FAIRY TAIL 【ミストガンの親友は元素の滅竜魔導士!?】   作:侍魂

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一話 出会い

フィオーレ王国、永久中立国家……この世界では魔法が当たり前に存在していて、それを生業とする者たち魔導士と呼ばれる者たちがいた。

魔導士たちは組合組織ギルドに所属し生計を立てているのである。

 

火を食べ火を吹いたりする事が出来る桜色の少年がいたり、青色の喋る毒舌ネコがいたり、星霊魔法を操るツッコミ役の金髪少女がいたり、氷の造形魔法を操りすぐ服を脱ぎ半裸になる黒髪の少年がいたり、様々武器と防具を召喚して強く頼もしいが怒ると怖い赤色の女性がいたり、他にも個性的な沢山のメンバーがギルドに所属している。

 

そのギルドの名は……<<フェアリーテイル、妖精の尻尾>>

 

過去、現在、多くの伝説的な物語を作り、これから先訪れる未来でも伝説を紡ぎ語られていくフィオーレ王国最強ドタバタギルドである。

 

主人公、親友、ヒロインも妖精の尻尾に所属する事になるがそれは少し先の未来……

 

 

777年7月7日・・・

 

六つの綺麗な星々が流れ星になってフィオーレ王国中に散らばって落ちていく。

 

何処かの森に偶然なのか、運命なのか六つの星のうち二つが近隣の森の中に落下する。

星が落下した場所には大きな穴が空いていて、白色のニット帽を被った黒髪の少年が横になり気持ちよさそうに寝息をかいていた。

 

本来普通の人であれば空から落下して無事ではすまないが、頑丈なのか何かの魔法を使ったのかは分からないが無傷である。

 

「ここは? 一体……?」

 

眠っていた白色のニット帽を被った長い黒髪の少年は目を覚ます。

少年の名前はマサラ・エレメント。この物語の主人公である。

 

周りを見渡すと表情に影ができ、それもそのはず……目を覚ますと何処か分からない深い森の中……近くには頼れる友だちも親もいない……

 

普通の人であれば気が狂いそうになるが、能天気で神経が図太かった。

すぐに気を取り直すと全神経を剃り注ぐ。

 

マサラが使う魔法は滅竜魔法……

滅竜魔法は竜迎撃用の魔法で、ドラゴンと同じ体質に変えることが事が出来る。

常人より視力、聴力、嗅覚、身体能力が高くなる。

 

「サシディーム、この森の何処にもいないか……」

 

聴覚、嗅覚、視力を駆使して辺りを探索するが、自分に魔法を教え育ててくれた竜、元素竜サシディームを発見する事は出来なかった。

 

「もっと奥の方を探してみようか」

 

マサラはサシディームを探す為に深い森の中を歩いていく。

 

「誰だ!?」

 

マサラが探索を続けると顔に特徴的な赤色の模様が入った青髪の少年を見つけ、こちらに気づくと背中に背負っていた杖を構え警戒しながら問いかける。

 

「僕はマサラ・エレメントだよ!よろしくね♪」

 

マサラはやっと出会えた人にホッと胸を撫で下ろすと笑みを浮かべながら青髪の少年に近づくが……

 

「そこで止まれ!!何故こんな山の奥にいる!? 答えろ!!」

 

少年は警戒を解かず近づくマサラの目的を問いかける。

それは仕方ない。こんな何処か分からない深い森の中にまさか人がいるとは思えないし、いたとしても何かの目的があるはずだからだ。

 

「まあ警戒するのは当然だよね〜でもキミもなんで一人でこんな所にいるの?」

 

「俺は……」

 

マサラの問いかけに青髪の少年は目的を伝えるか、伝えないか迷う。

 

「目を覚ますとこの森に倒れてたんだよ〜全くなんでこんな所にいたのかは僕が聞きたいぐらいだよ」

 

「えっ?」

 

いまだに答えようか迷う少年に、マサラは率先して自分から来た理由を伝えると、呆気に取られる少年。

まさかマサラが素直に目的を答えるとは思わず、もしかしたら戦闘になるかも知れないと思ってたからだ。

 

「僕の目的というかこの森にいた理由だよ!」

 

「気づいたらこんな森にいたのか? ……お前……大変なんだな」

 

マサラは呑気に困ったように笑ってはいるがけっこう大変な出来事である。少年は呆気に取られながらも、優しく初対面であるマサラに労いの言葉をかけるのであった。

 

「キミは誰なの?」

 

「俺はジェラール・フェルナンデスだ」

 

マサラと少しの会話からこの少年は信頼に徹すると考えた青髪の少年は杖を背中に戻して素直に本名を伝える。

 

「ジェラールか……よろしくねジェラール!」

 

「ああ。よろしくなエレメント」

 

「僕の事はマサラでいいよ!」

 

「分かった」

 

二人はどちらともなく近づき握手する。

 

「えっと……今はジェラールは一人なんだよね?」

 

「ああ。マサラもだよな?」

 

「うん。ならちょうどいいね〜一緒に行こうか!」

 

「えっ?マサラ!?」

 

ジェラールは驚きの声を上げるが、マサラは気にせずに掴んだ手を引っ張り先に進んでいくのであった。

 

 

数時間後・・・

一緒に森を歩き続けるマサラとジェラール。

 

「ドラゴン!?この世界にはドラゴンがいるのか!?」(アースランドにはドラゴンなんて存在するのか!?)

 

ジェラールは驚きの声を上げる、それもそのはずマサラの探しているドラゴンはこの魔法文化の世界でも珍しいというよりは絶滅している。

 

 

「えっ?この世界には?」

 

「あはは……どんなドラゴンなんだ?」

 

ジェラールの言葉に何か引っかかりを覚えたマサラは聞き返す。

ジェラールは失言をしてしまった事にすぐに気がつくと冷や汗を流しながら分かりやすく不自然な態度で話を誤魔化す。

 

「えっ?うん。銀色のドラゴン……元素竜サシディーム。僕を育ててくれた義理の父親のドラゴンで色んな事を教えてくれたんだ」

 

「マサラ……」

 

ジェラールの怪しい仕草の事も気にせずに瞳をキラキラさせ楽しそうにサシディームの事を話すマサラではあるが、思い出を思い出していく内に顔に影ができて暗くなっていく、そんなマサラの表情を見たジェラールは肩を叩き話しかける。

 

「優しいドラゴンなんだな……俺も会ってみたいよ」

 

「ジェラール……うん必ず見つけて紹介するよ!!」

 

ジェラールの気持ちが伝わり暗くなっていたマサラに笑みが戻ると笑いかける。

 

たすけて、グランディーネ

 

「この声は……」

 

「マサラどうした?」

 

「泣き声が聞こえる」

 

「泣き声? ……何も聞こえないけど」

 

ジェラールには聞こえないがマサラには遠くの声が聞こえるようだ。

 

「マサラ!?」

 

マサラは泣いている子供の声が聞こえる方に走っていく。後ろからはジェラールがマサラを呼ぶ声が聞こえるが振り返らずに走り去る。

 

「ここは何処なの? 嫌だよ……怖いよ……助けてよ、グランディーネ!」

 

 マサラは青髪の小さな幼女を発見すると、青髪の幼女は涙を流しながら身体を震わせながら地面に力無く座りこみ、顔を膝につけて信頼する人の名前を何度も呼んでいた。

 

バキッ!

 

「ひぃ!?」

 

マサラが近づこうとすると足元に転がる小枝を踏んでしまい、その音を聞いた青髪の幼女は驚きの余り悲鳴を上げてしまう。

 

「ごめんね驚かせて……どうしたの? 大丈夫?」

 

マサラは青髪の幼女を安心させる為に優しく笑みを浮かべながら泣いている理由を尋ねた。

 

「ヒクッ……ヒクッ……いないの……」

 

青髪の幼女はマサラの事を本能的に大丈夫と判断したのか泣きながら自分の状況を説明してくれる。

 

「いないってお父さんかお母さん?」

 

「ううん。グランディーネ」

 

(グランディーネ……どこかで聞いたような……それにこの子も……思い出せない)

「もしかしてグランディーネってドラゴン?」

 

 マサラは過去にグランディーネと青髪の幼女と会ったような気がするが、まるで頭の中にはモヤがかかったように思い出せない。

 

「うん」

 

「そっか……僕も育ての親のドラゴンを探しているんだ」

 

マサラの問いかけに素直に頷く青髪の幼女。

どうやらマサラと同じ理由で、意識を取り戻すと深い森の中にいて育ての親のドラゴン、グランディーネが行方不明になってしまい、この森の中でひとりぼっちで泣いていたようだ。

 

「私と一緒?」

 

マサラの言葉に目元に涙を溜めながら可愛らしく首を傾げながら問いかける青髪の少女。

 

 

「うん。そうだよ。僕の探してるドラゴンはサシディームっていうんだけどね、中々見つからないんだ」

 

「そんな……グランディーネ……一体何処なの……嫌だよ……一人にしないでよ!!」

 

青髪の幼女はグランディーネの名を呼ぶ。それは当然の事だ。

知らない場所でひとりぼっち、しかもこんな不気味な森の中頼れる人もいない。

実際青髪の幼女よりも何歳か年齢が上であるマサラでさえ気落ちしかけた。

年下の彼女が絶望するのは仕方ない事だ。

 

「大丈夫、大丈夫だよ……キミは一人じゃない。僕がキミの側にいるよ」  

 

マサラは青髪の幼女を力強く抱きしめながら優しい声で話し掛け大事に被っていた白色のニット帽をそっと優しく頭に被せる。

 

「ドラゴンの匂い……」

 

「そうだよ。サシディーム、ドラゴンからプレゼントされた僕の大切な帽子なんだ~」

 

マサラがサシディームからプレゼントされた命よりも大切にしている物で本来なら誰にも触らせないが、青髪の幼女には泣き止んでほしくて被せた。

 

(ドラゴンの匂いだけじゃくて……暖かい……それに何で何だろう? この人の事前から知ってるようで……安心する)

 

青髪の幼女にもマサラの想いがしっかりと伝わり、マサラと同じで覚えてはいないが何処か懐かしさを感じていた。

 

「ありがとう……」

 

「うん」

 

青髪の幼女はマサラの温もりと優しい声に落ち着いたのか涙が収まるとお礼を言う。

 

「あのね……グランディーネ、私を置いて何処に行ったんだろう?」

 

「……そうだね……グランディーネとサシディームは隠れんぼしてるのかもしれない。だからさ……僕とキミで一緒にグランディーネとサシディームを見つけてあげよう」

 

「うん!」

 

マサラは青髪の幼女の問いかけに、青髪の幼女を傷つけないために二頭のドラゴンが行方不明になった理由を少し考えから教えてあげると青髪の幼女は元気よく頷いた。

 

「キミの名前は?」

 

「ウェンディ!」

 

マサラの事を信頼して太陽のようにまぶしい笑みで自己紹介する青髪の幼女、ウェンディ・マーベル。

 

「ウェンディ……良い名前だね。僕はマサラだよ〜」

 

「マサラ……お兄ちゃんって呼んでも良い?」

 

「へっ?」

 

ウェンディの予想外の言葉に呆気にとられるマサラ。

 

「やっぱり駄目だよね……」

 

(なんでなんだろう……さっきからこの子の泣いてる姿を見るとすごく胸が苦しい)

 

 ウェンディはマサラから何も反応がないので断られると思い涙目になりながら俯く。

そんなウェンディの悲しむ姿にマサラは顔色を悪くして胸を抑える。

 

「お兄ちゃんか……嬉しいよ! 行こうウェンディ」

 

マサラは嬉しそうに笑いながら兄と呼ばれる事を許可すると、ウェンディに手を差し伸べる、

 

「うんお兄ちゃん!」

 

ウェンディは俯いていた顔を上げ、まるで向日葵のような眩しい笑顔でマサラの手を握り一緒に兄妹仲良く来た道を引き返して行く。

 

「ジェラール!」

 

マサラは聴覚と嗅覚を頼りにジェラールの声や匂いを辿り発見すると声を掛ける。

 

「驚いたよ。急に走り出すから……えーっと、マサラ、その女の子は誰なんだ?」  

 

「ひいっ!?だ、誰!?」

 

「ウェンディ、大丈夫だよ」

 

知らない少年、ジェラールを見たウェンディは怖がり身体を震わせて兄の背中に隠れる。

マサラは震えているウェンディを安心させる為に頭を撫でながら事情を説明する。

 

「この子はウェンディ。僕と同じでドラゴンを探してるみたいなんだ」

 

「キミと同じか……」

 

「僕たちの旅に一緒に連れて行こうって考えてるんだ」

 

ウェンディの事を説明するとあらかじめマサラから事を事情を説明されていたジェラールは納得する。

 

「お兄ちゃんこの人は?」

 

「この人はジェラール。僕の友達だよ」

 

 兄の友達だと知ったウェンディは警戒を解いたのか背中から可愛らしくひょっこりと顔を見せてジェラールの事を優しい人なのか、怖い人なのかと観察している。

 

「俺はジェラールだよ。よろしくウェンディ!」

 

(お兄ちゃんと同じで優しくて……温かい)

 

ジェラールは怖がっているウェンディを安心させるように優しく笑いかけて手を差し伸べる。

そんなジェラールの優しい姿は、ウェンディからは先程の優しい兄の姿と重なって見えた。

 

「よろしくねジェラール! 私はウェンディだよ!!」

 

 優しい事が分かるとウェンディは、マサラの背中から元気よく飛び出してジェラールに駆け寄り差し伸ばされた手を握る。

こうしてマサラたち三人は出会ったのであった。

 

 

 

その後数日間森の中をさまよい続けたマサラたちの目の前の先には出口を表すように太陽の日差しが当たっていた。

 

「お兄ちゃん! ジェラール! やっと森を脱出できるよ!」 

 

ウェンディは数日間歩き続けやっと深い森を抜けれた事に喜びを表すように両手を上げ、走り去っていく。

 

「ウェンディ、走ると危ないぞ……マサラ早く行こう……マサラ? 歩きながら寝ている……」

 

 ジェラールはウェンディに優しく注意し、後ろを歩いていたマサラに視線を向けると鼻ちょうちんを出して居眠りしながら木や根っこを器用に避けながら歩いていた。

 

「キミはいつもいつも……こらぁ!! マサラ・エレメント!!起きろ!!」

 

 ジェラールは気持ちよさそうに眠っているマサラに怒鳴り声を上げながら叩き起こす。

 

「あっ! おはようジェラール」

 

「ああ。おはようって……歩きながら眠るなんてキミは何を考えてるんだ! マイペースにも程があるぞ!!」

 

マサラに対して一緒に行動している間に鬱憤が溜まりに溜まり、今回の事で堪忍袋の尾が切れた。

どうやらマイペースなマサラと真面目な性格のジェラールとは相性が悪いようだ。

 

「全くキミという奴は」

 

「あはは……この匂いは」

 

「話の途中だぞマサラ!」

 

説教を続けるジェラールであるが、何かに気づいたマサラはウェンディが走って行った先を見つめる。

よそ見したマサラに気づくと更にヒートアップする。

 

「ジェラール……ごめんねでも……ウェンディが危ないかも知れない」

 

「本当なのか?」

 

マサラは妹の身の危険を感じると雰囲気が変わり、ジェラールは深呼吸して気分を落ち着かせるとマサラに問いかける

 

「うん。この先にウェンディ以外の匂いがする」

 

「匂いがした? そういえばウェンディを見つけた時も"声が聞こえる"。キミはそうやって言ってたな」

 

ジェラールは不思議そうに問いかけると、マサラは自身の事を教える。

 

「僕とウェンディはドラゴン(サシディームとグランディーネ)から滅竜魔法を教えてもらったんだ。滅竜魔法を使う人の事を滅竜魔導士っていうんだけどね、滅竜魔導士は嗅覚、聴覚、視覚が人より優れてるんだよ」

 

マサラだけではなくウェンディも滅竜魔導士なので身体能力が高く特に嗅覚、聴覚、視覚が優れているのであった。

 

「きゃあ!!」

 

マサラの言葉通りウェンディの身に何かがあったようで悲鳴が聞こえた。

 

「ジェラール!!」

 

「ああ。急ぐぞ」

 

二人はウェンディの悲鳴が聞こえた森の出口に向かい急ぐ。

 

「オマエオレのおヨメさん」

 

森に住む緑色の身体をした巨大なゴリラの姿をしたモンスター、森バルカンがウェンディを巨大な手で握りしめ求婚している。

 

「結婚!? 嫌だよ……助けて!! お兄ちゃん!!ジェラール!!」

 

森バルカンの求婚に夫婦になる姿を想像してしまい震えながら涙を流して信頼する二人の名を叫ぶウェンディ。

 

「ウェンディ、助けに来たよ〜」

 

「ウェンディ!! 大丈夫か!?」

 

「お兄ちゃん!! ジェラール!!」

 

マサラとジェラールの登場にウェンディは身体の震えが収まり二人の名を叫ぶ。

 

「ウェンディを離しなよ。ゴリラ野郎。ジェラール、ウェンディを助けるよ。……ジェラール?」

 

「ウェンディは俺一人で助ける……キミは引っ込んでろ」

 

 マサラが一緒に助けようと声を掛けるが、ジェラールがその考えを拒否する。

 

「マサラ……こうなったのはお前の責任だ。お前が兄と慕ってくれる妹を気にかけていたら、大丈夫だったはずだ……俺はお前を……信用出来ない!! ウェンディ、今助けるぞ!」

 

 ジェラールはマサラに敵対心を抱いて拒絶するとウェンディを助ける為に森バルカンに一人立ち向かう。

 

「ウェンディを返してもらうぞ!」

 

「うほ!アイテニナッテヤル」

 

ジェラールは背中に背負っていた杖を構えると森バルカンに向けて魔法を発動させようとするが森バルカンは卑怯にもウェンディを盾にする。

 

「ウェンディ!? くっ……狙えない」

 

ウェンディが盾にされている事で森バルカンに攻撃が出来ない、躊躇いを見せ一瞬の隙が発生したジェラールに森バルカンは巨大な腕を振り下ろして攻撃する。

 

「人質とは卑怯だぞ!」

 

「オマエヨワい! オレツヨイ!」

 

森バルカンの強力な一撃を腕で上手くガードしたジェラールだが余りの威力に膝をついてしまった。

 

(俺にもっと力があればウェンディを助ける事ができたのに……)

「違うな俺の我儘だ……くそ……くそ!!」

 

人質がいたとしても仮に自分に力があればウェンディを助けれたかも知れない。

自分の気持ち(不信感)を無視してマサラと協力したらウェンディを助けれたかも知れない……

ジェラールは俯き自身の無力さに悔しがりながら地面を殴りつける。

 

「何を悔しがってるの?」

 

「ごめん。マサラ……最初からお前と協力していればウェンディを助ける事が出来た筈なのに」

 

マサラの問いかけに、自身の所為で妹のウェンディを助けれなかった事を深く謝罪するジェラール。

 

「へっ? ウェンディならちゃんと助けたけど」

 

「はっ?」

 

いきなり謝罪を受けて目をキョトンとしながら不思議そうにしているマサラ。

ジェラールが顔を上げて目の前を確認するとウェンディを優しく抱えていたマサラの姿があった。

 

「どうやって……助けたんだ?」

 

「あのゴリラ、ジェラールに意識を集中してたからね腕を解放した瞬間駆け出して助けたんだよ♪」

 

マサラはジェラールと森バルカンの戦闘が始まると意識を集中させていて、大きく腕を振り下ろした瞬間駆け出しウェンディを救出したようだ。

 

「そうなのか……よかった……本当によかった。ウェンディが無事で……マサラ……ありがとう」

 

「うん。ウェンディ。ジェラールの治療を願い」

 

ジェラールはウェンディが無事な事に心の底から安堵してマサラに礼を言う。

マサラはジェラールの言葉に頷くと優しくウェンディを地面に下ろして傷だらけのジェラールの治療を頼む。

 

 

ウェンディはマサラと同じでドラゴンに滅竜魔法を教えられた。

天竜グランディーネから教えられた魔法は天空の滅竜魔法。

その中の一つ、治癒魔法は傷を癒す事が出来るが珍しく使える人は殆どいない。

 

「お兄ちゃん、ありがとう助けてくれて!ジェラールの事私に任せて! ……ひい!?」

 

ウェンディが頷きながらマサラを見ると全身からメラメラと揺れ、目に見える程の凄まじい魔力に震えた。

ウェンディが慕っている優しくて能天気な兄の姿はこの場所にはどこにも見当たらない。

 

「オマエオレノヨメ、サラッタコトユルサナイ」

 

森バルカンは自身の花嫁になるウェンディを取り返した事に腹を立てるが、森バルカン以上に怒っているマサラ。

 

「許さないのは僕の方だよ……大事な妹を攫われて、大事な友だちを傷つけられて……僕は絶対にキミを許さない!!」

 

(マサラ……)

 

 マサラの心の底からの想いを聞いたジェラールは何か熱いものを感じた。

 

「元素竜の烈風咆哮 (げんそりゅうのれっぷうほうこう!!)」

 

マサラは大気が震える程の雄叫びと共に口から強力な風の咆哮ブレスを吐き出す。

 

「うほ? うほ!?」

 

驚きの声を上げる森バルカン。反射的に目を塞ぎ目を開けて周りを見ると、竜巻が通り過ぎた後のように木々が吹き飛んでいた。

森バルカンには当たらずに無傷ではあったが、どうやらマサラがわざと当てなかったようだ。

 

「森の奥に消えるなら許す。でもこれ以上戦うなら……容赦はしないよ」

 

目元を鋭くしながら殺気を放ち、右手を森バルカンに向けながらいつでも滅竜魔法を発動出来るように構えて最終忠告をすると、森バルカンはまるで蛙が蛇に睨まれたように動けない。

 

「あっ、ごめん、ごめん。動けないよね♪」

 

「シツレイシマシタ!!」

 

マサラは殺気を抑えて笑いかけると、森バルカンの震えが収まり、森バルカンは何度も頭を下げると猛スピードで森の奥に逃げていく。

 

「お兄ちゃん!!」

 

「ウェンディ! 大丈夫だった?」

 

「うん! お兄ちゃんたちのお陰で!」

 

駆け寄ってくるウェンディの頭を優しく撫でると嬉しそうに微笑んでいた。

そんなウェンディの顔を見つめるマサラは先程の怒りは何処かに吹き飛んでいったように消えていた。

 

「マサラ」

 

治療魔法を受けて傷が癒えたジェラールがマサラの名を呼ぶ。

 

「ごめん。お前の事誤解していた」

 

「うん僕の方こそごめんね……クゥー」 

 

「マサラ!?」

 

「あははお兄ちゃんたら」

 

 マサラとジェラールはお互いに謝って仲直りする。

マサラはまた眠りジェラールは大声を上げるが先程の嫌な空気は無く信頼して認めたようだ。

二人の微笑ましい様子を見たウェンディの笑い声が辺りに響くのであった。

 

(マサラ……キミは凄い……俺はキミみたいに強くなりたい……何よりキミにだけは負けたくない)

 

眠るマサラを見ながら先程のマサラの姿を思い出すジェラール。

この日からジェラールはマサラに対抗して事あるごとに勝負を挑むようになった。

マサラとジェラール……この日確かな信頼と絆が二人には生まれた。

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