現代超能力バトル世界に転生した俺の寿命はあと一日 作:テムテムLvMAX
おはよう、俺だよ。
今日は何の日かわかる?
入学式の日だよ!
「ここまで育ってくれてありがとうねぇ……しくしく、お母さん嬉しいよ……しくしく」
「育てられた覚えはねぇんだが?」
「そうだったかい? なら思い出に私とイチャイチャするかい?」
「どっちかって言うとチョキチョキじゃないかなぁ」
主に肉を切る感じの。
バレンタインさんは平常運転で大変結構だが付き合う事になった玲沙との……その、距離感? が分からないね。
「おはようトッキー、今日は一段と良い朝だねぇ」
「あのー当ててらっしゃる? 背中に柔らかな感触があるのですが?」
「らっしゃるらっしゃる、誰かの彼女になったらやってみたかったんだよねーこれ」
そう言えば原作でもしてましたねぇ! 付き合ってもない主人公相手に! そう考えるとこれはこれで悪くないな……変態さんかな?
「ほら学生諸君遊んでないでそろそろ出発の時間だぞー、お姉さんも二度目の初登校だから緊張しちゃうなー! アハハ!」
「そっかぁバレンタイン様は碧蘭の卒業生でしたね」
「なぁ玲沙、気になってたんだがなんでバレンタインさんに様付けしてるんだ?」
「私の憧れだから、それに本来会える立場じゃないんだよ? トッキーはずっと一緒にいるから感覚が麻痺してるみたいだけど……国際的な有名人なんだよ? モデルとしても活躍してるし……」
「初耳!」
「最近だからね、私の美貌にひれ伏せ下民」
頭が高すぎるだろ、見上げられねぇよバレンタインさん。
朝っぱらからボケとツッコミの渋滞に巻き込まれ自宅を出たのは集合時間ギリギリのタイミングだったのだが? そこについて反省はありますかって? 俺は悪くねぇ! 全部あの二人のせいだ。
朝からドタバタと近所に申し訳ない騒がし賑やかな感じで家を出た、学校へついた、ほぼ一斉にこちらを向いた。こわひ。
「おいみろよ日本一有名な一般男性だぜ……」
「うわ澪崎玲沙さん……! と、白い悪魔……!!」
「バレンタイン様……! キャーッ!」
「バレ様! 本物のバレ様ですよ!」
「美人を二人も侍らすとは……羨ましいぞ」
「憎たらしや、おぉ憎たらしや……!!!」
「どっちかというと振り回されてそうな感じだけど」
以前より噂が広まってないか? いつの間に俺はそこまで浸透したよ、これも全て後ろの二人のせいだよ、俺の人生もうちょっと穏便に進む方が嬉しいんだけど世界がそれを許してない気がする。
校門から校舎の入口までは少し遠い、碧蘭は広いのである。そのせいで見世物になってる時間が長い気がするよ、れいさとバレンタインさんは人目に慣れているから良いが俺はそうじゃない。
慣れてないから分かる事もあって、見たことある黄色い小さな花のような女性がこちらに近づいてくるのを察知した。
咲島透子だ、ご令嬢だからか彼女を中心に人が多く集まっている、それを割ってこちらに歩いてくる様はまさに現代の神話のようだ。
そんなことしたら俺が余計に目立つでしょ!?
「ごきげんよう、遅かったですわね」
「おはよう咲島さん、碧蘭だったんだね」
「えぇ、こちらも驚きですよ。これも何かの縁、今後ともよろしくお付き合い願いたいものですね」
「別にそこまでかしこまらなくてもいいのに、ゆるくやろうぜ」
「やはり軟派な方ですの? ……うふふ」
うわめっちゃからかわれた、これが令嬢のすることかよっ! ありがとうございます! あっ背後から視線のレーザービームが飛んできている気がする、私以外の女の子と話すなんて何考えるのって感じの視線だぜ? 可愛いなぁ俺の彼女この先刺されそうで怖い。
「咲島財閥の令嬢とも顔見知りだと?」
「おいおいなんで一般男性やってんの……?」
「歩く都市伝説」
「その気になれば魔王になれる奴や」
「たらしやろ……」
聞こえてくる評価が心に突き刺さる、望んでそうなった訳じゃない……ましてや魔王とかあるわけ無いだろ! かなり世論のおもちゃになってる気がしてならないが有名税だと思うとしよう、そうじゃないと持たないぜ心。
咲島さんと話してたら今度は何やらチャラい男が登場だ、登場というより生えてきた? 気配がなかった。
茶髪の長身のイケメンという要素はあれど着崩しと少し品のないメイクが長所を消してしまっている。
「へぇー君が世間を騒がすモテ男かい? 僕はねぇ、鹿見 慎吾(シカミ シンゴ)。よろしくねぇ」
「俺は時月宗志、よろしく」
「時月宗志ね、覚えておくよ……なんせライバルだからね」
ライバル? なんでライバルなんだ? 戦う要素なくね? これには後ろで話を聞いていたバレンタインさんが笑ってるし玲沙はワクワクしないで、喧嘩漫画みたいな展開に喜ばない!
「咲島さんは僕も好きなんだ、君に負けるにはいかない」
「お、おう」
なんだそんなことか……
「この方は咲島家と仲の悪い鹿見家の長男です、わたくしはお付き合いする気はありませんわよ」
「厳しいね、でも僕達に家は関係ない、好きの気持ちは二人だけのものさ」
歯の浮くようなセリフをサラリと口にし咲島さんだけを見つめていた、こっちが恥ずかしいくらいだよ。
「……この調子で一日迫られたらノイローゼですことよ」
「大変だな咲島さん……」
とても実感のこもった言葉を頂いた、家単位で話が出るんだから恐らくこの2人は昔からの知り合いなんだろう。可哀想だが鹿見くんに目はなさそうだぞ。
『キーンコーンカーンコーン! 新入生のテメェら! お行儀よくしてたかぁ?! 入学式の時間だゴラァ! 入ってこーい!』
突然の爆音放送に校門前に集まった俺達を含めた新入生たちは耳を押さえた、この明らかにヤンキーを感じさせる言い方は心当たりがある、碧蘭の教員の与路 志熊(ヨロ シグマ)。元々総長だったのだが在学中のバレンタインさんに叩き直された人だ。
「勝負は預けておくよ、君のリードもここまでさ。じゃあね咲島さん、隣の席になると良いね」
チャラ男鹿見は咲島さんに別れを告げて校舎へ消えていった。
「ちょっとちょっとあれ宣戦布告だよ! 咲島さんを賭けたバトルだよ!」
そうだね玲沙、お願いだからそんなに首を揺するんじゃねぇ……うえっぷ……!
「あらあら、大変ですわ」
「他人事だねぇ咲島のご令嬢」
「バレンタイン様はいつでもそうじゃありませんか? とある貴族との縁談のお話何度も蹴られているようではないですか」
「嫌よ、からかうのは私の十八番なのに」
お前ら庶民じゃねぇ!!!
上流の話は俺には関係ないのでとっとと入学式の会場へ向かわせて頂く、咲島さんとバレンタインさんの話はちょっとレベルが違うんでな……
入学式の会場は碧蘭のドーム型体育館だ、とても広い、千人は収容できると言われ都市災害での緊急時避難場所としても活用される、災害と言っても自然じゃねぇ、超能力災害だ、だからちょっと物々しい雰囲気もする。
「新入生かい?」
「あっはい」
「新入生は前の方に席があるから好きな所へ座りなよ」
上級生が体育館の入口で新入生の誘導をしてくれていたので迷わず座席へ到着した。
「トッキー! 前の方行こうよ!」
「嫌だよ目立つじゃん……」
「目立ってなんぼよ! さぁ私とツーショするのだっ!」
なにっ! 離せーっ俺はもう目立ちたくないよぉーっ! 力つよっ!? あっ負けちゃったぁ!
最前列のど真ん中に引っ張り出された俺は諦めてそこへ、左隣には玲沙、右には……あっ!
「やぁほ! 有名人!」
「ヴァッ!?!?!」
「どうしたの……のあーっ!? 進ーっ!?」
「久しぶりだな! 元気だったか玲沙!」
わ、わお、おをおわおわおわ! エンカウントしちゃったぁ……! 主人公、蒼葉進!
俺の何倍もの陽の気を放つ主人公、蒼葉進、遂にあってしまったどうしよう握手してもらおうかな!!! キャーッ!
俺おちつけ。
燃えるような赤い髪と目をもつ熱い男、玲沙と対になるような印象だな。本物だ……
「いつも応援してたぜ玲沙、まさか好きな奴が出来たとは驚きだなぁやんちゃだったお前が……で、彼氏は名前何てーの?」
「おっ、お、俺は時月、時月宗志です! よろしくお願いします!!!」
「おう!」
俺は主人公と仲良くなった!
入学式はこのあとつつが無く進み、校長の祝辞から入り先生紹介のターンが回ってきた。ちゃんとバレンタインさんはそこにいた、生徒さんの声が黄色い歓声になるのもわかる
「やっほーバレンタインお姉さんだよ、活きの良い奴らは大歓迎だよ! かかってこい!」
「ちょっと先輩っそれは止めてくださいって……保護者さんから怒られちゃいますよ〜」
「なら保護者もカモン! どっからでも良いぞ!」
「なんでそうおバカちんなんですか先輩っ!!」
「「ぶっ飛ばすッッッ!!!」」
バレンタインさんが事故紹介(誤字にあらず)した。のを止めようとしたのは恐らく……バレンタインさんの在学中の後輩のアメリア・ビッテンフェルト、だったかな……どっかにちょい役で出ただけで人気を得たんだよね、どこがとは言わないがボンキュッボンなので。金髪だし。
「こうなっちゃったかぁ……えー校長判断で終わりにしまーす、起立、礼、解散。終わりでーす、速やかに退避してくださいね、巻き込まれるぞ〜」
ヨボヨボな校長の一声で早急に体育館から避難させられた、先生たち妙に避難誘導手慣れてたんだよなぁ……
出て1分後、激しい衝撃が走った。
わぁ……地震かなー、すごいなぁー、震源地なのにあの体育館全然壊れてないなー……内側、戦場みたいになってそうだな……
「なぁ……俺達って生きて卒業できるのかな……」
「進……怖いこといわないでよ……」
「俺の死因たぶんここ、うっ」
「「時月/トッキー!?」」
波乱の入学式は俺たちの前途多難さを表す物だったと、それを悟る者は多かったという。
聞いて驚け、この騒動原作通りだ。ぐふっ……!