サイレンススズカの趣味は走ることであり、特技も走ることであり、休日の過ごし方も走ることである。ある雑誌のインタビューでのサイレンススズカの回答であり、彼女の性格をよく表しているのは間違いない。
「暇だわ……」
しかし、それは走るのを禁止されたら何もすることがないということに他ならない。
休養期間、サイレンススズカは暇を持て余していた。
「スぺちゃんもご実家に帰っちゃったし……」
こういう時、いつもならルームメイトのスペシャルウィークが遊びに連れ出してくれるのだが、今回彼女も北海道へ帰省中であった。
「こういう時、みんなはどうしているのかしら」
ふと思い立ったサイレンススズカは、同期のウマ娘たちの元を巡ることを決意したのだった。
ひとまず寮から出て、校門の方へと向かうとそこには謎の怪しいテントがあった。マチカネフクキタルのやっている占い屋だ。
「そういえば、フクキタルにちゃんと占ってもらったことないかも……」
マチカネフクキタルとの仲は良好で、ラッキーカラーやラッキーアイテムを教えてもらうことも少なくないが、彼女のやっている占い屋でちゃんと占ってもらった記憶がサイレンススズカにはなかった。
「フクキタル? いいかしら」
「やや、こんにちはスズカさん。占いをご所望ですか?」
「そうね。休養日なんだけど暇を持て余してしまって……」
マチカネフクキタルの前に座るサイレンススズカ。話を聞いたマチカネフクキタルは水晶に手をかざし謎の呪文を唱え始める。
何が見えるのだろうかと不思議に思うサイレンススズカを尻目に、マチカネフクキタルは「きえー!!」と奇声を上げた。昔はこの奇声で驚いてしまったことも多かったわね、と思える程度にサイレンススズカもマチカネフクキタルに慣れていた。
「ドーベルさんとタイキさんの部屋に行きましょう。そこがラッキースポットです!」
「そうなの、じゃあ行きましょうか」
いきなりの訪問である。あいにくその日はメイショウドトウもいなかったため天然な二人を止める者もおらず二人はメジロドーベルとタイキシャトルの部屋へと向かうのであった。
「開けろ!」
「メジロ市警だ!!」
「な、なに!?」
いきなり寮の部屋の扉を蹴破ったのも占いでそうしろと出た結果であり、それをサイレンススズカが素直に信じた結果である。
「開ける前に蹴破って開けろはおかしいでしょ」
「たしかに……」
「そうですね……」
「そもそも蹴破らないでほしいんだけど…… というか何の用?」
この目の前の二人の突拍子のない行動にも既に慣れてしまったメジロドーベルは何の用か二人に尋ねる。
「えっと、何しに来たんだっけ、フクキタル?」
「何しに来たんでしたっけ、スズカさん」
「本当に何しに来たのよ……」
首をかしげる二人にメジロドーベルのツッコミが今日も冴えわたる。
「はぁ、私は今は忙しいから、暇つぶしならタイキのところ行きなさい。寮の前でバーベキューの準備をしてるはずよ」
「わかったわ」
「ドアは直して帰ってね」
「わかりました!!」
そのままドアを取り付けなおした二人は、部屋を去っていった。
「本当に何がしたかったのかしら」
メジロドーベルは首を傾げた。