ホムンクルス、ついに買われる!~爆乳専門店の元・売れ残り~   作:ツインテスキー

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1-4 再会

「とりあえずここがお主の部屋じゃ。チモックの館に比べて狭いが大目に見てくれると助かる」

 

「いえ、個室をいただけるだけで充分です」

 

「そうか。それならいいのじゃが」

 

 役場での紹介の後、ゴーツによって3号は役場の裏にある二階建ての宿舎へと案内された。この部屋はこの町では一般的な広さの一人部屋で、最低限の家具が置かれていた。

 

「それからこれが部屋の鍵じゃからくれぐれも無くさぬようにな。儂は役場の方に戻るので適当に荷物の整理と休憩が出来たら役場に戻って来てくれ」

 

「はい。承知いたしました」

 

 ゴーツは3号に部屋の鍵を渡すと部屋を後にした。

「悪い人じゃなさそうだけど変わった人だなあ」

 

 部屋に残された3号はゴーツへの率直な感想をポツリと漏らした。

 

「いけない、早く片付けないと……」

 

 我に返った3号は大急ぎで荷物の整理を終えると、足早に役場へと向かった。

 

____________________

 

 

「……ゴーツさんは?」

 

「おーい、こっちじゃ3号」

 

 3号が役場に戻り、ゴーツを探しているとゴーツの方から声をかけて来た。

 

「ゴーツさん、そちらでしたか」

 

 3号がゴーツの声がした方を向くとそこはちょうど役場と酒場の境目になる場所だった。そしてその周辺には様々な道具が数多く並んでいた。

 

「お待たせしました」

 

「思っておったより早かったのう」

 

 ゴーツを発見した3号はすぐさま周囲の迷惑にならない程度の速さでゴーツの元へと駆けつけた。

 

「ゴーツさん、こちらは?」

 

「ここは道具屋じゃよ。回復ポーションや対魔物用の爆弾、その他便利グッズまで色々と揃えておる」

 

 3号の質問にゴーツは商品を見渡しながらここが道具屋だと答えた。

 

「これらはゴーツさんが作られたのですか?」

 

「いや、儂はただの店番じゃよ。店主は別じゃ」

 

「そうでしたか」

 

 引き続く3号の質問にもゴーツは快く答えた。この道具屋の本来の店主はクロースルなのだが、今日のような用事がある時にはゴーツが代わりに店番を行っていた。

 

「店主は忙しいやつじゃからな。まあ、それはそれとしてそろそろ夕飯にしようかの」

 

 道具屋の説明を終えたゴーツだったがその体が突然、二人に増殖した。

 

「……え!?」

 

 その突然の事態に3号は言葉を失ってしまった。

 

「「儂は人間を辞めておるからな」」

 

「……あっ、はい」

 

 唖然とする3号を前に二人のゴーツは二つの口を同時に開いた。その人間離れした姿に3号はまともに言葉を返すことが出来なかった。

 

「それじゃあ行こうかの」

 

「……あっ、はい」

 

 そうして店番用にゴーツを一人残し、3号はもう一人のゴーツと共に酒場へと向かった。

 

____________________

 

 

 

「それではここにしよう」

 

「はい」

 

 酒場に移動したゴーツと3号は空いているテーブル席に着いた。

 

「ほれ、メニューじゃ。なんでも好きなものを選ぶといい」

 

「私は一番安いもので構いません。ゴーツさんこそどうぞ」

 

 メニューを手渡された3号だったが、メニューに目を通すことなくゴーツへと返した。

 

「儂はこういう体じゃから飲食は必要としておらんし大丈夫じゃぞ」

 

 3号の気遣いにゴーツは腕を伸ばすことで、食事が必要な肉体でないことを示した。

 

「そうでしたか。失礼しました」

 

「そこは儂も言っておらんかったから構わんよ。……ついでにこれも渡しておこう」

 

 3号は己の配慮不足に慌てて頭を下げたがゴーツは特に気にしていなかった。そのためゴーツは3号の謝罪を軽く流し、未登録の指輪を魔法陣から取り出した。

 

「ゴーツさん、これは……?」

 

「これはこの町の住人票兼通帳じゃ。……っと、これでよし。ほれ、受け取れ」

 

 ゴーツは3号に指輪の説明をすると、指輪に3号の名前を刻印し、手渡した。

 

「ありがとうございます」

 

「ついでじゃから現金も渡しておこう。とりあえず5万Gもあれば当面は足りるじゃろう」

 

 頭を下げる3号にゴーツは続いて現金を渡そうとした。しかし、3号は首を横に振った。

 

「いえ、お気持ちは嬉しいのですが私はゴーツさんに仕えるホムンクルス。お給金などは結構です」

 

「それでも食事やら消耗品は使わぬわけではなかろう。その度こちらでいちいち用意するのも面倒じゃからそれで適当に工面してくれ」

 

「……そういうことでしたら、ありがたく頂戴します」

 

 3号がゴーツからの現金を断ったのはゴーツの所有物である己が給金を貰うわけにはいかないという理由だった。しかし、ゴーツの説得で消耗品費という名目で3号は納得し現金を受け取った。

 

「それで結局注文はどうするかの?」

 

「一番安いもので」

 

「質素じゃのう。誰か~、注文じゃ」

 

「はい、注文ですね。ゴーツさんが注文なんて珍しいですね」

 

 ゴーツが注文のために給仕を呼ぶと近くにいた女給がやって来た。その女給はまだ幼さの残る顔立ちの少女だったが身長は並の成人男性よりも遥かに高かった。

 

「香草スープ一つで」

 

「香草スープ一つで構いませんか?」

 

 ゴーツは3号の希望である一番安いメニューを注文し、女給の少女は確認のためにそれを復唱した。

 

「ああ、とりあえずそれで……」

 

「ちょっと待ったー!」

 

「ユウリさん!?」

 

 メニューの確認にゴーツが頷こうとしたところで、オレンジ髪の女性、ユウリが割って入って来た。なお3号が彼女と面識があるのは先ほどの個人での質問の時に自己紹介をしていたからだった。

 

「ちょっとゴーツさん。香草スープ一つなんてかわいそうじゃないの!」

 

 ユウリは駆けつけた勢いのままゴーツへと迫った。

 

「いや、ユウリ。一番安いのといったのは3号の方でな」

 

「本当なの? 3号ちゃん」

 

 ゴーツの言葉にユウリは、3号に先ほどゴーツに迫った口調とは正反対の優しい口調で話しかけた。

 

「……あっ、はい。ゴーツさんからお金は頂いたのですけどあまり無駄遣いはしたくなかったので」

 

 ユウリの言葉に3号は大人しく頷いた。

 

「でも駄目よ。3号ちゃん。香草スープは本当にギリギリの時用の食べ物だから。せめて香草炒めぐらいにしなきゃ」

 

「そうなのですか?」

 

「まあ、そうじゃな。香草スープは20Gと群を抜いて安いがその分食い出はない。あれだけの食生活では確実に体を壊す。というか実際に何人か壊した」

 

 3号の質問にユウリよりも早くゴーツが答えた。香草スープはその名の通り香草が入ったスープだった。しかし、香草以外の具がなく、その一品のみで食事とするには心許ない代物だった。

 

「分かってるならちゃんと言ってあげなさいよ!」

 

 ゴーツの言葉にユウリは再び強い剣幕で迫った。

 

「すまん、すまん。実物を見たら改めて再注文するかと思ってな」

 

「……そう。ならいいわ。それじゃあ3号ちゃんまたね~」

 

「あっ、はい」

 

 ゴーツの言い分に渋々納得したユウリは3号に手を振りながら自分の席へと戻っていった。

 

「……それで注文はどうされますか?」

 

「あっ、すみません。……それじゃあとりあえず香草炒めで」

 

 女給の少女の言葉に注文のことを思い出した3号は慌てて先ほどユウリが言っていたメニューを注文した。

 

「はい。香草炒め一つですね。かしこまりました。少々お待ちください」

 

 注文を受けた女給の少女はその場から離れていった。それから数分後、香草炒めが到着した。香草炒めは香草に加えて他の野菜や干し肉が入っているので香草スープよりは食べ応えのある食事だった。

 

____________________

 

 

「……というのがざっとしたこの町の概要じゃな」

 

 3号の食事後、ゴーツはテーブルの上に町の地図を広げ、町の概要を説明した。

 

「本当は直接案内したいところなんじゃが込み入っておるのですまんな」

 

「いえ、ありがとうございます」

 

「なに、来たばかりで何も分からないのじゃから当然じゃ。何かあればいつでも儂や他の者に聞くとよい」

 

「……で、ひとまず話に区切りはついたが今日の売り上げの件でよかったかの? クロースル?」

 

 ゴーツは話を区切ると、少し離れた場所から二人の様子をうかがっていたクロースルに目をやった。

 

「……え、ええ、今時間は大丈夫ですか?」

 

 クロースルはゴーツの意図を察すると二人の元へと歩み寄った。

 

「ああ、それぐらいならすぐに終わる。ちょっと待っておれ」

 

 ゴーツは魔法陣から紙とペンを取り出し、本日の道具屋の明細を記し始めた。

 

「それからクロースル、ちょうどよいから紹介しておこう。今日、買って来たばかりのホムンクルスの3号じゃ」

 

「3号です。よろしくお願いします」

 

「……こちらこそよろしくお願いします。クロースルと言います」

 

 ゴーツはそのまま何食わぬ顔でクロースルに3号のことを紹介した。それに続いて3号自ら自己紹介をし、クロースルも続いた。

 

「こやつはな、3号。クロースルといってあの道具屋の主人じゃ」

 

「あちらのゴーツさんが店番をしている道具屋のでしょうか?」

 

 3号が道具屋の方へ振り向くと店番をしているゴーツが手を振った。

 

「ああ、その通りじゃ。というわけで今日の分の明細じゃ」

 

 ゴーツは3号に説明しながら、書きあげた明細書をクロースルへと手渡した。

 

「ありがとうございます」

 

「それでは入れるので指輪を貸してくれ」

 

「はい」

 

 そのままゴーツはクロースルから指輪を受け取り、入金を完了させた。

 

「いつもありがとうございます」

 

「なに、お前の夢のためじゃ。余裕がある時に手を貸すぐらい屁でもないわ」

 

「……」 

 

 ゴーツの言葉にクロースルは顔を強張らせた。

 

「夢ですか?」

 

「ああ、3号。この男には長年の夢があってな。もう7、いや8年近くここでそのための金を集めておるのじゃ」

 

「……」

 

 3号が食いついてきたのでゴーツはクロースルへの追撃を仕掛けた。それによりクロースルの顔は更に強張り、冷や汗が流れ出した。

 

「……あの、大丈夫ですか?」

 

「いや、大丈夫。……だから気にしないでほしい」

 

 3号は様子のおかしいクロースルを気にかけたが、クロースルは彼女を制止した。

 

「そう、ですか」

 

「クロースル、確か今晩は予定が入っておったはずじゃろう。引き続き店は見ておくから休んでおれ」

 

「……そうですね。今日は帰らせていただきます」

 

 ゴーツの言葉にクロースルはその場から去って行った。

 

「クロースルさん、大丈夫でしょうか?」

 

「いや、むしろ思っていたより大丈夫そうじゃったぞ」

 

 初対面ながら様子がおかしいクロースルのことを3号は心配していた。一方でその理由を知っているゴーツはよく耐えた方だと感心していた。

 

「どういうことでしょうか?」

 

「いや、なんでもない。忘れてくれ」

 

「そうですか」

 

 3号もクロースルやゴーツの言動には疑問はあった。しかし、自分には関係のない話だと思っていた彼女は深追いをしなかった。

 

「……っと、話を中断して悪かったが一通りの説明は以上になる。何か質問はあるかの?」

 

 クロースルがいなくなったため、ゴーツは話を再び町の説明へと戻した。

 

「いえ、特にはありません」

 

「そうか。ならよいのじゃが」

 

「それではこの後はどうすればいいでしょうか?」

 

「そうじゃのう。この時間ではもう出来ることも少ない。……今日のところはこのまま周りを見て場の雰囲気に慣れてもらうとしようか」

 

 3号の質問にゴーツは思案を始めた。しかし、もう日も傾き始めていたため本格的な業務は明日以降ということになった。

 

「了解しました」

 

「何か分からないことがあればすぐに聞いてくれれば結構じゃからな」

 

「はい!」

 

 こうして3号はゴーツの指示に従い、酒場の様子観察に努めることになった。しかし、観察を始めてからわずか数分で彼女はそわそわし始めた。

 

____________________

 

 

「……ゴーツさん、私が働くのは明日からとのことでしたよね?」

 

 酒場の様子観察を始めてから10分ほど経った時、居ても立ってもいられなくなった3号はゴーツに声をかけた。

 

「もしや3号、今からでも働きたいのか?」

 

「あ、いえ……その、どうにも見ているだけというのが落ち着かなくて。すみません」

 

 ゴーツの読みは当たっており、内心を見抜かれた3号は頭を下げた。

 

「……よし、それではせっかくじゃから3号には賄いでも作ってもらうとしようかの」

 

「賄いですか?」

 

「ああ、酒場では閉める前に店員たちで賄いを作っておるのじゃ。のう、ズラ。少し厨房を借りてもいいかのう?」

 

 ゴーツは3号の様子を見て賄いの仕事を任せることにした。そのため彼は厨房に向かって大声で叫んだ。

 

「ん、厨房をか? 開いてはいるけど何に使うんだ?」

 

 ゴーツの声に一人の男性がゴーツの方へと振り返った。その男性は筋肉隆々の大男で頭にはフルフェイスの兜を被っていた。

 

「3号が何か手伝えることはないかというので賄いでも作ってもらおうかと思ってな」

 

「ああ、そういうことか。念のため聞くけどちゃんと料理できるんだよな?」

 

「そういうことなら安心じゃ。チモック製ホムンクルスは造られた時から料理に関する知識が組み込まれているうえ、向こうでも作っておった実績がある」

 

「ならいいぜ」

 

 ゴーツが賄いのことを伝えるとフルフェイスの男性、ズラは快く承諾した。

 

「よし、3号。ズラからの許しが出たので厨房へ行くとしよう」

 

「はい、了解しました」

 

 ズラに確認を取ったゴーツは、3号を連れて厨房へと移動した。

 

「とりあえず8人前。材料はここにあるのを適当に使ってくれたらいい。誰か横につけた方がいいか?」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「儂もおるし問題なかろう」

 

 厨房へとやって来た3号にズラは簡単な説明をすると付き添いがいるかどうかを尋ねた。しかし、3号はそれを断り、ゴーツも自分がいるから大丈夫だと断った。

 

「……身長は大丈夫か? 適当な台でも持ってこようか?」

 

「いえ、足場なら大丈夫です」

 

 ズラは厨房の高さが3号に高いのではと考えた。しかし、次の瞬間、3号の目線が少し高くなった。

 

「……浮いてるのか?」

 

 突然の事態にズラが3号の足元を覗くと3号の体が20cmほど宙に浮いていた。

 

「いや、よく見ろ。ズラ。見にくいが3号の足元に板のようなものがある」

 

 ゴーツの指摘によってズラは3号の足元付近へ目を凝らした。そこには薄っすらとした透明の板のようなものが存在していた。

 

「……本当だな。これは障壁系の魔法か?」

 

「はい。私たちチモック様製のホムンクルスは護衛用としてこの障壁魔法が使えるように作られているんです」

 

 透明な板の正体は障壁魔法によって作られた障壁で3号はそれを足場にしていた。

 

「なるほどな。でもこれじゃあ作っている間、出しっぱなしだし疲れないか?」

 

「それなら大丈夫です。お屋敷にいた時もずっと使っていましたから」

 

「儂からも補足しておこう。彼女たちはこの障壁魔法を扱うように調整されておるから魔力消費量が普通よりもかなり少ないそうじゃ」

 

 ズラは続いて障壁の長時間展開について指摘した。しかし、障壁魔法を使用するために最適化されている3号には長時間展開も苦ではなかった。

 

「そうか。まあ、何か困ったことがあれば呼んでくれ」

 

「はい、了解しました」

 

「それじゃあ任せるぜ」

 

 3号とゴーツの話に納得したズラは他の作業へと戻っていった。

 

「ところでゴーツさん。一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

「ん、なんじゃ?」

 

「答えられない質問であればいいのですがズラさんはどうして兜をかぶっていらっしゃるんですか?」

 

 3号はズラが離れたことを確認するとズラの兜についてゴーツへと小声で尋ねた。

 

「ああ、それはな。昔、鍋をひっくり返って大火傷をした跡が今でも残っておるそうじゃ」

 

「そうでしたか。こういっては失礼かもしれませんが気になってしまいましたので」

 

「それについては誰でもそう思うじゃろうから仕方ない」

 

 うつむく3号に対してゴーツはフォローを入れた。実際、ズラの兜を見て気にならなかったものは誰一人としていなかった。

 

「それはそうと賄いは何を作るのじゃ?」

 

「そうですね。この材料だと……野菜と鶏肉の煮込みを作ろうと思います」

 

「ほう。それではお手並み拝見といこう」

 

 3号はその場にある食材から作る料理を決めると手慣れた手つきで料理を開始した。

 

____________________

 

 

「皆さんお疲れ様です。こちら賄いの野菜と鶏肉の煮込みになります。どうぞ召し上がって下さい」

 

 酒場の業務が終わり、残った料理人や給仕たちに3号の作った賄いが振舞われた。

 

「あっ、普通に美味しい」

 

「ズラさんのよりおいしいんじゃ」

 

「……確かにいけるな」

 

 3号の作った賄いは、中々の高評価だった。

 

「中々好評のようじゃな」

 

「なあ、ゴーツさん。これだけ料理が出来るなら厨房に立ってもらった方がいいんじゃないのか?」

 

「悪いが3号には早くここに馴染んで欲しいのもあるからのう。しばらくは給仕中心で行こうと思う」

 

「そうか。そういうことなら仕方ないな」

 

 3号の料理の腕は申し分なく、厨房の戦力は多いに越したことはなかった。しかし、厨房よりも給仕の方が周りと接する機会が多いためゴーツは彼女に給仕を任せることにしていた。

 

「ああ、それからファン。この後予定はあるかの?」

 

 ゴーツはズラとの会話を終えると女給のファンへと話しかけた。

 

「いえ、特には。お風呂で汗を流して休むぐらいです」

 

「ならちょうどよかった。3号も一緒に浴場まで連れて行ってはくれんか?」

 

「3号さんをですか?」

 

「ああ、細かい説明をしたいところじゃが儂が女湯に入るわけにはいかんからな」

 

「確かにそうですね」

 

 ゴーツの言い分にファンは納得し、浴場の案内を引き受けた。

 

「あとこれは出来たらでよいのじゃが3号がここで給仕をやる間の指導係を任せたい。無論給金に上乗せはするし、無理そうなら途中でやめてもよい」

 

 続いてゴーツはファンに3号の指導係の話を持ちかけた。

 

「……分かりました。私でよかったら3号さんの指導係やらせていただきます」

 

「ならよかった」

 

 ファンは指導係の依頼についても快く引き受けた。

 

「というわけで3号。酒場での業務についてはこのファンの方が詳しいからファンに尋ねてくれ」

 

「了解しました。ファンさん、よろしくお願いします」

 

「いえ、こちらこそよろしくお願いしますね」

 

 ゴーツの説明に3号とファンはお互いに頭を下げた。

 

「ところで3号さん。3号さんは伝説の傭兵ハーゲン様を知っていますか?」

 

「……いえ、すみません。無知で申し訳ありません」

 

 突然の話題の切り替えに詰まった3号は、ハーゲンのことを知らなかったので素直に答えた。

 

「そうですか。ハーゲン様が活躍されたのは今から10年以上前。3号さんはまだ生まれ……造られていないから仕方がありませんね。でもそれならいい機会なので私が今からハーゲン様のことをお教えしましょう!」

 

「あっ、はい。よろしくお願いします」

 

 3号はファンの好意に甘えることにした。そしてその瞬間、ファンの瞳が輝き出した。

 

「ありがとうございます! では、まずハーゲン様を語るに外せないのがハーゲンヘアとも呼ばれた前方に大きく突き出した特徴的な髪型です。この前に大きく突き出された髪型とその強さからハーゲン様は黒鬼とも呼ばれていました。この黒鬼と呼ばれるようになったのが23年前の……」

 

 3号の許可を得たファンは伝説の傭兵ハーゲンについて熱く、早口に語り始めた。

 

「いつもの」

 

「これさえなければなあ」

 

「ズラさん、私たち帰っていいですか?」

 

「いや、片づけはちゃんとやれよ」

 

「バレましたか」

 

「そりゃあそうだろ」

 

 嬉々としてハーゲンのことを語るファンとそれを聞かされる3号の傍ら、食堂の面々はその見慣れた光景を放置し、片づけを済ませると解散していった。

 

「……というのがたった一人で30人近い山賊を打ち破った『ヤーバン谷の死闘』というわけです。続いて……」

 

ファンのハーゲン語りはこれから更に二時間ほど続いた。




【キャラ情報】

名前:ユウリ 
種別:人間♀ 
年齢:24歳
身長:165㎝ 
胸囲:Fカップ


名前:ファン 
種別:人間♀ 
年齢:16歳
身長:181㎝ 
胸囲:Eカップ


名前:ズラ 
種別:人間♂ 
年齢:37歳
身長:180㎝
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