遺言   作:歪み神

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#17. 開戦

「面白いものを見せてやる。」

 

 私はカールトン・フィスクとクリス・エバートを誘い、クレーターのガラクタ置き場まで来ていた。

 箱に入ったコインをクリス・エバートに渡し、合図があったら随時投げるように指示する。そしてクリスと100m位の距離をとる。

 

 2発89式狙撃レーザー銃を発砲し、スコープのズレを矯正する。

 

 私は片膝を着き射撃姿勢を整え、左手で合図を出した。

 

 クリスは自分が誤射されるのではと恐々、コインをなるべく遠くに投げた。丁度放物線の頂点に差し掛かったころ、コインが音を立てて飛んで行った。

 

 作業に慣れると、クリスはコインを低く投げたり、短く投げたりして意地悪をしてみたが、投げたコインは全て弾かれた様に飛ばされた。

 

 私はカールトン・フィスクが手に入れてくれた89式狙撃レーザー銃を丁寧に片付けながら話した。

 

「どうだ?、俺にも投資したくなっただろ」

 

 彼も彼女も凄いマジックを見た後の様に、興奮した顔をしていた。

 

 3人はカールトンの私室に戻り、狙撃に特化したMSについて、仕様をまとめるのだった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 クラクサにドッキングさせ艦砲にもする仕様は、クリスの発案だ。その時の私の体の状態は、MSの操縦まではまだだなといった感じだったので、大変助かるアイデアだった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 これが今の搭乗機ボール狙撃カスタムがつくられる、最初の一歩だった。

 

 

 

 

 

 工作艦クラクサはサイド7宙域で慣性航行を行っていた。

 グルプスで、ムーバブルフレームの試験機が作られていたので、迂闊にも外で試験飛行でもしていたら、狙撃し持って帰ろうと思っていたのだ。

 何故慣性航行でかというと、真っ黒に染まるという表現でいいのか、レーダーの反応を一切許さない高密度なミノフスキー粒子濃度と、隠す気のないエゥーゴの旗艦アーガマの熱源反応に気が付いたからだ。

 私はクラクサのターンテーブルにドッキングしたボール狙撃カスタムで、様子を伺っていた。

 

 「ティターンズのMSが展開しているというのに、アーガマは呑気なものだな」

 

 私は狭いコクピットで呟いた。『ああ、まだエゥーゴとティターンズは戦争になっていないのか』私は一人納得した。

 

 ティターンズの展開したハイザックの1機が固まったように、マシンガンを構えているのに気が付き、その先を追ってみると、なにやら物体があるのが分った。

 集中して、その物体の解像を上げ、理解を深める

 

「人が閉じ込められているのか?人質か?」

 

 エゥーゴ側の重要人物なのだろうなと考え、アーガマに恩でも売ろうかと思っていると、アーガマから1機白いMSが出撃してきた。まっすぐにカプセルに向かっている。

 

「人質死んじゃうじゃん」

 

 私はマシンガンを構えるハイザックに照準する。『衝撃で引き金を引かれたり、MSの破片でカプセルが傷つくと怒られるかな?』私はマシンガンに照準を切り替えた。

 

 今私の視野はゴーグルで非常に狭いので、白いMSを確認してからでは遅いだろうと、照準を確信したらすぐに引き金を引いた。

 

 ザクマシンガンが吹き飛ぶ、パイロットは素人なのか、回避行動もせず何が起きたか分からない様子で佇んでいた。

 

 白いMSがカプセルを確保したタイミングで、ティターンズのハイザック部隊が攻撃行動に移る。白いMSを追いかけるように出撃してきたエゥーゴと戦闘が始まった。

 

「せっかく砲身の角度が合ってるんだから」

 

 私はマシンガンを吹き飛ばしたハイザックに照準し、コクピットを撃ちに抜いた。

 

 

 視認はできないが、アーガマの射程にいる戦艦との砲撃戦が、MS戦と同時に行われる。

 

 私は戦闘する双方の練度を確認していた。できたばかりの組織であるエゥーゴMS部隊の動きが思いの他いいなと感心しながら観察していると、ひと際動きのいい赤いMSを見つけた。

 

「ああ、俺がアクシズに居なくなっても、あんたはエゥーゴに合流するのか」

 

 狭いコクピットで一人呟いた。

 

 奴がエゥーゴに合流した理由が、キシリア閣下を殺した悔恨と懺悔で、私と同じ軍に所属するのは居心地が悪いのかと思っていたのだ。どうやらそうでは無かったらしい。

 

 

 ティターンズのMSが撤退すると私はクリス・エバートに電信がアーガマに届く所まで寄せるように指示した。こういった艦長っぽい仕事はシュテフィ・グラフ(シーマ)に押し付けたいなーと考えながら、

 

「こちらエゥーゴ支援組織ツヴァイの旗艦クラクサ、すまない戦闘を誘発させたか?」

 

 アーガマに、エゥーゴの標準回線で語りかけた。

 

「いいや、助かった、支援感謝する」

 

 シャア・アズナブルではない偉そうな男の声が返信を受ける。

 

「ならばよかった、航海の安全を祈る」

 

 艦長同士の社交辞令のような挨拶を済ませると、クラクサをグラナダへ向けた。

 

 戦闘が起きては、警戒が厳しくなるからMSの鹵獲を諦めたのだ。

 

「ここまで何日かかると思っているんだ!」

 

 収穫の無い航海に一人愚痴るのだった。

 

 

 

 

 

 

 




 ジュリドはここで死んで出番がありません。
 ヒルダビダンで幾つかネタを作りたかったみたいですが出来なかった様です
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