"死の賭け"、キヴォトスINッ!   作:チミチャンガ

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ブルアカやるかぁ!






アウトロー×ヴィラン

 

 

 

 

「連邦生徒会の超人が行方不明、ね。何か事態が起こりそうな匂いがプンプンするんだけど、おチビちゃんはどう思う?」

「知らねーよ変態」

 

 

 ブラックマーケットにほど近い廃墟とかしたビルの一室。電気もガスも水道も通っていないが、そこはアングラな存在の格好の住処となっている。

 

 そこのソファに腰掛ける赤いスーツの男と、目付き「と肉付きと口と性格!」が悪い女子高生。

 

 

「……急に何言ってんだ?」

 

 

 不良と思わしき少女が隣に座るデッドプールに怪訝な視線を向ける。

 

「いや、おチビちゃんには話してない。読者に向けてわかりやすくおチビちゃんを教えてあげてる」

「デッドプールはいつも頭おかしい。こんなやつが何であんなに強いんだよ可笑しいだろ……?」

 

 朗らかに会話を重ねるデッドプールと仮称おチビちゃん。

 

 彼女はブラックマーケットの闇に呑まれ、そのまま借金取りに身体ごと売られそうになっていたところをデッドプールに救われたモブの一人である。

 

 銃も何もかも失ったせいで戦闘能力は低い。しかしブラックマーケットの薄暗い治安の中で育ったおかげで、一般の生徒相手だと無手でもある程度勝率がある。

 

 

「それと俺ちゃんを変態呼ばわりするのはやめてもらおうか。大体俺が何した? 精々生えかけのベビーお手手を触らせたくらいだろ? 何もおかしなことなんてない」

「ッ! それは! お前が握らせた小さい手をちんっ……、て嘘つくからだろ!?」

「お顔がチェリーみたいに真っ赤だよ? もしかして興奮してる? でも悪いけどこの小説はR18じゃないし、俺もロリコンじゃない」

「殺す」

「だぁぁぁ! うそうそ! 冗談! 冗談ね! マジごめんって!」

「……はぁ」

 

 

 股間に向けて握った拳をゆっくりと収め、諦めたように溜息をつきながらジト目になる。

 

 彼女はどっちにしろその生殺与奪の権をデッドプールに握られているのだ。どれだけ文句を言おうが言いまいが、この男相手だと大して変わらないことを仮称おチビちゃんは理解していた。

 

 

「……ま、生徒会がどうなろうとあたしらに関係はねーよ。不思議なくらいに奴らはあたしらみてぇなゴミ溜めに目を向けねぇからな」

「酷いよねぇ。X-Menとかアベンジャーズとかイルミナティとか、生徒会ってそーいう仲良しごっこが上手なヒーローチームみたいなもんだと思ってたよ」

 

 

 でも実際は違うみたい。そう一言呟き、デッドプールはおチビちゃんを追い出そうとする。

 

 

「ちょ、また? またなのかよ!」

「そうそう、R15指定のこの小説でも俺ちゃんのひとり遊びを見せるわけにはいかない。……もちろん変な意味じゃない」

「変な意味でしかないだろ!?」

「変な意味だ」

「やっぱり! もういい! ちゃ、ちゃんと部屋の中綺麗にしといてよ!? あと銃借りるから! じゃ!」

 

 

 混乱したグルグルお目目のおチビちゃんは絶叫しつつ部屋から飛び出して行った。

 

 

「ふぅ……ようやく落ち着いて着替えできる。ティーンエイジの少女にこの腐ったアボカド顔を見せるわけにはいかないからね。なんなら顔見せるだけでセクハラ。アボカドの憎しみの籠ったセックス顔って、今聞くと酷い言い草だよね。完全に同意だけど」

 

 

 デッドプールはいそいそとスーツを脱ぎ、盗んだり盗んだり盗んだりして集めてきた裁縫セットだの何だのを使いはじめる。

 

 

 俺ちゃん結構手先器用なのよ。デッドプール1は見た? 見てない? 見てないやつは回れ右してブラインド・アルのアドバイスを聞きに行って。コカイン中毒のクソババアの含蓄のある言葉を聞けるよ。

 

 俺ちゃんのスーツは全部手作りなんだけど、キヴォトスの人間は銃の引き金が軽くて、デッドプールのスーツも穴だらけになりがち。困っちゃうよね。

 

 日常に奇跡を見つけるRPGとか、青春×学園×物語要素はどこ行ったの? 家出中? ああ、それは確かに青春っぽいかもね。それか安っぽいAVにありそう。

 

 

 微妙に本来のデッドプールよりも背が小さいニセプールはチマチマと穴が空いたところを針で縫う。

 

 鼻歌交じりのデッドプールの頭の中に浮かんでいるのは未だに決まっていない次のターゲット。

 

 ブラックマーケットの銀行でも襲っちゃおうかな。どうせマトモな方法で金稼いでないだろうし、おチビちゃんに聞こっと。

 

 

 デッドプールの次の標的はいとも容易く、そして無遠慮に定められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 便利屋68シックスティーエイトは文字通りの何でも屋た。金さえ払い、社長の機嫌を損ねなければ割と何でもしてくれる凄腕戦闘集団。

 

 凄腕……? と首を傾げる人も居るかもしれないが、キヴォトス内で見れば便利屋68はちゃんと上澄みである。

 

 そんな集団のボスにして社長である陸八魔アルは今月の収支がマイナスを下回り、借りているボロアパートの家財も先程売り払った。

 

 何をどうしてそうなるのか。

 

 彼女は責任感が強く、己に付き添ってくれている社員への給料だけは欠かさないことを決心しているのだ。

 

 追い詰められ、人知れず金銭事情に枕を濡らすアルは更なる一大決心を今朝に決め、大いなる意思を持ってブラックマーケットの銀行へとやってきた。

 

 

「……お願いできないかしら? 便利屋68もそこそこ名の知れてる便利屋だし、返済能力に疑問はないはずでしょう?」

「……言いたいことはわかった。だが条件がある」

「条件……ご、ごくり」

「利率はトイチだ。いいな?」

「なっ__!?」

「嫌なら帰れ。これが条件だ」

 

 

 言わずともわかるほどに法外な利率である。

 

 だがこの利率にもわけがあった。

 

 銀行側としては名の知れたゲヘナの便利屋に金を貸すことはリスクが大きい。ゲヘナの風紀委員会によく狙われている便利屋68に金を貸すことは即ち、風紀委員会にも目をつけられてしまうことを意味してしまう可能性がある。

 

 リスクヘッジはブラックマーケットで生き残るための基本中の基本。しかし完全に断ってしまっても報復に便利屋68に襲われてしまう可能性がある。

 

 故に銀行側は貸すけど返済は厳しい条件を提示したのだ。本音は帰って欲しいの一言である。

 

 あとお前らたまに外で草食ってるだろ、返済能力あるとか大嘘つくなよ。と銀行員の男は思ってなくもない。

 

 

 しばしの沈黙。

 

 

 そして陸八魔アルは熟考し、自らの決断を告げるべく口を開いた__その瞬間。

 

 

 

 ボッゴォォォォォオンッ!!!

 

 

 

 銀行の強靭な内壁。耐衝撃加工が施されたその壁は、馬鹿げた量の砲弾によって風穴を空けられた。

 

 

 

「へ?」

 

 煙と火花と流れ込む爆風に、髪が全てなくなる勢いでたなびいていく。このときアルは完全な思考停止状態に陥っていた。

 

 

「パンパカパーン! 俺ちゃんはスーパーヒーローから銀行強盗にジョブチェンジした! 君たちみたいな髭面の敵役おっさんにはわかんないかもしれないけど、ヒーローってあんまりお金貰えないんだよ。あ、ごめん。まだママのおっぱい吸ってる子供部屋おじさんの君たちには酷すぎたかも」

 

 

 穴の空いた壁の中から、1人の男が悠々と歩いてくる。赤いピチピチのスーツ、黒い模様、背中に背負った2本の刀。

 

 

「行くぞ! スーパーヒーロー着地! っイッタ……俺ちゃんみたいに治癒能力ないのによくやるよねヒーローも」

 

 

 空いた穴から飛び降り、スーパーヒーロー着地をキメるデッドプール。見たまんま隙だらけである。

 

 

「……マジか。まさかデッドプールか!? 白昼堂々、ヘイローもねぇ人間のくせにイカれてるよ、お前ッ! テメェら撃てぇぇぇ!」

 

 

 機械の男たちが備え付けられたマシンガンを立ち上げ、即座に射撃。その他にも手持ちのハンドガンやアサルトライフルの銃撃を四方八方から叩き込まれる。

 

 その直前に、それは既に股間から零れ落ちていた。

 

 

 コロンコロン……デッドプールの腰元から転がり落ちる2つのある球体。

 

 

「名は体を表す。いい言葉だ」

「まさか____ぐぁぁぁぁっ!!!??」

 

 

 銀行内を目を焼く光がジャックする。一時的に視界を失った彼らにはヘイローもなく、フレンドリーファイアが起きてしまえば生死に関わるが故に、適当に銃を乱射することもできない。

 

 

「俺ちゃんの息子さん製造機……目に入れちゃいたいくらい可愛かっただろ? 見物料は勝手に貰っとくよ」

 

 

 デッドプール命名、金玉スタングレネードはその効果を遺憾なく発揮していた。

 

 

 そして、生まれたその隙をこの男が捨ておくわけもない。流れるような体術で身近な敵の首を次々と軽くへし折り、内部の電子盤を破壊する。

 

 5秒、10秒と経てば流石に彼らの視界も正常に戻る。そして次に彼らが目にした光景は、銃社会が成り立ったキヴォトスで何故か刃物を振りかざすデッドプールの姿だった。

 

 軽々と切り裂き、およそ通常の金属では有り得ない切れ味を悠々と見せ付ける刀。

 

 

「ッちぃ! もう一度だ! やつにヘイローはねぇ! 撃てば死ぬ! やっちまえ!」

「本当にそうかな」

 

 

 構える二刀。

 

 

 向けられた銃口は5つ。精密に、慎重に、デッドプールの命を奪うことだけを考えた銃撃の嵐が始まった。

 

 

 

 便利屋68の社長、陸八魔アル。彼女には類まれな間の悪さが生まれついて付き纏っていた。

 

 まさか最近ブラックマーケットを騒がせている"死の賭け(デッドプール)"が襲撃を仕掛ける場所にピンポイントで訪れるその不運。否、彼女にとっては幸運の福音だったのかもしれない。

 

 

 

「う、うそ…………!? まさか、本当に?」

 

 

 

 絶死の銃撃の中、流れるように二刀を振り回し弾ける火花と共に金属質な音を響かせるデッドプール。

 

 

 陸八魔アルは信じられなかった。

 

 

 弾丸を切り裂くなど、そんなのキヴォトスの誰にもできない、しようとすら思わない超絶技巧だ。

 

 

 

「イタッ、ちょ痛いって」

 

 

 

 踊る剣の神楽。アルの目にはデッドプールが華麗に全ての銃弾を切り払うクールなアウトローに見えていた。実際は何発か弾丸が肉体を貫通し、血煙が出ている。

 

 どうやら金玉スタングレネードによる影響が残っているらしい。

 

 

 運命の出会いだわ……! 正しく、運命! まさか弾丸を斬るアウトローが居るなんて……! 少し変わったスーツを着ているようだけど、それも味があって良いわ! どうにか教えを乞えないものかしら……?

 

 

 もはや陸八魔アルの思考回路はデッドプールというウイルスに犯されてしまったようである。

 

 

 カチカチ。

 

 

 弾切れのハンドガンが銀行内に乾いた音を響かせた。それは反撃の狼煙であると共に、彼らにとって死の足音でもある。

 

 

……いたい。よっしゃ行くぞ!」

 

 

 体内を貫通、残留した数多の弾丸をものともせず、デッドプールは再び最も近くの銀行員に格闘を仕掛ける。

 

 ハンドガンのストック部分で殴られそうになるが、それを払い腕を折ってハンドガンを奪う。そのまま首をへし折り、奪ったハンドガンを照明に投擲。

 

 

「小洒落た内装してるね! お母さんの趣味? 良い趣味してるよ、ほんと」

 

 

 甲高い音を響かせ、シャンデリアが粉々に砕け散る。降り掛かるガラスの破片に残りの銀行員は怯み、うち1人はそのまま死亡。

 

 

 残り3人。デッドプールはショルダーホルスターからコルト M1911というハンドガンを取り出す。

 

 

 

「早撃ちあんま得意じゃないんだよ……練習台が3人も居て良かった」

 

 

 

 射撃。

 

 

 僅か1秒足らず。放たれた弾丸はバラバラの残り3人の頭を綺麗に撃ち抜いていた。

 

 

 戦闘終了。

 

 

 ぼんやりとデッドプールを見つめていた陸八魔アルの元にデッドプールがゆっくりと歩み寄る。

 

 

「あっ、あの!」

「ん? どうしたんだイカしたヘイローのガール。悪いけどここは君みたいな可愛らしい女の子が来るようなところじゃない」

 

 

 ……私に攻撃する気配は全くない。女子供には手を出さない方針なのかしら? それはそれで悪くないわね。矜恃というやつかしら!

 

  そ、それに可愛らしいって言ってるわね……?

 

 

「あなたの、名前を聞いてもいいでしょうか!?」

 

 

 ここまでドキドキするのも久しぶりね。

 

 

「あー、そうだな……X-Forceのリーダー、デッドプールだ。気軽にデップーと呼んでくれて結構。聞きたいことは終わったな? 君にも事情があるみたいだし、少しくらいなら分けてやる。だが、悪党に堕ちたくないなら辞めておいた方がいい」

「……デップーさんは、自分を悪党だと思ってる……んですか?」

「ああ。それこそ昔はヒーローなんかもやったりしたけど、肌に合わなかった。……そのうちブラックマーケットの自警団気取り共がやってくる。ほら、これやるから早めに君もお家に帰るんだ」

 

 

 マスクの下の顔はわからないけれど、でも私の身を案じてくれているのはわかる。それに……X-Forceですって? なんてイカしたネーミングセンスなのかしら!

 

 やっぱり私はアウトローとしてまだまだみたいね。

 

 

 何故かキティーちゃんのキャンディーを貰いつつ、疑問を投げかける。

 

 

「あの! これ! 私の連絡先なので……いつかゆっくりお話聞かせてもらえると嬉しいわ!」

「おっけー。お喋りデップーのデップーが火を噴くくらいに濃密なピロートークをしてやるよ。わかったらマジでさっさと出てけ。仕事の邪魔だ」

 

 

 いつも用意している便利屋68としての連絡先ではなく、陸八魔アルとしての連絡先を急いで紙に書き写し、デッドプールに手渡しした。

 

 

 名残惜しいけれど、本物のアウトローの邪魔をする訳にはいかないわね。

 

 悪党と自分で言っている割に、彼は私を巻き込もうとはしなかった。私を囮にすれば自警団が来たとしても多少は戦闘が楽になったはず……それにも関わらず早く帰らせようとするのは、きっと彼のアウトローなりの矜恃!

 

 自分のお尻は自分で拭くもの。

 

 

 私も真のアウトローになるために頑張らなくちゃいけないわね。自分から便利屋68の営業も仕掛けるべきかしら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 便利屋68社長、陸八魔アルの受難は続く。

 

 

 

 

 

「あ。結局給料払えないじゃない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







感想乞食かつMARVEL&ブルアカニワカなので口調違うとかあったら教えてくださいね!
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