ホムンクルス、ついに買われる!~爆乳専門店の元・売れ残り~ 作:ツインテスキー
「Wooo……」
「Wooo……」
チモックの館から数百km離れた場所には草一つ生えない荒野が広がっていた。そこには全身を黒い靄のようなもので包まれた異形の存在が数多くうろついていた。それらの姿は個体ごとにバラバラで人型ものもいれば獣型のもの、更には複数の生物をつぎはぎにしたような姿のものまでいた。その異様な姿ゆえに彼らは魔物と呼ばれていた。
「「……」」
荒野の中に一つポツンと小屋ほどの大きさの円錐型の結界が存在していた。その結界の周囲には多くの魔物がうろついていたが、彼らは結界の存在に気づいていなかった。一方で結界の内側では一組の男女が静かに魔物たちの様子を伺っていた。
「クロースル、準備はいいか?」
結界の中にいる白髪赤眼の小柄な女性がもう一人の青髪の青年に声をかけた。また女性は動きやすいよう髪を二房にまとめ、肩や腹、足などを大きく露出した格好でをしていた。
「はい。いつでもいけます」
クロースルと呼ばれた青年は女性の言葉に頷いた。彼は露出の高い格好の女性とは対照的にポケットがいくつもついたジャケットを羽織り、巨大なバッグを背中に背負っていた。また彼は少し痩せ気味ではあったが背丈は人並みにあった。
「なら行くぞ」
青年、クロースルの返答を聞いた女性は勢いよく結界の外へと飛び出した。
「「「Wooo!?」」」
結界の外へ飛び出た瞬間、周囲にいた魔物たちが女性の存在に気づき、人とも動物とも違う声を上げた。
「……くらえっ!」
魔物たちが身構えている間にも女性は足を進め、それと並行して右手に力を込めた。すると女性の手の平に拳大の魔力の塊が形成され、出来上がったばかりのそれを女性はすぐさま手近な人型の魔物へと投げつけた。
「Wo!?」
魔力の塊はまるで吸い込まれるように人型魔物の脳天へと命中し、頭部にあたる部分が消し飛んだ。その後、まもなく人型魔物の全身は霧散していった。
「「「Woo~!!」」」
同胞がやられたことで魔物たちは激昂し、狼型魔物が先陣を切って女性へと飛びかかった。
「Woo……Wo!?』
しかし、狼型魔物の攻撃はかがんだ女性にあっさりとかわされ空を切った。そして攻撃が空振りして戸惑っているところに女性のアッパーが叩き込まれた。その衝撃に魔物は耐えきれず先ほどの人型魔物と同様霧散していった。
「「「Woo~」」」
またもや同胞がやられた魔物たちは女性に怒涛の勢いで攻撃をしかけた。しかし、女性に一度も攻撃を当てることも出来ずに一撃で倒され霧散していった。そして彼らの霧散した後には小石程度の黒い結晶が残されていた。
「Woo~!」
「……っ!」
女性が魔物たちを次々と撃破している中、少し離れた場所でクロースルも魔物と戦っていた。クロースルはグリップのついた金属製の長棒を武器に持ち、手に剣が一体化した人型魔物相手に鍔迫り合いを繰り広げていた。
「……そこ!」
クロースルはわざと力を弱め、バランスを崩した人型魔物へとカウンターの一撃を叩き込んだ。しかし、女性のように一撃で霧散させることは出来なかった。
「うりゃああ!」
そのためクロースルは人型の魔物への追撃を加え、5発目にしてようやく人型の魔物は霧散した。そして霧散した後には小石ほどの大きさの黒い結晶が残されていた。
「……ふぅ。やっぱり最深部はきついなあ」
クロースルが一息ついて女性の方を見ると、女性は群がる魔物たちを確実に一撃で霧散させていた。そして女性のいるあたりには女性の戦果を示す黒い結晶が数多く転がっていた。
「「「Wooo―!」」」
そんな中、まだ残っていた魔物たちが一カ所に集まり出した。そしてそれらは粘土のように溶け合い、合体を始めた。
「クロースル、任せたぞ」
「了解です」
魔物たちが合体している間に女性がクロースルの元まで移動して来た。一方で女性の指示を先読みしていたクロースルは鞄から卵ほど大きさのカプセルを取り出した。
「Wooo―――‼」
そうこうしているうちに魔物たちは合体を完了させ、一体の巨大な獅子の姿へと変わった。そして思わず耳を塞ぎたくなるような大きな咆哮を上げた。
「くらえ!」
「Wooo―!?」
そこへすかさずクロースルがカプセルを投げつけるとそれは巨大獅子の魔物に当たった瞬間に大爆発を引き起こした。その結果、魔物は体の大半を消し飛ばされ、そのままあっけなく霧散していった。
「やっぱりお前がいると大型の相手が楽だな」
「いえ、デレーヌさんのお陰ですよ」
クロースルは女性、デレーヌと話しながら巨大獅子型の魔物が霧散した後に残った拳大の黒い結晶を鞄に入れた。この黒い結晶、“魔結晶”は高純度の魔力の塊として高値で取引されおり、これこそが彼等の魔物狩りの目的だった。
「まだいけるな?」
「もちろんです」
「そうか。死なない程度に頑張れよ」
「はい」
「「「Wooo!!」」」
二人の会話を遮るように地面から魔物が文字通り湧き出した。それは魔物たちの大本がこの荒野の地下にいるからだった。
「今日は稼ぐぞ」
「はい」
魔物の湧きを確認した二人は再び魔物の群れへと向かって行った。これが60年ほど前に大陸の3割を喰らった魔物“国喰らい”と“英雄”ゴーツが封印された場所、通称“封魔の大地”での日常的な光景だった。
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「……しめて32万265Gじゃな。かなり稼いだのう」
封魔の大地のすぐ隣に位置する町、メモリア。そこはゴーツの復活後に新設されたばかりの町だった。そして成り行きでその町長になったゴーツは町長としての責務の一環として、魔物から採れた魔結晶の買取を町役場にて行っていた。
「分け前は折半でいいかの?」
「はい、それで」
「それでは一人16万132G。あまり1Gじゃな」
「余りはクロースルにつけておいてくれ」
「いつも本当にいいんですか?」
数時間、魔物を狩った分の報酬の分配方法を即決するデレーヌに、クロースルは申し訳なさそうに尋ねた。
「毎回毎回1Gぐらいで気にするな。それに私はお前と違って当面の金があればそれでいいからな」
「ありがとうございます」
クロースルはデレーヌに向かって頭を下げた。
「話はついたようじゃな。金はこのまま貯蓄でよいかの?」
「はい」
「私は10万もらっておこう」
分配が決まったことを見届けたゴーツは二人へ報酬の渡し方に尋ねると、クロースルは全額貯金の意を示した。一方でデレーヌは現金で10万G分を受け取ることを選んだ。
「了解した。では指輪を出してくれ」
「はい」
「ああ」
報酬の受け取り方を確認したゴーツが二人に指示すると、二人は拒否なく身に着けていた指輪をゴーツへと手渡した。その銀色の指輪はゴーツが造り出したものでこの町の住民票であり、更には町専用の通帳としての機能があった。
「……確かに。少し待て」
指輪を受け取ったゴーツは指輪を机の上に置いてその上から両手をかざした。すると指輪が青白く発光し、指輪の内側に刻印されていた数字が変化した。
「……これでよし。それとデレーヌは現金10万もな」
「ありがとうございます」
「……ああ、大丈夫だ」
ゴーツは指輪の刻印を確認すると二人に指輪を返却し、デレーヌには更に現金の入った袋を手渡した。そうしてクロースルとデレーヌは手渡されたものの確認をするとゴーツへと軽く会釈した。
「……それからクロースルよ。内密な話があるのでこの後、儂の部屋に寄ってくれんかな?」
魔結晶の取引を終えるとゴーツはクロースルに別件の話を切り出してきた。その途端、クロースルは険しい表情を浮かべた。
「今夜は仕事があるので早めに仕込みをしたいんですけど急ぎですか?」
「ああ、特に今回は大事な要件じゃからな。なに、そう時間は取らせん」
「……分かりました」
クロースルにはこの後も用事があったため出来れば断りたいと考えていた。しかし、ゴーツの言い回しから断り切れない案件だと判断した彼は、大人しくゴーツの自室へと向かうことを了承した。
「それからデレーヌさん、今日はありがとうございました」
「ああ、無理はするなよ」
「はい。それでは失礼します」
やむなくゴーツの部屋に向かうことになったクロースルはその前にデレーヌに別れの挨拶を伝えた。その後、彼はゴーツの自室のある役場の二階へと向かった。
「……とはいっても一度倒れてるやつのことはあんまり信用できないな」
クロースルがいなくなった後、デレーヌは大きくため息をついた。その心配は以前にクロースルが過労で倒れたことがあったからだった。
「まあ、一度倒れておる以上少しは分かっておるじゃろう」
「……だといいけどな」
ゴーツの言葉にデレーヌはもう一度ため息をついた。
「それはそうとこの後は酒場で食事かの?」
「ああ、まだ風呂は混んでるだろうからな」
「ならちょうど良かった。これからまた新しい者がこの街に来るので待っておるといい」
ゴーツが話題を切り替えるとデレーヌはゆっくりと目を閉じた。
「……男か?」
「ほう、お主の勘じゃとそうなるか」
デレーヌの言葉にゴーツは興味深そうに頷いた。そしてそのゴーツの様子にデレーヌは怪訝な顔をした。
「……違うのか? その割には嫌な気はしないぞ」
「結果はもうすぐ後じゃ」
「まあ、いいか」
ゴーツの態度を見て答えが返ってこないことを察したデレーヌは一人、役場に併設されている酒場へと向かった。
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「……さて皆の者、注目、注目じゃ~」
デレーヌが酒場に向かって少し経ってからゴーツも酒場へと向かった。そして大声と共に手を叩き、周囲の注意を引いた。
「ん、なんだ。なんだ」
「厄介ごとじゃなければいいけど」
「あの様子じゃまた誰か来るのか」
突然のゴーツの行動に酒場にいた面々はゴーツの方へと注意を向けた。町に来てまだ日が浅い者は突然の事態に何事かと身構えたが、何年もこの町にいる者はまた新しく何者かがこの町にやって来るということを察していた。
「流石に察する者は察するのう。というわけで少し待つのじゃ」
ぐるりと周囲の反応を見渡したゴーツはゆっくりと酒場の床に魔法陣を描き始めた。
「一体どんな方が来られるんでしょうか?」
「ゴーツさんの人選だからなあ……」
「女の子がいいなー」
「俺は男がいいけどな」
「そうよね~。賭ける?」
「そうだな。5000Gでいいか?」
「いいわよ。5000Gね。女の子、女の子、かわいい女の子!」
「はい。ロマン様、あ~ん♡」
「ふふ、ありがとう。」
「……いえ、それほどでも♡」
「俺たちも賭けるか?」
「いいぜ。1000Gな。で、どうする?」
「1000Gかよ。……まあいいや。男で」
「……ふ、新たなる彼の地に誘われし者か」
「新たなるおっぱいは、いかなるおっぱいか。胸が弾む」
ゴーツが準備をしている間、酒場の面々は新しく来る者に対してそれぞれ思い思いに期待を膨らませていた。
「……では、お待ちかねの正解発表じゃ。……ほいっ!」
そしてゴーツが魔法陣を起動させるとそこからメイド服姿の少女、チモック製販売用ホムンクルス3号が現れた。
「……えっと、ここは?」
3号の登場によって先ほどまで騒がしかった酒場は一気に静まり返った。一方でゴーツから何の説明されていない3号は訳も分からず周囲を見渡した。
「やったー! 女の子ー!」
沈黙を破ったのは一人のオレンジ髪の女性だった。彼女は自分の期待通り女の子が現れたことにその場に立ち上がって歓喜した。
「待て、まだ女装って可能性があるぞ」
そんな浮かれている女性へと隣にいた茶髪の男性が横やりを入れた。
「流石にそれは……いや、ありえるか」
「かわいければどっちでもよくないか」
「いや、それはおかしい」
「小さな胸ではあるが非常に整った形をしている。……100万点!」
「やっぱり女の子か!」
「待て、あいつの採点は男でも女でも変わんないだろ!」
「……それもそうだな」
「っていうか状況つかめてなさそうだけど誘拐とかじゃないわよね?」
「……ぐっ、これは障壁!? いつの間に」
二人の言葉を皮切りに酒場は再び騒がしくなった。また何人かは直接3号へ接触を図ったが事前にゴーツが張っていた障壁によって防がれてしまった。
「……コホン、とりあえずはっきりさせておこう。この子は正真正銘の女子じゃ。ただ普通の人間というわけでもない。ホムンクルスじゃ」
「「「ホムンクルス?」」」
「……ほう、禁忌を破りし創造物か」
「えっと、確か錬金術で作った人造人間だっけ?」
「でもホムンクルスってもっと化け物みたいなやつだったような?」
「おいおい、何十年前の話だよ。作業用とかならともかく20年ぐらい前にはちゃんと人型になってたはずだぜ」
メモリアの住民のほとんどは出稼ぎの若年層のため、ホムンクルスを知っている者はあまり多くなかった。また知っている人間の中でも知識にかなりバラつきがあった。
「この様子じゃとホムンクルスそのものから説明した方が良さそうじゃな。ホムンクルスというのは今言われた通り錬金術で造った人造人間じゃ。一応は儂が作ったこれがホムンクルスの原型になる」
周囲の反応からゴーツは魔法でホムンクルスの原型となったもののハリボテを造り出た。しかし、それは四肢があり二足歩行ではあるもののとても人とは呼べない奇妙な見た目をしていた。
「うん、前に見たのはこんな感じだった」
「確かにこれは化け物だわ」
「というかまたゴーツさん関連なのか」
「まあゴーツさんだしな」
「……とそれも昔の話。当時、儂の弟子だったパラケルという男が研鑽に研鑽を重ねた結果がこの3号というわけじゃ。もっとも単純作業用のホムンクルスは見た目より耐久性やコストを重視するためにこの原型と変わらぬ見た目をしておるようじゃがな」
ゴーツは周囲の反応を伺いながらホムンクルスに対する説明を続けた。
「それからホムンクルスのもう一つの大きな特徴として生まれた姿から成長もしないが老いもしないというものがある」
「……」
ゴーツのホムンクルスの姿が変化しないという説明に今まで話半分で聞いていたデレーヌがピクリと反応した。
「質問! エッチなことは!? エッチなことは出来るの?」
ゴーツの説明に一区切りがつき、場が一旦静かになったところでオレンジ髪の女性が興奮気味に椅子からまた立ち上がった。その言葉に皆が改めて3号の体を見つめた。
「出来るか、出来ないで言ったら出来るのう。ただし生殖機能はないので子づくりは無理じゃ。……そうじゃな?」
「はい。その通りです」
ゴーツの確認に、3号は特に恥ずかしがりもせずに自らのスペックを肯定した。出産が出来るホムンクルスを開発しようとしている製作者もいるが未だに実用化はされていなかった。
「やった! 一晩おいくら?」
ゴーツからの回答にオレンジ髪の女性は歓喜し、そのまま質問を続けた。一方で若い女性を中心に何人かは顔を伏せたり、明後日の方を向いた。
「こらこら、出来るとは言ったが貸し出すとは誰も言っておらんじゃろう。高い買い物じゃったのじゃ。はした金で傷モノにされては困る。ついでにいうと儂もこんな体じゃから抱く気はない」
「そんなー……」
ゴーツの言葉にオレンジ髪の女性は意気消沈し、椅子へと座り込んだ。
「まあ、どうしてもというのなら原価そのままでなら譲ってやらんでもない」
「ほんとっ!」
ゴーツの言葉にオレンジ髪の女性は再び勢いよく立ち上がった。
「ああ、3000万Gじゃ」
「……3000万?」
しかし、そのあまりの金額にオレンジ髪の女性はピタリと動きを止まってしまった。
「ああ、3000万じゃ」
「…………3000万」
ゴーツのダメ押しの一言によりオレンジ髪の女性は完全に意気消沈し、ぺたりと椅子へと座りこんだ。
「3000万とかマジか……」
「……600回分か」
「お前、こういう時だけ計算早いな」
「俺はお姉さん派だからいいや」
一方で値段を聞いた男性陣の一部が真剣な表情で試算を始めた。
「男って本当下半身で生きてるわね」
「かわいいのは確かだけどあんな小さな子相手にまで欲情するとか信じられない」
更に一方では女性陣の一部がそんな男性陣相手に愚痴をこぼしていた。
「おいおい、男だからって全員一緒にされちゃ困るぜ。それにほら」
そこへ茶髪の男性が近づき、女性陣の言葉を否定すると彼がやってきた方を指差した。
「3000万。……高い。でもかわいい。三日に一回、いや二日に一回に削れば……」
そこには男性陣並みかそれ以上に真剣な表情で3号のことを考えているオレンジ髪の女性がいた。
「あれは例外過ぎるでしょ」
「……確かにそうだな」
女性陣の言葉に流石に分が悪すぎたと判断した茶髪の男性は素直に頷いた。
「まあ、何はともあれこのホムンクルスの……そういえばまだ名前を決めておらんかったな。……とりあえず3号のままでいいじゃろう」
一通りの説明を終えたゴーツだったが今になって3号に正式な名前を付けていないことに気がついた。そのためとりあえず3号という仮名のままで通すことにした。
「さんごうって番号の3号?」
「というかなんでいきなり3?」
「流石にこんな子をそんな呼び方はなあ」
ホムンクルスとはいえどう見ても人にしか見えない3号のことを物のように番号で呼ぶことに周囲は難色を示し始めた。
「単純に製造番号が3番目だから3号なだけじゃ。向こうでもそう呼ばれておったし本人も特に不満はないはずじゃ。そうじゃろう、3号?」
「はい。もう十年近くそう呼ばれているのでそういった感情は特にありません。もちろん新しい名前も大歓迎ではありますが」
ゴーツの確認に3号は迷うことなく頷いた。3号という名前に3号が慣れているのも不満がないのも事実だった。
「まあ、新しい名前をつけてやった方がいいのは確かじゃが一度決めると変えづらいからのう。いい名前が浮かんだら変える方向で行こうと思う」
「……そういうことなら」
「それずっと決まらないやつじゃ……」
「まあ、本人がいいならそれでいいんじゃないかな?」
3号の反応に周囲は一応納得し、彼女の名前はそのまま3号ということになった。
「それでは改めてこの子、3号のことをよろしく頼む」
「……よろしくお願いします!」
ゴーツの言葉に少し遅れて3号は周囲に向かって頭を下げた。
「よろしく~」
「まあ、悪い子じゃなさそうだ」
「どんなやつが来るかと身構えてたけどまともそうでよかった」
「混沌は全てを呑み込もう」
「……3000万」
「……うむ、揺れない美乳もまた良し!」
礼儀正しく頭を下げた3号に周囲の反応は上々だった。
「では3号の紹介はこれにてお開きとしよう。他にも色々と聞きたいものはここに一列に並ぶといい。一人5分まで。変なことをやろうとしたら即終了じゃぞ」
3号の全体への紹介が終わり、個人での質問の時間に切り替わった。そしてその瞬間、男性陣の半数近くが椅子から立ち上がった。
「ここは私が」
「俺が行く」
「お前たちだけに行かせるかよ!」
立ち上がった者たちは一瞬にして長蛇の列を形成した。
「男ってやつは……」
「並んでないのまで巻き込まないでくれないか。まあ、呆れる気持ちは分かるけど」
「色々聞いてみたいことはあるけどまあ今度でいいかな」
一方、並ばなかった者はその無駄に機敏な光景に辟易していた。
「……」
そんな慌ただしい酒場の中でデレーヌは一人、無言で複雑な表情を浮かべていた。
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「クロースルです」
「よし、入れ」
時間は少し前に遡りゴーツが3号召喚のための準備を始めていた頃、クロースルは役場の2階にあるゴーツの自室の前にいた。
「何の用かは知りませんけど手短にお願いしますよ」
「まあそう言うな。今回は本当に、本当に大事な話じゃ」
「本当ですか?」
ゴーツに入室の許可を取ったクロースルは足早に部屋の中へと入って来た。その様子からは苛立ちが見て取れたが数時間魔物狩りをした後で、この後も仕事がある状況で急に呼び出されたとあればクロースルが不機嫌になるのも無理もなかった。
「ともかくこれを見てくれ」
ゴーツは手の平に水晶玉のような球体を造り出した。そしてその球体には酒場の様子が映し出された。
「……これって下の様子ですか? ……は?」
クロースルが球体を覗き込んだその直後、酒場に3号が現れた。その瞬間、クロースルの目が見開いた。
「まさか本物……?」
「もちろん本物じゃ。遠路はるばるチモックの屋敷まで行って買ってきたのじゃぞ」
3号の姿を確認したクロースルは体を震わせた。何故ならクロースルが何年もかけて金を稼いでいるのは他でもない彼女を買うためだったからだ。
「……何が目的ですか?」
長年の目標である3号をゴーツが連れて来たため、クロースルは爆弾の入っているポケットへと手を入れた。
「待て待て、早まるな。儂もそこまで悪趣味ではない。性的な目的で使う気はないし、金が貯まればお主に譲るつもりじゃ」
臨戦態勢のクロースル相手にゴーツは3号に手を出す気はないとなだめた。
「……本当に何が目的なんですか?」
ゴーツの言葉に嘘はないと判断したクロースルは渋々ポケットから手を取り出した。
「いつものことじゃよ。面白そうじゃったからこうしたまでのこと」
「……はあ、あなたという人は本当に」
悪びれないゴーツの態度にクロースルはもう一度大きくため息をついた。
「……というかどうして彼女の事を知っているんですか?」
「儂じゃからな」
「……はあ」
自信満々に答えるゴーツにクロースルはもう一度大きくため息をついた。
【キャラ情報】
名前:クロースル
種別:人間♂
年齢:19歳
身長:171㎝