現代超能力バトル世界に転生した俺の寿命はあと一日   作:テムテムLvMAX

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今年の入学生、気を抜いたら死ぬ男がいるらしい

 俺だ、あれからまたしばらくして冬休みに入ったよ、冬休みと言えば中学3年だとメインイベントは受験戦争になるだろう。

 

 それは俺も例外ではなく、高校へ進むために受験をしなくてはいけない。例の『キール・ヨハン・フラメス』は俺が能力で進行を何百倍にも遅らせその副作用で老化速度も減速したがこのような治療法は、治療法と言っていいのか? 、とにかく対処療法的対応は例がなく経過観察をすることになった。

 一応言うが時間干渉系能力者は少ないがいて、そういう治療法もあるにはあるみたいだが付きっきりで対応するわけにもいかないので余程の金持ち以外使えない方法だ、俺はそれをセルフでやってる訳だな。

 

 受験の話に戻るが当然目指すは国立碧蘭高等学校、通称碧蘭高校だ。せっかくこの世界に転生したのにそれ以外の選択肢は選べない、当然国立だし、外国からも受験生が来る超が付く難関校だ、一般能力者は愚か現役で活躍している超能力職についている人も落ちるレベルというまさに超人以外お断りと言う高校である。

 

 そんな碧蘭高校に入ろうとするなら並の努力では足りない……主人公である蒼葉進も受験には相当苦労したと過去編で漏らしていた、主人公の能力で苦労したって言うからにはいわゆるモブに位置する俺はその倍、いやもっと苦労しなければならないだろう。

 

 

「能力だけが俺ではないぞ……と、能力を使いながら勉強しながら言ってみたり」

 

 

 人の倍勉強しなければならないと言うからには倍の時間を確保する必要がある、その点は俺は周囲を減速することで確保できるので、人より時間がある。一日30時間の勉強を可能にしているのだ。

 碧蘭は筆記試験以外にも能力選考という強い能力や弱くとも能力応用性の高い人間を優先的に合格させる制度がある、この枠は一般入試枠とは別に数%の人間しか選ばれないウルトラエリートコース……ここに一点賭けする生徒が毎年数人はいるらしいぞ。

 

 俺もその枠を狙う訳じゃないが一般入試枠とは別枠で選ばれる可能性がある、一度で2度抽選されると言える訳だから能力鍛錬も欠かせない、無料開放されている近場のアリーナで能力の無制限使用が許されているので、そこで能力を受験に備え鍛える。

 

 今日はアリーナで能力鍛錬をしていく。

 

 

「広いな、下手な屋外ライブ会場より広い」

 

 

 アリーナは能力者スポーツの競技場としての使用も考えられているためかなり広い、かなり派手に暴れても壊れない頑丈さと鎮圧に長けた能力を持つ監視員がいるため誰でも安心して能力を使えるというわけだ。

 

 今日は運良く人が少ないので静かに練習出来そうだ、でも大した技を使うわけでもないのでアリーナの壁際で時間の減速を発動して、止めて、発動し、止めるを繰り返した。

 蒼葉進や俺のように後天的に能力が発動した人間は稀と言われるがいない訳じゃない、そういう人はまずスイッチのオンオフを繰り返すように能力のオンオフを繰り返して馴染ませることが大事だ。

 

 と、主人公の師匠が言っていた。さすが師匠なんでも知っている。

 

 1時間もしたら疲れてきた、ので少し休む、オンオフしているだけでも脳に疲労は蓄積していく、ちゃんと休もう。

 

 

「ねぇ隣いい?」

 

「こんにちは、良いですよ」

 

 

 小休止していたら隣に素敵な女性がやって来た、真っ白な髪を長く伸ばして引きずっている、さらに肌も白くて目が赤い、前世ならアルビノと呼ばれる虚弱体質を示す症状だがこの超能力バトル世界では意味合いが反転する、生まれながらに最上の力を持つ超・超能力者と言える。アルビノ能力者は1人として無名はいないとさえ言われる……

 

 あれ自分で言ってておかしいな、なんでこの人ここにいるの……? 

 

 

「バレンタイン・カシウス・セイレーナ……さん、ですよね?」

 

「御名答! と言うか気づくの遅くて分かってないのかと思ったよ! 君がソウシ・トキツキだよね?」

 

「たしかに時月 宗志は俺ですが……なぜ?」

 

「私の事はバレンタインでいいよソウシ、いやぁ自力で乗り越えた子がいるって聞いて急いで飛んできたんだよ?」

 

「世界最高の治癒系能力者としては、俺の病気が気になるってことですか?」

 

 

 このバレンタインという人は原作でもかなりくせ者として存在していた、自分の事しか興味ないし仮にそれ以外に興味を持ったとしても自分本位で進んでいく、だが彼女の才能に誰も勝てないので本物の天才として“君臨”している。基本的に自由人の彼女を留める鎖も壁も人もないので国際機関が国境無制限のパスポートを発行するほどだ。暴走する戦略兵器とまで言われる

 

 

「その通りさ、それだけじゃないけど私なら君の能力をある程度把握できるしどうやって病を遅らせているかも分かる、君は貴重なサンプルだって私の上司が煩くてね、観に来た」

 

 

 上司……? バレンタインさんの上司と言えば国際的な能力者集団のトップ……! 原作では名前が出ないからよくわからないけど……! 

 

 

「驚いた? その年で私の上司って言葉だけで察せるの地頭がいい証拠だよ? 私なら問答無用で殴ってるもんねー不審者覚悟しろーッッッてさ、アッハハハ!」

 

「そんな乱暴な……」

 

「日本人は謙虚だねぇ、私の母国なら一発までならOKよッ」

 

「多分どこもダメだと思いますよ……?」

 

「そうかい?」

 

 

 原作キャラとの初邂逅がバレンタインさんでしかも結構フランクに絡んでくるの控えめに言って裏を感じる、この人のことだから上司の命令だけで動いているはずがない。原作だと主人公を罠に嵌めて解剖しようとか言い出す人だから疑いたくもなる。

 

 

「と・こ・ろ・でぇ……解剖させて? ちょっとだけでいいから、ちょーっとだけで! こんだけ! こんだけ!」

 

「いやですよっ!? 何言い出すんですかいきなり!」

 

「良いじゃないか! 私なら切ったあと完全にもとに戻せるよ!」

 

「そういう問題じゃないんですがっ!?」

 

「ほほーん? 断るのかい」

 

「いやですよ、何回頼まれてもいやです」

 

「ならこれだ」

 

 

 どこからともなく取り出されたアタッシュケースには一万円の束が一つ二つもっと……一千万はあるぞ……!? 

 

 

「解剖させてくれるなら前金で一千万、終わったらもう一千万」

 

「……いや、無理です。高校受験が控えているので……そういうことに時間を使いたくありません」

 

「非合理的なチョイスだよソウシ、バッドチョイスだよ、仕方ない、2倍払うよ」

 

 

 2倍……!? 4千万……! 正直喉から手が出るほどほしい! が、それでもYESといえば最後解剖されるんだぞ……それも何日拘束されるかわからないんだ……受験を控えた今それを選択する余裕は……無いッ。

 

 

「お、俺はこのへんで失礼します……この話はまた後日と言うことで……」

 

「えー断るのかい? 困ったなー被検体が断ったらダメって日本政府との約束だしー…………」

 

 

 おい日本政府そこでNOと言っておけよ!? 俺の体が10になるか100になるかの瀬戸際なんだぞ!? 

 俺の魂の叫びが聞こえたのかバレンタインさんの目線が鋭くなり……

 

 

「ここは引くよ、でも、どうかな? また来るよ、クヒヒヒ……!」

 

 

 超人的な脚力に物を言わせて地面を蹴り天井を突き破って帰っていった……あの人あんな事してるけどあれが能力じゃないんだよなぁ、バレンタインさんの能力は治癒系能力『完治』、本人が病とみなした対象を完治させる能力、それにアルビノのブーストが加わってあらゆる不調を病とみなし完治以上の効果を発揮する。

 

 あの人はその能力を遺憾なく発揮して肉体疲労を強化しつつ治すから素の身体強度が並の能力者の数十倍あると言われている、ほんとにそう思う、今目の前で見たからさ。

 

 原作の活躍が主人公罠に嵌めたり、ヒロイン攫ったり茶番回で問題の原因だったりするから、面白キャラ枠に収まっているけども。

 

 

「なんか、どっと疲れたな……」

 

 

 バレンタインさんとの絡みはカロリーをよく使った気がする、もう少し能力を使ってから帰ろう。

 今度から人がいる時にアリーナへ来よう、あの人は人混み嫌いの筈だから。

 

 

 

 

 

 翌日、またアリーナへ来ていた俺。

 昨日の今日でよくも懲りずに来ていると自分でも思う、あの人に見つかりたくないが一番最寄りのアリーナはここしか無いのでリスクと利便性を天秤に賭けた結果とこうなった、誠に遺憾ながら。しかし今日は人が多いな……あの人は来ないだろう。

 

 

「やぁ隣良いよね」

 

「えぇ……」

 

「いやん露骨に嫌われてる! 世界的に有名なのに!」

 

 

 昨日の今日で全く悪びれてないバレンタインさんは自分の体を抱きしめて左右に揺れている、そういうバカっぽい所が良いキャラなんだが……こりゃ創作の中だけの魅力だ、それが解剖への忌避感の一体どれだけを紛らわせてくれるんだ。

 これ周りの人が騒ぎ出さないのかと思ったが俺が甘かった、アリーナに人がいると思わされたが全員関係者だ、バレンタインさんの。

 

 

「今後の医学の発展のために奉仕しない?」

 

「嫌です……」

 

 

 嫌だよ、後で完全に治るとわかっても嫌なもんはやだ! 絶対に嫌ぁ! 

 

 

「痛くない、痛くないから〜!」

 

「逆の立場ならどうですか? それでも言うんですか?」

 

「おかしなことを言う、逆なら私は自薦するね」

 

「聞いた俺がバカでした……!」

 

「治す? 今はバカも治る時代だよ?」

 

 

 煽りスキルたっか……キレそう。

 

 結局この日はどこまでもしつこく付き纏われて大した練習が出来ないまま終わった……アリーナから出たら追いかけては来ないあたりそこの分別はつくらしい、これ明日もいると思うな……

 

 なら場所を変えたら良いかと隣町に向かったら

 

 

「やっほ! 今日はこっちかい?」

 

 

 何やこいつどこにでも湧くやないか……

 

 翌々日、俺は使いたくないが頭を使って作戦を立てた、隣町のアリーナへ行くのだ、そして能力を使って周囲を減速しつつバレないようにいつものアリーナへ向かう、ブラフにブラフを重ねてやったら流石に来ないだろう。

 

 そう思っていつものアリーナに来たら

 

 

「遅かったねぇ、昨日は眠れなかったのかい?」

 

「なんでいるんだ!?」

 

 

 そこにはニヤついたバレンタインの姿がッ! この化け物め……たまたまか? いや違う分かってて来ているんだコイツッ! ムキー舐めやがってやってやろうじゃないかこちとら転生者様だと原作を読み込んで弱点把握済みよ! 

 

 

「バレンタインさぁん……ちょっとお耳にしたいことが」

 

「え? 告白かい? 気が早いね、でも解剖させてくれるなら一ヶ月くらいは良いよ」

 

「ちげぇよ!」

 

 

 終始ボケまくるなこの人!? 

 そんなバレンタインにペースを崩されないようにして、こっしょりお話をしてあげた。

 

 

「これね、とあるネットの有志の話なんですが〜……」

 

 

 __小さい頃に買ってもらったこぐまのおもちゃ、今でも赤ちゃん言葉で話しかけて遊んでるって、本当ですか? 

 

 

「ヴァッ!? ハッッッッ??!」

 

 

 瞬間的に顔が真っ赤になりバレンタインさんは壁際へ逃げていった、しかし俺はそれをのっそり能力を使って追いかける、バレンタインさんの身体能力はたしかにすごいがこの『減速』の能力とは相性が悪かったようだなぁ! 

 

 

「時速百キロは出ていたはずだぞッ! なぜ追いつけるんだ君はッ!」

 

「焦り過ぎて忘れましたか? 俺の能力のことッ! まだあるんですよ? あなたの恥ずかしい秘密のネタはッ!」

 

「分かった! 分かったからそれ以上言うんじゃないッッ! もうしないから! 止めてくれよ〜ッ!」

 

 

 いいや、やめない。

 

 このあと無慈悲な転生者の知識チートを使った辱めラッシュを受けさせてやり、ついつい口が滑ってバレンタインさんの両親しか知らない事も言ったが多分気がついてない。

 

 これで良い、悪は去った! 

 

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