猛な笑みを浮かべる。

 

「――あは!これで続きができるね♪――今度は戦いで!」

 

 実はルークとの対決に戦意を燃やしているヴァニカに対して彼もまた獰猛な笑みを浮かべる。

 

「ゲハハハ!上等だ!――今度は本気出すから!マジ本気!」

 

 ――なんか妙に盛り上がっているルーク達の姿にため息を付いてしまうビジョップは気を取り直して――ジャックと向かい合う。

 

「……まぁ、これで本気を出せるな」

 

「……ほぅ、今までは本気じゃねぇと?」

 

 ビジョップのそんな言い草にジャックも目を鋭くする。

 ――本気を出されていなかった……それはつまり、ナメられているといっても過言ではない。

 その事を面白く感じていないジャック達から殺気が漂っているのにビジョップとルークは改めて構え直す。

 

「ゲハハ!いい殺気じゃねぇか!」

 

「……やれやれ、面倒くさくなりそうだ」

 

 ――ビジョップがそう予感する通りにこの戦いもまた本格的になっていくであろう……

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