ラブライブ!~金色のステージへ~   作:青空野郎

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STAGE.20 雨に誘われて

「それでは、メンバーを新たに加えた新生スクールアイドルµ'sの練習を始めたいと思います!」

 

練習着に着替えた穂乃果の第一声で廊下に集合したみなが一斉に注目する。

 

「いつまで言ってるんですか?それはもう一週間も前ですよ?」

 

「だってうれしいんだもん!」

 

少し呆れた様子の海未が小言を向けるが、穂乃果の面持ちは尚も明るいままだ。

西木野、小泉、星空の3人を新たにµ’sのメンバーに加えて一週間、穂乃果はずっとこの調子で練習前には必ずと言っていいほど先の号令をかけるのだ。

まあ、気持ちはわからんでもないが、本当によくあきねえよな。

 

「なので恒例の………1!」

 

「2!」

 

「3!」

 

「4!」

 

「5!」

 

「6!」

 

「くぅううううう~~~ッ!」

 

これまた定着しつつある点呼に感極まって、ノートを抱きしめながら体をひねるっている。

俺はあくまでµ’sのメンバーではないので眺めているだけだ。

 

「6人だよ!6人!アイドルグループみたいだよね!」

 

「いや、お前らアイドルだろ」

 

「いつかこの6人が神シックスだとか仏シックスだとか言われるのかな?」

 

脱力を覚える俺の冷めた視線も、今の穂乃果はどこ行く風である。

 

「仏だと死んじゃってるみたいだけど……」

 

小泉が苦笑気味に的確なツッコミを入れるが、穂乃果には些末なことに過ぎない。

ちなみに、今の小泉はメガネを外している。

練習の邪魔になるという理由でコンタクトに変えたそうだ。

それだけでも練習に対する熱意が伝わってくる。

 

「毎日同じことで感動できるなんてうらやましいにゃあ!」

 

猫のような語尾を使うのは星空だ。

小泉曰く、幼少のころからほぼこれで会話を行っていたそうだ。

口調自体はガッシュや希で慣れていることもあるし、特に気にはならない。

 

「私、にぎやかなの大好きでしょ?それにたくさんいれば歌が下手でも目立たないでしょ?あと、ダンスを失敗しても―――」

 

「違うだろ」

 

 

スパン!

 

 

最初はともかく、その後の不純すぎる内容を、指を折りながら列挙していた穂乃果にハリセンを食らわせた。

 

「穂乃果……」

 

「冗談、冗談……」

 

「清麿くん、こうなれば失敗する心配がないくらいに穂乃果の練習量を増やすべきでは?」

 

「検討する余地はあるな」

 

海未が持ちかけてきた提案にわりと本気で即答する。

 

「だから冗談だってば!」

 

「そうだよ、ちゃんとやらないと」

 

「それより、練習。どんどん時間なくなるわよ?」

 

やんわりと注意することりに続いて練習を促すのは西木野だ。

横髪をいじりながらぶっきらぼうを装っているが、実際は毎日熱心に練習に取り組んでいる。

歌の練習に関しても西木野の意見を取り入れられたおかげで効率よく、かつ質の高い内容に仕上げることができた。

さすが経験者は違う。

 

「お?真姫ちゃんやる気マンマン!」

 

そんな西木野に星空が抱き着く。

しかし西木野は突然の接触に驚きを見せることはあっても、拒絶することはなかった。

この一週間で1年生組の仲が深まったことがよくわかる。

こうして距離感が縮まったことを実感し、新たな一面が見れるということがうれしく思う。

 

「べ、別に。私はただとっととやって早く帰りたいの!」

 

「またまた~。お昼休み見たよ?ひとりでこっそり練習してるの」

 

「な!?……あれはただ、この前やったステップがかっこわるかったから変えようとしてたのよ!あまりにもひどすぎるから!」

 

覗き込むような星空の視線にたまらずそっぽを向く西木野。

しかし、照れ隠しで矢継ぎ早に放った最後の一言で喪心する者がいた。

 

「そうですか……。あのステップ、私が考えたのですが……」

 

気づいた時には時すでに遅し。

海未のやつれた声音にこっちの気持ちまで沈みそうになってしまっていた。

その面持ちに生気はまるでなく、本人は笑顔を取り繕っているつもりかもしれないが、はっきり言ってかなり不気味だ。

 

「気にすることないにゃ!真姫ちゃんは照れくさいだけだよね?」

 

そう言って能天気に階段を駆け上がっていく星空。

続いて屋上を目指す俺たちだったが、星空が踊り場で振り返った時、みなの視線が彼女の向こう側に注がれていた。

不思議に思った星空も振り向いた先に気にあるのは踊り場に取り付けられた窓。

そこに映る景色は灰色の雲に覆われた曇天。

 

 

ザーーーー

 

 

「雨だ……」

 

そして耳朶を打つ雨音と窓にたたきつけられる雨粒に誰もが悲壮感を漂わせていた。

 

                    ☆

 

「どしゃぶりぃ……」

 

改めて屋上の扉の窓から外を覗き込む穂乃果がつぶやく。

 

「梅雨入りしたって言ってたもんね」

 

ことりの言うとおり、まだ5月の半ばであるにも関わらず今年は早めの梅雨シーズンが到来したと天気予報で言っていたことを思い出す。

 

「それにしても降りすぎだよ!降水確率60%って言ってたのに!」

 

なんだそのよくわからん理屈は?

西木野もあきれて溜息ついてるぞ。

 

「60%なら降ってもおかしくないんじゃない?」

 

「でも、昨日も一昨日も60%だったのに降らなかったよ?」

 

「つっても、所詮確率だからな」

 

「あ、雨少し弱くなったかも」

 

今度はことりの言葉を聞いた途端、穂乃果は扉を開けて屋上に飛び出した。

 

「ホントだ!やっぱり確率だよ!」

 

「これくらいなら練習できるよー!」

 

よかったー、と安堵の表情を浮かべる穂乃果の隣に星空も並ぶ。

 

「ですが下が濡れて滑りやすいですし、またいつ降り出すかも……」

 

海未が不安げな面持ちで灰色の空を見上げている。

俺も海未に賛成だ。

弱まったというだけであってまだ雨は降っている。

ケガでもしたらそれこそシャレにならんぞ。

しかし俺たちの心配を余所に穂乃果と星空の2人は屋上を駆け回っていく。

 

「大丈夫、大丈夫!練習できるよ!」

 

「ぅぅぅぅぅうううっ!テンション、上がるにゃあああー!」

 

あふれんばかりの活力を放つように叫びを上げるなり、星空は前方倒立回転跳びを披露する。

助走なしで、しかも2連続だ。

この一週間で分かったことだが、星空の運動神経はµ'sの中で群を抜いている。

水たまりを滑ることで、着地の際の勢いの殺し方も完璧だ。

もしかしなくても、星空もとんでもない逸材なのではないだろうか?

そして最後に水しぶきを上げながらにゃーん!と横ピースでフィニッシュを決める星空。

 

 

ザーーーーー!!

 

 

――――瞬間、待ち構えていたかのように雨は勢いを強めた。

おおう……なんか、全部台無しになっちまったな……。

星空、お前雨乞いでもしたのか?などと思ってしまうほどのタイミングの良さだったぞ。

 

「おーい、風邪ひくから早く戻ってこーい!」

 

おー、PVみたいでかっこいい!とはしゃぐ穂乃果たちを呼び戻しながら練習の中止を判断する。

 

「こりゃもう、今日の練習は無理そうだな」

 

「そうね、また明日にしよっか」

 

「えー、帰っちゃうの?」

 

「それじゃあ凛たちがバカみたいじゃん!」

 

「ああ、バカだ」

 

「バカなんです」

 

明確な中止ムードに不満を露わにする穂乃果と星空に海未とそろって容赦のない一言かます。

 

「ですが、これからずっと雨が続くとなると練習場所をなんとかしないといけませんね……」

 

「体育館とかダメなんですか?」

 

「講堂も体育館も、他の部活が使っているので……」

 

「でも、これから練習できないってのもマズいんじゃない?」

 

西木野の言うとおり、平日はともかく休日まで潰される事態は絶対に回避したい。

そのためにも何か手を打たねえとな……。

 

「練習場所、どうにかならないかな清麿くん?」

 

そこで俺に振るのか………と言いたいところだが、考えても見れば練習場所の確保も俺の役目でもあるんだよな……。

 

「そう言われてもな……。雨風をしのげて、ある程度の広さが確保された場所だろ?そんな都合のいい場所があるわけ…………」

 

その時、考え込んでいた俺の脳裏ににとある場所が浮かんできた。

 

「……あ」

 

「あるの!?」

 

俺の様子に穂乃果とが希望を見出すような反応を見せるが、すぐに頭を振って考えを打ち消す。

確かにあそこなら練習するための条件を満たしている。

ただ、あそこにこいつらを連れて行くことに抵抗がある。

ほら、意地悪く笑むあいつの姿が簡単に想像できるじゃないか。

できることなら個人的にあそこは避けたい……!

 

「いや、でも使わせてもらえる保証もないし。第一、俺ん家の近くだから少し歩くことになるぞ?」

 

「いいよそれでも!練習できないよりはずっといいもん!」

 

どうにか抵抗を試みるが、穂乃果はさらに笑顔を咲かせて食い下がってくる。

 

「この際、贅沢なことは言いません。練習できるなら是非その場所を紹介してくれませんか!?」

 

さらには穂乃果と同調するように海未も真剣なまなざしで詰め寄ってくる。

周りを見れば、ことりも、小泉も、星空も似たような面持ちでこちらを見つめていた。

西木野に至っては素っ気なさを装っているが、時折チラチラと期待を込めた視線を向けてきている。

…………………………ああ、ちくしょう!

俺個人の事情を優先してみんなの練習の妨げになるのもそれはそれで後味が悪い。

葛藤の末、自棄とまではいかないが、内にくすぶるわだかまりを振り払うように頭をかきむしりながら俺も覚悟を決める。

 

「わかった!聞くだけ聞いてみる!それでいいな!」

 

やぶれかぶれになりながらも俺は学内に設置された公衆電話に足を運ぶ。

俺、携帯持ってないんだよ………。

正直、あいつがOKを出してくれるかどうかはわからないが、とりあえず今日の中止を補うためでも自宅でできるトレーニングをあとで教えておくとしよう。

そんなことを思いながら公衆電話に小銭を投入してダイヤルをプッシュする。

そして数回のコールの後に回線がつながる。

 

『はい、もしもし。こちら―――』

 

受話器から聞こえる勝気な口調、それだけで電話の相手を容易に特定することができた。

 

                    ☆

 

翌日、その日はちょうど休日だったために朝から神社の前に集合という手筈になっている。

結果から言うと、あっさりと了承を得ることができた。

ダメ元で頼んでみたら「明日にでも来なよ」と色のよい返事がもらえたのは正直意外だった。

練習場所を確保できたとわかった時のみんなの喜びようと言ったら、恥を忍んだだけの価値はあったというものだ。

神社に着いた頃にはすでにみんなの姿があった。

どうやら俺が最後のようだ。

 

「よう。みんな、おはよーさん」

 

「あ、おはよう、清麿くん!」

 

「おはようございます」

 

「おはよう、きーくん」

 

「先輩、どうもです」

 

「おはようにゃ!」

 

「まったく、遅いわよ」

 

さっそくあいさつをすればすぐに各人各様のあいさつが返ってくる。

みんな心なしかうれしそうな表情を浮かべている。

まあ、ようやく雨の心配をせずに練習できる場所が見つかったんだ、反応としては当然か。

さて、見上げれば相変わらず灰色の空模様。

天気予報では午後から雨が降ると言っていた。

早く移動を開始したいところだが………そう思い神社の石段に視線を向けながら海未に訊ねる。

 

「で、どうする?とっとと終わらせるか?」

 

「いえ、今日はいいでしょう」

 

彼女もわずかな仕草だけで俺の意図を察してくれた。

さすがは海未だ。

海未の意外な返答に穂乃果が本当に!?と目を輝かせていた。

確かにあの石段の往復はキツイのは知っているが、反応が露骨すぎるぞ……。

しかし、そうは問屋が卸さなかった。

 

「その代わり、練習場所までランニングです!」

 

その言葉を聞いた途端、イエイ!とハイタッチしていた穂乃果と星空の両名は顔面が蒼白させた。

なるほど、今日やる分の石段の往復を目的地までのランニングで補おうというわけか。

別に反対する理由はないが、ふと、気になることがひとつ。

 

「なあ、海未。それだと俺も走らなきゃならなくなるんだが………?」

 

事実、目的地の道筋は俺しか知らない。

ゆえに俺は道案内をしなくてはいけないわけで………。

 

「清麿くんもたまには走るのもいいんじゃないですか?」

 

有無を言わせない、とても素敵な笑顔で言われてしまった。

同情の目はない。

こんなことなら自転車で来ればよかったとひとり後悔する俺だった。

 

                    ☆

 

「ほら、着いたぞ」

 

µ'sを率いて俺たちは目的地に到着した。

 

「はへぇぇぇ、やっと着いたぁぁぁぁ……」

 

「疲れたにゃ~」

 

大きく息を吐きながら穂乃果と星空が背中合わせでその場にへたり込む。

他のみんなも乱れた息を落ち着かせるのに集中していた。

時間にして約30分。

それでも俺がペースを考えているのもあるが、みんなちゃんと着いてきた。

それなりに体力がついている証拠だ。

 

「みんな、大丈夫か?」

 

「うん……なんとか、ね。疲れたけどいい気分転換にはなったかな」

 

呼吸を整える俺の確認にことりが答えてくれた。

そう言えば、みんなこっち(モチノキ町)に来るのは初めてなんだよな。

初めて見る景色に新鮮さを感じていたということか。

 

「それにしても、清麿くんもかなり体力あるんですね?」

 

「ハハ、まあな……」

 

汗を拭う海未の問いに不敵な笑みを浮かべて答える。

伊達に鍛えていたわけじゃないんだ。

と言っても、本格的に走りこんだのは約1年ぶりだ。

今日走ってみて、ガッシュが魔界に帰ってからのブランクを実感したのも事実だったりする。

これから俺もたまにはトレーニングに参加するか?

脳裏によぎる考えを隅に追いやりながら、改めて目的地の看板を見上げる。

『モチノキ町立植物園』

それがこの施設の名称だ。

 

「隣町にこんな場所があったんですね……」

 

小泉がまじまじとした視線を看板の文字に向けていた。

 

「ああ、ここにはいろいろと世話になってたんだ」

 

そう言って、さっそく人数分の入園料を支払って園内に足を踏み入れると、緑の世界が俺たちを出迎えてくれた。

 

「わあ、おっきな木!」

 

「おっきな葉っぱだにゃー!」

 

途端にさっきまでの疲れはどこへやら、目を輝かせる穂乃果と星空があちこちに走り回っていく。

ガッシュも似たようなことを言ってたな……。

 

「こら、2人ともはしゃがない!」

 

騒ぐ2人に注意する海未だが、彼女も興味深げなまなざしを園内に巡らせていた。

ほかのみんなも似たり寄ったりだ。

 

「ねえ、本当に使わせてもらって大丈夫なの?」

 

「ああ、心配ない。あまり騒がないって条件付きだがちゃんと話は通してあるから気にするな」

 

西木野の疑問に答えながら舗装された道を進むと、やがて芝生で覆われた広場にたどり着いた。

ここなら練習するのに支障はないだろう。

 

「よし、俺はここの人にあいさつしてくるからみんなは少し休んでてくれ」

 

みんなのもとを離れ、とりあえず目的の人物を探すために周囲を見渡す。

 

「本当、ここは変わんねえな。せっかくの休みなのに閑古鳥が鳴いてらあ」

 

移動するまでに視認できたのは5人程度。

梅雨入りしたせいもあるだろうが、相変わらずのがらんどうぶりだった。

 

「大きなお世話だよ。変わんないのはあんたも同じだろ?」

 

感慨深く思っていると、不意に背後から声をかけられた。

このやり取りも懐かしい。

 

「久しぶりだね、清麿」

 

「そっちも元気そうで何よりだよ―――つくし」

 

振り返った先にいたのは勝気な印象を抱く女性。

木山つくし、この植物園の管理人で中学からの俺の友人だ。

 

「あたしが元気なのは当たり前。あたしが倒れたら誰がここの植物の世話をするんだい?」

 

「違いねえ」

 

今から約3年前、ここは一度戦いの舞台になった。

それでも植物たちが元気に育っているのはつくしの尽力の賜物だろう。

さすがは植物の友達を自負するだけのことはある。

 

「それより悪かったな、急に変なこと頼んじまって。助かったよ」

 

「確かに、いきなり連絡よこしてきた時は何事かと思ったけどね。まあ、気にするな」

 

そう、µ'sの練習にここを使う許可を出してくれたのはこのつくしだったりする。

本当、つくし様々だ。

 

「それにしても、いったいどういう風の吹き回しだい?突然場所を使わせてほしいなんて」

 

つくしの疑問に思うのも当然だ。

昨日は必要最低限のことしか伝えていなかったため、改めて俺は事情を説明する。

俺の通う学校が廃校の危機に瀕していること、廃校を阻止するために宣伝を兼ねて穂乃果たちがスクールアイドルとなったこと、そして練習するための場所に困っていたことを話した。

 

「ふ~ん、なるほどね。ようするにまたやっかいなことに首突っ込んでるってわけだね」

 

つくしがどのように解釈したかは知らないが、別に間違ってはいないので一応肯定しておく。

 

「とにかく、ガッシュがいなくなっても元気そうで安心したよ」

 

「………まあな」

 

つくしには珍しい落ち着いた声音となにかを含んだような言い回しはそういうことか。

ある程度だが、つくしはガッシュの事情を知っている。

それでも尚、ガッシュを受け入れ、友達でいてくれた数少ない理解者でもある。

 

「あいつは今も向こうで頑張ってんだ。落ち込んでる暇なんてねえよ」

 

俺の中にはガッシュとの思い出とひとつの約束がある。

胸を張れる大人になって、いつかまた必ず再会すること。

約束を果たす時、俺はどんな未来に立っているのか、その『答え』はまだわからない。

それでも………いや、だからこそ俺は今できることに全力を尽くすだけだ。

 

「そっか」

 

落ち着いた笑みを浮かべて、つくしもまた、俺の言葉を受け止めてくれた。

 

「で、どの子が本命なんだい?」

 

「は?」

 

しかし今までの真摯な雰囲気から一転、予想外の言葉に俺は間の抜けた声を漏らした。

そこにあったのはなんともいやらしい微笑みだった。

出たよ………。

 

「またまた、どぼけちゃってぇ~。あんなにきれいどころをそろえちゃって、あんたも意外と隅に置けないね」

 

このこの~、と肘で腕をつついてくる。

 

「な!?べ、べつにあいつらはそんなんじゃねえよ!全員ただの友達だっての!」

 

「照れるな、照れるな。ほら、だれにもしゃべらないからお姉さんに正直に話してみなって?」

 

想像通りの意地の悪い笑みで近づいてきたかと思えば、今度は腕を肩に回してくる。

ああ、鬱陶しい!

 

「やかましい!とにかく話は通したからな!もう俺は行くからな!」

 

じゃあな!と腕を振り払い、これ以上の追及を逃れるために俺は足早に来た道を戻る。

横目で見れば、ニヤついた笑みで俺を見送っていた。

だからここに来るのは嫌だったんだよ……。

そうして、もといた場所に戻ればみんなは練習前のストレッチを終えようとするところだった。

だが、おかしい。

いるべきはずのµ’sのメンバーの内、約2名の姿がないことに気付いた。

 

「なあ、穂乃果と星空はどこ行った?」

 

俺の疑問に誰もが苦笑を浮かべる。

 

「えっと、穂乃果ちゃんと凛ちゃんなら果樹園を見てくるって言って、そのまま走ってちゃった」

 

代表して答えてくれたことりの視線を追えば、その先には『果樹園』と書かれた看板。

そういえば最近果樹園を導入したってこの前言ってたっけな。

なんだろう…………嫌な予感しかしねえ!

 

「ちょっとあいつら探してくる!少し待ってろ!」

 

それだけ言い残して俺は果樹園に向けて走りだす。

あいつらに常識があることを祈るばかりだ、ちくしょう!

 




冒頭は本編から拝借しましたが、内容の構成上、2つに分割すると前回に続いて大きく文字数更新してしまいましたとさ(笑)
文字数が多い割に早めに投稿できたのはあらかじめ使用するセリフを書き溜めていたからです。
どうしても上手く内容がまとまらない時はこうして時間をつぶしています。
今日までに時間がかかったのは最後のキャラ視点を海未で行くか、ことりで行くか悩んでたからデス!(わりとガチで)
…………やっぱことりで行くべきだったか?

さて、予告通り今回はガッシュキャラの登場です。
トップバッターはまさかのつくし!
はてさて、正解した人は何人いたのでしょうか?
恵たちのような主要キャラと比べてハードルが高すぎず低すぎずって感じでとりあえず、つくしの先発は作成当初から考えていました。
こんな調子でこれからも進めていく所存です。

次回はつくしとの出会いをきっかけにµ'sが清麿の過去に触れていくお話です。
お楽しみに!
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