まどマギの世界で呪いになった少女は、呪術の世界に転生した   作:白くまパンナコッタ

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第二十一話

 

「それじゃあ僕達はこっちで待ってようか」

 

二人が廃ビルの中に入るのを見届けた後、五条先生は親指で廃ビルを覆っている壁沿いの歩道を指差した。

 

置きっぱなしにされている赤いコーンや、器具箱の周辺に腰掛けて、私は壁に背を預けて二人が呪いを祓い終わるまで待機していた。

 

「やっぱ俺も行きますよ」

 

「無理しないの、病み上がりなんだから」

 

「でも虎杖は要監視でしょ···あ」

 

「···私、席外しますね」

 

伏黒君が何気なく呟いた言葉に、私は二人に視線を向けた。

伏黒君は気まずそうな表情を浮かべていて、私は聞かなかった事にしてそこら辺をふらりとして来ようかな、と踵を返した。

 

「いや、ここにいて大丈夫だよ。ただ、恵のさっきの言葉は内緒にしといてくれるかな」

 

「···、承知しました」

 

五条先生は「うん」と頷いて、言葉を続ける。

 

「まぁでも、今回試されてるのは野薔薇の方だよ」

 

て事はあれかぁ、前回の実地試験は私が試されてたってわけかぁ。

 

「悠仁はさ、イカレてんだよね」

 

五条先生が自分のこめかみに人差し指を当てて言葉を続ける。

 

「異形とはいえ、生き物の形をした物を、自分を殺そうとしてくる物を、一切の躊躇無く()りに行く。君達みたいに昔から呪いに触れて来たわけじゃない。フツーの高校生活を送っていた男の子が、だ。才能があっても、この嫌悪と恐怖に打ち勝てず、志半ばで挫折した呪術師を、恵は見た事あるでしょ。今日は彼女のイカレっぷりを確かめたいのさ」

 

「でも、釘崎は経験者じゃないんですか、今更ですよね?」

 

「呪いは人の心から生まれる。人口に比例して、呪いも多く強くなるでしょ。野薔薇にわかるかな、地方と東京じゃあ、呪のレベルが違う」

 

五条先生の話している事は、群馬から東京に来た時にこれでもかと言うほど味わった経験があった。

 

そして二度目の人生も群馬で転生して、また東京に来ている。

 

今度は知らない世界で呪術師として、魔法少女の時だったソウルジェムの指輪を着けて。

 

「レベルと言っても、単純な呪力の話だけじゃ無い。狡猾さ、知恵をつけた獣は時に残酷な天秤を突き付けてくる。命の重さを賭けた、天秤をね」

 

二人が入ってから、どのくらい経っただろうか。

私は腕時計を見て、廃ビルに視線を向けた。

 

伏黒君はまだ完治したばかりだ。

 

「私、行きます?」

 

私が廃ビルへと足を一歩踏み出した瞬間、タワシに手足が生えたような呪霊が飛び出して来た。

 

「待って···」

 

それを見た五条先生は口元に笑みを浮かべていた。

五条先生が笑っていると言う事は、大丈夫と言う事なのだろう。

 

釘崎さんがどんな術式でトドメをさしたかは分からないけれど、呪霊の内部から鋭い棘が、呪霊の体を食い破るように貫いて消えて行ったと同時に、廃ビルから呪の気配がスッと消えた。

 

「いいね。ちゃんとイカレてた」

 

見上げた五条先生は満足そうだ。

 

 

 

 

#

 

 

 

あれから五条先生が子供を送り届け、今日の任務は無事に終わった。

 

「お疲れサマンサー!!飯食いに行こっか」

 

「ビフテキ!!」

 

「シースー!!」

 

任務を達成した二人はアドレナリンが未だに全開なのか、お腹が空いた猫のようにガッツいてた。

 

「恵と恵那は何か食べたい物ある?」

 

「それより伏黒、どったの?」

 

「別に···」

 

ふと、どこか不機嫌そうな伏黒君に虎杖君が問いかけるが、些かムスッとしたまま視線も合わせない。

 

「あぁ、出番が無くて拗ねてんの」

 

「ぷぷぷー子供〜···」

 

釘崎さんがすかさずにからかい、伏黒君は「うっせ」と呟いた。






次回から呪胎戴天編に入ります。
ぶっちゃけ戦闘シーンが苦手なので、温かい目で読んでいただけましたらと思います。

よろしくお願いいたします。
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