私の備忘録   作:Haganed

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ゼンレスゾーンゼロ楽しすぎるので、我慢できずに書きました。良ければ読んでいただけると幸いです。
ゆっくり更新していくので、その辺りはご了承ください。


その1

 

 

 

 ■/▲ ━━━━

 今日、ようやくホロウから出られた事で今が何年何月何日か分かった。暫くホロウに居たとはいえ時間の流れが外と何ら変わりない事に幸いしたが、それを踏まえても意識が無い期間もあった為どのぐらい経っているのか判明しなかったからだ。

 

 やっとの思いで外に出て、日付けを確認したあと私は真っ先に日記帳を買った。なけなしの金で買ったのもあって、持ち金はすっからかんになったが、もうその心配は不要なので実質問題は無い。

 

 改めて、私について憶えている限りのことを記録しておこう。こんな事、初めてのこと過ぎて何から手をつけて良いか分からなかったが、侵蝕認知後遺症の事例もある。備忘録として記述しておくメリットは高いだろう。一応ノートの表紙裏にでも、「これは私の記憶を書いた備忘録である」とでも書いておこう。忘れた時は必ずこれを読むようにと念を押す言葉も添えて。

 

 さて、何から書こうか。正直混乱していて何から手を付けて良いかさえ定まってない。少し考えて、自分のプロフィールなどについて最初に書いておく方が良いと思ったので、書いていく。

 

 私は『ヤスノリ・ヴィクトゥム』。年齢は32歳、独身。身長は179cm、体重は約76kg……だったと思う、多分。新エリー都で名高いギャング赤牙組のメンバー、いやメンバーだったというのが正しいなこれは。ある1件を境に私は赤牙組を追放されたため、今はただの流れ者だ。

 

 かつては義理人情に溢れた赤牙組も今や単なる暴力集団に成り果て、それに異を唱えた私は事実上の追放を言い渡された。これでも赤牙組の幹部であったのだが……いや、もうこれも過去のことだ。正直気にしても仕方ないな。

 

 交友関係には……書いてた方が良いのか、これ? 思い出せるのがもう他界してる両親と赤牙組のボスや幹部連中、部下の他に──いたよ。変に懐いていた猫又、もとい猫宮又奈。いっつも事務仕事の時に膝に座ってきて邪魔してきてたなアイツ。

 

 とまぁ、ハッキリ言ってもう無いものと思っていい交友関係であったと改めて再認識した。

 

 別のことを書こう。私は今、とある事情からホロウの中でこの日記を書いている。何でホロウから脱出したのにまた戻ってきているのかについては、俺の身に起きた異変について言及せざるを得ない。

 

 ━━━━あぁ、やっぱり今は無理か。まだ思い出せるせいで書こうとすると吐き気もするし、手が止まる。如何せん有り得ないことのせいで、私もまだ纏まりがついていないらしい。

 

 兎に角、私はその事情からホロウにまた戻ってきた。自分のことについて判明していない事が多すぎるため、明日からは自分がどうなっているかについて自己研究をしないといけない。

 

 明日にするのは、これを書いているのは夜の時間帯であるから。正直夜に寝る必要はあるのかと思うが、時間の感覚は確りしておいた方がいい。この体になったのなら尚のこと、ルーティーンというものは必要になってくるのだから。

 

 

 

 ■/▽ ━━━━

 今日から自分について改めて研究と追究を行っていく。

 

 まず初めに、今の私はエーテリアスから敵と認知されないようだ。エーテリアスの姿を発見して、堂々と足音を立てて目の前にも立ったが、まるで敵意が無い。目と呼べる器官が見当たらないのに何をもってエーテリアスと人間を区別出来ているのか正直分からないけれど。

 

 ともかく、私は他のエーテリアスから人間とは見られてないらしい。既に分かっていた事だが、こうして文字に起こすと妙に実感させられる。次は戦闘行為を仕掛けてみるが、そもそも前に出て戦うことなんて今まで無かったので幸先が不安だ。

 

 

 

 ■/○▼ ━━━━

 まさかこんな事になるとは……いい意味で予想を裏切られた。あの時、大量のエーテル物質に触れたせいだと思うが、そう考えると不幸中の幸いというわけだ。おかけで力任せにしても並のエーテリアスとなら真正面から戦えられる。

 

 とはいえ、あくまで雑魚ばかり。実力がきちんと測れた訳じゃない。今度はもう少し強めの奴を探して動き回らねば。

 

 それで他にも分かったことが1つ。どうやら武器の心配は要らなさそうだ。次は遠距離系の武器も使えるかどうか、試してみないと。

 

 

 

 ■/○◇ ━━━━

 しくった、流石に2体同時はまだ早かったらしい。その上内訳がファールバウティとハティだ。馬鹿でかい図体で見るからにパワータイプのヤツと、獣型ですばしっこいスピードタイプのヤツは連携させたら面倒なことになる。今後は実力がつくまで1VS1を重視しつつ、相手が有利になったら即撤退。これで行こう。

 

 あとは戦い方も考えなければ。今までの方法だと、誤って死にかねない。遠距離武器は出来なかったし、どうすれば良いのか考えながら今日は寝よう。

 

 

 

 ■/○◆ ━━━━

 ああ、そうだ。何で気が付かなった。そもそもの話、別にあるもので倒す必要は無い。量は分からないが、少しずつ分ければ!

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 ホロウ、と呼ばれる球状の空間が蔓延る世界で、人々はホロウに侵蝕されていない場所に居を構えてしぶとく生きている。

 

 しかしホロウに呑み込まれれば最後、無秩序な混沌の空間が逃さない。出口と呼べる場所を記したキャロットや、プロキシと呼べる者の手を借りなければ脱出は不可能なのだ。

 

 とはいえ、ホロウの中ではエーテル物質と呼ばれる資源を獲得出来る。人々はそのエーテル資源を使い、日常生活の享受や新資源の開発に着手することが可能となったのだ。その需要に伴って増えたのが、その資源を狙う悪党という反社会的勢力。

 

 彼らは暴力という錦の御旗を掲げて、資源を奪い、時に人を騙して資金を奪い、挙句の果てには人を殺すことも厭わない。一暴徒の集団である彼らもまた、同じように金の為にエーテル資源を違法に採取する真っ只中であった。────()()に出会うまでは。

 

 

たっ、助けてくれぇええ!

 

 

 複数人の暴徒が一目散に武器を捨てて逃げており、かなり慌てふためいている。人間の持つリミッターを全て解除して、全速力以上のパフォーマンスを出していた。が、そんな彼らの悲痛な叫びは虚しく響き、背後からやって来る3体のハティと4体のゴブリンと呼ばれるエーテリアスが追いかけてくる。

 

 そんな危機的状況の中、逃走している暴徒達の目の前にホロウの裂け目が現れた。遮二無二に彼らはそこを目指して突っ走り、裂け目に入って逃げ込むが、その景色を見た1人が絶望しながら大声を挙げる。

 

 

「こ、ここ前にも通った所だ! また戻されたんだ!」

 

「いやだあああ! 死にたくねぇよぉお!」

 

「グダグダ言ってる暇があるなら走れやボンクラども!」

 

「「ひぃいいいいい!!」」

 

 

 走りながら背後に視線を向ければ、裂け目から同じ数とハティとゴブリンが現れ、その内のハティ1体が勢いよく跳躍して暴徒達の目の前に着地した。

 

 摩擦熱で足裏が熱くなるぐらいに急ブレーキを掛けて止まった彼らは、囲まれたことで1箇所に集まりながら徐々に迫り来る死に怯え、後悔の念を漏らし始める。

 

 

「うわぁあああん! まだ死にたくねぇよぉ!」

 

「やっぱりこんな危険な事するんじゃなかったよぉ! おふくろの肉じゃがが食いてぇよぉ!」

 

「許してくれぇええ! 親父の治療費のためにこんな事しなきゃいけなかったんだよぉ! 見逃してくれよ頼むからぁ!」

 

「神様仏様治安官様どうかお助け下さい! もうこの際誰でも良いから助けてくれよお!」

 

 

 懺悔の言葉は、人の言葉を介さないエーテリアスには届かず、回り込んだ1体のハティは勢いよく走り出し、暴徒達に飛びかかった。

 

 

「「「「ひえええええええ!!!」」」」

 

 

 叫び、互いに身を寄せあって、彼らは目を閉じた。それから数秒か、或いは10秒程度だろうか。一向に自分たちに攻撃が届かないことに違和感を感じた1人の暴徒が、恐る恐る目を開く。

 

 目の前に噛み付こうとしている1体のハティが居たため、“ひっ!”と驚きの声を挙げたその直後、ハティの肉体はエーテルとなって霧散した。

 

 何が起きているのかを知る前に、暴徒達は()()を見上げた。見上げてしまった。ハティよりもゴブリンよりも大きい()()と呼ぶに相応しいエーテリアスの姿を。

 

 

「「「「ぎゃああああ!?!?!?」」」」

 

 

 そう叫び声を挙げた暴徒達はそこで気絶し、意識が途切れる。その様子を見た怪獣は“アッ”とでも言いたげな様子で口を若干開いたものの、すぐに口を閉じて残っているエーテリアスの群に注目した。

 

 ハティ2体、ゴブリン4体のエーテリアス達はその怪獣を見て動きが止まってしまった。先程まで執念深く追いかけていたにも関わらず、この怪獣が現れたことでその足を止めたのだ。

 

 動かないエーテリアスの群を目の前にして、その怪獣の様なエーテリアスは、人間で言う肺と腹にあたる箇所を膨れさせ、それらに向かって────()()()

 

 

GRAAAAAAAAA!!!

 

 

 その咆哮1つで、全てのエーテリアスが一目散に逃げ出した。しかし怪獣は逃すつもりは無いらしく、飛び上がりそれらの目の前に降り立つと鋭い爪を有した大きな手で薙ぎ払い、2体のゴブリンが核を破壊されたことで消失する。

 

 我先にと逃げ出した2体のハティが、怪獣から生えている長い尻尾を使った薙ぎ払いにより核を破壊されながら吹き飛ばされ消失した。

 

 残された2体のゴブリンが尻尾の射程距離から離れていたが、怪獣は右腕を突き出す。すると怪獣の右腕が伸びながら鋭いスパイクのような形に変形し、二又に別れて2体のゴブリンの体に突き刺さった。身動きが取れないゴブリンを腕を縮めながら引き寄せていくと、怪獣はゴブリン2体を持ち上げる。

 

 そしてあろう事か、怪獣はそのエーテリアスを食らった。霧散する前にゴブリン2体を食べ尽くすと、怪獣は残された暴徒達の方に振り向き、彼らに向かってゆっくりと近付き、その大きな手で暴徒達を持ち上げたのであった。

 

 

 

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