X783年――
氷の大地――
見渡っても氷と雪だらけの大地をある少女と猫が歩いていた。
「う〜寒いね……「シャルル」」
「……だからやめようと言ってるじゃない……「ウェンディ」」
「そう言わないで!これは「化猫の宿」の大切な仕事なんだから」
「でも……いくら衣服を届けるだけの仕事といえ……」
「この氷の大地に住んでいる人に届けるなんて!大人に任せるべきよ!」
なんか喋っている猫――「シャルル」は受け負った仕事に関して文句を言い続けているのに対して少女――「ウェンディ」はあせあせしながら落ち着かせようとしていた。
無理もない。人に衣服を届ける為に氷の大地を歩きなければならないのだから。
氷の大地だけはあって寒さに参っているシャルルがイラつきを抑えられないようだ。
「衣服を届けた礼に火のラクリマをもらってるし、もう文句はやめよう」
「いや、そういう意味じゃない……はぁ〜さっさとここから出よう!」
一応火のラクリマをもらって、それで冷えている身体を温めているようだ。
機嫌が良くないシャルルに苦笑するウェンディもその言葉には同感なのか足を早めている。
「――そうだね、ここから出――」
そこまで言いかけたウェンディが突如足元の氷が崩壊されて、その奥に落ちた。
「ウェンディ⁉」
「ギャアアアアア!?」
ウェンディが悲鳴を上げながら落ちていった。
ただ不幸中の幸いか、そこまで深くはなかったようで地に足が着いた。
「〜〜痛い……」
「ウェンディ⁉無事なの⁉」
氷の大地に開けられた穴から覗いたシャルルの声にウェンディは応えようとする。
「大丈夫―…ぎゃ⁉」
「ウェンディ⁉どうしたの⁉」
突然ウェンディが悲鳴を上げたのに驚愕したシャルルは疑問を投げる。
ちなみに背中から白い翼が生えてウェンディの落ちた先に降りてきた。
「み、見て……」
「……!」
ウェンディが指差す先をシャルルが見てみると目を大きく見開く。
2人の視線の先には――
「…」
少年が封印されている氷の塊が存在していた。
「こ、これって……!?」
「……分からない……けど」
その景色に驚愕するシャルルを他所にウェンディが真剣な表情を浮かべる。
「助けようよ」
「⁉……またぁ?これは流石に人を呼ぶべきよ」
「いいえ!早く助けなきゃ!ちょうど火のラクリマを持ってるし」
シャルルが意見を言ってもウェンディは方針を変えない……氷の中に封印されている少年を助けるつもりだ。
「……はぁ~〜じゃあ、さっさとしよう」
●
「……ん、ん~~」
少年が目を開ける――
「……あん?なんだぁ?」
起き上がった少年が自身の置かれている状況を把握しようと周りを見回す。
すると――
「あ!起きたんだね!」
「やっとね、寝坊さん」
少年に声掛けるのが少女と猫の2人。
「!?……お前らは?」
「あなたを氷から助けてあげたの、感謝しなさいよ」
「シャルルは!……ごめんね、私はウェンディ・マーベルよ。あなたは?」
ウェンディから微笑みながらの問いに少年は応える。
「オレか?オレは――」
「カイだ」