転生したらトカゲさんだった件   作:蓮太郎

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第三話 君、ディテール違うくない?

 

 特に理由もなく同じ組織と勘違いされたまま、この世界のリザードマンの部隊に着いていくとそこそこ発展してそうな村が見えてきた。

 

 アレがゴブリンの村か。思っているよりも普通というか、昔の人間もあんな感じで住んでたようなのを見た気がする。

 

 最後尾だからよく見えないが、入り口に誰か立っているな。

 

 人?いや、角が生えてるから鬼か。それが4人とゴブリンと、スライム?

 

 場違いに見えるが、俺の勘が一番強いのがあのスライムという事を告げている。

 

 スライムはなかなか厄介だからな。見た目は水っぽくても実際物理は通りにくいし耐久力だけでいうなら相当高い。

 

 例を挙げるなら『アインズ・ウール・ゴウン』のとこの盾役2人だな。

 

 腐食と単純な耐久で相手の装備を破壊して戦意喪失させる悪辣な手段をとっていた事を覚えている。

 

 俺は装備の制約上、小物ばかりだし武器も使わないから全然気にならないが。

 

 あの鬼に、何でスーツを着ているかは知らないが秘書っぽい女に抱っこされるくらいの大きさなら耐久型ではないだろう。

 

 たまにいるんだよな、魔法特化のスライム。耐久を犠牲にして魔力全振りで魔法をブッパしてくるやつ。

 

 恐らくあのスライムもそうだろう。そうとも知らず、リーダーらしいリザードマンは偉そうにしているが。

 

 ここまで来る間にヒソヒソ話していた内容を盗み聞きしたが、割とリザードマンがピンチという事は分かった。

 

 何万ものオークが侵攻しているとなると、流石に物量で押しつぶされると見た。

 

 というかオークが何万もどうやって集まったんだよ。ガチモンの戦争か?

 

 と、まあ彼らは戦力を欲しているわけで、自分が勝てないと分かっていながら自分よりも弱い相手を兵として従えたい訳だ。

 

 その結果、スライムでもなく鬼でもなく、まさかのゴブリン。

 

 体格も小さく素早いアタッカーと言ったところか。

 

 単純に剣を使うようだが、ああいうのは相当難しい。

 

 俺の場合は回避して殴る蹴る突くが基本だが、それは素手の話。己の肉体故に間合いは完全に把握している。

 

 だが剣はそうでもない。握れば身体の一部とはいうが、手を離せばそうではないし、年中無休で握って生活できるわけでもない。

 

 早く移動すればそれだけ剣を振るうタイミングも、間合いも測らなければならない。

 

 普通の戦士に比べたら難しい立ち回りを要求される。そうして俺に挑戦して散って行ったプレイヤーも多い。

 

「ぐっはぁーーーっ!?」

 

「「「ガビル様ーっ!?」」」

 

 思っているよりもあっさりやられた。

 

 多分、俺を除いたこの部隊で一番強かったリザードマンだったのだろう。俺からしたら弱すぎて話にもならないが慕われていたのは間違いない。

 

 小柄なゴブリンの方が強かった、ただそれだけだろう。

 

 上司がやられてドタバタと撤退するリザードマンを俺は眺めるだけだ。

 

 別に俺はアイツらの所に所属してる訳ではないし、別にいいかなぁって。

 

 そもそも俺は文明的な街に来たかったし、よく分からんが滅びる可能性が高い方に付くのは、どうかと思う。

 

 俺は強い、正直言って普通に暮らすにしては異常すぎる力を手にしてしまっている。下手に披露したら象徴だの敵だの言われて変な事になりかねない。

 

 実際、レイドボスになった後にリアルで襲われた事がある。

 

 嫉妬で俺を消してアカウントを乗っ取ろうとした馬鹿がいた。実際、いつ死んでもおかしくなかった俺は危機察知を駆使して何とか乗り越えたが。

 

 珍しく本当に死ぬかと思った案件で辛かった。しかも職場で起こったのに何の補填もないし逆に俺に罰則が降ったの覚えてるからな。

 

「で、お前は一緒に行かないのか?」

 

 ぼーっとリザードマンの撤退を眺めていたらスライムから声をかけられた。

 

 特に何もしてないし、何も反応していないから気になったか?

 

「あー、実は俺、あいつらと無関係でな」

 

「無関係?確かに鎧をつけてないし、よく見たら何か違うような?」

 

「あ、分かったっす!あいつ、毛が生えてない!」

 

「そこのゴブリン、お前の毛を1本残らず毟ってやろうか?」

 

「ひいぃっ!?」

 

 課金で当てた特殊エフェクトである『謎の眼光』でガビルとやらを倒したゴブリンに凄んでみた。

 

 めっちゃビビってて笑える。才能はあるんだろうけど、絶対に調子に乗って失敗するタイプだ。でもしぶとそうなのでこれ以上は何も言わない。

 

「冗談だ。俺は、旅をしていてな。遠い沼地からやってきたから毛がないんだ。ここら辺は乾いた場所が多いだろ?だから体毛を纏って熱を逃そうとしてたりするんだ」

 

 デタラメだ。リザードマンの行軍に混じってる間に考えた言い訳だ。

 

 よく考えてみろ、世界観が違うリザードマンの姿に差異があるだろう。それを言い訳にして出自を誤魔化す、完璧な作戦だ。

 

 ただ、マジの沼地リザードマンが出てきたら詰むものとする。

 

「そういう事でアテも特にないんだ。よかったら少しの間、泊まらせてくれないか?」

 

『告、沼地のリザードマンにも基本的に体毛があります。嘘をついている可能性、もしくはハゲている可能性があります』

 

 タダ乗りしようとしている際に、スライムの賢いスキルから酷い事を言われているのに気づいていない。

 

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