転生したらトカゲさんだった件   作:蓮太郎

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第二話 第一村人、いや第一トカゲ発見?

 

「速い!動く!息苦しくない!生の空気サイコー!」

 

 草原を残像出しながら反復横跳びしている不審リザードマンが私です。

 

 なんて冗談を言えるくらい身体が健康過ぎて動きまくれる。

 

 シャドーボクシングするだけでもソニックブームが起こるし、これでまだ本気でないということが末恐ろしい。

 

 この身体は間違いなく俺が『ユグドラシル』で使用していたアバター、メルト・ダウンに違いない。

 

 メルト・ダウン、俺が気が滅入りかけていた時に始めたリザードマンのアバター。滅茶苦茶捻くれてた時期だったから自分の名前を皮肉にした思い出だ。

 

 戦闘センスが直結するゲームだったから、無駄にセンスがあった俺は結構戦えて滅茶苦茶ハマったんだよな。

 

 その結果、どうせ先がないからって廃課金になって色々なアイテムとか集めたなぁ。

 

 極め付けに『流れ星の指輪(シューティングスター)』で「俺をボスにしてくれー!」って太古の漫画のように頼んだらOK出たし。

 

 その結果、プログラムの問題で完全なボスにはなれなかったが、運営特有の悪ノリが乗って誕生したのが非公式レイドボスである。

 

 それでイベント一つ発生したし、ひっきりなしに襲い掛かられたからめっちゃ大変だった。

 

 でも楽しかった。レイドボスモードとかかっこよすぎて仕事と最低睡眠時間と食事と排泄以外ずっとやってたなぁ。

 

 …………そう、俺はまだ変身を一つ残している。

 

 さっき言ったレイドボスモードがそれだ。今でも十分に強いと思うが、レイドボスになれば全ステータスは一部を除き格段に上昇し、俺だけの特殊技を使えるようになる。

 

 このスキルは強すぎる。本当に危ない時にしか使わない、というか使えない。

 

 スキルとか確認できるのか?と思ったら普通にコンソールを開くことができた。

 

 変なスキルが増えてたりは…………特にないな。逆に減ってもないし、手加減スキルも残ってるから万が一は基本的に起こらないだろう。

 

 アイテムも残ってるな。課金アイテムから使えないパーティグッズまで残ってる。

 

 これもレイドボスになった後に挑まれまくった際、相手が落とすアイテムが山のように溢れかえり運営と相談した結果、課金アイテムと引き換えにアイテムボックスを拡張してもらった。

 

 これも全部何らかの効果はあるから下手に出せないな。

 

 酒は飲んだ事はあるがすぐ二日酔いになるからほとんど飲まないんだよな。

 

 こういったアイテムは低レベルなら使うことはあるが高レベルになると全く使わなくなる。

 

 まあ、非常食として取っておこう。素材も基本的に使わないものだし。

 

「森、か」

 

 気づけば草原から結構進んで森の付近まで来ていた。

 

 ここまで来たら何かの縁だ、そのまま森を探検してみよう。

 

 VRと違った生の森!こんなに木々が生い茂り、生きてるって感じがするのは初めてだ。

 

 虫とかいるのかな?でっかいカブトムシとか居たりするのかな?元の世界は空気が汚染されてるから昆虫類は軒並み絶滅してるんだよな。

 

 そんな空気の中でもガスマスクアリとはいえよく生き延びてるな人間。俺が言える事じゃないがしぶとすぎるだろ。

 

 初めて生の自然に触れるため期待を込めて一歩を踏み出そうとしたその時だった。

 

「あ!お前!何はぐれてるんだ!」

 

 突然の怒鳴り声に驚いたが身体は全く動じてない。

 

 これはあれか?精神攻撃に対抗できるスキルを持っているからか?

 

 装備も含めると全ての状態異常に対抗できる耐性を持っていると言って過言ではないが、こういう時まで影響されるのか。

 

 声がした方に顔を向ける。

 

 そこにはトカゲ顔の下級兵士っぽい鎧を着た生物がいた。

 

「これからゴブリンの村に行くってのに隊列を乱すな!鎧も何処に置いたんだ!」

 

「いや、知らんが」

 

「知らん、だとぉ!?ガビル様がこれから交渉に行こうってのに…………お前も世界の声に惑わされたか?」

 

「世界の声?いや、知らんが」

 

「まあいい、こっち来い!新兵の教育も楽じゃないぞ…………」

 

 何か致命的な勘違いが起きている。ガビル様が誰かは知らんがこいつの上司の名前らしい。

 

 彼、多分声からして彼で間違い無いと思うが同じリザードマンらしいが、なんか違うよな?

 

 彼らは意外と毛があるというか、髪の毛があるというか。

 

 俺の知ってるリザードマンは全身鱗で毛が1本も生えてない。つまり、別の種族か?

 

 それにゴブリンの村と言っていたから他の種族もそれなりの知性があるんだろう。

 

 しかし、交渉と言っても何かあるのか?この近くで何か異変があるらしいな。

 

 さっき言っていた世界の声と何か関係があるのか?俺は何も知らないが、いわゆる全体アナウンスみたいなものか?

 

 疑問は尽きないが、とりあえずついて行ってみるか。

 

 もしかしたら何かしらの文化交流が出来るかもしれない。今の所は俺の危機察知な第六感が働いていないから大丈夫だろう。

 

 この俺を叱りつけた兵士も隙だらけだし、恐らく低レベル。油断はしないが楽観視していいはず。

 

 こうして俺は彼らの部隊の最後尾に着くことになり、そしてゴブリンの村に行くことになった。

 

 彼らの言う世界の声が指していた対象が自分のことだとはまだ知らずに。

 




名称は一緒でも姿はかなり違う転スラ世界とオバロ世界のリザードマン。

外からは違うように見えても本人たちには似たようなもので違和感にほとんど気づかなかったりします。

そしてメルト・ダウンは普段からレイドボスと言うわけではなく、必要に応じて力を解放するタイプのレイドボスです。

ただし、危機察知はどちらも同じものとする。
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