現代超能力バトル世界に転生した俺の寿命はあと一日   作:テムテムLvMAX

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うわ絶対死なない奴が来たぞ

 木谷さんを師匠にした毎朝2時間だけの特訓はなかなかハードだが、辛い分の成長が見えているので気力が尽きることはなく順調、順当と言える。素晴らしいサイキックライフを送っているので俺は満足です、アレ以外は……

 

 

「あっ最悪また間違えてる……なぜ点Pはワープするのか……」

 

 

 碧蘭の試験で出た過去問を解いていると必ず位置がずれる点Pに殺される日々がこの所続いている、P……お前超能力者の素質あるよ。

 それ以外にも問題はあり……一回通しでやったら平均45点だった……無駄に時間だけあるが勉強出来ねぇ事が露呈しました。

 おかしい中学までコケたことはない、これは試験問題が大学レベルに突っ込んでいるせいだ、その筈だ! そうとしか言えない! 

 

 それとは別に最近『サイキック・グラフィティ』の原作内容を思い出してはメモしている、ずっと覚えていられる訳でもないので何か逃したくない事件とかを重点的に……あれそんなに思い出せないぞ……あれだけ読んでいたのに……? 嘘だ嘘だ嘘だ、俺はファン歴十年以上だぞ……! それを忘れるなんてこと……! 

 

 

「俺の勉強不足とは思いたくない〜〜ッ!」

 

 

 頭を抱えて机へ突っ伏し呪詛を吐きまくった。

 もう何も考えたくない、あぁ嫌だ、あぁ嫌だと言い続けていたら母に外へ行けと家を追い出されました。

 

 わおパワフル……

 

 あのまま悩んでいても仕方ないので、これはこれで正解だったかも。流石母上名采配。

 

 

「改めてみると近所には何もねーな〜」

 

 

 家の近所、実に何も無い。田舎といえば田舎だが都会からそう遠い訳でもない。電車で30分も乗れば日本の大都市に数えられる所へ行ける、名古屋っていうんだけど……違うだと? それを言ったら戦争じゃろうが……っ! 

 

 話が反れた。

 

 そういう微妙なところに住んでるもんだから家の近所で息抜きに遊ぼうとすると必然的に一箇所に絞られる、昔懐かしい古いアーケードゲームが多いゲーセンだ。往年の格ゲーやシューティングゲーもあるマニア御用達の穴場でもある。

 

 今日はそこへ行こう、思い立ったら即行動と言うことで来ました

 

 

「いつみても廃墟にしか見えねぇよな」

 

 

 店舗はボロボロで錆びた看板だけが掛けられた昭和感漂う店、ここが『ゲームセンター・ヒメカワ』だ。

 

 

「さーて何で遊ぼうかな……」

 

 格ゲー、メダルゲー、シューティングゲー、しょぼい景品のクレーンゲーム……今日は格ゲーだな

 タイトルはもちろん放浪伝説! ストリームファイターIIも面白いが技の格好良さはこっちだ。

 

 躯体の前に座り早速ワンコイン投入、一回十円という安さで何度も遊んでしまう。格ゲーといえばキャラか技で選びたい所、当然強いキャラ弱いキャラはあるが……ビジュアルで選ぶのも一興でしょう、だから俺はキャラセレクト画面中央に映る主人公キャラを……選ばずにその真下にいる兄弟分のボンディ・アガードをセレクト、ちなみに主人公はボリー・アガード。

 

 

「ようし、やってやるべ」

 

 

 アーケードらしく次々にキャラを倒すストーリーモードをやっていく、見てろよ格ゲーとはこうやるんだッ! 

 

 

「必殺読み必殺でめくりーの掴んで画面端ィ! 起き攻め二択はい勝った! よしそのままコンボで〆! あーん美しすぎるぜ!」

 

 

 こんな調子で1から最後のボス、ダース・パワードまでノーコンティニューで突き進んでいく、昔のゲームは3ステージ目からCPUレベルがアップして難易度が跳ね上がるがボスにもなるとボス特有のクソ判定必殺のオンパレードになる、なので試合前には精神統一が欠かせないのだ……ゲームに精神統一とは。

 

 いざさぁラスボス……あれ乱入だと……? そんなまさか向こう側に誰かいるのか……? 

 

 

「失礼、手合わせ良いかな? あまりにもいい読みをしていたから戦いたくなったよ」

 

「今からいいところだったの……はえ……」

 

「どうしたの?」

 

「澪崎……玲沙……?」

 

「ん? 本当にどうしたの? 体調悪くなった? 顔青いよ」

 

 

 なんと向こうにいたのは澪崎玲沙(みおざき れいさ)、主人公の幼馴染である女性……青髪のショートヘアがよく似合う可愛い子だ。でも今はメガネにマスクと言う変装をしている……いやバレバレやぞ。

 

 とは言えその経歴はかなり面白いと言える、小学校が主人公と同じで近所に住んでいたが中学一年生の時にスカウトされモデル業に進み主人公とは別の場所に引っ越した、彼女は売れカリスマモデルの称号を得るまでに至り、その流れから超能力タレントとしてテレビでも活躍、芸能界でさらなる活躍をするために卒業資格がステータスになる碧蘭高校を受験し主人公と再会して、恋が始まるんですよ。甘いわー。

 

 ざっとこんなものだろう。いやまさかこんな所で出会うとは……カリスマモデルとして活躍しているので見ない日は無いが実物を見る日が来るとは考えつかなかったなぁ……

 

 

「で? どう? やれる?」

 

「え? は、はい、やりましょう!」

 

「そう来なくっちゃね!」

 

 

 ニコッと笑ったその表情は満開の桜のようであった。

 何も意識していないよに思わずグッと来てしまう、これがカリスマの笑顔か……いや、対戦前にそのような感情は不要である! 

 

 俺はキャラは変えずにすぐにセレクト、対する澪崎さんはシグレ・マオ……露出激しめのくノ一キャラだ……揺れる……

 

 

「さて、集中……」

 

「よーしやるぞー」

 

 

 ラウンドコールが響き、初めに動いたのは俺の方だ。

 

 

「このキャラは飛び道具が痛い……画面端に追い込むか」

 

 

 俺のキャラは前進する技が多いのでそれを起点に画面端に追いやっていく、しかし相手も簡単にはやらせてくれずブロックしたあとにカウンターを入れて逆に形勢逆転された。入れ替えのテクニックが上手い、恐らくこのやり方への対処を相当練習している

 

 

「甘いね甘いよ、ほら投げた、超必も入るッ!」

 

「あっやべっ! 負けたぁ!」

 

 

 途中で起き攻めへの対処をミスして良いようにされ、コンボからの超必殺技でトドメまで完走された。あれは最大コンボだ、かなり難易度が高いのに冷静に実践で決めていたあたり並のプレイヤーではないぞ……ならばこちらも奥の手を使うしかあるまい

 

 

「今度はこちらの番だ……!」

 

 

 ラウンドコールと同時にさっきと同じ攻め方をする、出来るだけ隙を潰すように入力して、ここでさっきとタイミングをずらして技を入れる

 

 

「あっズル!」

 

「ズルじゃない!」

 

 

 上手く掛かったな、一度見たタイミングからずらすことで相手が反撃する前にこちらの技を入れる小技、後の先と言うやつだ。

 そこからコンボに持っていき超必は使わず必殺でコンボを切り上げた、相手は瀕死でこちらはまだ余裕たっぷりだ。

 

 

「詰めが甘いんじゃない?」

 

「いやいや想定内」

 

 

 こっちから更に圧力を掛けていく、隙あり、投げて最後の体力を削り俺の勝ち。

 

 

「ギャー負けたー! なんのこれしき次決めたら私の勝ちだからね」

 

「そうかな?」

 

 

 最後のラウンドコールが響く。

 先制したのは澪崎さん、最後のラウンドだけにドンドン攻めてくる、こちらが飛び道具が痛いのを分かっているので避けるのだがそれも読まれている、やり込んでいるなこの動き……

 

 ガードの上から僅かに削れる体力、反撃しようにもガードキャンセルが無いので飛び道具に対する効果的対応策は無いので、じわりと距離を詰めるが……さっきと違いこちらのやりたいことを潰す動きが多い

 

 

「確実に仕留めてやるわよ」

 

「やべー負けそう……!」

 

 

 よし、この辺でやるか……! 一か八か勝負! 

 

 俺のキャラのガードをあえて緩めコンボの起点になる攻撃を受ける、最後に超必殺で〆るコンボが来る

 

 

「気を緩めたわね、この勝負もらったわ」

 

 

 そして最後に超必殺……が、来ない。

 

 

「あれっコマミス……!?」

 

「隙ありっ!」

 

 

 ここで俺のキャラの超必殺をコンボを挟まず生当てする、計算どおりコンボ補正されない100%の火力で澪崎さんのキャラを倒しきることが出来た。

 ひやっとしたがこれで俺の勝ちである、ブイ! 

 

 

「あーっ負けたーっ! 悔しーっ! くーやーしーいー!」

 

「焦ったぜ……汗がダラダラ出てくる……」

 

「もう! 最後のゲージ管理甘かったぁ!」

 

「飛び道具が地味にゲージ使うし、このゲームの仕様上受けの方が溜まりやすいからな。ゲージ持ち越しだからどこで使うかは悩む所だったけど、上手く罠にハマってくれて助かった……いやほんと」

 

「くっ……そこまで考えて実行していたなんて……文句のつけようのない負けですよ……」

 

 

 澪崎さんは悔しさいっぱいの視線を送ってくるがそこは勝者の余裕で流していく、このあともう3回対戦し結果俺の勝ち越しである。一回引き分けた試合もあるので実力は僅差、キャラパワーの差で勝っているようなものだった。

 

 

「あー楽しかった!」

 

「こっちも楽しかったよ! ありがとう!」

 

 

 もうすっかり打ち解け最初の緊張はどこにも残ってないので、やはりゲームは人を繋ぐツールであると再認識出来た。

 

 遊び疲れたのでこの店で売っている駄菓子を買って澪崎さんと二人で分けあいながら食べた、いいな……人と遊ぶって楽しい

 

 

「ねぇ(もぐもぐ)君の名(もぐもぐ)前は?」

 

「俺は時月宗志、ソウシでいいよ、クラスメイトはソウって呼ぶ」

 

「ソウシかぁ、強そうな名前だねー、私は……あっ、みお……レイナでいいよ」

 

 

 思わず笑いそうになったが表情筋を引き締めた、有名すぎるからフルネーム名乗らなかったのはまだ良いとして下の名前で呼んでねはファンに殺されそうで笑いそうになったよ、笑ったわ

 

 

「なんで笑った!?」

 

「つい……?」

 

「なんでよー!」

 

「アハハハ!」

 

「ふっ……アハハハ!」

 

 

 こんな感じで笑いながら時が過ぎていく、そんな一日だった。

 

 気がつけば帰る時間、夕方のチャイムが俺を呼ぶ。

 

 

「そろそろ帰るかな、レイナはどうなんだ?」

 

「え? えー……どうしよ」

 

「どうしよってなんだよ、じ……実家には帰らないのか?」

 

「実家言い方面白ろ! ……あーうん、帰るつもり無いんだよね──……なんていうか家出じゃないけど、色々疲れちゃってさ」

 

 

 事務所って言いそうになった……危ない危ない……! 

 心の内でふざけていたらなんか、シリアスが始まった。そう言えばレイナの過去編で家出のシーンがあったのを今思い出した、家出して人と遊んでいる時に事務所の人が迎えに来るシーンが一コマあるだけなんだが……このシーンと今とが重なって、記憶の底から呼び出された感じだ。

 

 となると……このあと来るのは事務所の人か……家出自体悪い事があるわけでもないようなーあるようなー……まだ忘れていることがあるような……

 

 

「ここにいましたね。澪崎さん……帰りましょう」

 

「あ、マネージャーさん……」

 

 

 ゲーセンに入ってきたのはスーツを着こなす大人の男性、少々強面だが優しい目をしていた。この人は原作からして別に怖い人ではない……そのはずなのにやけに怖がるレイナ……これは何か裏がありますぜ。

 

 

「戻りません! いや!」

 

「嫌と言うなら、無理矢理にでも戻ってもらいますよ」

 

 

 

「……違う! 貴方だれっ!? 私のマネージャーじゃない!」

 

 

 

 

 

「おかしなことを言いますね、私以外にマネージャーはいませんよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あっこれ不味いわ、誘拐事件だったわ。

 

 

「どうせなら俺が誘拐するぜ!」

 

 

 あのマネージャーを限りなく減速してレイナを家に連れ帰った。

 

 

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