FAIRY TAIL 【ミストガンの親友は元素の滅竜魔導士!?】   作:侍魂

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六話 化猫の少女と妖精と決意と

王国東方にある街。人口6万人で古くから魔法も盛んな商業都市。

妖精の尻尾本拠地街の中心にはフィオーレ三大教会の一つ「カルディア大聖堂」が建っている。

 

「……」

 

ピンク色のパーカーを着て黒色のスカートをはいた、トレードマークであるピンクのリボンを付けた茶髪の小柄な少女、サディ・アメイジングはフィオーレ王国最強と呼ばれるギルド、妖精の尻尾の中にある酒場で椅子に座りながらキョロキョロと当たりを見渡していた。

 

「はーい、注文のあったオムライスとオレンジジュースです!」

 

銀髪の美人なウェイトレス、ミラジェーン・ストラウスはサディが注文したオムライスとオレンジジュースを机に置く。

 

「あっ、ありがとうございます!わぁー!美味しそう!」 

 

サディが頭を下げてお礼を伝えると綺麗な笑みを浮かべてニコリと微笑む。

 

「ミラちゃん!こっちも注文よろしく!」

 

「はーい、今行くわね! 騒がしいギルドだけどみんな良い人たちだからゆっくりしていってね!」

 

ギルドのメンバーが料理を注文する為に銀髪のウェイトレスを呼ぶ。

ミラは返事を返すともう一度微笑んで行ってしまった。

 

(ここがマサラさんが所属しているギルド……妖精の尻尾……)

 

サディがオムライスを食べ終わりもう一度見渡すとガヤガヤワイワイとしていて、その中でも目を引く桜色の髪の少年がいるグループに注目する。

 

「うめぇな!なぁ?ハッピー!」

 

「あい!相変わらずミラの作る料理は美味しいです!」

 

「それは同意するけど。アンタら、もうちょっと静かに食べれないの?」

 

「無理!!」×2

 

桜色の少年、ナツ・ドラグニルと青色の猫、ハッピーは美味しそうに食べていていて、そんな彼らに金髪の少女、ルーシィ、ハートフィリアが呆れながらも注意するが、彼らは何くわぬ顔で即答した。

 

「はあーてめえは飯ぐらい上品に食えねえのかよ

?」

 

「はあ?何が上品だよ?自分を見てから言えよ!」

 

「うお!?」

 

黒髪の少年、グレイ・フルバスターの呆れた言葉を聞いてナツは目を細めると言い返す。

それもそのはず、グレイは服を脱いで、下はパンツ一枚であったからだ。

そんな人物に上品とか言われたくないだろう。

 

「うるせえ!!」

 

「やんのか!?」

 

口喧嘩をしていた二人はいつの間にか取っ組み合いの喧嘩に発展する。

 

「いいぜ!!やれやれ!!ぐは!?……てめえらよくもやりやがったな!!」

 

「うるせえ!!関係ない奴は引っ込んでろ!!」×2

 

男が二人の喧嘩を止めるどころか煽り、因果応報なのかナツとグレイから同時に殴られてしまう。

怒った男も参戦してしまい、気づけば二人の喧嘩からギルドの中にいる大勢を巻き込んだ大喧嘩に発展していた。

 

(あの人がウェンディと同じ滅竜魔導士なのかな?ウェンディとマサラさんとも全然性格が違うし……)

 

サディは愛読書である週刊ソーサラーの内容を思い出す。通称、週ソラと呼ばれる。

週ソラは魔法専門雑誌で魔導士ギルドの情報やグラビアなどが掲載されている。

無論ナツの特集もあり、ナツは炎の滅竜魔法を使い火竜(サラマンダー)の異名を持つ。

ウェンディや憧れのマサラが使う魔法と同じなので姿を重ねるが性格が二人とは正反対なので驚いていた。

 

「それにあっちの青い猫はシャルルと同じ猫……最近の猫って普通に喋るんだね〜)

 

当然魔法が存在する世界でも話すネコなど存在しないのだが、ハッピーやシャルルも普通に話すのでうんうんと頷いて納得していた。

 

「危ないわ!!」

 

「へっ? ……あ、ありがとうございます!」

 

オレンジジュースをちびちびと飲んでいたサディに喧嘩している誰かが投げたのか机が飛んできて、気づいたミラが手で弾く。

 

「どう?騒がしいギルドでしょ?」

 

「は、はい! でも賑やかで楽しいギルドですね!」

 

サディの言葉を聞いて嬉しそうに微笑む。

 

「ミラさん〜止めてくださいよ〜あいつら全然アタシの言う事なんか聞いてくれないですぅー」

 

「あい!それが妖精の尻尾の魔導士たちです!」

 

巻き込まれないよう慣れたような動きで避難してきていたルーシィは愚痴を言い、ハッピーはそんな彼女の言葉に仮定するように右手を上げる。

 

「うふふ!みんな元気で良い事じゃない」

 

「でもー」

 

ミラは喧嘩しているメンバーを見て微笑みながら頬を膨らませているルーシィを慰める。

 

「それにもうそろそろ静かになるんじゃないかしら?」

 

「えっ?それって……あっそうか!! もうすぐエルザがクエストから帰ってくるんですね!」

 

「エルザって、妖精女王ティターニアって言われてる人ですか?」

 

「ええ!そうよ!怖い人だけどめっちゃ強くてかっこいい人なのよ!」

 

ルーシィは自分の事のように嬉しそうにしながらチームを組んでいる仲間の事を紹介する。

 

「ひいー!?また飛んできた!?」

 

「貴様ら!!静かにせんか!!」

 

飛んできた机と椅子にルーシィが悲鳴を上げると、いつの間にかギルドに帰ってきていた鎧を着た緋色の髪の女性、エルザ・スカーレットが剣を振り机と椅子を軽々と切り裂く。

怒鳴り声を上げると、今まで騒がしく喧嘩をしていた人たちは嘘のように静まり返った。

 

「え、え、エルザ!?……俺……そういえば用事あるんだった!!じゃあな!! うげえ!?」

 

冷や汗をかいたナツはこれから起こる恐怖から逃げようとするが即座にマフラを掴まれてしまう。

 

「貴様ら新しくなったギルドを自らの手で破壊してどうする!!」

 

説教を受けているメンバーは目の前にある現状を見てばつの悪そうに視線を逸らす。

 

「エルザも壊してるじゃねえか。なぁ?グレイ」

 

「そうだよな。そういうところあるよなエルザは……」

 

エルザの言葉を聞いたナツとグレイは先程切り裂かれた椅子と机の残骸を見ながら不満気に小声で呟く」

 

「何か言ったか?ナツ、グレイ?」

 

「ひぃ!?な、何でもないです!!」

 

「あ、あい!!」

 

エルザには当然聞こえていて二人をひと睨みするとカエルが蛇に睨まれたように震え、グレイとナツは抱きしめあう。

 

「エルザ様、これをお飲みください」

 

「すまない、気を使わせたな」

 

「いえいえ。私はエルザ様の忠実なる僕なので」

 

ハッピーはいつの間にか飲み物を持ってきていて、膝をつき下手にでながらエルザに渡す。

そんな様子を見ていたナツとグレイは非難の視線をハッピーに向ける。この裏切り猫と。

 

「エルザ様、ナツとグレイが反省してないようであります!」

 

「何?貴様ら全然反省してないようだな?」

 

「ご、ごめんなさい!!」×2

 

ハッピーが告げ口すると慌ててナツとグレイは深く謝罪の言葉をするが時すでに遅し、正座させられ、エルザは鬼の剣幕で説教を始めてしまった。

他のメンバーたちはナツとグレイには申し訳ないがターゲットが自分たちから二人に変わったので心の中で謝罪しながらも巻き込まれないように大人しくしていた。

 

「あはは……これで静かになるわね! そういえばあんたは?」

 

ルーシィはギルドの騒ぎが収まり安心したようにホッと息を吐くとずっと座っていた見知らぬ女の子に気になったのか問いかける。

 

「私、サディです!よろしくお願いします!!」

 

「アタシはルーシィよ!よろしくね!」

 

ルーシィとサディは自己紹介しながら握手した。

 

「私はミラジェーン・ストラウスよ。向こうでエルザに説教されてる子は私の弟なの!」

 

ミラは説教を受けている自身と同じ髪色で筋肉質な青年を見ながら自己紹介した。

 

 

「よろしくお願いします!ミラージェンさんって……あのグラビアの!?」

 

「ええそうよ。うふふ!ちょっと恥ずかしいわね!それと私の事はミラでいいわよ!」

 

実はミラは週ソラの表紙にグラビアとして度々登場している有名人である。

 

「サディはさっきからずっとキョロキョロして誰かを探してたの?」

 

「はい。実はいも……命の恩人にお礼を言いたくてきたんです。妖精の尻尾にいるはずなんだけど」

 

サディのキョロキョロした姿に問いかけるミラ。

 

「へえー誰なの?さっきの目線から見て……ナツ?それともグレイ?」

 

「違います」

 

ミラの回答に即座に首を横に振る。

 

「分かったわ。ルーシィでしょ?」

 

「アタシ!?でも助けた覚えがないんだけどな~」

 

「違います。元素使いのマサラさんです!」

 

ミラの言葉を聞いたルーシィは自分を探していた事に驚きの声を上げるが、サディ横に振り自身の探し人を教える。

 

「マサラさん!?」

 

「私、昔に毒蛇に噛まれてしまって死にかけたんです……友だちとマサラさんに助けてもらって」

 

「それからマサラさんに憧れて会えたら良いなと思ってきたんです」

 

「へえーサディもなのね!!実はアタシが妖精の尻尾に入った理由の一つもそうなんだ!知ってる?こんな話!」

 

「はい!知ってます!じゃあこんな話はどうですか!」

 

サディとルーシィは瞳をキラキラと輝かせ元素使いの伝説を語り合っていた。

 

曰く、町を守る為にワイバーンとゴリラを一人で倒した。

曰く、正規ギルドを名乗った闇ギルドが町の人を攫い実験をしていたのを阻止して助けた。

 

曰く、評議員の孫娘と良い感じの雰囲気だったが別れた。

 

曰く、実は何処かの王子様で、魔王からお姫様を助けて婚約している。

 

(うふふ。二人はマサラの事美化しちゃってるわね。マサラはそんな王子様のような性格じゃないんだけどね……まあ正義感があるのは本当だけど…面白いから黙っておきましょうか!)

 

二人が物語に登場する勇者様の話を聞いて苦笑いする。

実はミラはマサラとミストガンとは同期で同じS級魔導士なので性格をよく知っている。

 

「そういえばサディは何処のギルドに入ってるの?」

 

「私が所属しているギルドは、化猫の宿ですよ!これがギルドの紋章です!」

 

ルーシィの質問に答えながら右手を見せると、ギルドに所属している証である桃色の猫の紋章が描かれている。

 

「アタシと同じ色ね!!」

 

ルーシィも右手を見せると桃色の妖精の紋章が描かれている。

 

「化猫の宿……聞いた事ないギルドね」

 

「あはは、私たちのギルドは無名ですからね」

 

ミラは長年ギルドにいるが、サディが所属しているギルドに思い当たりがないのか首を傾げる。

そんな反応を見て乾いた笑いをするのであった。

 

「あっ……そろそろ集まる時間だ。ご馳走様でした!凄く美味しかったです!」

 

「ええ!また来てね」

 

「また会おうねサディ!」

 

サディは二人に別れを言い出口に向かおうとする。すると説教をしていたエルザが声をかける。

 

「すまなかったな。うちのギルドの馬鹿共が迷惑をかけて」

 

「いえ、妖精の尻尾は賑やかでみんな仲の良いギルドですね!」

 

「ふー。そう言ってもらえると助かる。根は悪い奴らではないんだがな」

 

「はい!分かってますよ!ではまた!……きゃあ!?」

 

「だ、大丈夫か?」

 

「えへへ!転けちゃいました! 大丈夫です!よし!気を取り直して」

 

サディは派手に転けるがすぐに立ち上がり妖精の尻尾を出ていく。

 

「あの子遅いわね……何処で道草くってるのかしら?」

 

「そうだね」

 

白色のニット帽を被った青髪の少女と白猫が話していた。青髪の少女はマサラと別れてから七年の年月が過ぎ……成長した12歳になったウェンディ・マーベルと白猫のシャルルはサディと待ち合わせをしている。

 

「ウェンディ!シャルル!ごめん遅れた!」

 

「うん大丈夫だよ!」

 

「全くあんた何処行ってたのよ!まあどうせこの子の為何でしょうけどね」

 

サディは待たせたことに申し訳なさそうに謝り、ウェンディは笑みを浮かべてシャルルは怒ってはいたが原因を理解していたので視線をウェンディに向けると呆れていた。

 

「あのう……サディ……お……お兄ちゃんには会えた?」

 

ウェンディは目をうるうるとさせて消えそうな程弱々しい声で問いかける

 

「ごめん……旅をしてて留守みたいでマサラさんには会えなかった」

 

「そっか……ありがとう様子を見に行ってくれて」

 

サディが申し訳なさそうに謝ると、ウェンディは首を横に振りお礼を言う。

 

「馬鹿兄貴が会いに来ないのが一番悪いけど、あんたもサディに頼まなくても自分でギルドに会い行けば良いじゃない」

 

「私は……」

 

シャルルのもっともな意見にウェンディは何か理由があるのか更に顔を暗くした。

 

 

「まあシャルルもそんな事言わないでさ〜ウェンディも元気だしなよ!絶対にいつかマサラさんに会えるからさ〜」

 

「うんそうだよね……ありがとうサディ!」

 

サディの励ましに元気を取り戻したウェンディは笑顔で礼を言う。

 

 

「そういえばマグノリアで美味しいって有名なお店でケーキを買ってきたの」

 

「本当に!?」

 

「うん!サディにお礼とギルドのみんなに差し入れだよ」

 

「そっか!早くギルドに帰ろう!」

 

「うん!」

 

二人は仲良く歩いて行く。

 

(何が元素使いよ……ウェンディにあんな顔をさせて絶対許さない……私がくそ兄貴と会ったら引っ叩いてやるわよ」 )

 

シャルルは大切な友だちの表情を思い出すと目を細めて決意を固めるのであった。

 

「シャルル!」

 

「早く帰ろうよ!」

 

「ええ!今行くわ」

 

ウェンディとサディの呼び声にシャルルは歩いて行く。三人は汽車に乗り自分たちの帰って行った。

 

数週間が過ぎる……

 

連合軍、化猫の宿side

 

「お爺ちゃん。みんなを呼んでどうしたの?」

 

化猫の宿ではマスターローバウルが何かを伝える為にギルドメンバー全員を呼び出していた。孫であるサディがローバウルに呼び出した訳を問いかける。

 

「うむ。近頃怪し気な行動をしているバラム同盟の一角、六魔将軍をわしら化猫の宿と他ギルドと協力して倒せとギルド連盟から伝達があった」

 

「六魔将軍を……他ギルドって?」

 

「青い天馬ブルーペガサス……蛇姫の鱗ラミアスケイル……妖精の尻尾じゃ」

 

サディが問いかけるとローバウルは連合軍に参加するギルド名を答えていく。一つのギルドの名前を聞いたウェンディはピクッと反応する。

 

「妖精の尻尾も……マスター……私が行きます!!」

 

妖精の尻尾が参加する事を聞くとウェンディは手を上げて立候補した。

 

「ウェンディ!?どう言う事!?」

 

「あんた何言ってるのよ!?」

 

臆病で心優しいウェンディが普段であればこんな争い事なんて絶対に参加しない。

そんな予想外な行動を見て絶叫しながら詰め寄るシャルルとサディ。

 

「アンタ、正気!?六魔将軍を討伐するために、連合軍に参加するギルドはフィオーレ王国一のギルド。もしくはそれに近いギルドなのよ!?怖くないの!?」

 

「そうだよ!!マサラさんに会いたい気持ちは分かるけど止めた方が良いと思うよ!!」

 

「私だって怖いよ……でも……お兄ちゃんに会えるかも知れない……だから行きたいです!!私の魔法ならみなさんのサポートが出来ます!!お願いします!!マスター!!」

 

「そうじゃのう……ウェンディの魔法なら連合軍の助けになるじゃろう……なんぶら。ウェンディ。頼んだぞ」

 

「はい!分かりました。ごめんね二人共……」

 

ウェンディは自分を心配してくれている二人に謝罪すると準備をしに自室に入って行く。

 

「全く変な所で頑固なんだから」

 

「シャルル……ごめん。私たちは魔法が使えない……行っても邪魔になるだけだから……ウェンディの事お願い!!」

 

「ええ任せなさい!いざとなったら私とウェンディだけでも飛んで逃げるわよ」

 

「頼りにしてるよ!!」

 

ぶつぶつと呟いているシャルルに申し訳なさそうに謝罪するサディ。

元気を無くすサディに気を使ったのかシャルルが自信満々に答えると、笑みを取り戻す。

 

 

(お兄ちゃんに会えたら良いな……)

 

馬車に乗るウェンディはずっと大事にしている白色のニット帽を胸に抱きしめて兄との再会を願う。

 

(ウェンディ……アンタの事は絶対に守るから……)

 

気づかれないようにシャルルも同じ馬車に乗ってる。

 

ウェンディとシャルルが向かっている頃……

 

「ワース樹海……恐らく奴らの狙いは……ニルヴァーナ……時が来たということじゃな……すまぬのう……サディ」

 

六魔将軍はワース樹海と呼ばれる場所に集結していて、ローバウルは彼らの目的を知ってる様子だった。

ローバウルだけではなく他のメンバーたちも自分たちの運命を感じていて空気ぐ暗い。

 

「なんぶらだよ。ずっと決まってたことだから……それにウェンディなら大丈夫だよ!あの子は強いし、それに……マサラさんが必ず側にいてくれるからね!」

 

ローバウルはギルドのメンバーみんなに謝るが特にウェンディと仲の良い孫であるサディに謝ると、サディは首を横に振り力強い瞳で見つめながら答える。その様子を見てローバウルも安心したように頷く。

 

兄との再会を願う少女、大事な友だちを守る事を誓うネコ。大事な友だちを信じる少女。

様々な想いを乗せて馬車はゆっくりと連合軍が集う場所に向かって行く。

 

 

 

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