ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第95話〝露見〟

 その場には異様な緊張感が漂っていた……

 ――その場で1人のある男が殺されようとしていたからだ――しかも、仲間だと思っていた男の手によって……

 

「……「世界政府」……!!オレ達の「映像電伝鳥」を手にする為にここまでやるのか……!!」

 

「そうだ……〝エッジオブパシフィック〟の財産は我々が回収する……!!」

 

 その男――サブリングワルの正体に勘付いたノーグルはその意図にも勘付き、毒づかずにはいられなかった。

 だが、その非難に微かな反応さえをみせないリングは堂々とそう宣言する。

 その宣言にノーグルは歯を食いしばる――しかし、それでも何もできない。彼は仲間にこの事を知らせられないまま殺されるのだ――

 

「く、クソぉ!!」

 

「じゃあな」

 

 無念の叫びを上げるノーグルを殺そうとリングが手に掛け――

 

「ん〜……ここに一体何かが――」

 

 その瞬間であった。

 突如、その場に何者かが入ってきたのだ。それこそが――

 

 

 

 ――ページワンであった。

 

 彼はさっき、全ての起爆装置の停止という連絡を受け取った事で少し気が抜けたところにそれは起こっていた。

 実はある近くの起爆装置の置き場所にはちっぽけだが違和感が発生してきたのに気付いた彼はこういう状況中もあって、一応確認してみようと足を運んでいったが……

 

「「…」」

 

「……へ?」

 

 そして、その状況にページワンが出くわしてしまったのだ。

 その登場にリングもノーグルも思わず固まった。

 

「……邪魔しました?」

 

「「…」」

 

 ページワンが試しにそう言うも2人は喋らない……ただ、その場の空気が重くなったが……

 

「……で、出ますね」

 

 そんな空気にたまらなくなったページワンがさっさとその場を離れようとするが

 

「フン!!」

 

 固まったリングが素早くノーグルの顔を蹴る事で気絶させ――

 

「!!」

 

 ページワンに駆け向かいながら――攻撃を仕掛けようとする。

 ――当然だ。リングによれば暗殺しようとしていた場面を見られた以上、何者であろうが――さっさと口封じするに限る。

 そう判断したリングはページワンの心臓を人差し指で刺し貫きそうとし――

 

「あぁ!?」

 

 だがページワンはその人差し指を回し蹴りで払いのけ、もう片脚で蹴ろうとする。

 

「〝剃〟!!!」

 

 その途端にリングの姿は一瞬で消える。それに目を見開くページワンの後ろに突如衝撃が走った――その後ろに回ったリングの人差し指が人差し指が彼を貫いたのだ。

 

「…!!(外した――いや、外された!?)」

 

 だが、リングはその手応えに眉をひそめた――実はページワンの心臓辺りを刺し貫く筈が、その箇所を外されたからだ。

 しかも、自身がミスしたのではない――ページワンがなんとか身体を少し動かしていたのだ。

 

「〜オォ!!」

 

 そして、後ろを貫かれているページワンはそれでも振り返りながら肘打ちをリングに食らわそうとした。

 

「〝ワン肘銃〟!!!」

 

 だが、その攻撃にさえもリングは何の事はなくかわす――

 

「――がぁ!?」

 

 そんなリングが突如吹っ飛ばされた。そのまま地に叩き付けられたリングはそれでも起き上がる。

 

「い、一体何が――……!!」

 

 突然の事に混乱するリングだが、目前の景色を目にすると口を閉じる――

 ――ページワンの姿は異形になっていたからだ――まるで恐竜が人の姿をしているような……

 そう、〝スピノサウルス〟の能力者である彼は人獣型に変身したのだ。そして、その尻尾を〝ワン肘銃〟をかわしたリングに叩きつけてやったのだ。

 

「チッ……面倒な者が現れてしまったものだな」

 

「誰か知らねぇが……オレに容赦なく攻撃しやがった以上――敵でいいんだよな!?」

 

 対峙しているページワンとリングは互いに相手の厄介さに舌打ちしていた。

 

「それで――テメェは〝黒の組織〟か?」

 

 リングを叩き潰すのを決意したものの、その正体を見極めようとするページワンがそう問いかけるが……

 

「フン、お前に教えてやるぎりはないな」

 

 そうリングは取り繕っていた。その上からの態度にページワンはイラつき、その意をますます決していった。

 

「……そうかよ――まぁ、どうでもいいか――なぜなら、このオレに吹っ飛ばされるからな!!」

 

「やってみろ」

 

 そう宣したページワンにリングは平静としている様子でそう返した。

 そのまま、激突するのか――と思ったら

 

 その場に大きな音が突然響かれた。

 

「「!?」」

 

 その音にページワンとリングが素早く音源に視線を向けてみると――何かが壁を破って飛んできたのだ。

 その何かを目視したページワンが目を見開く。

 

「――タング!?」

 

 ――そう、タングドーサムが少し黒焦げでボロボロな姿でその場に飛ばされていた……

 

          ●

 

時は遡って――

 

「――着いたぞ!」

 

 〝オーシャンヴァリー〟に向かって空中を飛んでいたフドウ達はついに到着したのだ。

 

「はぁ〜やっとッス〜」

 

「――でオレ達はどう動けばいいんだ?」

 

 フドウの足に掴まっているという不安定な飛行を強いられていたタングが到着できた事に胸を撫で下ろした一方で明日郎はフドウにそう指示を仰いでみる。

 

「……あぁ、そうだな――」

 

 その問いかけにフドウが思案していると突如タングが口を開いてくる。

 

「ここで分かれて、それぞれ行くのはどうッスか!?」

 

 タングがその案を口にしてみる。その内容に明日郎は一理はあるかもと思ったのか否定せずにフドウに指示を仰いでみる。

 

「……どうなんだ?フドウ?」

 

「…」

 

 そう問いかけられたフドウはタングを凝視していて――

 

「……そうだな、それでいこう」

 

 そして、タングの案を滞りなく採用した。

 

「!あざッス!」

 

「じゃあ、どれを担当する?」

 

 自身の案を採用されたタングは少し得意になるのをよそに明日郎はそう問いかける。

 

「あぁ――それは」

 

 そして、フドウは今後の指針をタングと明日郎に指示する。

 

「――いいか?」

 

「おう!」

 

「はいッス!」

 

 指示し終えたフドウは確認してみる。その確認に2人が頷くのにフドウも頷き――

 

「よし……では、解散!!」

 

 その合図にフドウ達は散らばっていった――それぞれやるべき事を果たす為に……だが

 

「……チャ〜〜ンス」

 

 そんな中で駆けているタングの真剣な表情はフドウ達との距離が離れていくうちに少しずつ――ニンマリしていった。

 それもその筈。今身置かれている状況はタングにとっては都合が良かったからだ。何せ、彼は――

 

「これなら……こっちの仕事を果たせるんじゃない?」

 

 そう呟いたタングドーサムは――実は「CP9」の者であった。

 彼はペインと共に暴獣海賊団に潜入していたのだ。そんなところにこの出来事が発生してきた。

 

「……〝エッジオブパシフィック〟の奴らは始末したくても――」

 

「……その居場所が分からないし」

 

 タングはう〜んと思案する。そして

 

「……やっぱ、暴獣海賊団の弱体化の方をやりますか」

 

 そう判断を下したタングは続いて思案を続ける。

 

「今、分かっているのは――フドウと明日郎かぁ」

 

「……フドウは無理でしょ〜アレには勝てないし、戦っても大ダメージを負うのは確定だし!!」

 

「……やっぱ、まずは明日郎を始末すっか!!」

 

 最終的にそう判断したタングはニンマリしていた。

 

          ●

 

「……今のところ爆発が起こっていねぇようだし――オレの出番……ねぇなんじゃ」

 

 〝オーシャンヴァリー〟の中を駆けている明日郎はその状況に対してそう呟く。

 

「まぁ、事態が突然変わる事もあるからな……今のうちに備えておくか」

 

 そう気合を入れる明日郎――に近付いている影があった。

 

「(ごめんけど〜君は出番がないまま、ここでリタイアだよ〜)」

 

 そう、影――タングが明日郎を始末しようとしていた。

 さすがは「CP9」に所属しているだけはあって、明日郎に気付かれないように密かに動いていた。

 そのまま明日郎は誰にも知らされないうちに葬られようとしていた……

 

「(終わり〜〜!!)」

 

 つい気分が昂ってしまうタングの魔手が明日郎にかかろうとし――

 

「〝火龍〟!!!」

 

 突如明日郎に近付いていたタングに向かって龍の形をしている火炎が襲い掛かってきた。

 

「へ!?」

 

「あぁ!?」

 

 その火炎にタングも明日郎も驚愕せざるを得なかった。

 その火炎にタングがギリギリ呑まれかけているところを素早く撤退してみせた。

 

「オォ!?」

 

「!?タング!?」

 

 そんなタングの姿に気付いた明日郎もまた驚愕した。それに反応さえできない程に混乱しているタングは思わず絶叫せずにはいられなかった。

 

「な、何が起こったんだよ〜!!」

 

「それはネズミ退治だ――タングドーサム」

 

「「!?」」

 

 その絶叫に応えるかのように響かれたその声にタングと明日郎が目を見開く。そんな彼らの前に現れたのは――

 

「「フドウ!?」」

 

 そう――フドウが燃えている剣を手にしながら姿を現してきたのだ。

 

「……って、ネズミ退治?」

 

 ふと、明日郎はさっきの言葉に首を傾げる。その一方でその意味を理解したタングは冷や汗を流した。

 

「……あの〜」

 

「何だ」

 

 そして、タングが恐る恐る声を掛けてみるのにフドウはそう反応する。

 

「……もしかして――分かっていました?」

 

「あぁ……もっとも、気付いていたのはスサノオさんだ。オレはあの人から警告してもらっただけに過ぎない」

 

「……マジッスか〜」

 

 その思わせぶりな問いかけに対してのフドウの答えにタングも頭を抱えてしまう。

 その一聞訳が分からない会話に疑問符が絶えない明日郎はその根本を知る為に口を開かずにはいられなかった。

 

「おい!!何がどうなってんだ!!?」

 

 その問いかけにフドウはやっと気付いたかのように明日郎は視線を向ける。

 

「あぁ……コイツがオレ達――暴獣海賊団に潜ろうとしたネズミだった、ただそれだけだ」

 

 フドウがあっけらかんとそう言うが、その内容に明日郎も呆気に取られた。

 

「……へ!?」

 

 タングがスパイだった――その事実が明日郎には信じられず、すぐ彼に視線を向けてみるが……

 

「あはは……バレたみたいッスね」

 

「……あ゛ぁ゛?」

 

 その後ろめたく思わなく、何か言い訳さえもしないあっけらかんとした様子に明日郎もすぐ怒りが湧き出てきた。

 だが、その怒りを気にしないタングは愚痴を言い始める。

 

「……っていうか〜!僕の正体を見破ったなんて、どれだけなんだよ〜!!スサノオって奴は!!」

 

「フッ、それこそがスサノオさんだ――常識で測ろうとするのがどうかしてる」

 

「……それで納得できるのが怖いッスけど……」

 

 自身を見通したスサノオを恐れ入れずにはいられないタングにフドウも誇らしげにそう言い張った。

 そのおかしげな屁理屈にタングも思わず納得できかけていた。

 

「……待てぇ!!」

 

 そんな会話に明日郎も待ったをかけずにはいられなかった。

 

「うるせぇな……シシリアンの真似か?」

 

「あぁ!?なぜオレがアイツの真似――じゃなくて!!」

 

 その大声に顔をしかめるフドウからそう言われたのに明日郎が乗りかかるもすぐ我に返り――

 

「この野郎がスパイだったのはスサノオさんが気付いていた――のはいいとして」

 

「なぜ、あんただけが教えられたんだ!?オレ達も教えてもらってもいいんじゃ――」

 

 スサノオがフドウだけに教えたという事実が明日郎には気が食わなかったらしく、そう言い張った。それに対してフドウは――

 

「……知れた事」

 

「お前は嘘が下手だからだ」

 

「!!……ぐぅぅ!」

 

 キッパリと言い放たれた理由に不満を感じていた明日郎も口をつぐむしかなかったのだ――

 そうだ。スサノオがタングがスパイであると考えていても、あくまで推測の域を越えない。

 その本性が露わになってくるのには慎重に動かなければならない必要がある。

 そして、それができるであろうフドウにその可能性を教えたに過ぎなかった。その一方で明日郎に教えていなかったのは彼が良くても悪くてもまっすぐである為に――芝居が下手だからだ。

 タングに探られてるのを悟られなければならない役割は明日郎には不適格なのである。

 

「〜…それはいい!それより今は――」

 

「あぁ」

 

 しばらく悔しがる明日郎だが自身のやるべき事を思い出したのか、すぐ真剣になる。

 その意図を勘付いたフドウも頷きながら視線を向ける。

 

「…」

 

 その視線先に立つタングは冷や汗を流していた。

 

「……覚悟はいいか?」

 

「……暴獣海賊団に潜ってスサノオさんに害をなさそうとする不届き者は――裁く」

 

 暴獣海賊団の敵であるタングにフドウと明日郎はもちろん容赦するつもりはなく、それどころか叩き潰そうとする。それに対してタングは――

 

「――やってやら!!」

 

 腹をくくり、2人を返り討ちにしようとする――

 

          ●

 

 そうして、タングはフドウと明日郎達によりページワンとリングの所まで強烈な勢いで吹っ飛ばされていたのだ。

 

「……なるほどな――お前らしいな」

 

「そう言わないで〜リング」

 

 その事情を理解したリングはある意味タングらしい事態に呆れながら苦笑した。

 その態度にそう文句を言うタング。

 ――その2人は身を置かれている状況に反して少し和気藹々としていた。

 まぁ、それもその筈。この2人は同じ「CP9」に所属している故の顔知りであるのだから……その一方で

 

「アイツ――スパイだったのか!」

 

「そうなんだよ……ナメたマネしやがって」

 

「それで――分かるな?ページワン」

 

 同じくその場に続いて現れてきたフドウと明日郎から事情を聞いたページワンはその内容に驚愕せざるを得なかった。

 そしてフドウからそう言われたページワンは震えながら――顔を上げた。その顔は――怒りに満ちていた。

 

「あぁ!!オレ達をナメたマネ――思い知らせてやる!!」

 

 そう目を血走らせるページワンは素早くタングを睨み付ける。それにつられてフドウと明日郎も視線を向けていった。

 そうして殺気出すフドウ達にタングとリングも身構える――

 

「……久しぶりの連携だ――ヘマするな」

 

「分かってるよ!」

 

 

――暴獣海賊団に潜っていた影はその落とし前をつけられようとしていた……

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