ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第86話〝更なる激動〟

「そ、そうなんだ!」

 

「お、おぉ!?」

 

 〝オーシャンヴァリー〟で最も高い建物の楼上に立っている2人がそう声を上げていた。

 その2人こそが――万が一の事態に備えて待機しているヤマトとそこから事態を把握してチームに効率良く指令を出す為に立ち留まっているヴォイジだ。

 そんな2人だが、何やら安堵している様子をみせていた――

 ――実は2人はさっき足元で起こった出来事を聞いてきたからだ。

 ――そう、連続殺人事件関連の出来事だ。その真犯人がよりにもよって今のタイミングで人々の前に現れてきたという事に対して2人は血の気が引いた――が、その者が誰かを傷付けないうちに拘束させられたという報告も届いてきて安堵できたのだ。

 

「……よし、よし!これで――この〝オーシャンヴァリー〟は安全に――なったんだよね!?」

 

「あぁ、そうかもしれない……しかし、またしても君達に解決してもらったとは――もはや頭を下げざるを得ないな……」

 

 少しずつ収束されていく状況にヤマトはそう希望を持つようになる。ヴォイジの方も同じ意見だが、一方で自身達で解決すべき問題をまた暴獣海賊団に代わって解決してもらってしまったという事実に苦笑の表情を浮かべていた。

 これでは――〝エッジオブパシフィック〟がせっかく結成してきた対非常事態チームの面が立てないな……

 そう考えてしまうヴォイジに対してヤマトはハッキリ声を掛ける。

 

「――でも!僕達だけだったら多くの起爆装置を全て停止できなかっただろうし……そんなに卑下する事ないよ!」

 

「……ハハ、その気持ちはありがたく受け取るよ」

 

 裏表がないヤマトからの慰めにヴォイジは苦笑しながらも気分が少し晴れた。

 そう和気藹々としている2人だが――

 

『ヤマト!!』

 

「!?――マリア?どうしたの!?」

 

 突如ヤマトの足元に配置されている電伝虫から大声が響かれてきた。その主がマリアであると見当が付いたヤマトはその用を聞いてみると――

 

『――小紫がいないの!!』

 

「……!!」

 

 マリアから明かされたその情報にヤマトも息を呑む――

 ――彼女もまた様子がおかしい小紫の事を気にかかっていたからこそ――かえって、その動揺が増されていた……

 

          ●

 

「クソクソクソォ!!」

 

 ある場所には黒ずめの集団が集まっているが……その雰囲気は良くはなかった。現にその中で最も存在感があるであろう影も地団駄を踏んでいた。

 

「――クソがぁ!!」

 

 それでもなかなか収まられず、今度は絶叫する影に対して恐れ入ってしまう影達。

 その中の1つが無謀にも恐る恐る声を掛けてみる――

 

「……それでどうしましょう?」

 

「あ゛ぁ゛!?――どうしようもねぇよ!!」

 

 その問いかけに対して影はかえってイラつきを激化され、そう怒鳴りつけた。

 ――その影がそうイラ立つ程に焦りまくっていて……そして、他の影達もまた消沈していた……

 なぜそういう様子になっているのかというと……

 

「――「映像電伝鳥」を手に入れる為に慎重に計画を練ってきたってのに……!!」

 

「――〝エッジオブパシフィック〟の奴らを脅迫する為に〝オーシャンヴァリー〟のあちこちに置いてきた起爆装置が全て停止されやがるし――」

 

「――応援を召致しようにも連絡が取れねぇし……全滅されているかもしれねぇ……!!」

 

 ――今の〝黒の組織〟の状況を影がそう口にし続けるうちにそのイラつきがさらに激しくなってしまう。

 

「……クソォ!!起爆装置が停止されたから、警護係の奴らはもうやられてるだろうし――もはや身動きできるのは――」

 

「――今ここにいるオレ達だけじゃねぇか!!」

 

 ――そのあまりにも条件が悪すぎる現実を突き付けられた影はとうとう怒りを爆発させていた。

 身を置かれている状況に他の影達も俯いてしまう……そんな集団の元に――

 

「そうか、お前達で最後か」

 

「「「!?」」」

 

 ――突如その声が響かれた。

 その声に影達が驚愕し、素早くその源に視線を向けてみると――

 

「それじゃ……最後の掃除を始めますか」

 

 ――〝火影のハッテン〟が立っていた。

 ――実はハッテンはその影達の事をも把握していたのだ。そして、彼は彼らの排除にも動けようとしていた。

 自身達を排除しようと動き向かってきているハッテンに影達は戦慄していた。その中のある影はあんまりな現実に溜まっていた激情をついに爆発させてしまった。

 

「クソッタレェェェェェ!!!」

 

 

――「映像電伝鳥」を手にしようと〝オーシャンヴァリー〟を恐怖に陥れた〝黒の組織〟。

 

――だが、事を次々に邪魔され続け、ついには苦境に立たされる事になる……

 

 

          ●

 

「〜〜くたばれハマハゲ!」

 

「ハハハ!やってみろよ!うん!」

 

 ある場所では戦いが展開されていた――

 まず上空を巨大な鳥型ロボットが飛び浮かんでいて、そこにはデイダラが乗っている。

 そんな彼は目下のうるティを見下ろしていた……

 余裕満々なデイダラにイラついていたうるティは彼に向かって攻撃を仕掛ける為に勢いよく――ジャンプした……が

 

「……!!」

 

「ハハハ!」

 

 そんなうるティの攻撃を遮るかのように突如数体の鳥型ロボットが彼女を襲いかかった。

 そのロボット達に激しく飛び回られるうるティは余裕に攻撃を発揮できず――やむなく地に足を付けざるを得なかった。

 それでもロボット達はうるティに対しての攻撃を止めない。そんなロボット達に彼女は当然ながら、うんざりしていて――

 

「〜〜ええい!うっとうしいハマハゲ!」

 

「ハハハ!じゃあ終わらせてやるよ!」

 

 たまらず音を上げたうるティの姿にデイダラはニャリとし――更なるものを展開してやる事にした。それは――

 

「喝!!!」

 

 デイダラがそう宣した途端にうるティを襲いかかっているロボット達が突如――爆破され出した。

 

「あぁ!?」

 

 突如身の周りを爆破されてきたうるティはたまらず悲鳴を上げながら煙に包まれた。

 

「ハハハ!どうだ!」

 

 うるティを包む程に小さくはない煙を見下ろすデイダラは――胸を張っていた。それもその筈。彼は――

 

「やはり!芸術は――」

 

「爆発だ!!」

 

 そう自身の信念を高らかに宣したデイダラ。

 だが

 

「――うるせぇハマハゲ!」

 

「!」

 

「ただの爆発ごときにやられるうるティじゃねぇハマハゲ!」

 

 突如のその声に目を見開くデイダラの視界には――うるティが黒焦げになりながらも煙から姿を現してきた。

 ――彼女は〝動物系〟の能力者であるからこそタフである。それ故に爆発にはほとんど効いていなかったのだ。

 その無事な姿にデイダラは――獰猛な笑みを浮かべていた。

 

「……オレの芸術をたっぷり見せてやる甲斐はありそうだ。うん」

 

 うるティとデイダラが睨み合っている一方で――その近くにはキサメとサソリが対峙していたが……

 

「……しかし、なかなかの質ですね――そのロボットは」

 

 〝鮫肌〟を構えているキサメがそう呟く通り、彼の前にはさっきのとは性能が良さそうに見受けられるロボット達が立ち並べていた……

 

 ――ボサボサ髪と三つ目が特徴的なロボット……〝クロウ〟

 

 ――ロン毛で面長のロボット……〝ビーエー〟

 

 ――山椒魚に似ているロボット……〝サンショウウオ〟

 

 ――丸々太った小柄な老人のような姿をしているロボット……〝ヒルコ〟

 

 ――以上の4体がサソリを守護するかのように立ち並べていた。

 

「フッ……それはそうだろう――このオレが作った作品だからな……」

 

 キサメの言葉にサソリは自身の作品である4体のロボットを誇らしげに宣伝していた。

 

 

――キサメとうるティは〝黒の組織〟……と称している者達と激突していた……

 

 

          ●

 

 その場所でもまた激しい戦いが展開されていた。

 

「ゲハハハ!いい攻撃じゃねぇか!」

 

「…」

 

 ――ルークとヴァニカが激しくぶつかり合っていた。

 三連鎌に鎖鎌を足したような武器を勢いよく振り回しているルークがヴァニカの攻撃に対して狂喜しているが……

 その一方で彼女は――なぜか、消極的な態度をみせていた。

 なぜかといえば――

 

「……ん〜ほんっとに効いていないね〜?」

 

 ――自身の攻撃がルークにはなぜか効いていないらしいという事実にヴァニカは顔をしかめていた。

 ――ヴァニカは戦闘狂である。そんな彼女でも自身の攻撃が効かないという事が続けられていると――さすがに陳腐になってしまう。

 故に……ヴァニカは次の攻撃に賭ける事にした。

 彼女は――十分鋭い〝紅いケダモノの手〟の爪をさらに鋭くしながら構えていた。

 

「……いくよ〜」

 

 その姿に対して待ち望んでいるルークに向かってヴァニカは溜めておく力を――発揮しながら攻撃を仕向けていった。

 

「〝紅いケダモノの鉤爪〟!!!」

 

 ヴァニカがそう放った槍のような鋭い攻撃をルークは武器で対応しようとし――

 

「はぁ!!」

 

 ヴァニカは自身の身体を上手く動かした事でその武器をギリギリでかわしながら――ルークの胸を抉ってみせた。

 受けたルークの胸から血が――湧き出てきた。

 

「!(やった……!?)」

 

 その事から自身の攻撃にやっと手応えを感じられたヴァニカだが――

 

「……き」

 

「!」

 

「きもちイイ……!」

 

 ――ルークはなんと……恍惚の表情を浮かべていた……

 その表情に対してヴァニカは――さすがにドン引いていた。

 

「……それはちょっと…気持ち悪いんですけど?」

 

「全く……あのバカは……」

 

 その近くで戦っているビジョップもルークの変態さに呆れ果てていた。

 

「……しかし」

 

 だが、気を取り直したビジョップは目前の相手に視線を向ける。

 

「……思ったよりやる」

 

「……当然!オレをナメんなぁぁぁぁぁ!!」

 

 ビジョップがシシリアンの強さにそう感心するとその本人はそう雄叫びを上げていた。

 そんな勢いがある彼を凝視しているビジョップは続いて――その後ろにいるジャック達にも視線を向ける。

 そうして身を置かれている状況を分析し、そこから自身達の今後の行動に関して考えを巡らせる。

 

「……多いだし……やるしかないようだな」

 

 やがて考えをまとめたビジョップはそう呟きながら手を掲げる――そして、その腕から何かが出ようとしていた……

 

 

――ジャックグループもまた〝黒の組織〟だと称している者達と激突していた……

 

 

          ●

 

「ウォ!?」

 

 ある場所に立っていたノーグルはそう声を上げながら背を反らした――その途端に何者かがその場に降り立った。

 その影――黒マントと黒マスクを被っている者はノーグルに向かって攻撃を仕掛けようとしていたが、その事に気付いたノーグルがその攻撃をギリギリかわせていたのだ。

 

「……!」

 

 攻撃をかわされたのに不快そうなその影は素早くノーグルに更なる攻撃を加えようと駆け向かっていった。

 

「上等だ!」

 

 その姿勢に対してノーグルも構えながら待ち受けていた。そして――

 

「……!」

 

「オォ!?――なかなかやるじゃねぇか!!」

 

 ――互角に格闘していた。

 相手のパンチをかわしながらパンチを放ち返す――

 相手のパンチを受け止めながらキックを放つ――

 相手のキックをかわしながら自身の身体を回転させてキックを放つ――

 そんな接戦を2人は演じていた。

 

「…(こりゃ―…オレより強ぇな!コイツは!)」

 

 だが、互角にみえてて実はノーグルより黒マントが強いだろう――ノーグルはそう確信してしまった。

 そして、その考えが証明されるかのようにノーグルが少しずつ影に抑えられ始めていた。やがて――

 

「―」

 

「!?…が、がぁ……」

 

 ――影の人差し指がノーグルの胸を突き刺してしまった……

 心臓辺りを突き刺されたノーグルはたまらず苦痛な表情を浮かべながら血を吐き――

 

「……〜クソ!」

 

 それでもノーグルはなんとか影に手を伸ばし――

 

「…」

 

「ウォ!?」

 

 だが、影はそれをものとせずにノーグルを蹴る事で彼を吹っ飛ばした。

 激烈な勢いで吹っ飛ばされたノーグルは壁に激しく叩き付けられていた。

 

「が…ぐ……」

 

 心臓辺りを突き刺された上に壁に叩き付けられたノーグルは弱々しい様子で壁に寄りかかられる――そして、その手には黒マスクがあった……

 

「…」

 

 ノーグルはせめて自身に黒マスクを剥がれた事であらわになっているであろう影の顔を拝みようと視線を向けてみるが――

 

「……!?」

 

 影の顔を目にしたノーグルの表情は驚愕に溢れていた。

 

「……お、お前は――」

 

 やがてノーグルは声を出すが、その声は震えていた……そして――

 

「――リング?」

 

 ――そう口にした。

 ノーグルから驚愕された影の顔には――冷たい表情を浮かべるサブリングワルの顔が存在していた……

 

「…」

 

 

――収束されていく禍にさらに新たな禍も加えられようとしていた……

 

 

          ●

 

――そして……

 

 

「……小紫?」

 

「…」

 

 ある場所に立ち留まっているオレの前に突如――小紫が姿を現してきた……それも何やら様子がおかしいように見受けていた。

 故に懸念そうに声を掛けてみるオレに向かって俯いていた小紫が視線を向けてきた――それは狂気に溢れていた……

 

「……スサノオォ」

 

 

――カイドウの息子、スサノオ……

 

――光月おでんの娘、光月日和……

 

――この2人の矛盾を極めている関係はついに転換点を迎えようとしていた……

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