まどマギの世界で呪いになった少女は、呪術の世界に転生した 作:白くまパンナコッタ
私の最後の記憶は、後悔、懺悔、怒り、不安、執着、憎しみ、悲しみと、ほんの少しだけの愛。
ソウルジェムが濁り切った瞬間の記憶は曖昧で、酷く重たく冷たい雨が降っているような、キャンパスに書いた絵に黒い絵の具を塗りたくったような感情だけが、私を支配していたように思えた。
黒く朦朧とした意識の中で、どこかを闊歩していたようにも思えた。
いつからだったか、私は
それに伴ってか、小さな頃からヒトには見えない変な生き物を見るようになった。まるで魔女の空間に入る前に現れる、魔女の手下のような物。
小さい頃は、親や友人に言う度に変な顔をされた物だから、ヒトには見えない物なのだと、その時に確信した。
アレが何なのかは分からないが、私の周りでは特にこちらに攻撃して来る様子も無いから、私はシカトして過ごしていた。
シカトさえしてしまえば、生前のような苦しい戦いの日々に戻る事は無いと、頭の片隅で理解していた。
静かに平和に流れる時間が、誰かの手によって作られている事は、理解しながら。
私は、この世界に産まれ落ちた時から右手薬指に嵌められた、呪いの指輪に、静かに視線を落とした。
「···で、ここはこの公式を当て嵌めて」
カツカツと黒板にチョークの文字が刻まれる音が教室を満たしていた。
午後の授業とあってか、寝ている生徒も少なく無い。
私はぼんやりと頬杖を付いて、時折ノートに黒板の文字を移しながら授業を聞いていた。
サラサラとノートに黒板に書かれた公式を書き写し、問題を解いている時だった。
不意に、視界の隅にここの高校の副校長先生と、やたら背の高い黒い服に全身を包んだ、男性が廊下を歩いていた。
異様、異常、変質。
真っ白い髪を逆立て、目元には黒い目隠し。
見た瞬間に不意に、ゾワリと鳥肌が立った。
クラスの生徒も、ざわついて先生に注意を促され、静まり返った教室。
日本人離れした風貌の男性は、ひくっ、と歩みを止めるとこちらのクラスを見るように顔を向けた。
男性はゆっくりと端から端まで教室全体を見渡した後で、私が座る席へと視線を向けているようだった。
目を合わせちゃ行けない気がして、私は顔色一つ変えずに公式を解いていた。
しばらくして、男性はふたことみこと副校長先生と話をした後で、歩き出して姿が見えなくなった事に、私はため息を吐いた。
まるで何かを探られているような感覚に、居心地の悪ささえ覚えた。
きっと自意識過剰だ、そんな事を思いつつ、微かな不安を覚えた。
平和だった日常が、壊れて行くような···そんな。