トウカイテイオーはシンボリルドルフに憧れている。
強くてかっこいいウマ娘に自分もなりたいと思っている。
だが、シンボリルドルフという存在はあまりに完璧で、自分とは違いすぎると漠然とトウカイテイオーは思っていた。
「どうすればカイチョーみたいになれるかなぁ」
「テイオーちゃんは会長さんのどういうところが好きなの?」
「? どういうこと?」
いつものように同室のマヤノトップガンと雑談しているとき、彼女が気になることを言い出したのは特に何の変哲もない日のことだった。
「会長さんのこと、マヤはよく知らないなーと思って」
「あんなに一緒にテレビとかでも見てるのに?」
「だってあれは会長さんの表の顔じゃない。素の会長さんのことなんか何も知らないよ」
そういわれてトウカイテイオーは考える。
マヤノトップガンよりもシンボリルドルフのことを知っている。
ある程度私生活の部分も理解している。とはいえあくまで親しい後輩という距離でのことだ。
素のシンボリルドルフ、というものをよく知っている自信はトウカイテイオーにはなかった。
「ということでカイチョーのこと教えてラモーヌ」
「なにがということで、なのかわからないのだけれども」
そうしてテイオーがまず突撃した相手はメジロラモーヌだった。
魔性の黒鹿毛と呼ばれ、話しかけずらいと評判の彼女に臆面もなく突撃できるのはトウカイテイオーの良いところでもあり欠点でもある。
「カイチョーの事よく知らないから教えてほしいなって」
「そこに愛はあるのかしら?」
「もちろん! カイチョーのこと大好きだもんに!」
話があっているのかあってないのかわからない会話を続ける二人を、メジロアルダンは何か姉さまが楽しそうだなと思いながら眺めていた。
「求める相手を詳しく知りたいのね。ふふ、情熱的」
「いいから教えてよー」
「そうね。ルドルフに愛を教えられるのはきっとあなただけよ」
「? どういうこと」
「不要な言葉は重ねないわ」
そういってメジロラモーヌは紅茶に口をつけた。
トウカイテイオーも紅茶に口をつける。フランスの有名紅茶メーカーの高い紅茶だった。
さすがメジロ、良い紅茶使ってるな、とテイオーは思った。
「で、なんで私のところに来るんだよ」
「シリウスとラモーヌはカイチョーの幼馴染でしょ」
トウカイテイオーがそう告げるとシリウスシンボリは苦い表情をした。
「あいつのことなんていまだによくわかんねえ。気に食わねーだけだよ」
「そっかー」
「まー、お前の前だと普段と態度が違うし、お前なら少しはわかってやれるんじゃねーか」
「えー、そんな違うかなぁ」
「全然違うだろ。あいつお前にだけは激アマだし」
話は終わりだと言わんばかりに振り向くシリウス。
よくわかんないな、と思いながらテイオーはルドルフの元へと向かった。