現代超能力バトル世界に転生した俺の寿命はあと一日   作:テムテムLvMAX

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マグロより速く死ぬやつが行くそうだ

 時間は遅く、志は高い男、時月宗志とは俺の事である。

 あの変人バレンタインさんは怒涛の攻めに懲りたのか顔を見せなくなった、いつもの平穏が俺を呼ぶ……でも次来られた場合のネタが無い、あっちがそれに気づかなきゃいいが……

 

 気を取り直して。

 

 受験に向けてやるべきことは色々あるが、この世界は『サイキックグラフィティ』、物語のある世界……当然前世で読んでいた俺は読者しか知らない情報を知っている、バレンタインにやったようにな、今日はその知識でさらなる成長を目指す。

 

 能力の自己鍛錬はある程度で頭打ちが来る、よっぽど天才じゃない限り先生が必要になるだろう、なのでここは最高峰の指導者を用意したい。それが主人公の師匠だ。

 

 主人公には師匠がいると何度か言ったと思う、その人はどこにでもいてどこにもいないという能力を持ち、通称『猫男』と呼ばれている。

 彼は能力犯罪を取り締まる警視庁の刑事である、また奥さんと2人の子供の為に奮闘する作中屈指の善人で、愛故に日本で五本の指に入る強い能力者でもある。ちなみにバレンタインは世界で五本の指に入る、あれはハズレ値なので比べてはいけない。

 

 そんな猫男は探すのは困難を極める。どこにでもいてどこにもいないという能力は撹乱や戦闘において存分に強さを発揮する、とても曖昧な話になるが……存在というのはどこにでもいる可能性があるがどこにもいない可能性もある二つの可能性を持っている、猫男はその二つの可能性を操る事で擬似的空間転移をするのでプロの超能力探偵ですら所在を見つけられない事で有名だ

 

 しかし見つけて協力関係を結べたなら主人公とお近づきになれる可能性がある、なんなら兄弟子として威張ることもできちゃう……それもこれも取らぬ狸の皮算用にならないといいな。

 

 というか刑事だから知り合える接点ないよな……

 

 とお思いのあなた、甘いね、知り合う方法はあるんだよ。ただドンピシャで合わせないと機会が1年後になる方法だ。

 

 あの人の好きな物は家族サービス、特に下の子のプレゼントとケーキは欠かせない、で、下の子の誕生日は作中では明確にされてないかまあとがきにおまけ程度に書かれていたので知っている、ケーキも買う店は毎度同じところで買うらしい、このことから導き出されるのは店前の張り込みなんですよね

 

 刑事相手に張り込み……強くなりたいならやるしかないね

 

 

「と言うことで母さん、ちょっと東京まで行ってきます」

 

「言葉の前に何が入ってたの……? まぁ気をつけていきなさい」

 

「お土産はケーキだよ」

 

「じゃあ美味しいお茶用意してるね〜」

 

 

 電車を乗り継ぎ東京へ。

 

 

「おーここが東京、超能力大国日本の首都……!」

 

 

 前世と変らないのは俺の性癖とこの街並みと言われるくらいだ、超能力がある世界といえどそこに住む人間は一緒だと言うことか……この世界の前提が二次元だから作画の都合だろとか言わない。

 えーと……確か店は駅前の良いところだったよな……あったあった

 

 

「『カフェ・シフォン』ここだ」

 

 

 カフェシフォン、何度か登場するケーキ屋兼カフェ、裏と表で別の店舗を構える喫茶店だ。前世だとここのメニューを再現したコラボカフェが出るくらいにはここの食事シーンには力が入っていたことを思い出す。

 

 裏が喫茶店、駅に面する方が表にある、裏と表は繋がっているのでとりあえず喫茶店で張り込み開始。

 容姿は分かる、声もアニメ版なら分かる、見つけたら即座に能力を使って接触しないと逃げられるのでよく気をつける。

 

 

 それはそれとして。

 

 

「すいません、このアイスシフォンケーキのホットキャラメル掛けください、ミルクコーヒーも一つ」

 

「は〜いアイスシフォンホットキャラメル掛け一点、ミルクコーヒー一点、以上でよろしかったですか〜?」

 

「はい、お願いします」

 

「かしこまりました〜では少々お待ちくださ〜い」

 

 

 ここに来たら食べたかった物を食べるぜ! ヒャッホウ! 

 

 まずアイスシフォンケーキは簡単に言えば冷やしたシフォンケーキ、そのままだな、店主の超能力で限界までふわふわにされたシフォンケーキを食感を損なわないように冷やしてその上から温めたキャラメルソースを掛けるだけ、変に凝っている超能力スイーツがあふれるこの世で唯一前世から地続きな正統派スイーツよ! 

 ただその実力は前世を超える! ふわふわ指数はわたあめレベルを叩き出しそれでいてシフォンケーキなのだ! 

 

 

「おまたせしました〜ではごゆっくり〜」

 

 

 来た! パクッ! 美味い! うままままままい! 溶けるぞ! 甘い! 溶ける! しっかりとシフォンの味がする! キャラメルうまい! 

 

 

「ミルクコーヒーでこの甘みに追い打ちをかける……!」

 

 

 美味い! 毎朝届く新鮮なミルクを選び抜かれたブレンドコーヒーと合わせる時に温度を整えミルクの風味を落とさず、かつコーヒーの香りも引き立つよう焙煎し挽かれている、味覚のグルーヴ感が素晴らしい……感動した……

 

 

「いらっしゃいませ、ご注文は何になさいますか?」

 

「いつものレアチーズケーキを一つ、今日は娘の誕生日だから名前の描いたチョコプレートも乗せて欲しいかな」

 

「まぁおめでとうございます! ではご用意させてもらいますね」

 

 

 ん! 来た! こっちも来た! くそっまだ食べてるでしょうが! 何で来るのさ! 来て欲しかったけど! もうちょっと遅くていいよ! 

 

 俺は名残惜しさに後ろ髪を引かれまくったがケーキとコーヒーを即座に食べ切り能力を使い周囲を減速しつつケーキ屋の方へ歩いていく、能力使用に対する警戒心の強い『猫男』だがその反応自体遅れてしまえばこっちのも__

 

 

「そこだ」

 

「ぐぁっ!?」

 

 

 痛ッ!? 何が起きたっ! 

 

 

「動くな、もがけば腕を折る。それとも地面に血のリップでキスしたいか?」

 

 

 あの一瞬で組み伏せられたっ……!? 右腕を取られ背中に押し付けられて床に体重を掛けて押さえつけられている、膝も入っているから本当に動けない、もがけば腕を折るという言葉も……本気だ、力が段々強まっている。

 

 猫男まであと何メートルもあって、その上で減速させていたのにこっちが認識できぬままに取り押されられ、既に手を後ろに回されたまま手錠も掛けられている。全てが速いぞこの男ッ! 

 その後も流れるように口にハンカチを詰め込まれ目隠しもされ足も縛られた、ここまで身動きの一切を封じられて耳栓もされた。徹底的に俺は何もかも封印された。

 

 

「きゃあっ!? なんですかいきなりっ? お、おっお客様これは一体……?」

 

「気にするな、やんちゃなバカを抑えただけだ。すまないがケーキは後で取りに来る、コイツこら事情聴取しなければならない。

 

 良いな、大人しくしろ」

 

 

 もはや何も見えず聞こえないが圧を感じて頷いた。しばらく揺れが続き、収まったと思ったら突然の浮遊感、空から落とされるのかと錯覚するほどで、それが終わると視界にまばゆい光が戻ってきた。

 

 

「ようし、この辺でいいか」

 

「ぐっへっ!?」

 

 

 粗雑に投げ転がされて口に砂やら土やら入り込んできたがなんとか吐き出し、そのぐらいには目も光に慣れてきたので周りを見ると……ここはどこかの公園だ

 

 

「よう兄ちゃん、現役のデカ狙うとは良い度胸してるけど相手が悪過ぎたな」

 

「短い茶髪……日焼けした肌……そして猫目……」

 

「おうそれがどうした、全部チャーミングポイントだぞ」

 

「会いたかったですよ、猫男さん……いや木谷 ト男(きや ぼくお)さん」

 

「兄ちゃん物知りだなぁ、俺の場合名前は調べりゃ出るとして、どこからそんなあだ名知ったよ? それによっちゃ逮捕じゃすまないんだよなぁ」

 

 

 さっきの投げが無になるほど痛い視線が突き刺さる、強い眼力では人を殺せるんだと思わされる。

 流石『サイキックグラフィティ』の主人公の師匠だ、強いってもんじゃ無い……手を出したら終わり、下手なことを言えない。

 

 しかして偶然にも切り札がある、運良く手に入った切り札がね! 

 

 

「知る切っ掛けはありましたよ……つい先日……バレンタイン・カシウス・セイレーナ……さん……に、会いましたから……」

 

「……かーっ! あの行儀の悪いゴリラの行き先、君だった訳か……なんぞあいつに吹き込まれたか? 俺のところに行けって」

 

「おおむねそんな感じです……」

 

「うへぇ……セイレーナのヤローふざけやがって日本政府と俺への当てつけかぁ!」

 

 

『サイキックグラフィティ』の前日譚であの二人バトルしてたんだよね、実は。

 あれは二人がまだ碧蘭高校を卒業する前、学園1位の成績だったバレンタインさんに負けず嫌いな木谷さんがバトルを挑み、良いところまでもつれ込んで惨敗した話がある、その時敗者は何でも一つ従う約束を賭けていた。結果負けた木谷さんはバレンタインにこんな約束をさせられた。

 

「テメェより強いやつを連れてこい」

 

 これは負けず嫌いな木谷さんに対する最大級の煽り文句、ブチギレた木谷さんはその時のことを守ることで見返してやろうとずっと覚えているのだ、バレンタインの方も木谷さんのキレた様子が面白すぎて覚えているらしい。

 

 俺はこんな話を利用した訳だな、でなきゃいきなり主人公の師匠探すとか言わない。順当に超能力を伸ばす塾へ行く。

 

 

「バレンタインの野郎ゼッテー見返してやる……! とりあえず兄ちゃんの嫌疑は晴れた、その拘束も解く」

 

「ふぅ……苦しかったぁ」

 

「で、やる気はあるか?」

 

「やる気……ですか?」

 

「何とぼけてんだ、俺に鍛えられてぇんだろ、バレンタインが吹き込んだからとノコノコ会いに来るやつはいねぇ、しかも能力まで使って接触を試みたんだろ? ならやる気はあるよな?」

 

「やる気はあります! ぜひ鍛えてください!」

 

「よし、今日は遅いから送っていくから住所教えろ、んで持って明日からの毎朝2時間だけ見てやる、休日は「家族サービスで忙しいんですよね! 聞きました!」あの野郎そんなことまで……!!」

 

 

 バレンタインさんには悪いがこれも俺の未来のため、許してくれ、次あったら大人しく解剖されるから、次会う時は木谷さんも一緒だと思うが……

 

 

 こうして、俺は師匠を得るのだった。明日から忙しくなるな……! 

 

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