転生したらトカゲさんだった件   作:蓮太郎

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第十六話 大きな力✖️2

 

 リムルより先に超高速で近づいてくる生命体に接近した。

 

 向こうも俺に気づいたようで超高速のまま降りてくる。

 

 流石に俺に着弾しないようで、俺の目の前に衝撃波と共に降り立った。

 

 巻き上げられた土や小石が身体に当たるが気にしない。この程度はダメージもならないのだから。

 

 土煙が晴れて、そこに佇んでいるのは桃髪の少女。だが雰囲気は全く隠しきれていない。

 

 この世界に来て、これほどの強者を見たことがないと言わんばかりの圧。リムルは軽く上回っているから間違いなく魔王。

 

「初めまして、ワタシは魔王、ミリム・ナーヴァだぞ!」

 

 トテトテとこちらに近づき、身長は俺よりも低いため下から見上げて、そして首を傾げた。

 

「む?この街で一番強いのはスライムではなかったのか?」

 

「俺だって強いが、真の強者は力をひけらかさないだろう?」

 

「それもそうなのだ!でもワタシの『竜眼(ミリムアイ)』の前で魔素量(エネルギー)を隠せないが?」

 

「…………まあ、魔法職でもないから当然だろ?」

 

 魔素、俺の視点だと魔力になるのだが、俺のビルド上は魔力はあまり必要が無いため、逆に魔力を縛って攻撃力や素早さを上げる装備をするから隠すも何も、そもそもの量が少ないのだ。

 

「ふむ、まあ今はともかくスライムはどこなのだ?」

 

「もう来るぞ」

 

 ポヨポヨポヨと高速で走ってきたリムルがやって来た。

 

 全速力で走ってきたせいかすっごくぷるぷるしている。いや、走るよりもっといい方法なかったのか?

 

「えーと、メルト、その人は?」

 

「魔王ミリム様だ。跪けスライム」

 

「なんだそのノリは」

 

「悪い気はしないぞ!」

 

「冗談だ。で、何の用だ?」

 

「手のひら返しがはやいのだ」

 

 役者がそろったので話をしよう…………と思ったがミリムがリムルを持ち上げてポヨポヨしている。

 

 分かるぞ、そうしたい気持ち。リムルって動き回る割にひんやりしてるし弾力もある。

 

 シオンやシュナが独り占めしたいと言わんばかりに抱っこしてることも多いからな。

 

 そして『竜眼(ミリムアイ)』とやらでリムルが微妙に隠しきれてない魔素量を見抜かれ、さらに『豚頭魔王(オークディザスター)』を喰らったことまで見抜いた。

 

 先程からの立ち回りで敵意はないし、別に『豚頭魔王(オークディザスター)』に関連する報復ではなさそうだ。

 

 なら安心安心、と思っていたら突然ミリムが奇襲された。

 

 下手人はシオン、いきなりどうした?ミリムの方は悠々と片手で受け止めていたが。

 

 何が起こったか分かってないリムルがランガに咥えられてその場から離脱。ソウエイが糸でミリムを拘束してベニマルの黒炎で焼く。

 

 君たち何か勘違いしてないか?あの魔王は粛清とかじゃなくて単純に遊びに来ただけだろう。

 

 そんな彼らの渾身の攻撃も全て無傷。むしろミリムが大量に放出した魔素に当てられて動けなくなった。

 

 あーあ、無茶するからそうなる。

 

 だが気持ちは分からんでもない。いつだったか適正レベルじゃないのに俺に挑んでしまって大事なアイテムを落とすまいとして必死になってた姿を思い出す。

 

 なおしっかり倒した上に大事なアイテムを落とした模様。

 

 さて、この盤面どうするか?

 

 ここで戦ってもいいが、被害が出るのは間違いない。

 

 今のような本気を出してないなら今のままでも対応はできるが、向こうが本気を出したらこちらも本気を出さざるを得ない。

 

 そうなれば『伝家の宝刀』を抜かざるを得ない。むしろ抜かねば無作法というもの。

 

「俺がやる。特にメルト、今は手を出すなよ?」

 

「そうか、危なくなったら出すことにしよう」

 

 考えていたらリムルが前に出た。

 

 何かを決めたような顔で、しかし確実に本人に何かの策はある。

 

 少し甘い匂いがするな。香水でもつけたのか?

 

 なんかリムルが勝ったら手を出さない、ミリムが勝ったらテンペスト丸ごと部下にするみたいな賭けをやってるけど、本当に大丈夫か?

 

 今のリムルでは武力だと間違いなく勝てない相手だ。これからどう出る?

 

 本人、いや本スライムが言った一つだけの手段。ミリムに駆け出して、そして口の中に何かを放り込んだ。

 

 そして離れるリムル。ああ、そういうことか、完全に理解した。

 

 変化はすぐに起こった。何が起きたか分かってないミリムがぷるぷると震えだし、叫んだ。

 

「あまーい!なんなのだこれは!こんな美味しいものは初めてなのだ!」

 

「知りたいか?それの正体が」

 

「なるほど、お前もハチミツを入手してたのか」

 

「そうそう…………何でメルトが知ってるんだ?」

 

「俺にもコレがあるからな」

 

 そう言ってミリムに圧縮して固めたハチミツ飴を見せつける。

 

 花粉入りではあるが、この花粉がコリコリして美味いんだよ。

 

「どうだ?要るか?」

 

「欲しいのだ!」

 

「じゃあ勝負はリムルの勝ちでいいな?」

 

「う、うぐぐ、引き分けでどうだ!今回のことは不問にするのだ!な、なんなら今後ワタシがお前たちに手を出さない事を誓おうではないか!」

 

 取引は上手く行った…………ついでに他のみんなに手を出さないようにできるとは。美食万歳。

 

 さて、問題の火種が舞い込んだことだが、これから始まるのは美味しいもの巡りと見て間違いない。

 

「よし、なんか美味いものでも買いに行くか。リムルの国はいいぞ、美味いものがたくさんある」

 

「本当か!?案内するのだ!」

 

 子供のように目をキラキラさせて俺の言葉に食いついた魔王様だが、食生活どうなってたんだ?

 

 だが、食事で釣れるならいいだろう。

 

 政治的な問題が起きたらリムルに押し付けたらいいし、頑張れリムル。

 

 こうして、魔王ミリムをテンペスト連邦国へ案内することになる。

 

 何度でも言おう、美食万歳!

 





 美味しいものは世界を救う。これは常識である。

 でも不味いものは世界を滅ぼすことだってあったりするのかもしれない。

 しれっとミリムからでも実力を測れないステルス性能をしているメルトですが、平時から見つかった状態だと休んだりプライベートを満喫できないからです。

 これはレイドボスイベントが終わった後でもログイン時間中常に戦闘状態だったため一プレイヤーを守る特別措置として実装された。

 無論、一プレイヤーをひいきするのかと批判を浴びたがバグの存在を隠す保身のためにあえて受け切った。

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