隕石落とすやついるなら触手出しても大丈夫でしょ 作:五足歩行
アメンドーズをノーダメ撃破、エーブリエタースをエロい目で見始めたら素晴らしく血に酔った狩人だと思います。
"……決戦の時が来た。"
早朝、腕を組み目を細め、静かに、けれども力強く先生が呟く。
…また欲しい物の予約戦争が始まったか?
ギシリと椅子を鳴らせ、「よいこのどうぶつずかん」と可愛らしいフォントで描かれた本を1ページずつ眠たげに眺めている狩人。
"いや、そんなことよりもずっとずっと大事で大きな事。"
"アビドス砂漠にてビナーが出現すると情報が入った。私たちはそれを倒しに行くのさ。"
パタリ、本が閉じた。栞は忘れず挟まっている。
…私も行こう。強大な相手なのだろう?
"いいの?とても危険なんだよ。"
…私はある種不死身だ。それに、引き際を知らぬ阿呆でもない。
"ただの蛮勇じゃヒーロー足り得る資格は無いよ。"
…フッ、ぬかせ。
こうして2人はアビドスへと向かった。
なお先生がこの情報の周知をちゃんとしてなかった為、憤慨するセミナー会計担当もいたとか。
「お〜久しぶり、先生に狩人さん。」
"久しぶりだね。元気してた?"
「大丈夫、最近は平和だよ〜。」
先生と狩人の来訪により賑やかな時間が流れているが肌身離さずように銃が握られている。そう、
ビナーの出現情報が入り、そうなるといつ現れてもおかしくないと彼女らは考える。その結果、いつでも出撃できるように臨戦態勢を敷いているのが現状。
「周辺の調査はアヤネちゃんにやってもらってますが、イマイチ居所を掴めてないのが現実です。」
…なるほど…私も知り合いに掛け合ってみよう。先生は増援を頼めるか。
"任せて。"
狩人は少し離れ、すっと携帯を取り出して電話をする。
…生きてるか?少しお前の時間をくれ。
『ククッ、いきなり手厳しい…ですが貴方から掛けてくるのは珍しい。何でしょう。』
…ビナーと言う奴の存在は知っているな?場所を教えてくれると助かる。
『ほう…あれに挑むのですね?貴方に幾ら命があろうとも厳しい相手ではありますが…』
…問題ない。それに、こちらには味方が多数いるのでな。まず負けることはないだろう。
『クックック…そうですか。では、その戦いの行く末を見させてもらいましょう。今日午後3時より廃道路13号線に出没します。詰まらない結末は許しませんよ?』
…助かる。
"その様子だと、有益な情報を貰えたようだね?"
いつの間にか皆が狩人の周りを囲み、聞き耳を立てていた。
…聞こえていたかもしれないが、今日の3時に棄てられた13号線道路に出るそうだ。まだ時間はある。
願ってもない情報に震撼が走る。しかし電話先の声の主が誰か把握してしまったホシノと先生は苦い顔を浮かべる。*1
「もう待ちきれない、先に行って罠を仕掛けるべき。」
「まだ行くには早いですよシロコちゃん。それにあのサイズ、どうやったら罠に引っかけれるんですかね?」
「むぅ…」
シロコの耳がぺたりと倒れた。
「ねぇ、そいつ…いつ知り合ったの?」
ホシノがとても不思議そうに狩人の顔を覗き込む。
…ホシノを救出する前の夜、あいつからコンタクトがあった。囚われている場所を教えてくれたのもあいつだ。
「そうなんだ。でも、気をつけてね。あいつは目標の為なら手段を選ばないから。絶対に何か見返りを求めてくるはず。」
…別に死ぬ訳でも無い、お前が思っているよりもあいつは大した事ないさ。だから大丈夫だ。
そっとホシノの手を取り、優しく語りかける。先ほどより幾分かは表情が柔らかくなった。安心したようだ。
"応援は呼んだよ。それで、あと1時間くらいだけど、もう行く?"
「そうしよっか、先制攻撃は大事だしね〜」
賛成の声が上がり、特にここでやることも無くなったので次々に賛同者も増える。
準備はすでに整っている。あとは怨敵をぶちのめしに行くだけ。
場所は代わって13号線道路。家屋や電柱が砂に埋もれ、道路もところどころ亀裂が走り隆起しており、天然の遮蔽物が出来上がっている。昔の不幸が今や幸となっていた。
車から降り、現地を確認して位置決めを行っていると、後ろから車がやってくる音がした。
"来たみたいだね。"
アビドス高校の車の横に停め、降りてきたのは便利屋68ともう1人。
「この便利屋68が来たからには、大船に乗ったつもりでいてちょうだい!」
「…まとめないで。」
「え、風紀委員長!?なんでここに!」
なんとゲヘナの風紀委員長、ヒナも参戦していた。これには理由があり、いつものように便利屋と風紀委員会のいざこざが発生
↓
長引いたところでいよいよ5徹をキメたヒナがやってくる。それと同時にアルが先生から連絡が来たと声を上げる
↓
もはや活動限界に近い先生
↓
わ゙だし ゙も゙づれ゙でっ゙で!*2
と普段のヒナからは絶対にありえないほどのプライドを投げうった姿を見せ、アルに懇願して急遽連れてきてもらった。後始末は知らん。アコにやらせとく。
…無理やり連れてきたのではないか?隈も酷いし目が開いてないぞ。
"まぁまぁ、こっちおいで、膝枕したげる。"
「わァ…ぁ…」
あと数十分で戦うというのになんで来たのこの子。ぐっすり寝ちゃったよ。
「久しぶりね、狩人さん。…腰を据えてお話したい所だけど、そんな暇は無さそうね?」
…あぁ、早速で悪いが状況を説明しよう。どうせ先生の事だから最低限しか聞かされていないと思うしな。
「…うん、その通り。」
…そうか。内容はこうだ……
狩人から作戦内容が伝達される。思っていたよりも重大そうな話に段々とアルの顔が青ざめていく。ついには白目をむいてしまった。他のメンバーはアルの反応を見て楽しそうだ。
…開始まで残り数分。急拵えのチームだが、やれそうか?
「や、やってやろうじゃない!ここまで来て逃げるなんて便利屋の名折れよ!」
…よく言った。よし、位置につけ。先生はヒナを起こしてくれ。
"起きて、ヒナ。もう少し頑張ってみよっか。"
「ん…〜~~~っ!?」*3
遠くより小さな地響きが足元を揺らし、振動はどんどんと強くなっていく。接敵までもうすぐ。
"来るよ!戦闘準備!"
地盤ごと貫いて姿を現したソレは白く、巨大で鯨とも蛇とも見て取れる。
「でっか!」
「んっ!」
シロコが先手を打って手りゅう弾を投げる。とぐろを巻いたビナーの横っ腹に炸裂するがほんの少し傷がついただけに終わる。
「これは長期戦になりそうな予感…」
狩人も何発か夜空の瞳を飛ばしているが目立った損傷は無さそうだ。*4
ビナーからミサイルが放たれる。それぞれ遮蔽に隠れてやり過ごし、狩人は獣肉断ちで上手いこと打ち落とし破壊。お互いにまずは様子見から始めましょうと言わんばかりな状態が続く。
…埒が明かん。接近して叩いてくる。
「あ、ちょっと!」
手に持つ武器を人が持つには分不相応な柄の付いた石の塊…もとい教会の石槌を担いでビナーに向かって走りだす。
迎撃せんとビナーは口から光弾を発射するも狩人は恐れず逆に接近していくようにステップを踏み、懐に入り込んだ。
ここまで来れば自慢の光弾もミサイルも狩人を狙えない。思いっきり石槌を振りかぶる。教会の石槌の通常時は使いやすい直剣だが、この武器の真髄は変形後のハンマー状態にある。
全てが敵を砕く重打の一撃、勿論重打強化の血晶石も3つ装着しているのでその破壊力は推して知るべし。
『■■■■■■■!!』
狩人に喰らいつこうとしたビナーの下顎をデカさ=質量の暴力がぶっ叩く。ごがぁぁんと思わず目を背けたくなるような重低音が響き、弾かれたビナーの下顎には大きな亀裂が残った。
「すごいっ!」
堪らず地中に潜り移動するビナー。
…ヒビが入ったそこを集中して狙え!
再度地中から出てきたと同時に口内から収束エネルギーが放たれる。範囲内にいたハルカ、ノノミは遮蔽を使い難を逃れたがギリギリ避け損なった狩人は左足を大腿から持っていかれ、体制を崩す。
追撃の光弾が迫り、
…済まない、助かった。
「大丈夫、もう誰も死なせないから…!」
どうやらに並々ならぬ思いを秘めているようだ。そう思いつつ輸血液を欠損部位に刺し、再生させ戦線に復帰する。*5
ビナーもやられまいと頭部をより高く上げ、損傷の少ない胴体で身を守っている。
「あんな高い位置…当たっても有効打にはならない。」
「私に任せなさい、片手でも当てられるわ!」
アルがヒビを狙い撃ち、被弾箇所から更に爆発が起きる。装甲の一部が剥がれ、中身が剥き出しになる。
堪らずビナーはダウン。頭が地に落ち隙を晒す。一斉に弱点を狙う中、狩人はまたもや果敢に接近。青い月の色に光る大剣を持ち頭部に登ったかと思いきや右の大きな目玉に腕を容赦なく入れ込む。
「その剣は使わないんだ…?」*6
抉り、引き抜いた後も容赦なく剣を何度も突き刺し目をズタズタにしていく。とどめに月光の爆発を起こして確実に半分の視界を奪った。
右目から煙とスパークを迸らせ、恨めしそうに残った目で睨み続けるビナー。モツ抜きできるのが悪い。*7
どうにか復帰し怒りの叫びを響かせるが、開いた口に何かがギッシリ詰まったスクールバッグが放り込まれる。
「プーレゼント!クフフッ、中身は開けてからのお楽しみ!」
即口腔内で爆発。更に怒りを募らせたビナーは砂嵐を吹き起こす。
「わ、わ!砂が地味に痛い!」
「どいて、私がやる。」
先生チャージを終えたヒナは砂塵もなんのその、服や肌が傷つこうが髪が砂まみれになろうがお構い無しに歩を進める。
「先生の…みんなのためにさっさと終わらせる。」
自身の持つ神秘を解き放ち
『■■■■■■■!!!』
怒りの叫びは悲鳴に変わり誰が見ても瀕死だと分かるくらい損傷が激しい。
「これでとどめ。」
最後にホシノが
「ビナーの沈黙を確認。皆さん、戦闘は終了です。」
「ん、大勝利。」
"便利屋の皆もヒナもお疲れ様、ありがとね。"
こうして対ビナー戦は死傷者なし、軽い擦り傷程度で抑える*8といった大勝利を収めた。
…しかしあの時のヒナの神秘の昂りはまるで追い詰められたエーブリエタースのようだったな。
「誰?」
"まぁいつものことだよヒナ。褒めてるってこと。"
戦い終わった一同は打ち上げと称して小さなパーティを開いていた。取り寄せた様々な料理が机の上を埋めつくしており、狩人の前には見慣れないボトルがあった。
「ねぇ、それ何?お酒?」
…酒の一種だ。生産量が少ないから貴重ではある。*9
"飲みたい!"
貴重と聞いて直ぐさま手を伸ばして栓を開ける。
…だいぶキツい方だとは思うが…
"うぇ…血みたいな匂いする…"*10
匂いに一旦怖気るもそれでも1口飲む先生。
"んぐ……うぐへぇぁ…"
「え、もう酔ったの?」
「ひゃあっ!?」
たった1口で出来上がった先生は隣にいたヒナに倒れ込む。そしてそのまま寝息を立ててしまう。
「羨ましい。」
「これどうすればいいの!?」
…疲れてるだろうしそのまま寝かせてやれ。
こっそりと匂い立つ血の酒をしまい込み、料理に舌鼓をうつ狩人。そうして夜もふけるがポツリと教室の灯りは祝福するかのように照らし続けていた。
"あたまいたい…"
…次からは私も出さないようにしよう。
"でもおいしかった…"
…素晴らしい。
戦闘の一部始終をしっかりガッツリねっとり見届けた黒服は興奮のあまり暫く動けなかったそうな。