現代超能力バトル世界に転生した俺の寿命はあと一日   作:テムテムLvMAX

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敵、強すぎてお亡くなり

「と、言う事なんです。母さん」

 

「ようやった! レイナちゃん怖かったでしょ? ちゃんと警察には連絡したからしばらくここにいなさい、あとおうちの人にも連絡するんだよ」

 

「はい、何から何までありがとうございました……」

 

 

 あのマネージャーモドキを振り切って俺の家に帰ってきてすぐに警察へ通報し母と父に事情を話して__本人が澪崎玲沙とは名乗らなかったから俺もその事は伏しておいた__が、やっぱり父も母は察したようで触れないようにしてくれている。

 

 

「あとは警察が来るまでこの部屋で時間を潰してると良いよ、俺の部屋狭いけど許してくれ」

 

「いやいや、流石に他人の部屋にケチはつけないよ私……せっま」

 

「つけとるやないかい!」

 

 

 俺の部屋で警察が来るまで待機する、事情聴取もあるし今回は超能力犯罪の疑いもある為警察が迎えに来るそうだ。

 

 俺の部屋は二人いると狭くてベッドにレイナを座らせて俺は床に座ると丁度よい感じ、まさか他人を部屋に入れるなんて思っても無かったので汚い所はあるが我慢して欲しい

 

 

「いやーまさか……誘拐なんて、ねぇ? ありえなくない? トッキーもそう思わない?」

 

「トッキー……? ま、まぁありえない話だよな、逆に心当たりとかある?」

 

「いや~まさか~……無いかなー……?」

 

 

 なんかありそうな間の取り方してるな、芸能人だけに恨みは買ってるって話か? 確かに原作だと一気に有名になった反動で妬み嫉みの的にはなっているとは言われていたが……

 

 さて、このあとはどうなるんだったかな……あのまま誘拐されていた場合は原作の流れのまま進んで、身代金目当ての誘拐犯とバトルして負けて、アジトへ連れて行かれた所を木谷さんに助けられて弱さを克服したくて師事するんだったよな……で、主人公と同じ師匠の元で強くなり、活躍していく。

 

 要はレイナさんの強くなるきっかけが、この事件だった筈だ。

 

 となると俺はレイナさんの強さの原点を潰した訳になるな……

 

 

「う〜……んんん」

 

「どうしたの? 悩み事?」

 

「まぁ、そんな所」

 

 

 レイナさんが仮に原作より弱いと乗り越えられない壁がいくつかあった、裏の主人公が澪崎玲沙と言って差し支えないので、そこの弱体化はファンとして非常に申し訳ない、だからと誘拐犯から助けたことを悔やむことは一ミリもないが。犯罪許すまじ。

 

 

「怖いね……」

 

「そりゃ怖いでしょ」

 

「いや、君だよトッキー」

 

「俺がか? なんで?」

 

「なんていうかな……やたらと冷静だから?」

 

「理不尽な……」

 

 

 段々気不味くなってきたぞ、同じ年頃の女性といるのってこんなにも気まずい空気になるもんなのか……

 この雰囲気を変えるために話題を……そうだ、ゲームの話でもしようか

 

 

「レイナはさ、どこであれだけ強くなったの? 放浪伝説ってほら、世代じゃないでしょ?」

 

「露骨な話題変更だねー、そうだなぁ実はね、お父さんの影響なの、とある事情で遊ぶより働いている事のほうが多くて、家族にもなかなか過ごすことも無くて……あ、別に家庭環境が悪いわけじゃないよ、ただそれぞれの都合ですれ違いしてるだけで……そういう生活が長く続いて、私の心がそろそろポキッと折れそうな時、お父さんが仕事休んで私をゲーセンへ連れて行ってくれたの、その時出会ったのが放浪伝説、お父さんがお母さんと出会ったゲームなんだって言って子供からしたら恥ずかしい思い出話付きで色々技を教えてくれたのよ」

 

「へぇ……いいお父さんじゃないか、レイナの事よく見てたんだね」

 

「本当にね、その時までお父さんのことちょっとウザかったもん、いちいち口うるさいし……今もそうなんだけど。見直したっていうか、親って凄いなぁって……感動しちゃった」

 

 

 原作にはない話だ、過去編にだってでてこない……ええ話や。涙脆いわけでもないのに目から汁が出る……

 

 

「で、今度はそっちの番よ」

 

「え? あ、そうだね……俺はたまたま近所にそう言うところがあったから始めただけだ、そんな感動エピソードは無いよ」

 

「つまらない男ねー」

 

「うるさいやい」

 

 

 段々遠慮が無くなってきたようで俺のベッドで横になりながらくつろぎ始めたレイナを俺はどうももどかしい気持ちに駆られていた。レイナがベッドに寝転がっている事じゃなくて、警察が遅い事だ。

 

 前世の警察ならまだしも超能力のある世界なら警察官の中には加速系能力者や空間転移系能力者、飛行系能力者などが連携して現場へ駆け付けてくるのがこの世界の常識だ。だから遅くとも10分あれば来るはず……だが、通報してから一時間は経っているのだ、おかしい……おかしいぞ……

 

 

「おーい警察の人来たわよー」

 

「おっ来たみたいだね、行こうかトッキー」

 

「あ、うん……うーん……」

 

 

 なんだろう、不穏な感じがする。このまま警察に任せていいのか……

 原作を通して未来を知っているがゆえに募る不安が俺の思考を圧迫していく、不安になるだけで物事は前へ進まないので警察の人へ接触することにした。

 

 2階にある部屋から一階のリビングに降りてくるとテーブルの前に母さんと父さんと、三人の警官が座って俺達を待っていた

 

 

「やぁどうも、私は姫川警察署から来た刑事の『波瀬 大(はせ だい)』です。

 そして右が「巡査の加藤です」左が「同じく巡査の真田であります」まず初めにお聞きしますが私達以外の警察には会っていませんね?」

 

 

 この人何を言い出すんだろうか、とりあえず質問の意図は置いておいて来なかった事を伝えた。

 

 

「ならよかった……近年変身系超能力者が警察に扮して堂々と誘拐すると言う事例もあります、どうやらその前に来れたようで安心しました……ではレイナさんでしたか、この二人が安全にご家族の下まで送り届けますのでお先に帰ってください」

 

「え? あの、事情聴取とかは?」

 

「あぁ心配いりません、ご自宅へ一度帰りご家族を安心させるほうが先ですので、また後日致します」

 

 

 波瀬刑事のにこやかな表情に安心して、レイナはその言葉に従って二人の巡査と自宅へ帰っていった。

 そして残された俺はというと…………

 

 

「今回の通報者は君で間違いないかな? 

 

「はい、そうですが」

 

「なら、今からいくつか聞き取りして良いかな? 申し訳ありませんがご家族の方はこの場はご遠慮願いたい」

 

 

 と言う感じでリビングには俺と波瀬刑事の二人だけが残る、テーブルを挟んで一対一で警察のしかも刑事と会話するなんてこと慣れていないので俺の緊張がずっと続いている

 

 

「あはは、まあそう固くならずに……事件発生時に見た“男”の特徴を聞かせてもらって良いかな?」

 

「あ、それなら……なんていうかな、スーツを着た会社員のような出で立ちで、レイナさんの知り合いに似ているとかなんとか、でもその本人じゃないらしいとレイナさんは言ってましてね」

 

「ふむふむ……一見見慣れた人物だが、不自然さを感じ取ったと……」

 

 

 刑事は俺の証言を手帳に素早くメモしてサラサラと書き慣れた動きでボールペンが動き、俺の一言一句を書き留めているようだ。

 

 

「他に何か無かったかな? 近くに誰かいたとか」

 

「いやそこまでは……」

 

「ふむ……なるほど」

 

 

 波瀬刑事は手帳を懐にしまうと大きな溜息を吐き出して、ニヤリと笑う、不気味な態度の変わり方から俺は背筋が寒くなりすぐにこの場を離れようとゆっくり席を立ち上がった。

 そうだ間違いない、この刑事誘拐犯だ、思えばおかしな所はあったんだ、警察到着までの時間の長さと事情聴取の時の聴き方だ。

 初めから男と決めつけた聴き方をしてきた訳だから、そんな事がわかるのは本人か俺たちだけだ。

 

 

「ちょっとお茶でも淹れますね……」

 

「まぁ座れよ」

 

 

 そうはいかないみたいだ……

 大人しく指示に従い席についた。

 

 

「私らねぇ、一回だって失敗したことないんだわ、目撃者だって一人もいなかった……なのに君、逃げちゃうからさぁ……警察に探される手間が増えたじゃないか、だからここで消えてもらうよ」

 

「ホント最悪だ……」

 

 

 そう言って取り出したのは拳銃でそれも消音装置付きという準備の良さ、昨今では裏社会の人間しか使わない道具だが……それを隠そうともせずに俺へ照準を合わせている。両親を呼ぼうにも二人は2階にいる、呼んだところで間に合わないしそれより重大なのはレイナが偽警官に攫われてしまったことと俺が寿命以外で死ぬことだ。

 

 

「今から君を殺す、でも、死ぬのは君じゃない誰か……だから、君が死んだことに誰も気づかないし、気づいた所でもう遅い状況が出来上がる」

 

「遺言残せます?」

 

「ダメだけど? じゃあね」

 

 __BANG! 

 

 

 あっコイツ躊躇なく引き金引きやがった! 

 だが拳銃を取り出した時点で能力は発動している……と思っていたが弾丸が想定より遅くならない、いくら音より速いからって殆ど止まるくらいにはなると思った。

 現状最大の減速をしてあるのに弾丸は時速30キロは出てるが、これをなんとかかわす。

 

 背後には、弾痕。無意識に冷や汗が流れる……

 

 

「あれ、避けるんだ。強い能力持ってるんだね」

 

 __BANG! BANG! BANG! 

 

 

 続け様に3回、やはり遅くなり切らない弾丸を急いで交わす、本人を減速して警察が来るまでの時間稼ぎをしたいが……こちらもやはり遅くならない。なんなら弾丸より効果が薄いように思う

 

 

「このキャンセラーお守り代わりに持ってきたけど、効果あるね」

 

「なんかズルしてることしか分かんねぇ……!」

 

「これでも当たらないから意味ないなぁ」

 

 

 何そのチート!? それ原作者も知らないと思うんですけど! 

 ヤバいな……音を聞いて両親が降りてくる事に期待していたが何故か降りてくる気配がない、まだなにか細工しているみたいだしどうにか木谷さんを呼びたい……! 

 

 障害物の多い家の中でなんとか逃げるが躊躇ない弾丸と悪意に追い詰められていく、冷や汗が止まらない、心臓も鼓動が速くなり呼吸も苦しくなってきた。

 

 

「ちょこまかちょこまか動かない!」

 

 

 いよいよ部屋の角に追い込まれ逃げ場が無くなる。

 それと能力の使い過ぎから来る頭痛もある、ヤバいな……ぃ、痛みが思ったより……ぐっ……平衡感覚も怪しくなってきたぞあっ死ぬ前に死にそう……! 

 

 

「さぁ大人しく死んで下さいね」

 

 __BANG! 

 

 

 これが最後の一発と思い気合いで減速して避ける! 無理したから吐血ッ! 

 

「ゲホッ!」

 

 

 __BANG! 

 

 

 避けた先に照準が合わせられている!? クソッ避けられない! 

 

 

 こんな所で終わるのか俺は……ッ! 殺されるくらいなら気合いでもう一回っ! 

 

 

「アーンビリーバボー! 死ねクソカス! 私の研究対象に何してるんだこのダボッ!!!」

 

 

 突然壁を突き破り現れた白衣のヤベー奴が波瀬刑事をタックルで壁に叩きつけてそのまま突き抜けていった……

 

 

「おーう大丈夫……死にそうだなお前……救急車呼んである、乗ってろ、俺はあのゴミをゴミ箱へ入れてくる美化清掃の仕事しなきゃならんのでな」

 

 

 木谷さん……

 

 死の間際、助かったことへの安堵、2つが同時に襲ってくる……

 

 あっ倒れまーす

 

 

「っておいおい……セイレーナ! それくらいにしとけ、そいつ死ぬぞ〜」

 

 __ゴリッバキッドゴッバキッ! 

 

 

「あ! そうかこの国だと殺しちゃダメなんだっけ、あーッ! ソウシが死にそう! 今のうちに「解剖すんなよ」……しないよ、病院に連れて行くだけだよ」

 

 

 ヤバい奴らの会話を最後に意識が途切れた。

 

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