遺言   作:歪み神

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#27. グリプス2

 グリプス2とは、サイド7宙域に建造された、本来は1,000万人の人口が快適に過ごす事が出来る最新のスペースコロニーだ。サイド1に作ってやれば、ほとんどの貧困や、劣悪な居住環境が解決するコロニーである。

 グリプス2は核パルスエンジンを用いて自走が出来る。反連邦運動とエゥーゴとの親密な関係が露見したサイド2を射程に入れるため、現在移動中である。

 

 いかにスペースコロニーが巨大でも、この広い宇宙空間で移動するコロニーを適当に見つけることは不可能だ。グリプスの防衛艦隊に潜り込んでいる機関の人間が、ガイドシグナルを乗艦しているサラミスから発信している。

 

 もし我々の任務が失敗に終わった場合、別の工作員が核パルスエンジンに故障を起こすことになっている。その工作員は生きて帰ることは出来ないだろう。この工作員達はサイド2出身の者たちで構成されているらしい。それは必死に働くだろう。まあ安心するといい、私はアトミックバズーカーを外さない。長距離をジャンプして一撃離脱する作戦を、私はそれは長く専門にやってきた。あの巨大な的に外す訳がないのだ。

 

 

 アクシズを出て2日後、エディー・マレーが私に話しかけてきた。

 

「グリプスを狙う担当を変わって欲しい、僕はシュミレーターでもまだ60%の成功率しかないんだ。」

 

「4日しかないシュミレーターの時間を2日も独占して、いまさら仲間に責任を押しつけるのか?」

 

 エディー・マレーは歯を食いしばり、俯いた。よし、もっとからかってやろう。

 

「30番地で救えなかった命がお前の活躍で多く救えるぞ、だがお前が外したらどうなるかな?サイド2宙域で交戦している味方は恐らくティターンズ艦隊と一緒に吹き飛ぶな、交戦で座標が知られるからな・・、バスクとはそういう男だろう?。サイド2に穴を開けるために持ってきたコロニーレーザーでいったい何機コロニーに穴を開ければバスクは気が済むかな?、10機か?全てか?、お前のトリガーにはサイド2の住民数百万人、いや、数億か?、それだけの命がかかっている。絶対に外すなよ。泣きごとを言う暇があったら、シュミレーターで練習するといい。」

 

 エディー・マレーは千鳥足でザクC型に向かっていった。

 

「いいのかい?、あれは外すよ」

 

 慣熟訓練から帰還したシュテフィ・グラフが話しかけてきた。目はギラギラ野生に満ちているが、ずいぶんやつれている。

 

「大いなる失敗を経験させてやろうと思ってな、ずいぶんきつい訓練をしているようだが、壊すなよ?あれはこの船で直せない。」

 

「ずいぶん世話焼きだね、親戚かい?訓練はガブスレイそのものが・・・いやいい、今入れる情報じゃない」

 

 たしかに、親戚でも何でも無いガキに何をしているんだか。指摘されるまで気がつかない物だ。

 

 

 

 出撃前、最後のブリーフィングだ。

 

「ガイドシグナルを長く頼るとあっという間に接敵してしまう。自信の無い奴は、俺の機体に追従しろ。有視界に入ったら部隊通信も行わない。部隊無線が切れるのが見つけた合図だ。後はイメルとのランデブーポイントにたどり着けるか、つけないかそれしかない。以上だ健闘を祈る」

 

「あんたシュミレーターに最初の日しか入ってないじゃないか、大丈夫なんだろうな?」

 

 エディー・マレーが突っ込んできた。

 

「お前が確実に当ててくれれば何の問題もないじゃないか?そうだろう?」

 

 分かりやすい奴だ、顔を真っ赤にして、それでも目には隈を浮かべてザクC型に向かっていった。

 

 

 ザクをシャクルズのアンカーにドッキングし加速を始めると、他の4機が全て俺を頼って後ろをついてきた。こういった任務は失敗のリスクを減らす為に、一人に任すということはしないのだが、まあいい。こんなことならブリーフィングでは、『俺についてこい』と言った方がかっこよかった。

 

 ガイドシグナルにベクトルを合わせて一時間ほど飛んだだろうか、ターゲットを目視で捉えたので通信を切った。シュテフィの隊が編隊を離れていく。どうやら見つけた様だ。

 

 ザクのバズーカを仰角15度に固定する。コロニーはコーナー部分が修理に時間がかかるらしいから、私はそこを狙うことにした。

 ザクの射撃角度を固めたら、もうザクは動かさない。シャクルズの機動のみでターゲットを狙う。

 この感覚は、MAを操縦した経験があれば簡単に養える物だが、後の2人には難しいかもしれないな。

 

 ターゲットの近くには敵MSの陰も形も無い、勝ち確定である。私は普段ならまだ早いタイミングで引き金を引く。ザクの機械応答が遅いので、こうしてやらないとジャストタイミングにならない。

 着弾を確信しながら、コロニー下部をギリギリで通り抜けると、しばらくして、衝撃波がシャクルズを揺すった。衝撃波は一波しか無かった。

 

 

 ランデブーポイントでイメルに拾って貰う。ザクはここで捨てていく。サイド2の検閲で見られると良くは無いからだ。まあバレバレではあるのだが。

 

 ザク隊に数分遅れて、シュテフィの隊が合流した。ガブスレイはずいぶん被弾していた。リッキー・ヘンダーソンに怒られるかもしれないが、まあ、作戦は全て任せると言ったんだ。何も言うまい。

 

 次はサイド2宙域を目指す、俺たちのMSはグアダンが運んでくれている。2日くらいの旅になるだろう。

 

 その日の夜、シュテフィ・グラフがパイロットスーツで部屋を訪ねてきた。

 パイロット同士で交りを結ぶと、戦闘配備時に部屋の持ち主でない人間は2回着替えなければならなくなる。そこで、パイロットスーツで先方を訪ねて、その不具合に対応したのだが、いつしか意味合いがかわり、パイロットスーツを着て先方を訪ねる事が、『今晩どうですか?』という意味を持つようになった。

 

「俺は艦長と既にそういう関係だ。重い事になるなら止めて欲しい」

 

「一晩安らげるだけでいい。」

 

「そういうことなら・・、俺も作戦後で高ぶっていたので正直助かるよ」

 

 ドゴスギアを仕留め損なったか?いきなりのガブスレイだったからな。まあ次のグリプスを巡る艦隊戦に賭ければいいさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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