ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第91話〝芸術は爆発だ〟

 その場所には爆発が、それも数々起こっていた。

 

「あぁ!!うっとうしいハマハゲ!!」

 

「……すげぇなタフさだな!おい!オイラの芸術でも死なねぇとは!――だからこそ見せがいがあるけどな!うん!」

 

 その爆発を受けていたうるティはそれでも果敢にその張本人であるデイダラに向かって駆けていた。

 その姿勢、タフさに感心せずにはいられないデイダラがそう言い立てる一方で

 

「(……暴獣海賊団の戦力を削りなければならねぇってのに、こうタフさだとすれば進めにくくなるな……)」

 

「(〝黒の組織〟のフリもいつまで続けられるかどうか……)」

 

 密かにそう思案に耽けていた――そう彼、そしてサソリは〝黒の組織〟のメンバーであるかのように振る舞っているが、実は――

 

 ――「CP9」である。

 

 彼らは元々〝エッジオブパシフィック〟から「映像電伝鳥」関連もしくはそれに値する技術を回収する為に〝エレインホール〟に潜入してきたのだ。

 デイダラは人形屋という形で諜報活動を行ってきたが……そこに暴獣海賊団が現れた上に〝黒の組織〟の襲撃も起こったのだ。

 余程の非常事態だが、「CP9」には好機だと捉えていた。

 ――この状況で〝黒の組織〟のフリをしながら暴獣海賊団の海賊達を始末しておけば……「世界政府」が危険視している暴獣海賊団を弱体化させ、その怒りの矢先は〝黒の組織〟に向けられるだろうからだ。

 そう策を講じた「CP9」は〝エッジオブパシフィック〟での任務に加えて暴獣海賊団の弱体化にも動いていた……

 

 

デイダラ――

 

「CP9」に所属する彼は……アーティストである。

正確には起爆の仕込みを組まれるロボットを開発する技術者なんだが。

最初こそはただの技術者だったが、偶然あるロボットが爆発してしまった現場に居合わせた彼はその爆発の有様に魅せられてしまったのだ。

「儚く散りゆく一瞬の美」という考えに取り憑かれ、起爆するロボット――〝起爆ロボット〟を開発するようになったのだ。

彼にとっての芸術作品てある〝起爆ロボット〟もただではあらず、油断できないものばかりである。

 

 

〝C1〟――

 

それはデイダラの最も低威力かつ小型の芸術作品である。

それは小鳥とクモ等の小動物として造形されている。そして低威力といっても人には尋常ではないダメージを負わせられる――

 

 もっとも、〝動物系〟の能力者であるうるティにはほとんど効いていないのだ。

 そこで群れを作らせながら彼女の周囲を囲ませていった。無論、タイミングを選ばずに起爆させている。

 まさにハエの如きでうるティはイラつきをみせていた……

 

 

〝C2〟――

 

それはデイダラの十八番芸術らしい……

それは巨大な鳥の形状をしていて、その口から〝C1〟小鳥とは別の小鳥型の誘導弾を吐き出すのだ。

なお、接触起爆タイプの機雷も吐き出せるのだ。そして、その機雷はデイダラがうるティと対峙する以前からもう地中に仕込んでいた。

本来なら敵の足元に機雷を敷き詰められた事で動きを封じたところを上空から誘導弾で狙撃するという挟み撃ちの戦法であるが……

 

「また爆発ハマハゲ!!」

 

 今対峙しているうるティは――頭のネジが取れている。普通ではないのだ。

 故に――足元に機雷を敷き詰められても彼女は怯まずに駆けていった!もちろん起爆されたが……それを受ける前に素早く駆けている上に彼女が〝動物系〟の能力者であるのもあって、ものにしなかった。

 

「もういい加減にするハマハゲ!!」

 

 放たれてくる誘導弾にそう悪態をつくうるティは自身の身体を回転させながら対応する。

 その頭と尻尾で誘導弾を弾かせ飛ばしてやった。その爆弾が他のを巻き込んで起爆させられた。

 

「おいおい……本当にタフだろうが」

 

 自身の爆発をものとせずに暴れ回っているうるティにデイダラも呆れざるを得なかった。

 といえ、〝C1〟と〝C2〟でも効かないならば――

 

「〝C3〟!!!」

 

 デイダラがそう宣した途端にその場に新たな起爆ロボットが降り立ってきた。

 今度は――ゴーレムであった。それも3体。

 

 

〝C3〟――

 

それはデイダラの十八番の1つである。

ゴーレムとして造形されるだけはあって〝C1〟と〝C2〟以上の硬質とパワーを秘めている。

そして……仕込まれている爆弾の威力は――

 

 

「〝ウル頭銃〟!!!」

 

 新たな〝起爆ロボット〟にも怯まずに突進するうるティに対して1体のゴーレムが殴り付ける。

 

 鈍い音がする。

 

 ――うるティの頭とゴーレムのパンチが激突した……が、それも一瞬の事。うるティの尋常ではないパワーによってゴーレムも少し押さえられていた。

 

「!」

 

 その時、うるティの横からもう1体のゴーレムが殴り付けかけていた。

 

「ナメんなハマハゲ!」

 

 だが、そのパンチをうるティは何の事はなくかわしながら尻尾をゴーレムの頭に叩き込んだ。

 

「…!!」

 

 ゴーレムが倒れ込んだのを見届けたうるティの後ろには――3体目のゴーレムが立っていて、パンチを構えていた。

 

「―」

 

 そのパンチをうるティは――瀬戸際でかわせた……かと思われたら

 

「〝喝〟!!!」

 

「!!」

 

 その瞬間、デイダラのその声を耳にしたうるティは目を見開かざるを得なかった。その懸念通りなか目前のゴーレムの身体が光り出し――

 

 ドガァン!!!

 

 起爆された。その爆発にうるティの身体が呑まれる――

 

「……へっ!」

 

 その様を見届けたデイダラも得意気にする。

 

「まずは1人……」

 

 彼がそう呟いた途端にその前に現れた影があった――

 

「お゛ぉ゛お゛!!!」

 

「えぇええ!?」

 

 ――うるティである。

 爆発に呑まれた彼女はその威力により身体を焼かれていたが、それでもデイダラに一矢を報いろうとしたのだ。

 一見無事ではない彼女がそれでも自身の前に立ち塞がろうとするのにデイダラも驚愕せざるを得なかった。が、すぐ冷静になる。

 

「〝ウル――」

 

「〝指銃〟!!!」

 

 攻撃を仕掛けようとするうるティの腹をデイダラが素早く人差し指で刺し貫いた。

 

「…!?」

 

「爆発ばかりで何もしないオイラ本人が弱いと踏まえているんだろうが――」

 

「――生憎強いんだよ!!うん!!」

 

「オイラは〝六式〟をマスターしているんだからよ!!」

 

 腹を刺し貫かれたのに目を見開くうるティにデイダラが胸を張ってそう言い放った。

 ――彼はその戦闘スタンスから本人が弱いとみられているが……「CP9」に所属するだけはあって、それなりの実力を持ち合わせている。

 

 

〝六式〟――

 

それは「世界政府」に伝わられる肉体を極限まで鍛えた者のみが体得できる特殊な体技である。

6つの技で構成され、そのどれもが超人的威力を持っている。

 

 その武術をマスターしているデイダラ本人を撃破するのも容易ではないだろう。

 

「…〜ッツ」

 

 腹を刺し貫かれた指を抜かれたうるティはそのまま力なく落下する――

 

「……何の!!」

 

 だが、なんとか体勢を立て直し着地できた。そして上空に留まっているデイダラを睨み付ける。

 

「……厄介ハマハゲね」

 

「おう!分かったか!!」

 

 うるティがそう呟くのを拾ったデイダラがドヤ顔をみせながら断言する。

 

「テメーはオイラに勝てずにくたばるんだよ!!」

 

 そう好き勝手に言ってくるデイダラにうるティは思案に耽る。

 

「……ただの技じゃダメハマハゲ。なら――」

 

 そしてうるティは判断を下す。それは――

 

「……ぐぐ〜」

 

 うるティは――屈んだ。それに訝しげにするデイダラだが

 

「〝C3〟!!!」

 

 彼は〝C3〟を彼女に向かわせた。例え、どのような技だろうが――今のうちに叩くべきだとデイダラはそう判断したのだ。

 自身に迫ってくる〝C3〟に対してうるティはそれでも怯まず

 

「――くらえハマハゲ!」

 

「〝喝〟!!!」

 

 それを耳にしたデイダラが素早く〝C3〟を爆発させる事にした。

 彼がそう合図した途端に〝C3〟ゴーレムが起爆した。その爆発がうるティにも襲いかかった。

 その爆発はあまりに強烈でうるティもただでは済まないだろう――そう判断したデイダラは得意気にする……

 

「へっ……」

 

 デイダラがそう呟いた途端にその爆発――から彼の前にうるティが再び姿を現した。

 

「へっ!?」

 

 まさか彼女が現れてきたという事実にデイダラも驚愕する。

 ――実はうるティが行ったのはまず全力でジャンプし――そしてその際に自身の身体を回転させていた。

 ジャンプした勢いと回転がうるティの頭突きを強化させていったのだ。その頭突きが爆発の中さえも打ち破れたのだろう。

 といえ、やはり無事ではなかった。タフなうるティでもその身体はほとんど焼かれていた――

 それでも彼女の目は死んでいない。そしてデイダラに立ち向かおうとする。

 

「〝ウル頭ロケット〟!!!」

 

 うるティの頭突きがデイダラの頭を――叩き込んでやった。

 

「うが……」

 

 その強烈な攻撃を頭で受けたデイダラは――白目を剥いた。が、すぐ気をなんとか取り戻してみせた。

 

「ぐ、ぐぉぉ……」

 

 そんなデイダラをうるティは尻尾で掴む。

 

「!?」

 

「おぉ!!」

 

 目を見開くデイダラに構わずにうるティは彼ごと自身を凄まじい勢いで回転させる。

 

「おぉぉ!?」

 

「おぉ!!――オラァ!!」

 

 そう悲鳴を上げたデイダラをうるティは今度は地へ投げてやった。凄まじい回転を受けて強まった勢いで落下したデイダラはそのまま――地に叩き付けられた。

 

「げぼ……」

 

 あまりの大ダメージを受け続けてきたデイダラだが、そのまま終わりではなかった。

 

「オォ!!」

 

「!?」

 

 デイダラに向かって落下しているうるティは――自身の頭を連続的に突き続けていた。

 

「ま、待て……」

 

 その様子にデイダラは思わずそう声を上げたが、無駄だ。

 

「〝ウル頭銃郡〟!!!」

 

 そのままデイダラはうるティの連続的頭突きをただ受けるしかなかった。

 

「オラオラオラァ!!」

 

「げぽ、あが、うぎゃ!!」

 

 〝ウル頭銃郡〟にデイダラはいいようにやられ続けていた――やがて

 

「しゃあ!!」

 

 デイダラを突き続けてきたうるティがその場を離れた。なお、デイダラは――

 

「…」

 

「……やっと黙ったハマハゲ」

 

 一見気絶したデイダラの様子にうるティはそう満足していた――彼女にはデイダラのお喋りがやかましくて仕方がなかったのだ。

 故に静かになった事に笑みを浮かべたのだ。

 

「……キサメは――」

 

 とにかく、撃破できたと判断したうるティは近くのキサメの様子見に向かおうと足を進めようとするが――

 

「…!!」

 

 ハッとうるティが振り返ると――

 

「…」

 

 撃破されたと思われたデイダラが――立っていたのだ。

 もっとも……その容体は痛々しかった。

 

「……クソッタレが」

 

 デイダラが忌まわしげにそう零した――それもその筈。彼はなんとか立てられたが、もはや戦えない身体になっているのだから……

 ――今までうるティから繰り出された攻撃の重さにより虫の息になりかけているのだ。そのような容体でも立ち上がってきたのはさすがは「CP9」だといえよう――

 だが、もはやそこまでだろう……

 

「……もう虫の息ハマハゲね。さっさとトドメを指すハマハゲ!」

 

「……この」

 

 うるティもそれが分かっていて、余裕満々にそう言い放つが――それが引き金になっただろう、デイダラがその口を開く。

 

「この!!芸術を理解できねぇバカが!!」

 

 デイダラがそう怒鳴りつけた――彼の目にはうるティの態度が自身の芸術を評価しないどころか、見くびっているように映されていたのだ。

 その事、そして自身の容体も重ねてデイダラはその判断を下す。

 

「〜〜いいだろう!!テメーに芸術ってヤツを身を持って思い知らせてやる!!!」

 

「〝C0〟!!!」

 

 デイダラがそう宣言した途端に――彼の胸から鋭い音が響かれた。

 

「!?何だハマハゲ!!」

 

 その音に驚愕しながら身構えるうるティにデイダラは不敵で獰猛な笑みを浮かべた。

 

「オイラの究極芸術だ……!!」

 

「これからオイラは自爆する!!」

 

「はぁ!!?」

 

 ――実はデイダラの心臓の直近には……爆弾が配置されているのだ。

 体中に爆弾を抱える――普通に考えても異常な事だが、何よりも爆発を愛するデイダラにとっては他愛ない事である。

 ……そして――その爆弾の効能もただではない。

 だからこそデイダラは勝利を確認したのだ。

 

「死んでオイラは芸術になる!」

 

「今までにない爆発はこの地に今までにない傷跡を残し……そして」

 

「オイラの芸術は今までにない称賛を受けるだろう!」

 

「(サソリの旦那、悪りーな……)」

 

「そしてテメーは確実に死ぬ!!」

 

「逃げ切れりゃしないぜ!うん!!」

 

「怯えろ!!」

 

「驚嘆しろ!!」

 

「絶望しろ!!」

 

「泣きわめけ!!」

 

「オイラの芸術は

――!?」

 

 饒舌なデイダラが突如上方に浮かばされた――うるティが素早く彼を上方へ投げたのだ。

 

「あぁ!?――ムダだ!!究極芸術だぞ!!オイラの爆発をナメん――!?」

 

 その意図を察したデイダラがそれでもムダだとうるティを嘲笑うが――

 

「ぬぬ……」

 

 ――うるティは……膝を曲げてむくらはぎと太ももの筋肉を伸ばしてから縮めていた。その筋肉が青筋を立て脈動する程だ。

 

「……おぉ〜〜」

 

 浮かばされたデイダラが落下してくるが、うるティはそれでも自身の足に力を込め続けていた――そして、ついに

 

「〝ウル頭ロケット〟!!!」

 

 その技を発動させたのだ。強烈な勢いで回転しながらジャンプしたうるティの頭突きをデイダラはただ腹で受けるしかなかった。

 

「ぐぇえ!!?」

 

 ――今まで力を込め続けただけはあってうるティの勢いは凄まじかった。その凄まじい勢いで2人はあっという間に上空に浮かび上がされた。

 

「ぐぇぇぇぇ……!!」

 

「……げ――」

 

 腹に重いものを受けた上に凄まじい勢いに押し潰されているデイダラはたまらずに音を上げてしまう。

 そんな彼にうるティは口を開く。

 

「芸術芸術!!」

 

「爆発爆発!!」

 

「いい加減にうるせぇハマハゲェ!!」

 

 うるティはそう悪態をついた――それ程にデイダラの言動はうっとうしかったのだろう。そして

 

「1人で満足してこいハマハゲ!!」

 

 そう言い締めたうるティが素早くデイダラから自身の頭を外し――代わりに両足を付ける。

 

「ぐ……て、テメー!」

 

「――オラァ!!」

 

 デイダラが苦々しい表情を浮かべながら何かを言おうとするが、それを聞く耳を持たないと言わんばかりにうるティの両足が彼を弾けてやった。

 さらに飛ばされたデイダラが重力に従って落下していくうるティの姿に歯を食いしばる。

 

「〜…誰だろうが」

 

「何を言おうともが」

 

「――究極芸術は……」

 

 そこまで言いつけるデイダラ――の身体が赤く光り出した。そして……叫ぶ。

 

「――爆発だぁ!!!!」

 

 デイダラがそう叫んだ途端に彼が――起爆したのだ。

 

――それはあまりにもデカくデカく……デカかった。

 

――それはまるでもう1つの太陽が現れたかのようだった……

 

 すごく眩しい上空に〝エレインホール〟の人々が騒いだ。

 

ドサッ

 

 そんな中で地に落下した者がいた――うるティだ。

 彼女は変身が解けながら上空の大爆発の眩しさに目を細めながら――呟く。

 

「……眩しいハマハゲ」

 

 

『暴獣海賊団 うるティ

  VS

 CP9 デイダラ』

 

『〝エレインホール〟

「ある場所の戦い」』

 

『勝者 うるティ』

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