ONE PIECE 荒ぶる暴獣の猛威   作:ウェイブロック

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第96話〝結びつき〟

「タング……フドウはオレがやる」

 

 害心を持って暴獣海賊団に潜入していたという事実に殺気立っているフドウ達を前にしているリングとタングは密かに議論していた。

 

「だから、他は任せる」

 

「OK!」

 

 リングからのその指示にタングも了解する。その途端に2人揃って姿を一瞬で消す。

 

「「「!!」」」

 

 その瞬間フドウの前にはリングが、明日郎の前にはタングが姿を現してきた。

 目を大きく見開く明日郎とページワンに対してタングはニンマリとしていた。

 

「まずはあんたぁ!!」

 

 そう吠えたタングは明日郎の胸を刺し貫かそうとし――

 

「―〜オラァ!!」

 

 だが、明日郎は彼に向かって炎の剣を素早く勢いよく振るった。

 

「オォ!!」

 

「ハッ!!やはり、まずはこのオレを狙ったか!!」

 

 その炎の剣をただ身に受けたタングに明日郎は獰猛な笑みを浮かべていた。

 無論、最初に自身を狙う理由も理解できていた。

 そう――炎の剣を取り扱う明日郎は〝ショクショクの実〟の能力者であるタングにとっては相性が悪いのだ。故に――排除しようとしてくるのも予想できる。

 

「だが!さっき能力をみせたのがマズかったな!!」

 

 さっきタングが能力を発動させたのを目視できた明日郎は彼がどう来るのを容易く予想できたのだ。

 

「焼き尽くしてやる!!」

 

「オォ!!」

 

 タングに対して容赦するつもりが全くない明日郎は自身の刀を激しく燃え盛らせていく――

 

「オォ!!」

 

「……あぁ!?」

 

 だが、その手応えの異常さに明日郎は気付く――タングの身体には何かが纏い付いてて、それが彼へのダメージを弱めているのだ。

 

「――ハハッ!!」

 

 その何かに顔をしかめている明日郎にタングは隙ありだと攻撃を仕掛けた。

 

「ぐぅ!」

 

 その何かに関してつい思案せずにはいられなかった明日郎はその隙をまんまと突かれてしまった事で少し吹っ飛ばされてしまう。

 そんな彼にタングは追撃しようとし――

 

「…!!」

 

 その様子にページワンがすぐタングを倒そうと動き出すが、それに気付いているタングは次の手を打った。

 

「そうはいかないッス!」

 

「!?ぐぉ!?」

 

 ――タングの背中から生えてきた大口のような形になっている葉――捕虫葉がページワンを噛み付こうとしてきた。

 

「――オォ!!」

 

 その噛み付いてくる捕虫葉に対してページワンは――それぞれの牙を掴み、それに力を込める事で噛み付かれるのを防いでいた。

 

「!!チィィ!」

 

 その様子に起き上がってきた明日郎がなんとかしようとし――

 

「ムダッス!」

 

「……ッツ」

 

 だが、そんな彼をタングの身体から新たに生えてきたツタが絡まり身動きを封じた。

 なお、そのツタにも何かが纏い付いている為に明日郎の炎の剣をものとせずに彼を拘束できているのだ。

 

「何だぁ!!これは!!」

 

「これはリングからの贈り物ッス!」

 

 その何かの正体を掴みきれない明日郎に対してタングは素直に説明する。

 

「僕はリングより弱くてね――だからリングが僕に力を貸してくれているんだ!!」

 

 そう説明するタングはまるで自分の事のように自慢気だった。その様子に明日郎も引っかかる。

 

「〜〜……テメェらは妙に仲が良いな!?」

 

「あ!分かる?――そうなんだよ!」

 

 その問いかけにタングは嬉しそうに笑みを浮かべる。それもその筈。

 

「僕達は――双子なんだからッス!!」

 

 そう、タングドーサムとサブリングワル――彼らは双子である。

 双子である故に彼らの絆は固くて、よく一緒にいる程だ。むしろ今回のように2人が離れ離れになるのが少ないぐらいだ。

 

「――でも!僕達がこうして揃っている以上!結末は絶対だ!!」

 

「あぁ!?」

 

「ぐぐ……」

 

 そうドヤ顔をみせるタングに劣勢を強いられている明日郎とページワンは顔をしかめていた――

 

          ●

 

 一方でフドウはリングと激突しているが――

 

「ぬぅ?」

 

 体術を実演してみせているリングに対して「降魔」を振り回しているフドウは自身の腕に――否、身体に何かが纏い付けてきているのに気付いた。それは――

 

「……粘液?」

 

 そう見当を付いたフドウに対してリングは冷静に肯定する。

 

「あぁ……これこそがオレの能力――」

 

「〝ゲルゲルの実〟だ……!」

 

 

サブリングワル――

 

彼は〝ゲルゲルの実〟を食った「スライム人間」なのだ。

自身の身体をスライム――液体の性質である粘性と固体の性質である弾性の両方の性質を合わせ持つ「粘弾性物質」に変えられる。

 

 

「いくら、お前の自慢の炎でもそう簡単に焼けると思うなよ」

 

「……それで、そのスライムをタングに授かった――という訳か」

 

 そう言い放つリングにフドウは一瞬タング達に視線を向けながらそう指摘する。その内容にリングも否定しなかった。

 

「まぁな、タングの奴は調子に乗りやすくてな……そのサポートの為にオレの一部を与えたまでだ」

 

「そうか」

 

 そう説明するリングにフドウは一応反応を見せながらも思案に耽けていた。

 

「(スライムだと――剣じゃ斬りにくくなるだろうな……そもそも熱に弱い筈だが――このオレの炎でもなかなか焼きにくかったな)」

 

 明日郎の炎の剣、そしてフドウ自身の炎もリングのスライムには効きにくかった。むしろ、軟らかくなった事でますます厄介になっている始末だ。

 そんな能力を持つリングに対しての対応に関して思案しているフドウの姿を目にしている彼はその隙を逃さずに攻撃を仕掛けていった。

 

「食らうがいい!!!」

 

 リングの掲げた手から多量のスライムが湧き出て、強烈な勢いでフドウに襲い掛かった。

 

「!!――フン!」

 

 それに対してフドウは燃え盛っている剣を勢いよく振り回す事で対応するが……

 

「チッ!」

 

 その燃える斬撃を受けたスライムはそれでも効かなかったかのように勢いが弱まる事はなかった。

 それどころか、切り離された数々の小さなスライムが全てフドウの身体に寄りかかり――それが膨張していった。

 

「ぬぅ!」

 

 自身をスライムに寄りかかられる事で身動きを封じられてしまうフドウにリングは宣する。

 

「……ルナーリア族だろうが――倒せない事はない」

 

 そう告げるリングが掲げたもう片腕からさらに多量のスライムが湧き出てきた。

 

「とりあえず、まずは動きを封じておく」

 

 そうリングは出させているスライムをそのままフドウに向かって振り下ろした――

 

          ●

 

「まぁ――大人しくエサになりな!」

 

 そうタングは明日郎を縛っているツタから捕虫葉が生え――明日郎の顔を噛み付こうとする。

 自身を噛み付こうとする捕虫葉を凝視する明日郎だが――ただで済む男ではない。

 

「〝紅蓮〟!!!」

 

 明日郎が手離れない刀が突如爆発を起こした。

 

「ぎぃ!」

 

 その烈しさは明日郎自身をも焼いてしまったが……その甲斐はあって、捕虫葉と身動きを縛っているツタも焼き飛ばされていた。

 目を見開くタングに明日郎は更なる技を放つ。

 

「〝火産霊神〟!!!」

 

 その巨大な竜巻状の炎を纏わせる刀がタングを灰燼に帰そうとする。

 

「こうなったら――なんとしてでも焼き尽くしてや――……!!」

 

 そう言い放つ明日郎だが、突如その身体に衝撃が走らされた――鳩尾辺りを貫かれたのだ。

 そして、それを貫いているのが――

 

「……リングの手を焼かせてしまったッスね」

 

 タングをサポートしているリングの一部であった。

 それはタングの危機を勘付き、自動的に彼を守る為に明日郎に攻撃を放ったのだ。

 ただ、さすがに〝火産霊神〟の熱によって溶けざるを得なかった。

 

「〝ワン刃〟!!!」

 

「!」

 

 といえ、大ダメージに少しよろめいてしまう明日郎の姿に少しホッとするタングに新手が現れた。

 ――捕虫葉から逃れられたページワンが背の帆を回転させながら自身も回転させてタングに向かっていたのだ。

 そんなページワンの攻撃にタングも動揺した。

 

「オ、オォ!?」

 

 だが、動揺した事もあってタングの身体が激変していた――それは身体の大部分を植物と化している上に大きな捕虫葉が3枚も生えてきた。

 

「オォォォ!!」

 

 その3枚の捕虫葉がページワンの〝ワン刃〟を迎え撃とうとする。

 

「――オラァ!!」

 

 それを感じ取れたページワンは自身の回転の勢いを増していた。

 そうして強化された〝ワン刃〟を捕虫葉は――噛み付いた。

 

「オォォォ!!」

 

「アァァァ!!」

 

 しばらく2人の張り合いが続けられる――

 

「――!!」

 

 だが、2枚の捕虫葉の噛み付き力によりページワンの回転が少しずつ弱められ――やがて止められた。

 といえ〝ワン刃〟の威力に2枚の捕虫葉も敵わなくて、だらんとしていた。そんな捕虫葉からページワンがただ離れていった。

 

「……!!」

 

 だが、まだ生きている1枚の捕虫葉がページワンを噛み付いた。

 

「オォォ!!」

 

 その捕虫葉の噛み付きにページワンが身構えておく事で耐えてみせた。

 

「オォォ!!」

 

「アハハ!!」

 

 なんとか踏ん張っているページワンをタングはまるで混乱しているかのように笑いながら強く噛み付こうとしている。

 しばらくそう張り合っているが……

 

「〜〜シャア!!」

 

 〝動物系〟、それも〝古代種〟の能力者であるページワンはその力を発揮して捕虫葉を強引に開け、そこから逃れてみせた。

 その力にタングも驚愕するが……

 

「……でも、五体満足でもないみたいッスね」

 

 今のページワンの姿を目視するタングは安堵の笑みを浮かべた。

 それ程に彼は今重傷を負わされていた。

 

「〜〜……テメェにしては強ぇな!」

 

 自身を今の状態に追い詰める程のタングの力にページワンも驚愕せずにはいられなかった。

 その様子からタングも得意気にしてしまう。

 

「――思い知ったッスか!僕の強さを!」

 

 そう宣したタングはページワンに追撃を加えようと自身から新たな捕虫葉を生えさせ――

 突如衝撃が走った。

 

「……!?」

 

 目を見開くタングの胸には――刀が生えていた。それを握っているのが――

 

「ハァ〜……」

 

 ――明日郎だった。

 ダメージを負わされている彼はそれでも踏ん張り――タングを刺し貫いたのだ。そして

 

「〝紅蓮〟!!!」

 

 その体中を刺し貫いている刀が爆発を起こしてみせた。

 

「ギャアアア!!?」

 

 その体中からのあまりな痛みにタングも悲鳴を上げずにはいられなかった――

 

          ●

 

「こんなものか」

 

 そう呟いたリングの視線先には――大きなスライムの塊があった……

 実はそれこそが――フドウを封じている檻として化されているのだ。

 

「さて、タングは――」

 

 対峙している中で最も厄介なフドウを抑え付けられたリングはまだ対応しているタングの所にすぐ向かおうとするが……

 

「!?」

 

 リングが素早くスライムの塊に素早く視線を向ける――それから違和感を感じてきたからだ。

 現に――その塊が気のせいか、赤く光っているような気がして――

 

 突如爆発してきた。

 

「!?」

 

 その突然の事に驚愕せざるを得なかったリングの前に発生してきた炎の中から――フドウが姿を現してきた。

 ――実はフドウは〝炎熱地獄〟を発動させた事で自身を封じているスライムの塊を焼き飛ばしたのだ。

 そしてフドウは――「羂索」を手にし、それを勢いよく投げ込んだ。

 

「〝竜巻地獄〟!!!」

 

 その「羂索」がリングの周りを回転しながら――炎を勢いよく放った。

 そうして発生した竜巻状の火炎がリングを包み込んだ。

 

「ぐぅ!?」

 

 その火炎の烈しさにリングも根を上げかけるが――

 

「ナメるな!」

 

 ――リングは凄まじい速度で脚を振り抜く事で扇状の鎌風――〝嵐脚〟を放った。

 その〝嵐脚〟が〝竜巻地獄〟を切り破ってしまった。それに笑みを浮かべるリングだが、その笑みが突如凍る事になる。

 ――フドウは深く腰を落としながら「降魔」をリングに向け、それに軽く右手を添えたという姿勢で身構えていた。

 

「〝飛火龍〟!!!」

 

 フドウが強烈な勢いで突っ込んでいった剣からその勢いで放たれた火炎がレーザーのようにリングの胸を貫いていった。

 

「が、がぁ……!?」

 

 そのあまりに鋭利な熱さにリングも声にならない叫びを上げずにはいられなかった。

 その様子にフドウも笑みを浮かべる。

 

「……オレの炎を収束させるものならどうだと思ったが……効いているな」

 

 フドウの炎に効かないように見受けられるスライムだが……実はその熱に当てられるうちに少しずつ溶けていく程だ。

 なら、さらに強い熱量をリングに食らわせばいい――そう判断したフドウは自身の火炎を全て「降魔」に込め続け――それを一気に発揮してみせたのだ。

 そうして放たれたその熱にリングも大ダメージを負わされずにはいられなかった。

 

          ●

 

「ギャアアア!!?」

 

「が、がぁ……!?」

 

 その鋭いダメージにより身体を固まらせざるを得ないリングの所にタングが勢いよく吹っ飛ばされていた。

 

「が…だ…タング……!」

 

「り、リングゥゥ!?」

 

 リングとタングは互いに相手の状態に目を見開く。そんな2人にもちろん、フドウ達が近付いていた。

 

「ハァ…ハァ……いてぇな!クソッタレ」

 

「……だが、ここまでだぜ……!テメェら……!」

 

「今こそ――裁きを受けてもらうか」

 

 リングとタングの予想以上の強さにより少なくはないダメージを負われてしまったフドウ達だが、それでも2人に大ダメージを食らわしてやった上に今まさに追い打ちできる時点で優勢だった。

 

「「ぐぅ!」」

 

 一方でリングとタングは劣勢に陥ってしまったという事に焦燥せざるを得なかった。

 もはや、その2人はフドウ達に撃破されるのか――と思われたら

 

「…?」

 

「な、何だ?身体が……」

 

「鈍くなっている……」

 

 フドウ達の身動きが――なぜか鈍くなっていた。その様子にタングは目をキラリとした。

 ――実はさっきからタングの葉から匂いが放たれてきているが……それは吸った者を眠りに誘う効能を持っている。

 そんな匂いを吸い続けていたフドウ達は今頃、やっと身動きが鈍くなってしまった。

 

「今ッスよ!」

 

「ぐ……」

 

 それを隙だと見たタングは素早く起き上がり、リングを連れていった。

 そのまま2人はその場から撤退しようとするが――

 

「「待てぇコラァ!!」」

 

 突如リングが吹っ飛ばされた。

 

「な、何だ!?」

 

 それにつられて倒れたタングが視線を向けてみると――

 そこにはいつの間にか復活したノーグルとアルベリヒが不敵な笑みを浮かべながら立っていた。

 そう、状況に違和感を覚えたアルベリヒはさっき来ていたのだ。そこにちょうど気絶していたノーグルが意識を取り戻していて、心配してくれたアルベリヒに状況を説明したのだ。

 そうしてノーグルとアルベリヒはリングとタングの前に立ち塞がる事になったのだ。

 

「おいおい〜オレ達への挨拶はまだだぞ?」

 

「そうそう〜辞めるなら挨拶かま必要だろ〜」

 

 不敵な笑みを浮かべながら額に青筋を立てているノーグルとアルベリヒはスパイ行為を犯したリングにもちろん、その落とし前を付けようとしていた。

 そんなノーグル達の姿にリングとタングは歯を食いしばり――

 

「「く……オォ!!」」

 

 それでも抵抗を試みるが……

 ……まぁ、他愛なく吹っ飛ばされました。

 

 

『暴獣海賊団 フドウ&明日郎&ページワン

  &

〝エッジオブパシフィック〟ノーグル&アルベリヒ

  VS

 CP9 サブリングワル&タングドーサム』

 

『〝エレインホール〟

「ある廊下の戦い」』

 

『勝者 フドウ&明日郎&ページワン&ノーグル&アルベリヒ』

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