隕石落とすやついるなら触手出しても大丈夫でしょ 作:五足歩行
上司
恨みはないが、(上からの)依頼なんでな
ここで(日付を跨ぐまで)作業してもらおう
俺
まっ…たっ 助け! おあーっ!?
黒服から受け取った地図の位置の元に向かう。
幸いにも
地図と周辺を照らし合わせて目的の場所を見つけた狩人。
既に見覚えのある車が傍に止まっており、先生達は一足早く中に入っているようだ。
狩人もずんずんと地下への階段を降りていく。最奥には皆と鎖に繋がれたホシノがいた。
…あいつの情報は正しく、そしてホシノは目立った外傷も無い。幸運と言えるだろう。
"狩人!情報ありがとね!"
「鎖外すの手伝って!」
了解した。と一声あげ、取り出したのはメイスと刃が付いた分厚い円盤。
ガギィン!と2つを変形させるとそれは物騒なピザカッターとでも言うべきものが出来上がった。
火花を散らしながら回転するノコギリを見て静観を決めていたホシノもヒュッ…と息を飲む。ヘタしたら拷問だもんね。
「……っ!」
高速回転するノコギリを鎖に押し当て、切断。金属どうしが擦れ合い、火花と耳障りな音が弾ける。
「ね、ねぇ、外してくれるのはありがたいんだけど、別のやつにしてくれない?ちょっとおじさんには怖すぎるかな…」
…叩き切るのだと時間がかかる。本来は対獣に使用する物だが、これが1番安全で速い。
「鎖とか切るのが本来の使い方じゃないんだ…」
右手側を切り落とし、反対側も無事に切断する事に成功した。
…手首の部分は誰かに頼むといい。
「うへ…助かった〜、頼れる後輩ができておじさんは嬉しいよ〜」
"それじゃあホシノも無事だったってことで!帰ろう、みんな。"
失踪したかに思われたホシノを救出し、いよいよカイザーとの決戦がそう遠くない日に敢行される。アビドス高校は来る日まで束の間の平和を享受し、だが確実に喉元へと刃を至らせるべくその瞳に油断の色は無かった。(なお狩人はついさっきその事を知った。)
所変わってここはオドン教会。作戦を遂行させる為に狩人は叡智の助力を請いにやってきたのだ。
一旦外に出て邪魔が入らないように敵を
”交信”を取る。
(おぉアメンドーズ…アメンドーズ…私の交信が届いておられますでしょうか。)
『!!!?!!?』
(驚くのも無理もない…何せ上位者に交信が届くことは今まで有り得なかったことです…おかげで聖杯に棲う上位者には話し合いで血晶石を譲ってくれるようになりました…)
なんと、狩人は遂に他者(上位者限定)に話しかけられるようになった。三本目のへその緒摂取しすぎたか?
メリットは狩人がさっき言ってたがこうだ。
おっす!遊びに来たで!深淵血晶ありまっか?
↓
スマンな、今有らへん。でもスタマイならあるで?
↓
ええやん、貰っとくわ。サンキューやで!また来るわ!
(要約)*2
こんな感じで周回速度がダンチで速くなった。しかも血の意志だって無くさないし*3啓蒙だって得られる!
デメリットなんて動けないだけ!周りの敵ぶっ殺しておけば無問題って訳よ*4
『ッスー…我に何が用があるとでも?』
(はい、近々別世界で襲撃をしに行くのですが、相手を殺さぬように加減しなければいけないのです。かと言って半端にやればこちらが死んでしまいます。どうすればいいかその知恵をお貸しして頂きたく交信をするに至った所存です。)
『不殺を除けばいつもの事じゃない?えー未強化の武器使うとか?』
(しかし相手は中遠距離がメインです。なるべく早く終わらせて聖杯回したいのです…)
『本音はそれか…根っからの地底人め。ならば我を呼ぶと良い。小さな鐘ゆえ啓蒙はいつもより消費するが、それで良いな?分かったらもう二度と話しかけてくるでないぞ。視線ガッツリあってるのに手の動きやめないのがキモイ。』
(ありがとうございます。それではアビドスの血戦の地でまた見ることにしましょう。)
そう言って狩人は協会の中へと引っ込んで行った。
『…アビドスってどこ?』
太陽が砂漠を照らし出した頃、先生を含めたアビドス高校生たちは各々チェックをしていた。
「よし…弾薬持った、携帯食料、あと無線機も。」
「ん、セリカ、その食料私のメープル味のと交換しない?」
「私のバニラは誰にもあげないわよ!」
「それならシロコちゃん!私のフルーツと交換しましょう☆」
「ん、ありがと、ノノミ。」
「これから襲撃だってのに、皆呑気だね〜」
“まぁ緊張するよりこっちの方がパフォーマンス的にもいいんじゃない?”
「それより、狩人さんはどうしました?今朝から見てないのですが…」
タイミングよく教室のドアが開く。
…やはりカイザー襲撃か…いつ出発する?私も同行する。*5
“狩人院”*6
「同行するって…狩人だって大丈夫なの?」
…心配いらん。それよりセリカこそ、大丈夫か?机に物が散らかっているぞ。本当に準備できているか?貴公。まぁ、空気でも構わんがな。
「るっさいわね!これからしまうとこだったのよ!」
“ふふ、賑やかになってきたね。これじゃあ愉快な遠足になりそうだ。”
「じゃ、行こうか。皆。」
“作戦をおさらいしよっか。総指揮は私が担当するね。皆が突撃して行って、アヤネは車で私と上空からドローンで敵の位置と数の報告。狩人は逃がした敵を仕留めて。余裕があるなら目玉のやつとかで後方支援。”
揺れる車の中、先生が指揮を取り他は傾聴する。既に覚悟は出来ているのか瞳には硬い意志が見て取れる。中には吹き荒れる隕石も見れた。*7
“おっと、もうすぐ到着するよ。”
“それじゃ、皆、ちょっと頑張ろうか。突撃始め。”
号令とともにドアが勢いよく開き、飛び出す4人の影、瞬く間に入口の警護に務めていたオートマタは蹴散らされた。
“ほら、狩人も行った行った。”
…あぁ、相手は機械とはいえ油断はならない。ゆっくり行かせてもらおう。秘密兵器もあるのでな。
いつでも鐘を鳴らせるようにセットした狩人はオートマタの飛び散ったパーツを踏みつけ、散歩するかのように侵入っていった。
程なくしてホシノ達先頭集団に追いつく。取りこぼしも無く、完璧な制圧だ。
…ははは、私はいらなかったかな?覆面した知らん娘いるし。
「ん、そんな事ない。ファウストも心強い味方。さっきから敵が多くなってきてる。」
銃を撃ちながらシロコが答える。奥からとめどなくオートマタが来ているせいで攻めあぐねているようだ。
…そうか、では私が囮になろう。皆は背後から叩いてくれ。余り長くはもたないがアビドス高校の意地、魅せてもらおうか…
そう言うと狩人は古い狩人の遺骨を取り出し、使用する。もやに包まれた狩人は一気に敵陣に突っ込んだ。
「なんだコイツは!気でも狂ったか!」
銃口を向けようとするが、狩人がステップを踏んだ瞬間視界から掻き消え、次に見たのは視界が歪んだ中での地面だった。
敵の間を縫うように駆けることでホシノ達に向けられていた銃口はバラバラになり、憤慨して発砲すると狙っていたかのようにオートマタの頭へクリーンヒット。もはやそこは侵入者と迎撃者の戦場ではなく、混乱が混乱を呼ぶ蹂躙のダンスホールへと変化していた。
古い狩人の遺骨の効果が切れる頃、オートマタは打ち止めなのか増援も来ず、制圧にしては楽な作業だった。
アヤネが敵が居ないことを確認し、全員が揃ったところで親元のいる部屋に辿り着く。
…情報を引き出せたら教えてくれ、私がトドメを刺そう。
ここでも作戦があるようで狩人は青く妖しく光る液体を飲みながらバレないように皆の陰に隠れて入室する。
「来やがったか…廃校対策委員会!アビドスの最高戦力も地下に閉じ込めて置いたというのに…黒服め!裏切ったか!」
“そこまでしておいて、一体何が目的なんだい?”
「あぁクソ…この際だ、貴様らアビドス高校が計画において邪魔だったんだよ!土地だ土地!分かるか!?潰しては湧いて出てくる害獣のように邪魔だったんだよ!」
“(わぁあ獣に反応しないで!ステイ!)”
「土地さえあればキヴォトスだって支配して、より壮大で、誰も見たことの無い企業にだって出来たはずなのに!」
「クソ…クソ!私こそが企業だ!」
ピストルを取り出して発砲しかけたその時、背後より強い衝撃を感じ、思わず膝をつく。
「ぐがっ…!あ……は?」
後ろを見る間もなくカイザーの腹から手が飛び出した。握っていたパーツを無造作に砕くと、満足気に腕を引っこ抜く。
「あぁ…う…」
カイザーは倒れ、立っていたのは狩人だった。
“狩人!?殺しはいけないよ!??しかも生徒の前で!!”
…安心しろ、脇腹だ。そのうち誰かが運んでくれるだろう。それにそっちだって危なかっただろう?
返り血ならぬ返り油でグロテスクに汚れた姿を見せる狩人。おぞましい物を見たその他。なんならヒフミは狩人のこと警戒して怖がっていたのにこうだよ。
どっちが悪人か分からねぇな。
…情報は得られた。早いうちに退散するぞ。
「まとめてんじゃないわよ!さっきの説明しなさいよ!」
なんのことかなHAHAHA!颯爽と出ていく狩人を追いかけるセリカ。少し弛緩した空気に皆は顔を綻ばせる。やっぱり愉快な遠足になったね。
帰りの車内、アヤネがそういえば、と切り出す。
「結局狩人さんの秘密兵器はあの液体だったんですか?」
「ん、気になる。気配感じ取れなかった。」
…あれは青い秘薬。停止している間存在を薄れさせる効果がある。皆の働きで秘密兵器は使う事はなかったが、言っておくとこれだ。
懐から小さな鐘を取り出す。
古ぼけていて、持ち手が歪んでいる。
…簡単に言うと、協力者を呼べる。私もかつては世話になったものだ…*8
しみじみと浸っているとシロコが隙をついて鐘を鳴らそうとする。
…おっと、もう戦いは終わったのだ。無闇矢鱈に鳴らすんじゃないぞ。
「残念。」
奪われないよう避けたと同時に車が大きく揺れる。
リーン…リーン…
……あっ。
もりっと減る啓蒙。*9今や遙か後方のカイザーの施設で上位者が降り立つ。
…いいか、アビドス高校に到着するまで絶対に後ろを振り向くな。発狂して死にたくなければ大人しく従え。
突如とした狩人の剣呑な雰囲気を感じ取り、
全員「あっ、これマジなヤツだ」の空気を察し、前を見続けた。聞いた事のない咆哮なんて聞いてない。ないったら無い。
「ぐぐが…アイツめ…私を生かした事が誤算だったな…今に見ていろよ…私は企業…カイザーだぞ…」
命からがら這いずり出たカイザーは救援を待つ。すると日陰に覆われ、部下が来てくれたのかと上を向く。
『おっ来れた。』
「………ああっ…」
『その傷…彼にやられたね?じゃあ敵という訳だ。そうだね…彼なりに言えば…「狩らせてもらおうか」ってやつかな?』
おもむろにカイザーを掴み、持ち上げ、顔の前まで持ってくる。扁桃石のような頭から生えている触手が蠢いている。狂ったように怖気だすカイザー。
「なんなんだっお前は!っやめろ!ぐっ…うぅ!」
だんだんと握る手に力が籠る。
『いいね。暴れてくれた方が呼ばれた冥利にも尽きるってものさ。いい夢見なよ!』
「おかしいな…私はまだこれから…」
虚ろな目で未練を呟くと、一瞬体は硬直した後すぐにぐったりとした。
『終わりかな?別世界も存外に楽しいものだね。』
最早興味すらないモノを投げ捨てると満足気に帰っていくのだった。
『また呼んでもらおうかな』
やめてください。
積みゲーが2.3個あるのに休日を執筆に使うのはこの男〜〜
活動報告ってやつも書いてみるよ。暇だったら見なくてもいいよ。