ホムンクルス、ついに買われる!~爆乳専門店の元・売れ残り~   作:ツインテスキー

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3-4 急変

「どうぞ。ハーゲン様。あ~ん♡」

 

「お、おう、……あ~ん」

 

 夜中、閉店後の酒場ではいつものように店員たちが賄いを食べていたがその光景はいつもと違っていた。先日、恋人になったファンとハーゲンが恋人らしく食べさせ合いを行っていたからだ。

 

「どうですか? ハーゲン様♡」

 

「……嬉しいけどやっぱり恥ずかしいな」

 

 ハーゲンはファンが食べさせてくれた物を噛みしめながら、恥ずかし気な表情を浮かべていた。

 

「そうですか? それなら普通に食べましょうか。普通に食べてもハーゲン様の作られた賄いは美味しいですし」

 

「ファンちゃ……いや、ファンがそれでいいならそれで」

 

「はい!」

 

 ハーゲンが恥ずかしいことを伝えると、ファンは普通に食べるように切り替えた。それは力関係が大きすぎるケフェッチとデレーヌではまず起こらない展開だった。

 

「はいはい、ご馳走様」

 

「三組は胃もたれしますね」

 

「確かに」

 

「それにしてもズラさんがあのハーゲン様だったとは」

 

 二人のイチャイチャぶりを見ていた周囲がその感想を漏らした。以前からいたラブとロマンだけでも目に付くイチャイチャぶりだったが、更にデレーヌとケフェッチ、ファンとハーゲンが増えたことで目のやり場に困る者が少なくなかった。

 

「私も彼氏、欲しいなあ~」

 

 一方で三組に刺激されて、恋人が欲しくなる者も多かった。

 

「誰か狙ってる人いるんですか?」

 

「この街でフリーの男ならクロースルとかが狙い目だけど狙ってるのが多そうなのがね」

 

「それは確かに」

 

 商売のための打算もあるとはいえ、人当たりのいいクロースルの女子人気は中々のものだった。もっともクロースル本人は3号が好きなのでその望みが叶う可能性は今のところ限りなく低かった。

 

「盛り上がっておるようじゃの」

 

「あっ、ゴーツさん。どうも」

 

「どうしたんですか?」

 

 そんな雑談をしているところへ、ゴーツがいつものように突然現れた。

 

「ちょっと聞きたいことがあってな」

 

「聞きたいことですか?」

 

「ああ、3号がここへ来てからそれなりに立つがぶっちゃけどうじゃ?」

 

 ゴーツの用件は3号の働きぶりについてだった。

 

「3号ちゃん? 3号ちゃんならいつもよくやってくれてるけど」

 

「仕事の日は毎日酒場の掃除までしてくれていますしね」

 

「そうか。……ハーゲン、お主は何か意見はあるかの?」

 

 酒場の面々からの3号への評価は働き者と上々だった。続いてゴーツは酒場のまとめ役であるハーゲンへと話を振った。

 

「……俺もみんなとほとんど同意見だ。ただゴーツさんが聞きたいのはそういうことじゃないんだろ?」

 

「ああ、察しが良くて助かる」

 

 ハーゲンのその言葉に周囲は疑問符を浮かべていた。

 

「3号ちゃんはよくやってくれているよ。やり過ぎなぐらいにな」

 

「ああ、そういうこと」

 

 ハーゲンの言葉に何人かは察しがついた。

 

「掃除もそうだし、休憩中にも細々とした用事をしているみたいだからな。あんまり言うと気にするだろうから比較的負担の少ない仕事を回したりはしてるんだが」

 

「確かに3号さん、いつも忙しそうですね」

 

「そうねえ。手伝おうかって言っても『大丈夫です』って一人でやっちゃうし……」

 

「休みの日もほとんど賭場でディーラーをやってたりするのよね」

 

 ハーゲンの言葉に酒場の面々は仕事中の3号の姿を改めて思い浮かべた。3号は誰よりも早く仕事を始め、休憩もほとんど取らずに動き回っていた。また休みの今日も賭場で丸一日ディーラーをするなど何かしら動いていた。

 

「まあ、3号はホムンクルスじゃから見た目よりは頑丈ではあるがそれでも疲労がないわけではないからな。儂も気はつけるがお主らもその辺りを気にかけて欲しいと思ってな」

 

「もちろんだ」

 

「了解しました」

 

「なるほど」

 

「なんだかんだ見てるんですね」

 

「何かあってからでは遅いからのう。話はそれだけじゃ。食事中に邪魔をしたな」

 

 用件を伝えたゴーツはいつものように煙のように消え去った。

 

____________________

 

 

「……あいたたた。いくら最後だからってあそこまでやるとは……」

 

 深夜。夜の仕事を終えたクロースルは、手で尻を擦りながら倉庫へと帰って来た。

 

「やあやあ、最後の夜の仕事、お疲れ様じゃ」

 

「勝手に入らないでくれませんかね?」

 

 しかし、鍵を掛けていた倉庫の中にはゴーツが待ち構えており、仕事を終えたばかりのクロースルはわざとらしく嫌な顔をした。

 

「普通に労をねぎらいに来ただけじゃ。何か飲むか?」

 

「遠慮しておきます」

 

 ゴーツは飲み物を勧めたが、貸しを作りたくないクロースルはバッグから自作のポーションを取り出した。

 

「……で、本当に労をねぎらいに来ただけなんですか?」

 

 ポーションを飲んだクロースルは、ゴーツに向けて疑いの目を向けた。

 

「それは本当じゃ。全てが終わってからでは言う暇がなさそうじゃからな。もう5日もかからんじゃろう?」

 

「……よく分かっていますね」

 

 ゴーツの言葉にクロースルは静かに頷いた。クロースルが3号を買うために必要な資金は順調に貯まっており、あと数日あれば貯まるペースだった。

 

「儂じゃからな」

 

「そうですか」

 

 ゴーツのいつも通りの解答にクロースルはそれ以上の会話を諦めた。

 

「そういえば夜の仕事のことを3号に言う気はないのじゃな?」

 

「わざわざ言うことでもないでしょうよ。バレたら正直に言いますけど」

 

「そうか。なら結構。長居もなんじゃし、今日はこのぐらいで帰るとしよう」

 

「そうですか。ではおやすみなさい」

 

 そう言うとゴーツはいつものように煙のように姿を消した。

 

____________________

 

 

「クロースルさん、いませんか?」

 

 次の日の昼下がり、3号はゴーツにクロースルの安否確認をして来て欲しいと頼まれ倉庫へと向かった。しかし、扉を叩き、呼びかけても中からの反応はなかった。

 

「……開いてる。……失礼します」

 

 3号が扉に手をかけると鍵は開いていた。万が一のことがあっては困ると考えた3号はゆっくりと倉庫の扉を開いた。

 

「……んー、久々だったけど腕を上げたわね。さっすが私のクロちゃん♪」

 

「いい加減クロちゃん呼びは辞めて欲しいんですけどね」

 

「……クロースルさん!?」

 

 扉を開けた先には半裸のクロースルと3号の知らない全裸のピンク髪の女性の姿があり、その光景を目撃した3号は思わず声を上げた。

 

「……3号さん⁉ ……確かに鍵は閉めたはず!」

 

「あら、あらあら♪」

 

 3号の声にクロースルとピンク髪の女性は3号のことに気づき、クロースルは3号と同じ驚愕した目で、ピンク髪の女性は興味津々な目で3号のことを見つめた。

 

「……お、おじゃましまし……あれ?」

 

 3号は慌ててその場から離れようとしたが焦りから足を絡ませ、そのまま転倒してしまった。

 

「3号さん⁉ ……あれ?」

 

 突然転倒した3号にクロースルが驚いたのも束の間、倒れてから全く動かない3号の様子にクロースルの驚きは焦りへと変わった。

 

「……3号さん! ……気絶してる。3号さん! 3号さん!!」

 

 クロースルが慌てて駆け寄ると3号は気を失っていた。クロースルはそのまま呼びかけを続けたが3号の反応はなかった。

 

「……謀ったわね。ゴーツ」

 

 3号の気絶に慌てるクロースルの裏で、ピンク髪の女性はゴーツへの怒気混じりの言葉を呟いていた。

 

____________________

 

 

「……あれ、ここは私の部屋?」

 

 3号が目を覚ますとそこは自室のベッドの上だった。

 

「これは一体どういう……確か、クロースルさんのところにいったら……知らない女性と裸で……それから……そうだ。あの後、倒れたんだ」

 

「目が覚めたようじゃな」

 

 3号がぼやけた頭で気絶する前の状況を思い出していると、ゴーツが部屋の中へと突然現れた。

 

「……ゴーツさん、すみません。私、倒れてしまったんですよね?」

 

 3号はゴーツに気づくとすぐさま気絶したこと、仕事中に倒れて周囲に迷惑をかけたことを謝罪した。その表情はとても思いつめたもの表情だった。

 

「そうじゃな。じゃがそう気にすることはない。こういう時のために人員には余裕をもって回しておる」

 

 ゴーツが大きな損害がなかったことを伝えると、3号の表情も多少はマシになったがそれでもまだ暗いものだった。

 

「……ですが」

 

「まあ、そんなに思いつめるのであれば今後は倒れないように気を付けることじゃな。何故倒れたか心当たりはあるのじゃろう?」

 

「……はい」

 

 暗い顔をする3号にゴーツが倒れた心当たりを聞くと、3号は静かに頷いた。

 

「ホムンクルス自体がそういう性分なのは分かっておるが、働き過ぎじゃ。自分の睡眠時間や休みを削ってまで全てを請け負う必要はない」

 

「……はい。そうですよね。今後は気を付けます」

 

 3号はうつむきながら再び頭を下げた。3号が倒れた直接的な理由は転倒だが、原因の大本は疲労によるものだった。

 

「だからそんな顔をするでない。別に儂はお主を責めたいわけではない。お主に自分の身を案じるように言っておるのじゃ」

 

「……私の身をですか?」

 

 ゴーツの言葉に3号はきょとんとした顔をしてゴーツへと聞き返した。

 

「そうじゃ。正直、お主が倒れたことでの仕事の割り振りよりもお主が倒れたことで慌てる連中を落ち着かせる方が大変じゃった」

 

 ゴーツは軽くため息をついた。

 

「……すみませんでした」

 

「なに、こちらもお主の過労を知っていて放置しておったからな。そう気に病む必要はない」

 

「……えっ」

 

 ゴーツの言葉に3号は口を詰まらせた。

 

「こう言うと何じゃがお主、実際に倒れでもしないと無茶を止めなかったじゃろう」

 

「……確かにそうですね」

 

 実際、3号は周りから休憩や交代を促されてもそれを断っていたので、ゴーツが止めたところで完全に止まらないとは3号自身も自覚があった。

 

「まあ、もう少し先の話かと思っておったがクロースルとエローナの事後に遭遇するとは運がいいのか悪いのか」

 

「……エローナ。クロースルさんと……一緒にいられた女性の方ですか?」

 

「ああ、あいつは儂の悪友でな。そしてクロースルの義母でもある」

 

「……義母? 恋人などではなく?」

 

 ゴーツから出た予想外の言葉に3号は疑問符を浮かべた。

 

「ああ、エローナは昔から性交が好きでな。自分の理想の性奴隷を育てる目的でクロースルを孤児院から引き取り育てたのじゃ」

 

「……えぇ」

 

 3号はゴーツから聞かされたエローナの情報に思わず声を漏らした。

 

「性ど……コホン。その割にはクロースルさんと離れて生活していらっしゃるのですか?」

 

「クロースルが夢のために独立すると言い出した時にちょうど儂が復活したので、その時に任されてな。まあ、今回のようにちょくちょく抱かれに来るんじゃがな」

 

「そうだったのですね。クロースルさんも大変ですね」

 

 3号は若干呆れながら呟いた。

 

「まあ、エローナ直伝のテクニックのおかげでクロースルはそっちの方面でも金を稼げたからのう。というか未熟な頃はそっちの方が稼げておったし全てが全て悪いことではなかったじゃろうな」

 

「なんというかクロースルさんも逞しいですね」

 

 クロースルの売春について知らされた3号だったが、普段の彼を知る3号に嫌悪感のようなものは特になかった。

 

「あやつの夢に対する情熱は本物じゃからな。そのためなら犯罪でなければ何でもやっておるよ」

 

「……そんな気はしていましたけど、ゴーツさんはクロースルさんの夢について知っていらっしゃるのですか?」

 

「儂じゃからな。ああ、もちろん聞かれても答えるつもりはないぞ」

 

 3号の質問にゴーツは笑いながら肯定した。

 

「……失礼を承知で言いますけどゴーツさんって性格が悪いですよね」

 

「ほっほ、3号も言うようになったではないか」

 

 3号の嫌味にゴーツは機嫌を悪くするどころか笑みを浮かべた。

 

「……っと、病み上がりに話が長くなってしまったな。今日はこの辺で退散することにしよう。あと、念のため明日も一日休むようにな」 

 

 そう言い残すとゴーツはいつものように姿を消した。

 

「……了解しました」

 

 残された3号はゴーツの最後の言葉に返事を返した。

 

____________________

 

 

「……というわけでお主とエローナの誤解は解いておいたぞ」

 

「何が誤解を解いておいたぞ、ですか! 別に売春のことまで言う必要なかったじゃないですか!!」

 

 クロースルの倉庫へ向かったゴーツは、3号の意識が戻ったこと、エローナについて、クロースルの売春についての三点を3号に伝えたことをクロースルとエローナに伝えた。

 

「バレるなら今の方がよかろう」

 

「……だからといってそれは」

 

 ゴーツの言い分にクロースルは言葉を詰まらせた。

 

「っていうか今回の件、最初からあんたの仕込みでしょ?」

 

 言葉を詰まらせるクロースルの前にエローナが割り込んできた。

 

「最初とは?」

 

「しらばっくれるんじゃないわよ。あの子が倒れるように私をこっちに呼んで、倉庫の鍵を開けておいたんでしょ。」

 

「えっ⁉」

 

「流石は長い付き合いだけのことはあるのう」

 

「えっ⁉」

 

 ゴーツの言葉通りエローナの推測は当たっており、クロースルとエローナは3号を倒れさせるために利用されていた。そして新事実の発覚にクロースルは驚くしかなかった。

 

「流石に悪いことをしたとは思うので謝っておこう」

 

「理由には一応納得出来たから私は許してあげるけどクロちゃんはどう?」

 

 反省の色が見えない謝罪だったがエローナは理由もあって大目に見た。そしてクロースルに話を振った。

 

「……ああ、ちょっと……まあ、もういいです」

 

 クロースルはゴーツ相手に真剣になるだけ無駄だと投げやり気味に納得した。

 

「あっ、そういえばクロちゃん。これ、渡しそびれていたさっきのお代ね。流石は私が仕込んだだけのことはあるわ」

 

 話を切り上げたエローナはクロースルの技術を褒めながら封筒に入った代金を手渡した。

 

「ありがとうございま……」

 

 クロースルは早速封筒を開けると中身の確認を始めた。すると突然、その動きが止まった。

 

「あら、どうかした?」

 

「貯まりました」

 

「えっ、溜まっちゃった? じゃあもう一回ヤっておく?」

 

 クロースルの言葉にエローナはもう一度寝るか尋ねた。

 

「いえ、そっちじゃないですし遠慮しておきます。貯まったのはお金の方です」

 

 貯まったのは3号を買い取るための資金だった。そのためクロースルはエローナの誘いを冷静に断った

 

「よっしゃー!!」

 

 そして思い切り叫んだ。普段のクロースルから見ると意外な行動ではあるが長年の悲願達成であるためそうなるのも無理もなかった。

 

「ゴーツさん、早速3号を……いない⁉」

 

 落ち着いたクロースルはゴーツから3号の所有権を買い取ろうとしたが、いつの間にかゴーツは倉庫から姿を消していた。

 

「……あいつめ。クロちゃん。私、ちょっと行ってくるわ」

 

 エローナはため息をついたかと思うと倉庫から飛び出していった。

 

「ちょっ、待っ……行くってどこへ?」

 

 クロースルは慌ててエローナの後を追ったが、倉庫から出た先にはエローナの姿は見当たらなかった。

 




【キャラ情報】

名前:エローナ
種別:元人間♀ 
年齢:110歳
身長:163㎝ 
胸囲:Gカップ
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