ここだけマコト議長の神秘が仕事し過ぎている世界線   作:サルミアッキ

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 今回はほんの少しのオリジナル要素。退学、中退とかした生徒がいっぱいいるブラックマーケットに次の機会を与える学習塾があっても良いよね(半ギレ)。なおその塾長。

「どけ!俺は浪人生だぞ!」

うーむこれは狂徒大学。



ファウスト「あ、ここ塾でやったところです!」

 二年前、アビドス砂漠にて。

 

 三人組が炎天下の砂上を歩いている。各々が双眼鏡を片手に地図を持ち、何かを探しているようだった。

 

『—————あの、ユメ先輩見ませんでした?』

『は?またどこか行ったのか、あのバ会長』

『……ねえ、マコト先輩。アレ』

 

 集団の内の一人が地平の彼方を指さした。誰かが走って近づいてくる。

 

『—————ぃんなぁー…!』

『ん?』

 

 半泣きになった女の声がする。その背後では、濛々と土煙が巻き起こっていた。

 

『あれは、まさか情報にあった……』

 

 羽沼マコトが収集した情報に曰く。

 

 —————遠い昔。キヴォトスの端、誰も足を踏み入れない旧都心のとある廃墟で、奇妙な研究がすすめられていたという。

 神を研究し、その存在を証明できれば、その構造を分析し、再現できるだろう。すなわちこれは、新たな神を創り出す方法である……と。

 誰もが嘲笑う滑稽な仮説だったが、そんな理論に興味を示した者たちがいた。「数秘術師(ゲマトリア)」と呼ばれる者たちがその研究を支援し、莫大な資金と時間が費やされ、神の存在を証明するための超人工知能が作られた。

 

 神という存在に関する情報を収集、分析、研究し、それを証明する人工知能(AI)……。対・絶対者自律型分析システムは、そうして稼働し始めたらしい。

 ……月日は流れ、都市は破壊され、研究所も水の底に沈み、そのような研究が行われたという事実すら忘れ去られるほどの時間が過ぎたにも関わらず、このAIは己の任務を遂行し続けた。そしてついに、AIの宣言が、廃墟に声高らかに鳴り響いた。

 

—————『Q.E.D.』……と。

 

 あれは「音にならない聖なる十の言葉」、と己を称する新たな神。神名十文字、DECAGRAMMATON(デカグラマトン)。中でも、その蛇は理解を通じた結合。「違いを痛感する静観の理解者」の異名を持つ……。

 

『—————ビナー(・・・)ではないか!?デカグラマトンの預言者が何故!?』

『考察は後にして。というかユメさんが追われてるほうが何で?』

『ちょ、ユメ先ぱッ…何してんですか!?しっかりしてくだ…あぁもぉぉッ‼』

『みんなぁぁ‼助けてぇぇぇぇっ!?』

『バカタレが!えぇい、()()()()をデコイにして小鳥遊ホシノ、貴様はフロントポジションで応戦!ヒナは後方で援護射撃と範囲攻撃!私は支援物資譲渡と遊撃で適宜援護をする!各自散開!』

『ひぃん!みんなぁ!ごめんねえぇぇっ!?』

『『『煩い黙って(黙れ)!』』』

 

 

 

 —————三分後。

 

 

 

『……死ぬかと、思った』

『ふざけるなよ貴様ァ…』

『 ユ メ 先 輩 ? 』

 

 アフロヘアになった三人が全壊した機械の白蛇の上で、同じくアフロになり正座をさせられた巨乳馬鹿に喧々囂々な説教をかましていた。

 

『 ひ ぃ ん 』

 

 

 

 

 

 

“—————どうしたの、ホシノ?”

「—————ありゃ、先生?ごめんね~、おじさん年だからさぁ。ちょっと物思いに更けってたわけですよ~」

 

 どこか上の空だった小鳥遊ホシノに、S.C.H.A.L.Eの先生が声をかけた。彼女のオッドアイがここではない場所を見つめているようで、大人の立場として心配にでもなったのだろうか。まるで失った青春を慈しむようなその雰囲気に、先生は一抹の不安を抱いた。

 

「ん、ヒフミ。あげる」

「わあ、ありがとうございます」

 

 アビドス高校の面々は今、ブラックマーケットにいた。アビドス高校を襲撃したヘルメット団の使っていた武器が今は既に流通していないものだったため、その手がかりを探しに来ているのだ。

 途中で出会ったモモフレンズ狂……コレクターのトリニティ生徒、『阿慈谷ヒフミ』と共に行動中であり、今はおやつの鯛焼きを一緒に食べている。

 

「……もしかしたら、ですけど。アビドス高校の皆さんが知りたいことを教えてくれる場所が一つあるかもしれません」

「えっ、それってどこなのよ!」

「そんなところ、あるんですか~?」

 

 ふと思い出したように呟くヒフミの言葉に、セリカとノノミが食いついた。

 

「はい。ここでは各学校から退学した生徒たちが集まって一種の組織勢力を作っています。有名どころはスケバンやヘルメット団だったり、あとは企業に雇われて傭兵になったりですね。でも、そう言った派閥ともそりが合わない生徒は必ず生まれます」

 

 モグモグと口の中の鯛焼きを飲み込んでから、ヒフミはとある場所のことを口にした。

 

「学校は合わないけれど勉強はしておきたい、学校では許されなかった研究や活動がしたい……。そんな尖り過ぎた生徒たちはいつしか互助会を発足させ、細々と活動していたらしいです。それを()()()、ある方がブラックマーケットにおける疑似的な学園に変えてしまいました。それが、このブラックマーケットに存在している、非公認にして唯一の教育機関……『ヴィッテンベルク総合学習塾』です」

 

 

 

 

 

 

「おい誰ェダークウェブの金利操作しっぱなしにしたバカ!このままじゃストップ安だよ!元ミレニアムの連中どこ行った!?」

「今回の戦闘機とゴリアテの入荷分、どこに置いとく?もう在庫置き場無くない?……あ、ゲヘナにクラスター爆弾一式が売れてそこの倉庫空いたんだっけ?」

「お、清掃屋じゃねぇか。ついさっきお得意先で乱痴気がおっぱじまってな、カイザーのロボット職員共の死体の山が出来上がった。これただスクラップにするには勿体ねぇじゃん?買い取ってくんねぇ?」

「それは廃品回収業者に言って…。医学科の私が売るのフレッシュな肉の臓器だから。モーター売っても私じゃ二束三文…。ただでさえ売り手市場なのに…」

「いぇーい馬鹿な大人にクズ株押し付けて大儲けだー、なぁ誰か飯食いに行かねぇー♪」

「酒と煙草ができる店ならどこでも良いぞー。ああでも『城の村』は止めてくれ。あそこに入り浸る連中は喧嘩っ早い。額で煙草は吸いたかないね」

「……荷物の送り主と届け先がヴァルキューレのガサ入れで同時に壊滅してな。結局積み荷を海に捨てて戻ったさ」

「あんなところに踏み抜かれるとか、その依頼人共馬鹿でしょ。相変わらず運が悪いよね君」

 

 アビドス高校の面々と先生は呆気にとられる。そこはどこか黒々とした闇の活気に満ちていた。

 

「ここが『ヴィッテンベルク総合学習塾』です!あ、この辺りは商業科に属するエリアですね、他にも農業系や工業系学科、芸術学科に神学科、医学科とか色々あるようですよ!多すぎて私も全部は把握してないんですよ、あはは」

 

 阿慈谷ヒフミは、この異様な光景を当たり前に受け入れて歩を進めていた。和服の少女の横を通り抜け、曲がり角にて煙草を吸う修道女服の女子に会釈をし、一緒にいたゲヘナとトリニティの元学生たちに手を振って歩いていく。

 

「ん。何でこんな混沌が過ぎる場所になってるの、ここ」

「認可されていない違法施設ですが、裏社会ではその影響力は計り知れない程大きくなってます。それこそブラックマーケットの約三分の一を支配していると言っても過言じゃありません。各校生徒会と大人の悪徳企業、両方に対してこの塾は抑止力となっていますので、どちらも迂闊に手を出せないのでしょう……と、着きました」

 

 第一講義室と書かれた部屋のドアをヒフミは開けた。

 

「—————七囚人が矯正局から脱走してから、こっちにまでヤク流れて来やがった……。絶対『山海経の毒盛り猿』のシデカシだろ。ウチのシマまで来るたぁバカな売人もいたもンだ。塾長サマの指示で“連中は箱詰めして送り返しておいた”が、こっからも蛆みてぇに湧くンだろーなあ…ここがキヴォトスドロップアウト組専用便所なのは知っちゃあいるが。うンざりだぜ、ッたく」

「売り込もうとしてた新型ドラッグの解析、終わった。ここにいる面々の予想通り、『五塵の獼猴』の調合レシピの特徴、あった。ただ、萬年参の他、ミレニアムで過去数度のみ製造された違法薬品も混ざってる。もしかしたら、背後に別の連中、いるかも」

「うへぇ。でも元先輩の尻ぬぐいしなきゃなんでしょぉ私ぃ?もうあそこ退部して退学もしてるのにぃ?大人しく捕まっててほしかったですねぇ………何々?汗や体液からは検出されない、この配合だと安価で大量に製造可能、依存性は極めて高く、幻覚効果や痛覚のマヒが起こり、ヘイロー持ちの生徒以上の身体能力向上が見込まれる……その分ヤク使った大人はすぐ死にますねぇ、これじゃあ。暫く泳がせてウチらがぼろ儲けしようにも、大暴れされたら割に合わないですねぇ……ん?」

 

 そこには『セーラー服の上に防弾チョッキを着た男勝りの口調の塾生』、『白衣を着てレポートを見ているたどたどしい口調の塾生』、『黒いチーパオを着てのんびりとした口調の塾生』の三人がいた。それぞれがアビドス高校の皆、そしてS.C.H.A.L.Eの先生の入室に視線を向ける。怪訝そうな表情をしていたのが一転、阿慈谷ヒフミを視界に収めた瞬間、三人は顔を綻ばせた。

 

「おお、『()()()()()』。テメェまた来たのか」

「はい、お久しぶりです!塾長先生はいらっしゃいますか?」

「うん、今日は丁度、いるよ。案内する?」

「タイミングばっちりですねぇ」

 

 シニカルな笑みを浮かべてヒフミを手招く塾生たち。三人とも、ヒフミとは気心知れた仲のようだった。

 

「…ん、ファウスト?」

「あ、あはは…。この場所での私の愛称のようなものです…。ここにいる塾生の皆さんは、互いに詮索はせず綽名で呼ぶのが暗黙の了解となってまして…」

 

 シロコの疑問に照れたように頬を掻きつつ弁明するヒフミ。

 

「今思い出してもおかしいぜ。良ければ聞いてくれよ。こいつ、ペロペロだかの人形が欲しいっつって後先考えずにここに来やがったンだぜ?」

「————ペロロ様です」

「そぉそぉ、頭良いのか馬鹿なのかぁ。良いトコのお嬢ちゃんが初めてクソダメに来た日に、ここの連中色々勘繰って動き回ったもんねぇ。結局そのペロリン一緒になって探したりしたしぃ?」

「……ペロロ様です」

「ここに流れ着いた馬鹿どもの、ファウスト的衝動に負けず劣らずの命知らず。だったから塾長、名付けた。そのペロのキチに、ファウスト」

「ペロロ様です」

 

 白衣を着た塾生の懐から音が鳴る。コールボタンをタップしたスマホを耳に当てると、彼女はヒフミに向き直り口を開いた。

 

「……ファウスト。塾長、お目通り」

「はい、分かりました!それと皆さん…、 ペ ロ ロ 様 で す 」

「「「へいへーい」」」

「じゃあ行ってきますね、アビドスの皆さん!」

 

 そう言い残して部屋を出ていった阿慈谷ヒフミ(ファウスト)。残ったのはアビドスの四人と知らない三人、それとS.C.H.A.L.Eの先生だけ。ぶっちゃけ言えば、お互いとても居心地が悪かった。会話が途切れる。何を話として切り出せばいいのか分からない。

 小鳥遊ホシノに至っては周囲から溢れる剣呑な気配に触発され、にこやかな笑みを浮かべながらも指先はショットガンの引き金に触れていた。

 

“……君たちは、どうしてブラックマーケットに?”

 

 先生はその立場から塾生の生い立ちを聞いてみた。聞かざるを得なかった。

 

「あー…、別に隠すことじゃないしな。アタシゃ元SRTだったンだが、まぁ有体に言や、このキヴォトスの正義ってヤツに疑念が生まれただけだ。信じてたもンに勝手に裏切られた気分になって、それでこっちに来た。ンなつまんねー話だぜ」

「————私、実験が好き。だからミレニアムに入った。けど、私のしたい事、できなかった。ホムンクルス、人造の命、作ってみたい。命に機械、組み込んでみたい。でも、倫理が私に追い付かなかった。別に、良くない?自分が創った命、どうしようが」

「いやぁ意外や意外ぃ。お二人さん話しますねぇ。私ぃ?いやお金払ってくれれば話しますよぉ?私ぃ、自分とお金が大好きなのでぇ?でもそれ以外のことぉ、自分の得にならないのでぇ、話したところでぇって感じですねぇ?」

 

 自嘲、疑念。倫理、精神。自己愛、排他。それらがないまぜになった渇いた心。薄汚れた世界で過ぎた青春を退屈だったと嗤う。幸せもやりたい夢も、既にそう言った領域にはない。彼女らは既に大人になりつつあった。

 

「ま、この場所にいンのはそんな連中ばっかでな。どいつもこいつも学校にも馴染めねぇ、暴力に訴えるのは好まねぇ……、結果だけが全てで、同情も憐れみも慰めなンてのもいらねぇ。自分の研鑽だけがこの場にいる理由な、個人主義者の集いなンだわ」

「うん、やっぱり自分がやりたいこと、自分の責任でやるの楽しい。場所を与えられるだけ、それだけでも私たちみたいなの、在り難い」

「—————まぁ。あの塾長様にも思惑ありそうですけどぉ、このブラックマーケットのトップの中じゃあ一番ですしねぇ。…、ん?」

 

 バタバタバタと足音が講義室へ近づいてくる。バタンとドアが叩かれるように開け放たれた。

 

「アビドスの皆さん、お待たせしました!ここを取り仕切っている塾長……『メフィスト』さんから、特別に情報を教えてもらいました!こちらです!」

「—————これ、カイザーローン現金輸送車の走行ルート?」

 

 

 

 

 

 

 —————古びた本棚があった。その部屋の片隅で、所せましと古書が並べられているアンティーク調の本棚だった。顔を仮面で隠した人物が、指先でなぞるように背表紙を触れていく。

 その本棚が動き出し、棚の後ろから地下へと繋がる階段が現れた。彼女は暗がりの中、かつん、かつんと足音を立てて秘密の部屋へと下りていく。

 

「…………」

 

 地下室のドアが軋みを立てて開く。

 

「……」

 

 暗い部屋の中では、カチャカチャとキーボードを叩く音が絶えず響いていた。壁一面に備え付けられたディスプレイ画面と、その部屋の主の青いヘイローだけが煌々と輝いている。それぞれのゲームディスプレイには、『ウルトラマリンシスターズ』『モラルハザード』『スチューデントファイター2』『フルゼリー大戦』などなどのタイトルが点滅していた。

 

「何、塾長……私のゲーム製作の時間を邪魔しないで欲しいんだけど」

 

 空になったプリンのカップがあちこちに足の踏み場もないほどに埋め尽くされた、そんな部屋の主が口を開いた。

 

「大変そうだな……例のゲームプログラムの進捗はどうだ?」

「—————デバッグ中よ」

「そうか……。プリン持ってきたんだが、食べるか?って、あ」

「いただくわ。糖分補給は大事だものね」

 

 仮面の人物が持っていたビニール袋ごとかっさらわれるプリン。目にも止まらぬ早業だった。どうやら時間を忘れて作業に没頭していたらしい。この部屋の主の過労度合、エコノミークラス症候群が心配で仕方なかった。

 

「……そうだ。お前の作ったイヤホン、中々の性能だったらしいぞ。これをミレニアムの嫌がらせの為だけに作ったのは頭が良いのか悪いのか」

「あんなくだらない学校に恨みはないわ。ただ、あそこに『カス以下のクソゲー』の存在があることが、ゲームクリエイターとして許せなかった。だから思いつく限りの下らない方法でテイルズ・サガ・クロニクルを再利用した。それだけよ」

「……結果として、デカグラマトン以上のAIにも有効なファイアウォールになりえることが分かったのは嬉しい誤算だがな、フハハッ」

 

 プリンを食べ終わった部屋の主に、仮面の人物が笑いかけた。

 

「今後とも良い関係でいたいものだ。キヴォトスで新進気鋭のゲーム開発会社『U.O.G.』の学生社長殿」

「そっちも大変じゃない?変なドラッグ流れて来たんだって?」

「そんなことはいつものことだがな。今回は製作者が厄介かもしれん。あんの蕨抜きリンボウーマン…」

「ふーん?」

 

 背伸びしつつ休憩を取るため席を立つ、小柄な体躯のゲームクリエイターの少女。彼女は床に無造作に置かれた据え置き型ゲーム機『プライステーション』を起動し、『スチューデントファイター2』のゲームディスクをセットしつつ、隣にいる仮面の塾長にもコントローラーを手渡した。彼女はそれを受け取ると隣に座り、一緒にゲームを開始した。

 

「そういえば、釘を刺されたんだが……お前、()()()()()に何をした?」

「浮浪者……?あ、あの『小汚いGM気取り』?キヴォトスの外から来た大人のゲーマーと小耳に挟んだから接触したのよ。期待外れも良いところだったけどね」

 

 互いに世話談を交わしながら、かちかちとコントローラーのボタンを押す。画面の中で、部屋の主のプレイアブルキャラが竜巻を伴ってアッパーカットを繰り出した。

 

「またクソゲー判定したのか……」

「クソゲー?馬鹿言わないで。ゲームというのは心躍るチュートリアルから始まり、夢を紡ぐストーリーを展開し、全てが収束するエンディングに終わるエンターテインメント。それは見るに堪えないクソゲー、それこそテイルズ・サガ・クロニクルであっても基本となる骨子は変わりない。—————でもあれが創るのはゲームと呼ぶのも烏滸がましい。あれはただの、ゴミよ」

 

 指先では淡々とキャラクターを操作しながらも、その大人のことを思い出したのか、彼女の声が徐々に荒げられていく。

 

「それに、ただ年を取っただけの人間を私は大人とは認めないしね」

 

 [You Win]の文字がテレビ画面に浮かび上がった。

 

「—————相変わらず末恐ろしい子どもだな、お前は。全く大人泣かせだ」

「ならせいぜい気を付けるのね。()()()()()()()()()()()であるこの私に、契約を持ちかけた悪魔さん?」

 

 暗がりの中で光るPC画面に、幼くも冷酷そのものの顔が照らされた。金色のショートカットヘアから覗き見える青紫の瞳と、頭部に付けた青く発光する猫耳のヘッドホン。()()()()()()()()()()()()()()の制服を着た少女が、そこにいた。

 

 —————ドオオオォォォォン‼

 

「!」

「何が起きた…?」

 

 突然、遠方から爆発音が響いて来た。部屋の主はパソコンを数回叩き、ブラックマーケット内の監視カメラ全てをハッキングした。

 

「あー。さっきまで来ていた連中ね。どうやらカイザーバンクに、銀行強盗をしでかしたみたい。ほら」

「……は?」

 

 混乱している塾長の目の前に、液晶タブレットが突き出された。監視カメラをハッキングした数十分前の映像内で、砂狼シロコが青い目出し帽を取り出して口を開く。

 

『ヒフミの貰った情報の信憑性を確かめるために—————ん。銀行を襲う』

 

 そこには、こうなるまでの一部始終が録画されていた。

 

「ほほー、数億円を強奪したみたいよ。丁度いいし、奪ってきてくれない?ゲーム開発費にしたいわ」

「……は?」

「それにしてもあのゲームのNPCレベルでキャラの立った狼娘、ゲヘナにいても元気にやっていけそうね。アビドスが廃校になったら受け入れたら?」

「—————温泉と美食に追加で、銀行強盗部が増えるのは考えたくもないわ!」

 




 ヒフミが原作より『どこが凡人だよ⁉』ってキャラに。それにしても最後に出て来たロリは一体何者なんだ……(スットボケ)。

 それと出番が今回だけになりそうな講義室にいたモブちゃん三名。ちょこっと設定だけは考えてたんですが、今後使いそうもないのでここに投下。

元ネタはゲーテのファウスト(第二幕)におけるメフィストフェレスの部下
『握り屋』
 山海経高級中学校の退学生徒。かつては申谷カイの助手を務めていたが離反。毒薬の調合などに秀でた才能を持ち、ヘイロー持ちに効く毒ガスを複数所持している。自己愛しかなく、他者を慮ることがない。業突く張りでケチだが、自分が定めたルールにはしっかり従うので、彼女を得だと思わせることができる相手には真摯。ゲマトリア予備軍。

『取り込み屋』
 ミレニアムサイエンススクールの退学生徒。生命倫理感が一切無いマッドサイエンティスト。生化学の他、機械工学も得手であり、その二つを融合させた人造人間の論文を書いた結果、ミレニアム退学。お前の研究成果(もの)は俺の研究成果(もの)理論者で、自身に科学者のプライドなど存在しない。おもしれーもんが創れれば手段はどーでもいい。ゲマトリア予備軍。

『喧嘩屋』
 SRT特殊学園の退学生徒。キヴォトスの銃社会の歪さに精神を病んでしまい、連邦生徒会長に銃を向けた。この世界では連邦生徒会長失踪(射殺)の原因疑惑がある。一人でRABBIT小隊、FOX小隊と互角の戦闘能力を誇る。ホシノやヒナと強さの毛色が違い、リアル系バトルの強者感(錠前サオリみたいな感じ)。
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