ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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☆表舞台から退いた「海賊王」は今ー


第6話〝ゴール・D・ロジャー〟

「海賊王」ゴールド・ロジャーの誕生から1年――

 

 〝偉大なる航路(グランドライン)〟制覇を成し遂げた後に謎の失踪を遂げたロジャーと彼が率いる海賊団を海軍と海賊が執拗に探し回り続けるが、それでもその行方はおろか影さえも掴めなかった。

 もはや、もう二度と彼が姿を現してくる事はないのだと思われ始めるところにそのニュースが世界に駆け巡った。それこそが――

 

『「海賊王」ゴールド・ロジャー逮捕!!!』

 

 なんと富、名声、力の全てを手に入れたといっていい男が――まさかの逮捕。その事実に世界が驚愕した……

 

 

「……」

 

 カイドウは新聞を深刻に見つめる。そんな彼にそのそばで控えるキングが声をかける。

 

「――随分と静かですね……怒り狂ってロジャーの奴をぶっ殺しに行くのかと思ったんですが……」

 

 彼が口にするその疑問にカイドウが顔を上げて答える。

 

「……そりゃな、一度はそれを考えたが……それより疑問の方が上回ったからな」

 

「というと?」

 

 その内容にキングが片眉を上げると話が続く。

 

「あのロジャーだぞ?本当にあいつを逮捕できたのか……?……何かあるぞ」

 

「それに「ロジャー海賊団」も動きをみせるという情報もねェ」

 

 ロジャーと戦った経験から彼の事をある程度知っているカイドウはその逮捕に疑惑の目を向ける。

 そんな彼にキングは今後の方針に関して問いかけてみる。

 

「つまり、オレ達はロジャーをどうかにしようと動くべきだと?」

 

「いや……もう奴には興味はねェ……処刑は見るつもりだが」

 

「それより「金獅子海賊団」のナワバリだ。シキの奴がいねェからどうにでもなる……!むしろ別の奴らの方が気になる……!」

 

 その問いに対してカイドウはそう答える。彼はロジャーへのこだわりを捨てて、そしてある海賊の不在を好機としてそのナワバリを手にしようと企てる。

 

 ――実は〝新世界〟は4人の大海賊が君臨して、その覇権を握っている。

 だが、その一角――金獅子海賊団大親分〝金獅子のシキ〟が何を気迷ったのか、たった1人で「海軍本部」マリンフォードに乗り込み大暴れした。

 そこにさらに海軍大将センゴク〝英雄〟モンキー・D・ガープと町を半壊させる程の激闘を繰り広げ――敗北し、大監獄「インペルダウン」に投獄された。

 つまり、今の「金獅子海賊団」はトップが不在だ。〝新世界〟に君臨する四大海賊の一角といえ、トップ不在の海賊団など恐れるに足らんだろう。

 しかも四大海賊のうちシキ、そしてロジャーといったニ大海賊が一気に脱落した〝新世界〟ではそのパワーバランスが崩壊した事で混沌とする様相に成り果てた。

 そんな状況を四大海賊の一角、〝ビッグ・マム〟が見逃さず自ら支配する国をさらに拡大しようと動いている。

 そんなふうに事態が激変する中で呆ける暇なんかないのだ。

 

 ――まァ、「海賊王」の処刑に興味がない訳ではないが。

 

「……やはりお前も気になるのか?「海賊王」の処刑が……スサノオ」

 

「……ああ、そうだよ」

 

 ふとカイドウは隣でずっと黙り込んでいる息子スサノオにそう問いかける。

 それにスサノオ――オレも頷いて反応を示す。そして思案する。

 

 ……これではまるでロジャーの勝ち逃げという形で親父の敗北になっちまうから、すごく気に入らねェんだよな……

 でも、もうどうにもならねェらしいし……悔しいなァ……

 それでも見てみたいのだ。親父を差し置いて海を制覇した偉大な男の最期を――

 

「「海賊王」の死――それがどんなものをもたらすのか……」

 

 

東の海(イーストブルー)〟「ローグタウン」――

 

 その地で今日――時代が変わる。

 

「「海賊王」が逮捕されて処刑されるなんて……」

 

「海賊の時代の終わりかもな……」

 

 それ程に大きな影響を及ぼす事になると考えても無理ではない出来事だ。

 

「……来たぞ、ロジャーだ……!」

 

 それを目に焼き付けようと世界中から大勢の人が集まった。民、海軍、海賊などの身分に関係なく。

 

「あれがゴールド・ロジャー……()()()・〝()〟・()()()()か……!!フッフッフッ……!!」

 

「うわあああああああ!!!船長ォ〜〜〜〜〜〜!!!」

 

「旧き時代の終わり…だな……」

 

「……」

 

「キシシ……これから処刑ってのに――妙に〝覇気〟がある面構えじゃねェか……!」

 

「ううッ……ひっく……」

 

「……この出来事が世界にどのような影響をもたらすのか……」

 

 その中には将来世界に名を轟かす事になるであろう者達もいた。

 

「……お前の事だ――このままで終わる訳ねェんだよな……」

 

「ハ〜〜ハハハハママママママ!!堂々としているんじゃないかい……!!憎らしい程に……!!」

 

「……フン」

 

「あれが親父を差し置いて「海賊王」になったロジャーか……」

 

 そして〝新世界〟の海で名を轟かした大勢の猛者も映像中継を通してその展開を見守っていた。

 

 そんな中で1人の男が処刑台に昇る。

 一歩……一歩……階段を上り続け――ついに処刑台の上で膝をつく男。

 その様は死を待つ罪人の身にしては実に威風堂々としていて「海賊王」の名に恥じないものだった。

 そんな男の目前には交差する刃。いよいよその時――海の王、海賊の頂点、「海賊王」の命の火を消される時が近付く……

 

 ――その時、観衆の中から一つの声が響いた。

 

「――「海賊王」!!てめェの財宝は……〝ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)〟は一体どこにあるんだ!!?」

 

「「「!!」」」

 

「……ニヤ」

 

――その問いに対して「海賊王」が語り出す

 

――それは鐘だった

 

――新時代の始まりを告げる――その鐘なのだ

 

「――オレの財宝か?欲しけりゃくれてやる……探せ!!!この世の全てをそこに置いてきた!!!!」

 

「「「――」」」

 

即座に処刑が執行され、男の首が斬り落とされた

だが、笑みを浮かべたその男が放った言葉はその広場に――否、全世界に駆け巡っていった

そして、全世界が一斎に沸き上がった

その熱に衝き動かれた男達は挙がって己が信念の旗を揚げ、海へ出る

男達は〝偉大なる航路(グランドライン)〟を目指し、夢を追い続ける

 

世はまさに――……

 

――〝大海賊時代〟!!!

 

 

「うィ〜あ〜くそ!!!」

 

 カイドウがそう唸りながら手にしている酒瓢箪を潰した。そしてイラつきながら思案する。

 そんな彼の姿を眺めるキングとクイーンはひそひそ話をする。

 

「――なァ、カイドウさんは一体何をイラついているんだ」

 

「……察せねェのか、この豚が……」

 

「あァ!?てめェこそ察せるのか!?」

 

「当然だろう……カイドウさんはな」

 

「ロジャーの野郎が余計なマネしやがったせいで〝大海賊時代〟なんてくだらねェものが始まったからだ」

 

「なぜかというと海のレベルと強さを誤解する海賊ごっこのルーキーどもが溢れてくるのだろうからだ――ゴキブリのようにな」

 

「そんな奴らにオレ達が負担をかけられる事になるのだろう……その事がカイドウさんを苛立たせるんだ」

 

 カイドウのイラつきに関してキングがそう解説する。その内容にクイーンもあ〜と頷く。

 

「そりゃな……何か誤解する野郎がそれもたくさん来て、それと戦わざるを得なくなると考えると……確かにうざったいな〜」

 

 うんうんするクイーンをよそにキングは――背面の炎を燃え盛らせ、そして口を開く。

 

「――だが、そういうバカどもにオレが本物の海賊ってやつを教えてやる……!!」

 

「!!」

 

 彼がその宣言を猛々しく掲げる。そんな彼の姿勢にクイーンが驚きで固まる――が、すぐニヤリとする。

 

「……ムハハ、てめェの炎じゃ確かに駆除向きかもな。だが〜♪オレがゴキブリどもの殺虫剤をバラ撒いてやる〜♪」

 

「フン……ほざけ」

 

「ムハハ……」

 

 そうしていがみ合うキングとクイーンだが、妙に2人共ニヤリとしていた。そして彼らはカイドウに向けて自身の決意を表明しようとし――

 突然そこに来訪者が現れる。

 

「「「!!」」」

 

 キングとクイーン、思案していたカイドウもその者に視線を向ける。その者とは――

 

「親父、話がある」

 

 ――金棒を肩にかけるスサノオだった……

 

 

 

 

 

 スサノオ――オレは「海賊王」の処刑の時から考えていた事を親父に言うためにやってきた。そのただならぬ様子に親父も身を締まりオレを凝視する。

 

「――話とは何だ?スサノオ」

 

「……オレはロジャーの処刑の時から考えていた事があって――」

 

「決めた事があるんだ」

 

「……ほォ、それは?」

 

 その言葉を受けて興味津々に耳を傾げる親父にオレは意を決してそれを口にする。

 

「オレは……親父を「海賊王」にしてみせる!!!そんで、それで――」

 

「オレが「海賊王」になった親父を倒して〝最強〟になってやるんだ!!!」

 

「「「!!!」」」

 

 オレが掲げるその宣言に親父、そして耳を傾げていたキングさんとクイーンさんも目を大きく見開く。しばらく沈黙がその場を支配する。

 

 ――やがて

 

「……う……」

 

「……うぉ……」

 

「……うぉろ……」

 

「……ウォロロロロ!!!」

 

「よく言ったァ!!!スサノオォ!!!それでこそオレの息子だ!!!」

 

 親父が獰猛な笑みを浮かべてオレの決意を賞賛してくれた。

 

「――親父は分かってくれるのか」

 

「当然だ!!オレの息子だ!!それぐらいやってくれなきゃ――」

 

「湧き足りねェ!!!」

 

 親父がそう言い大笑いする。またキングさんもクイーンさんも笑ってくれた。

 

「フッ……最強の男の子だ。確かにそのぐらいになれるんだろうよ」

 

「ムハハハハ!!面白ェ!!イカれてるぜ!!ムハハハハ!!」

 

 親父達の態度を目視したオレはホッとする。

 やはりオレの決意――野望に間違いはなかったんだ。さて、そうと決まれば――

 

「始めるか!!親父!!」

 

 オレがそう言いながら金棒を構える。その途端に笑っていた親父達が即座に口を閉じた。そして冷や汗をかく親父が恐る恐る問いかける。

 

「始めるって……何をだ?」

 

「決まってんだよ!オレと親父が戦うんだよ!!」

 

「えええ〜〜〜〜ッ!!?今!!?」

 

「お、お坊ちゃま……」

 

 オレが威勢よく言い放つと親父が白目になり、クイーンさんも目を丸くし口を大きく開けて驚愕して、キングさんが震え声でオレを話しかけていた。

 ……しょうがねェだろ!!〝最強〟を目指す以上、親父に挑まねェ訳にはいかねェんだ!!という訳で……

 

「行くぞォ!!親父ィ!!」

 

 

 

 

 

 ――決論から言うと

 親父に挑んだオレは一撃でのされました。

 しかも突然の事で動揺した親父が加減するのを半分ぐらい忘れて少し本気の威力でやってしまったようです――そのためにオレは血まみれでした……

 そしてオレがのされた大音を聞きつけた事で来たらしいヤマトが血塗れのオレの姿を目にしてしまった故に悲鳴を上げて泣いちゃったそうです……そりゃそうだ。

 それでオレをやったのが親父だと知ったヤマトは怒り狂って「お父ちゃんなんて大嫌い!!」と親父に言ってしまったそうです……

 そう言われた親父はすごく落ち込んで酒浸りになってしまったそうです……

 後から復活したオレがヤマトを説得して何とか親父を許してくれました……

 もうそんなマネはやめてくれとヤマトとキングさんとクイーンさんから切願してきたが〝最強〟を目指す以上、親父に挑むのをやめる訳にはいかねェんだ。許してくれよ。

 

 

しばらくして――

 

 オレは親父に再び挑んでいた。

 ただ前回と違って親父は本気を出さずに加減して相手してくれている。

 悔しいが、まだ幼いオレは未熟で弱いからな……それにこういうやり方を取る事でヤマト達がようやく納得してくれたし、しかも不完全だが〝百獣のカイドウ〟の本気を喰らう事ができたんだ。

 ならば、焦らずにゆっくりやろう。

 オレ達が組手を滞りなくやっている――そんな中で時計が組手を開始してもう1時間経ったのを告げる。その音を耳にしたオレ達は組手は1時間だけだと決めている故に組手を終了する。

 

「ウォロロロ……構えなどを教えたら動きが良くなったな」

 

「はははは……親父の教えが良いからだよ」

 

 そしてオレ達は行ってきた組手に関して議論する。

 そうなのだ。こういうやり方がいずれの〝百獣のカイドウ〟との戦いに向けての備えになれるのが分かったし……そうだ。

 ふとある事を思いついたオレは親父に声をかける。

 

「親父!」

 

「ん?何だ?」

 

「オレ……」

 

「やっぱり「ワノ国」を完全に「百獣海賊団」の国にしてェと思うんだ。どうかな?」

 

 オレの提案に親父は片目を大きく見開く。そして頷く。

 

「……そうだな、ちょうどオレもそう考えていたところだ。だが、なぜそう思う?」

 

 そう言う親父が続いてそう問いかけるとオレが答える。

 

「だって〝大航海時代〟が始まってたくさんの海賊が来るんだろ?」

 

「〝白ひげ〟とか、〝ビッグ・マム〟とか強い敵はいるんだよね?」

 

「そんな奴らに対してもーっともーっと強くなる、大きくなるには――「ワノ国」が完全に親父のものになればいいと思うんだけど……どうかな?」

 

 オレがその考えを口にすると耳を傾ける親父がニヤリとする。

 

「ウォロロロ……今はオロチの奴と手を組んでいるからおとなしくしているが……」

 

「そうだな!このまま奴の後ろ盾で終わるつもりはねェ!!」

 

「「ワノ国」をそのまま頂いてオレ達「百獣海賊団」の国に変えるぞ!!」

 

「どうせ!オロチの奴も「ワノ国」を滅ぼしたがっている!!なら文句はねェ筈だ!!あったとしても言わせねェぞ!!」

 

「ウォロロロ!そうだ!「ワノ国」をオレ達の……お前らの国にするぞォ!!」

 

 親父が大笑いしながらそう宣言する。それを受けてオレも笑みを浮かべる。

 

「あはははは!!いいよね!それ!」

 

「なァ、「ワノ国」の町とか文明とか好きだから壊さねェよね?」

 

「そうだ!どうせなら新しい街作るのは?」

 

「料理とか音楽とか!」

 

 オレが「百獣海賊団」の国のあり方に関しての意見を親父に言う。その意見に親父は片目を少し見開く。

 

「……武器工場をさらに増やすつもりなんだが……何せ、この国を巨大な「武器工場」にするつもりだからな」

 

「でも!それじゃつまらねェよ!オレ達が楽しく住むには「ワノ国」の文明を残す、そして新しい文明を作りたいんだ!」

 

 その企みに対するオレの反対意見を受けて親父は思案する。やがて――

 

「――そうだな!お前がそこまで言うなら、やめておこう!」

 

「オロチの奴の要求に従って、森を切って自然をメチャクチャにしていたが……」

 

「オレ達の国だから住みやすい国にしなきゃおかしいだろうしな!!」

 

「自然と文明を壊すのはやめて、必要だけ残そう!!」

 

「それからお前の言う通りに料理と音楽、それぞれの特色を持つ街を作るのも悪くねェな!!」

 

 親父が「百獣海賊団」の国のあり方に関してそう言い放ち、大げさに頷く。自身の意見に親父も賛同してくれている故に気を良くしたオレはそういえばと気付く。

 

「「百獣海賊団」の国を作るなら「ワノ国」とは違う名前が必要だよな?」

 

 オレの呟きを拾った親父はハッとして思案する。やがて――

 

「よし!これはどうだ?――「新鬼ヶ島」!!!」

 

 考えついた名前を口にしてみた親父がドヤ顔をみせるが、その名前にオレは不満を感じた。

 

「ん~カッコよくねェ……かな?」

 

「そ、そうか……お前の方はどうだ?」

 

「オレは……ん〜」

 

 オレはできるだけカッコイイ名前を考えつこうとする。

 そのような名前を決めるのに今知る限りの言葉を思い返してみる。そんな中である戦士達の称号を思い出した。それは――

 

「そうだ……あれだ、あれにしよう!」

 

「お!どんなだ?」

 

「うん!それはね――」

 

 興味津々に耳を傾げる親父にオレが決めた名前を告げる。その名前を親父も気に入ってくれた。

 

「ウォロロロ!いいな!それにしよう!」

 

「あはははは!!そうか!!それは良かった!!」

 

「それで、お前はまず「ワノ国」のどの郷をどんな街にしたい?」

 

「ああ!!そうだね!まず――」

 

 オレ達は楽しくこれからの方針を定めていく。

 方針をほとんど定まったところで親父が勢いよく立ち上がり、両手を上げて宣言する!

 

「「ワノ国」をオレ達「百獣海賊団」の国にする――〝新鬼ヶ島計画〟を今!ここに開始しようじゃねェか!!」

 

「海賊王」ゴール・D・ロジャーの死――

それが世界に与える影響は「ワノ国」そして「百獣海賊団」にも及ばしていた――

「ワノ国」の民を守ろうと褌一枚になっておどける光月おでんと耐え忍ぶ侍達はもちろん

〝武力の化身〟が後ろ盾として君臨する故に安泰だと考える「黒炭家」も気付かない

「ワノ国」の終焉が陰で静かに始まっているという事を……




☆「海賊王」の死から始まった〝大海賊時代〟!!
 それによってー〝新鬼ヶ島計画〟開始!!
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