現代超能力バトル世界に転生した俺の寿命はあと一日 作:テムテムLvMAX
朝。俺は木谷さんと進を待っていた。場所はいつものアリーナのグラウンドだ。
ちゃんと来た、登校時間2時間前なので流石に制服だった、よろしい。
「よー来てやったぜ……こんな朝早い時間になんの用だよ」
「流石だ進、俺はそういう所が大好きだ」
「愛の告白したかったのか? ごめんな俺はよぉ女の子しか無理なんだ、諦めてくれな」
「違うわバカ、噂によると進は強くなりたいと聞いた」
「誰から聞いたんだよそれ、玲沙か? ……まぁ強くなるに越したことはないからな、で隣の人は?」
進の目線は木谷さんに向けられ俺が紹介しようとしたらその木谷さんから手で遮られた。
「俺はコイツの師匠みたいなもんだ、名前が知りたきゃコイツと一戦やってもらおうか」
「「えー……」」
「四の五の言うと二人まとめて片付けてやるが?」
いきなり何を言い出すんだこの人!? でもやるって言ったらやる人間なのは事実だ、二人まとめてやられるよりは木谷さんの指示に従って戦う他ない。それに主人公と戦う機会なんてそうそう来ないからな。
「おいマジかよ、なぁ宗志やらなきゃダメか?」
「まぁまぁ気分が乗らないかも知れないが、強くなる為に必要だと思えば……な?」
「分かったよ、折角だから賭けでもするか? 俺が勝ったら宗志の奢りで飯いくぜ」
「んじゃ俺が勝ったら進の奢りで飯な」
「決まりだな、タッチルールでいいか?」
「それでいいよ」
「審判は俺がやる、二人はさっさと距離をとって構えてろ」
それぞれある程度離れて構える、グラウンドに砂塵が舞い俺達の間に流れていく……戦いの前の静けさが二人の意識を高める……
能力者が戦う時はどちらかの体にタッチするまで終わらないノーマルなルールと、どちらかが戦闘不能になるまでやるハードなルールがある。今回はタッチルール、ノーマルな方だ。
「開始ッ!」
木谷さんの声が轟くと同時に駆け出した。
「いくぜ……『弾丸飛び』ッ!」
踏み込み一歩目から弾丸に匹敵する速度で迫って来る進はただの視力では捉えられない、時間を遅くし十分に引き付けてからギリギリを避ける、気分はマタドールだ。
これは進の得意な踏み込むたびにジグザグと稲妻の軌道で距離を詰め、撹乱しつつ軌道を読ませない事で相手の動きを制限する技だ。
能力『蓄積』で溜め込んだエネルギーで身体能力を底上げしているんだ、だがこんなのは序の口だろう。俺はもっと見たい、原作の技を!
「爆速ターッチ! ってあれ……!」
「ちょっと遅かったな!」
回避したあとに大きく距離を取り次の技に備える、恐らく勝負より今の実力を試したいから俺と戦うように木谷さんは言ったんだ、だったら俺は粘るだけ粘り、技を引き出した上で勝てばいい。
「やるねぇ宗志、ふっ!」
弾丸飛びでまた突っ込んでくる……と見せかけてフェイント込みで背後に来た、これも見えているのですかさずかわす。
逃げることに関して俺より酷い能力はないな、減速より早く加速されない限り逃げ切れる。
「アレも避けるかよ……燃えてきたな、なぁ能力って時間系?」
「そうだが? どうした?」
「んなら……そうだな」
また弾丸飛びで突っ込んでくる、それを減速しつつ余裕を持って回避……出来ない、しかしこうなることは原作知識から予見出来ている。予見だけな。
咄嗟の事だったから気合いで転がり避けるが立ち上がる時には目の前に進の手が待っていた、よしここだ!
時間の減速を俺と進の間の空間に絞って適応すればより出力を確保したうえで能力を行使できる! つまりまだタッチさせねぇ!
「時間を限りなく引き伸ばした空間は終わりのない壁となる」
「あっズル! てかこの技何かの漫画で見たぞ!」
「うるせぇ勝てれば何でもいいんだよ! てかそっちもズルしたろ!」
減速の効き目が弱くなったの蓄積した時間を使ったからだろうな、時間を蓄積って意味わかんねぇけど恐らく原理は俺と同じだ。説明はできないけどな。
原理が同じなら出力勝負だ、結果俺が勝ったからこうして減速空間を超えられないんだ。
「さぁどうだ、俺の減速空間は時間をかけるほど大きくなるぞ?」
「打つ手なしか……降参だ」
「双方そこまで。この勝負は宗志の勝ちだ」
進が負けを認めたのでこの勝負は俺の勝ち、早朝から動いて丁度いい感じの汗が出たが着替えは忘れた事を思い出し心のなかで男泣き。進は持ってた、準備いいなお前。
「ひー負けた負けた、でもちょっと楽しかったぜ」
「あっさり負けを認めるんだな? もうちょっと粘るかと思ったが」
「そりゃ自分のことは自分でわかるさ、それに朝からは流石にキツイ」
「そりゃそうだ! アハハハ!」
木谷さんが進に近づき手を差し出し、それに応え進も手を取り握手をかわした。
「あっどうも、俺は蒼葉 進です」
「俺は木谷 ト男だ、あそこのアホの師匠をしている。お前は筋が良さそうだな、鍛えがいがあるぞ」
「なぬっ! 木谷さん酷い!」
「本音が出た、謝罪の〝しゃ〟ぐらいは謝るわ」
「こっちは遺憾の意だよ!」
木谷さんの中で俺と進の扱いに決定的な違いがあると思うんだが? やっぱり主人公はそういう面で優遇されていると思うと羨ましいぞ!
「あのアホは置いといて、お前の動きには不自然さがあったことについて聞きたい」
「不自然さ?」
「俺の仕事柄、動きから考えを割り出すことが多くてな、迷いを持っているように思えた。その迷いが不自然さに繋がっていると思うんだが」
「迷い……って言われてもなぁ」
「ハッキリ言えば何かトラウマ持ってるんじゃないか?」
「……凄いですね、なんでわかったんですか?」
秘密がバレた時の子どものように自嘲の笑みを浮かべた進は木谷さんの顔をしっかりと見据えた。
「そんな事は見てればわかる、でだ、トラウマを乗り越える気はないか?」
「簡単に言ってくれますね、出来るならやってます」
「簡単だぞ? 所詮は脳にこびりついた過去の幻影だ、より強い光で消してしまえば良い」
「というと……?」
「死ぬ気でしごく、ついてこい」
めちゃくちゃ憎たらしい笑い方してる……木谷さんのスイッチ入ったな……
「…………なぁ、宗志は毎日この人とトレーニングしてるのか?」
「朝だけな」
「うし! なら俺もやるぜ! イラッとしたから絶対ついてってやる」
わぁ凄い反骨心、俺なんかあっという間に抜かされそうだな。
あとは、木谷さんにまかせておけばトラウマを克服した強い主人公になっていることでしょう、俺は負けないようにトレーニングするだけだな。進にじゃなくて来るであろうテログループにだが。
この日は進のトレーニングメニューを決めるためのトレーニングを一通りやって解散した、ホームルームの時にはしっかり着替えたので不精な姿を見せることはない、そこは俺のプライドで死守するのだ、だがしかし休み時間になると玲沙が俺に近づくので匂いが気になってしまう、汗ふきシートで2度拭いたがやはり気になるものは気になる。
時間は放課後に移り、部室に全員集まった頃を見計らい咲島さんが大きな提案があるとして、部員に集合をかけた。
「皆さん、夏の対抗戦、もとい体育祭はどのようなものか把握していますか?」
「わざわざクソ暑い日にやるすっげーだるい日!」
玲沙は遠慮なく吠えた
「柄悪っ」
鹿見は遠慮なく突っ込んだ
「アホ……」
俺は頭を抱えた。咲島さんはツボにハマったのか必死に笑いを堪えていた。かわいい。
「おほん、確かにそういう一面はありますが大変偏った物の見方です、碧蘭高校創設以来からの伝統ある体育祭は学生の日々の鬱憤を健全に解消する場であり日頃の成果を見せつける発表の場でもあるのです」
「うわ凄い先生サイドの意見」
「咲島部長ならいい先生になるね! 私が連帯保証人になる!」
進の意見はまだ良いとして玲沙がいつにもましてトップギアでテンション高いな、いいことあったのか?
「ありがとう玲沙部員、嬉しいのですが話が逸れてしまいましたので一旦置いて置きますね。体育祭自体は特別なものでも無く一般的な紅白チームに別れて行うものですが、その中に含まれる対抗戦が一番の目玉として毎年注目されていますね」
「テレビで中継されるくらいには注目されているね、僕も今から楽しみだよ」
「あんまりテレビ見てねぇからわかんねぇや、どんな感じだ?」
「ススムは知らないのか? 紅白チームからそれぞれ10人選び出されて柔道の団体戦のように勝ち抜き試合をするんだ、最後のジェネラル、大将倒したチームの勝利になる。能力に制限を設けない試合は見ごたえがあるぞ」
「ほえー面白そうだな、それに選ばれるにはどうしたらいいんだクリス」
「そのあたりは運、だろうな……何せ選ぶのは紅白チームのリーダーだ、選ばれたければアピールする事だな、成績や能力応用力、人柄もチェックされるだろう」
「厳しくない?」
「人前に出るのが遠慮しないバカだと困るのは学校だからな」
ここどうやって選ばれたんだっけ……ド忘れしちゃった……まぁ強化した主人公なら問題なく選ばれるか……それ以外で言えば手を加えてないから、対抗戦メンバー自体は変化無しかな。俺は俺でテロにだけ備えればいいから楽勝だな! 秒で木谷さんにホットライン繋げるからな! もしもしポリスメン!
「その対抗戦は部活ごとにもあるのですよ、普段目立たない部活にも光が当たるようにと」
「あれっ? そうだっけ?」
「どうしました時月部員、何かおかしなことでも……?」
てっきりチーム別しかないと思ってたが部活対抗戦もあるのか……となると、テロはどっちだ? 体育祭は2日間開催される、同日に二つの対抗戦はしないだろうから……うーん、なんとか木谷さん頼れるかなぁ……
「部活対抗戦はこの部も参加します、全員参加で構いませんか? と言っても夏までは時間があります、参加の有無はそれまでに決めてくだされば結構です」
とりあえず部活対抗戦は参加することにした。夏までに能力をより仕上げよう、木谷さんにもっとしごかれるか……やだなぁ。