遺言 作:歪み神
「ジョージ・ブレット 29歳 軍役2年目なのに歳だなー」
私はゼダンの門(ア・バオア・クー)の検閲で、ティターンズの隊員カードを見せていた。
「復員だ、スペースノイドを皆殺しにしないとな。一年戦争ではGMに乗っていた」
「ティターンズにはそんなのばっかだ、目を怪我してるのに、MSパイロットテストが良く通ったな、長い移動で疲れているだろうが、MS技能試験を受けてもらう、配属先がそれで決まるんだ、一時間後12番格納庫に集合だ、部屋にパイロットスーツが準備してある。場所が分からんだろうが、だいたいみんなそこへ向かう、流れについて行け。
私はゼダンの門に足を踏み入れた。
地球とサイド7ではティターンズの志願兵が常に募集されているが、月政府とサイド2、サイド6との仲が険悪なため、現在ソロモンを迂回してサイド3へ、そこから軍用輸送船に乗り換えゼダンの門へ向かう航路しかない。
本物のジョージ・ブレットはサイド3で軍用輸送船を待つため、一日宿を取ったが、そこで死んでもらった。隊員カードの写真を偽造し、私の目も怪しまれないようにしておいた。
サイド3に残る機関の組織力は強く残っている。現地で4thにアポイントを取り、カードを渡すと30分で処理してくれた。
私はジョージ・ブレットになり、サイド3からゼダンの門へ輸送され、今に至っている。
12番格納庫に着くとランチに乗せられた、Nフィールドに演習場が設けられているらしい。
演習場のMSには各種センサーが付いていて、MSの操縦技術をランク付けすることが出来るのだという。私は少し張り切ってみることにした。
試験の内容は、突撃行軍をしながら12体のターゲットを破壊し、最後にビームサーベルで浮上するターゲットを4つ破壊するという。完了した時間も評価に加点されるようだ。
初めてのハイザックだが、コクピットレイアウトはガルバルとほとんど変わらない。私は合図とともに加速させた。
最初のターゲットでスコープと着弾位置がズレていることに気が付いて、以降は、少し補正してマシンガンを射撃しながら突撃した。最後のターゲットを破壊すると、ビームサーベルターゲットが浮上する。ビームサーベルを使うのはオ-レル・ハ-シュハイザ-の様にはいかないが、なかなかうまくできたのでは無いか?。
12番格納庫に戻ると、各自評価を受け取った。
「ジョージ・ブレット、なかなかやるじゃないか、任務の完了時間はいいが、射撃精度がなー、総合評価Bマイナスだ。目の怪我が影響してるのか?」
記憶の時間も合わせれば、この道20年に届く私は、全力で試験に挑み微妙な評価をいただくのだった。
部屋に戻ると、相部屋の仲間が既に帰っていて、扉を開いた私に話しかけてきた。
「俺はドワイト・グッデンよろしくな」
「ジョージ・ブレットだ」
「俺の生まれはアデレードの・・・・」
ドワイト・グッデンは頼んでもいないのに身の上話を始めた。
「・・・・あんたはどうなんだ?」
ああ、最後はそう締めると思っていたよ、ドワイト・グッデン。
「俺の目はテラーズのコロニーに焼かれた。家族はその炎の中だ」
「ああ、お互いつらい人生だな」
適当に相手に話を合わせ、そこそこ同情も引き、ドワイト・グッデンとの仲は良好になった。
こういった潜入任務は、パイロットになってから無かったな・・・。
私は防衛隊のオスカー小隊に配属された。右ウイングのアタッカーだという。
これから別部隊との模擬戦が行われるらしい。
私は汚名返上に燃えていた。
ザクマシンガンは20発で中破判定、ビームサーベルは大破判定らしい。
部隊無線から突撃の指示がある。敵は一年戦争の連邦軍のように案山子の様な奴ばかりだった。台地にとらわれ、MSを浮上させずあえて不利な2次元にMSをへばりつかせている。
私はハイザックを浮上させ、ランダム機動を混ぜながら突進する。そして敵4機すべてを1機で中破判定させてやった。私はプライドを取り戻したのだ。
ブリーフィングルームに意気揚々と戻った私は隊長に開口一番
「仲間との連携をもっと大切にしないか!」
と怒られるのだった。
部屋に戻ると、ドワイト・グッデンが私の同郷の者が訪ねてきているという。
私は食堂に足を進めた。
「やあジョージ!久しぶりだな、また軍に戻ったんだってな、俺は今サイド3からの貨物船に乗ってるんだ。」
こんな白々しい喋り方をする工作員で大丈夫か?彼と握手をすると、左手に反応があった。
「作戦は明後日の午前4時だ」
味方部隊の攻撃日が伝えられる。早すぎないか?グリプスを攻略しないのか?アトミックバズーカーの当たり所が良くて無視していい艦隊になったのか?
私は一か月はここで生活するつもりでいたので、拍子抜けしたが、明日の訓練の為に体を休めるのだった。