転生したらトカゲさんだった件   作:蓮太郎

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今回はリムル視点です。


第五話 ある、トカゲさんへの視点

 

 そのリザードマンは奇妙だった。

 

 突然(とは言ってもソウエイの事前報告があったが)やって来たリザードマンの中でもやや浮き気味であり、そして碌な装備が無いように見えた。

 

 他のリザードマンがガビルを持ち上げてる中でもやや離れた位置で傍観していた。

 

 まるで様子見をするかのように、ただいるだけ。

 

 ガビルらが撤退した後でも他人事のように眺めていたのが気になり、声をかけてみるとやっぱり別の所属…………と言っていいのか?本当に無関係なリザードマンだった。

 

 判断材料として、彼らと違い毛が一本も生えていないというゴブタの指摘通り、違う種族の可能性は高いが大賢者が言うには嘘をついている。

 

 見た目はここらじゃ見かけないような、砂漠に居そうな感じの鱗だ。

 

「俺はリムル、一応この村を統治してるんだ」

 

「ふーん、リムルって言うのか。俺はメルト・ダウンだ。よろしくな」

 

 こいつ、名前を持ってるのかよ!?

 

 明らかにモンスターな見た目をしてるし、旅をしていたようだから誰かに名前を付けられていても不思議じゃないか。

 

 名前を聞けたついでに目的も聞いてみたらなんもなかった。

 

 本当に内容がすっからかんで適当に生きているようにしか見えなかった。

 

 だが…………

 

『全く隙が見当たりません、立ち振る舞いも隙があるように見えて全方面に警戒しています』

 

『ソウエイの糸を避けられるくらいだからな。せめて後ろから刺されないように注意しといてくれ』

 

 正体不明の強者らしいのを放置しているわけにはいかなかった。故にメルトでも分かる位警戒されていた。

 

 露骨すぎて逆に吹っ掛けられてしまうくらいには。

 

 確かに実力は測っておきたいのは事実だ。少しでも戦い方を学べたらいいな。

 

 解析は大賢者がやってくれるし。

 

 そうやって始まったベニマルとメルトの手合わせだが…………

 

『告、メルト・ダウンと名乗るリザードマンから魔素を感知できません』

 

『マジで?身体強化無しで、素でやってるのか?』

 

『是、あれらの回避行動全て身体能力強化を使わず筋力のみで行っています』

 

 紙一重でベニマルの斬撃を見切ってるのはともかく、何の補助も無しに全て避けられるものなのか?

 

『解、今のリムル=テンペストでは不可能です』

 

 だよなぁ。メルトの身体をよく見たらかなりムキムキだな、うらやましい。相当鍛えこんだ身体だけでベニマルと互角以上にやりあえる実力はどこから来たのやら。

 

 と、ベニマルが『黒獄炎(ヘルフレア)』を放った!?

 

 手合わせとはいえそこまでやる必要があるか?散々避けられたせいでプライドが傷つけられた、というよりかメルトが一度も攻撃していないから余計に腹が立ったのか?

 

 そんな渾身の一撃も簡単に避けられて、空気が弾ける音と共にベニマルの前まで拳が迫った。

 

「どうだ、これで少しは満足したか?」

 

 間違いなく決着だった。音速を軽く突破した拳が眼前に迫ったら、俺はビビっちゃう。

 

 人の頭だったら簡単に潰せそうなパンチ。間違いなく手加減してコレ何だろうなという確信だけが残った。

 

「…………まいった、相当な強者だな、お前は」

 

「まあな、腕っぷしだけなら自信はある。そういや腹が減ったんだが何かご馳走でもしてくれないか?」

 

 少なくとも自分達より遥かに高い場所にいる、ハクロウとは違うタイプの強者でも腹は減るようだった。

 

 少なくとも食事を全く取らず疲れ知らずと言うならどうしようもなかったが、少しの弱点はあったようだ。

 

「いいぞ、しっかりもてなしてやる」

 

 食事の一つや二つで好感度を稼げたら他の奴らの修行に付き合ってくれるかもしれない。そんな軽い思いで村に案内した。

 

 そして何か料理で釣れるかなーという安易な考えのもと客人としてもてなしたところ。

 

「……………………」ガツガツ

 

「相当、気に入ってるようだな」

 

「……………………」ガツガツ

 

 無言で物凄い勢いで食べてた。

 

 もしかしたら実はかなり飢えていたのか?旅をするってなると持ち物も限られてくるし、でもメルトくらいの実力ならモンスターを狩ることだって出来るはず。

 

 あ、もしかしたら俺がここに持ち込んだ料理知識で作ってもらった飯だから初めての味覚でがっついてるのか?

 

 瞬く間に消えていくスープやパン、ハンバーグが消えていき、一通りの料理が無くなったことでメルトの顔が『( ˙-˙ )スンッ』となった。

 

 おかしいな、表情が分かりにくいはずなのに急に虚無になったのが分かる。

 

「…………美味かった」

 

 そして天井を見上げて涙を流していた。

 

 び、ビックリするくらい感動してる。どんな人生、いやリザードマン生を過ごしてきたんだ?

 

 そんな一幕もあったが、俺たちはあの後に情報を集めに行ったソウエイからある情報を伝えられた。

 

 20万ものオークの軍勢が徐々に迫りつつあるという事を。

 




 ディストピア世界で栄養剤しか貰えらないメルトに普通の食事がどれだけの宝になるのか。

 そもそもユグドラシルのアイテムを持ち込めてはいるが食事系アイテムはまだ使ったことが無いので味は知らないです。

 なお、上級者は使わないが低レベル帯なら有効なアイテムが多いし課金ガチャで入手できる高級品ばかりなのでメルトが味わうと気絶しかねないものとなる。
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