転生したらトカゲさんだった件   作:蓮太郎

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第二十二話 天空は近いか

 

 なんかいつの間に騒がしいと思っていたら会議をしていた。

 

 はっきり言って知らん間だったのでこっそり聞きに行ったらカリュ何とかが復活したとかなんとか。

 

 周囲に話を聞いてみると、倒しても倒しても生命体もしくはその死体を依り代として復活する怪物らしい。

 

 なるほど、普通に聞いたらかなり厄介な相手だ。

 

 それ故に封印されていたとかなんとか。

 

 魔王に匹敵するという事は結構強いということ。うーん、気になる。

 

 ま、ミリムもいるし何とかなるだろ。それに、今回は俺も参加するつもりだし。

 

 だってこの森を支配していた暴風竜ヴェルドラの魔素の一部から産まれた怪物だぞ?

 

 これはもうそいつも『レイドボス』といって過言じゃないだろう。

 

「…………なんでそんなにうきうきしてるんだ?」

 

「ワクワクするだろう?相手は強大、複数の人数で挑むことが前提の敵だ。それってつまり」

 

「『レイドボス』、といいたいわけだな」

 

 俺とリムルの会話に一部がぎょっとしたような顔で見てきた。

 

 む、そういえば世界の声で『レイドボス』の話が拡散されていたんだったな。

 

 だが、既に相当な時間が経過している。今更そのことを覚えている奴もいるのか。

 

 しかし結局(レイドボス)を倒した報酬ってなんだろうか?

 

 『ユグドラシル』に居た頃は運営があらかじめ用意した神話級(ゴッズ)装備やアイテム、超低確率でワールドアイテムを譲渡するなんてこともあった。

 

 実は今もワールドアイテムを持ってたりするのだが、直接相手に効果がある物ではなく防御や回復、金策に使うようなものだ。

 

 流石に奪われたらヤバすぎる『聖者殺しの槍(ロンギヌス)』や『光輪の善神(アフラマズダー)』のような激ヤバアイテムはない。

 

 いくら運営とグルになっていても線引きする部分はあった。

 

 でもトチ狂ったワールドアイテムもあるので線引きはどうなってるんだと思っていたりもする。

 

 さて、ガリュ何とかの話だが…………

 

「俺が先手を取る。いいな?」

 

「いえ、これは私達の街の問題です。メルト様に頼るのは」

 

「わかった、じゃあ勝手に1発撃たせてもらう。だってお前らと関係ないって言うんだからな」

 

 ぴゅーっ、と練習した口笛を吹きながら周りの面々を無視して事前の打ち合わせで決められた場所へ向かう。

 

 それは街をつなぐ街道。かつて豚頭魔王(オークディザスター)の家臣であり名前を継いだゲルドというオークを筆頭に作り上げた綺麗な石畳の道。

 

 この辺りで街を除き一番開けた場所だからこそ皆が並んで戦えるという訳だ。

 

 しかし、ここも壊してしまうということになるからゲルドには悪いと思う。

 

 後で何か補填ができたからいいが。

 

「メルトは何故いう事を聞かないのだ?皆が口々に困ったと言ってるぞ」

 

 街道を歩いていたらいつの間にかミリムが隣にいた。

 

 魔王にずいぶん気に入られたな。そして、彼女も俺と同じ事を言われたんだろう。

 

 俺と違って小遣いとかないし、下手なことしたら多くの被害が出ることも多少自覚してるからこそ手を出せないんだろう。

 

 でもさ、普通国家存亡危機レベルのやつが来たら手を借りようと思わないのか?

 

 強さに自信があるのはいい、それでも相手が上回る可能性だって完全に否定できないし。

 

 最終兵器扱いでも、全てが終わった(リムルが討たれた)時点で出てきても意味がないんだぞ。

 

「大事なものを少しでも荒らされたくないからな。いや、戦うってなったら多少荒れるのはともかく、意地を張って被害を広げるのも嫌だし」

 

「それは皆も同じではないか?」

 

「だから、弱らせるために最初に1発放つんだよ」

 

「ワタシじゃダメなのか!?」

 

「手加減できずに一撃で消し飛ばしそうだからじゃないか?」

 

「わ、ワタシだって手加減の練習はしてるというのに…………」

 

 ずっとしょぼくれてるミリムだが、出番を奪って悪いが俺がやる。

 

「メルト殿!先走るのは水臭いぞ!」

 

「うわ、ガビルだ」

 

「うわとはなんだ!?うわとは!」

 

「ははは、まあまあ。それより何でここに?みんなはもっと後ろで迎撃するって話だろ?」

 

「それはもちろんメルト殿が前にいるからだ!デカブツには魔法はほとんど効かない上に、巨体ともあれば近接戦闘で苦労するのは明白、ならばせめてつゆ払いくらいさせて欲しい」

 

 走って駆けつけてくれたガビルだけでなく、彼の部下の蜥蜴人(リザードマン)竜人(ドラゴニュート)達が同意するように頷く。

 

 凄いな、普段はお調子者でも改めてカリスマ性はあるんだなって…………

 

 俺とは大違いだ。

 

「まあ、何だ。今は俺の後ろにいてくれ。とりあえずでかい一発をアレに叩き込む」

 

「アレ、ですか」

 

「ああ、遠くからでも随分禍々しいな」

 

 曰く、暴風竜ヴェルドラの魔素溜まりから発生した強力な魔物。この地に向かってくるのは、もしかしたら帰郷のつもりなのかもしれないな。

 

 そして、無遠慮に暴れつくしたという暴風竜の血を継いで荒っぽい所もあるようで。

 

 無秩序な殺戮は許容できない。全く厄介な生物として生まれてしまったな。

 

 では、こちらからの先制攻撃を放とう。なに、魔王と比較されるくらいなら本能で避けられるだろ。

 

 『ユグドラシル』じゃあ滅多に当たることは無い代物だが、景気づけに一発派手なのをぶち込んでやろう。

 

 まずはレイドボス化をします。皆が目を丸くしてこっちを見てますが気にしないでおきましょう。

 

 よし、かしこまった言い方はこれまでにして、腕をピンと横に伸ばす。

 

 チャージ時間はきっかり1秒。この間に攻撃されると回避行動をとるために中止されるが、この距離から向こうは攻撃するそぶりを見せないので十分な準備が出来た。

 

 後は腕を振りぬくだけ。

 

 決して欠かせない技名を口に出しながら。

 

「『手刀聖剣・エクスカリバァ』」

 

 そして、天を割る。

 

 

 





『手刀聖剣・エクスカリバァ』
メルトの必殺技の中で一番横に範囲が広い攻撃。
その威力は『次元切断(ワールドブレイク)』とほぼ同等であり、防御力無視と無敵貫通を持つため正面から受け止めるのは愚の骨頂と言われる。
弱点はチャージに1秒かかることと単純に腕を振るだけなので回避が容易という事。
タージ時間にメルトに攻撃をしかけると回避するので強制的に技が中断される。
攻撃の起動も非常に分かりやすいため、基本的には避けることを推奨される。
他レイドボスやワールドエネミー相手でも体力ゲージを最低一本消し飛ばす威力である。
一プレイヤーでは超特化しない限り体力で受け切ることは不可能。

 なお、手加減スキルのおかげでガリュなんとかさんとその依り代はかろうじて生き残る模様。

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