遺言 作:歪み神
「おめでとう!クリス・エバート少尉、君はエゥーゴ支援組織ツヴァイの幹部に任命された。」
半ば強引に私はクリス少尉を勧誘した。今の私は彼女がいないとできることが著しく少なくなる。これから工作活動を行うのに必ず必要なピースなのだ。
「え!え!え!」
未だに何のことだか分からない顔をしている彼女と共に、移動用ランチに乗り込む。月面高度100mくらいを維持していただろうか、しばらくして、戦争の廃材が山のように積まれたクレーターに連れてい行かる。
「あそこが我が社が利用権を持つクレーターだ。ああ?説明が必要か?月では太陽光から隠れることが出来るクレータに価値があるのだ。深ければなおよい。灼熱よりも極寒の方が物が壊れないからな、ああした一年戦争の兵器を鋳つぶしてインゴットにするのも事業の一つなのだよ」
カールトン・フィスクが説明をしだした。
いまは、カールトンマテリアルの会社を見て回っている。もちろん、資金調達を行う本業ではなく、彼が3rdの本懐を全うするために隠し持ったジオンの遺産を見るためだ。
クレーターにランチが下りていくと、側面の岩壁が開き宇宙船ドックが現れた。
「閣下はこのような秘密ドックを6機月に建造させた。閣下の治安警察が力をつけ、ほぼ軍とそん色ない規模に達した際使用する予定だっだ。グラナダは占領下にあったが、フォンブラウンも時間経過とともに占領するおつもりだったのだろう。月は当時重要な工業部品供給地域だったので、戦火にすることが出来なかったから。まあ戦後の準備のためだな。
ドックの3つが連邦に見つかり爆破処理された。私は2つを管理しているが、核融合発電機が起動し、設備が機能するのはこのドックしかない。」
中にはチベタイプとムサイタイプが縦並びに置かれていた。
「ジオンの艦船は船籍登録を許されない、この船で宇宙に出て見つかれば問答無用で撃墜されるぞ」
ランチは船の横を抜けて、もう一つの隔壁を抜けると、2機のMSが佇んでいた。
「ガルバルか?」
私はジオンカラーのMS-17 ガルバルディαを見上げて言った。
「そうだ。ここで生産された。
終戦間近、小惑星ペズンへ軍需物資を移動する命令を書き換え、ここにさっきの船で運んだのだよ。この奥に集中工程型MS生産ラインがある。集中工程型だからな、応用は効くが、生産には時間がかかる。1機2.5ケ月といった所だ、作業スタッフがそろえばまだ早くはなるがな。」
今なら最新だが、グリプス戦役では少し型古となるな・・・。βと同等には動くだろうし、稼働時間が短い事に足を取られそうだが・・・まあ十分といえるな。
「なるほど、あんたへの宿題だ。機体はガルバルで問題ない、但し、今連邦でリニアシートと360度スクリーンを採用したガルバルディβが計画されているはずだ。そのリニアシートを転用してもらいたい。リニアシートが無ければGMⅡに機動で全く及ばなくなる。これは必須だ。後はできれば単純装甲はチタン合金にしたい。可動部は溶接があるだろうから無理は言わない。その軽量化分をビームコーティングの膜厚にしたいな。コクピットとジェネレータ部分だけでも。4年後に予備機を含めて10機準備してもらいたい。」
「ガルバルディβはまだ試作機がロールアウトされてもいない。何故知っている?」
「いい加減俺との会話に慣れてくれ、それとコクピットシステムをβの物を使うと火器管制が連邦の物になるだろう。βのビームライフルは入手可能なのか?」
「今は無理だが、3年後なら可能だろうな。」
「そうか、後は船だな、MSを積める輸送船は無いのか?クレータに飛べそうなムサイが3隻くらいあるのを見たが?」
「今はメガ粒子砲を装備若しくは装備可能な艦船は船籍登録できない。」
「そうか、ムサイで行こう!」
「話を聞いていたのか?」
私は壁に絵を描き始めた。火器、火器慣性艦橋を放棄して、ムサイの前部胴体に、ムサイの熱核エンジンを強引に取り付けた絵だ。
「操船はコムサイですべて行う。俺は戦艦のビームに撃ち抜かれたMSを見たことがない、護衛のMSが撒かれたら船なんてお終いだよ。コムサイですべて操船し、コムサイで脱出できた方が生存率は高そうじゃないか?MS4機編成で運用でるし中々速そうだぞ」
「ずいぶんぶっ飛んだ構造だが、たしかにムサイがあれば安く作れるな。船舶型式の登録もできるかもしれない。」
「型式の登録ができるなら、多く売って欲しいな、工作船が目立たなくなるだろう、100隻くらいどうだ?」
「馬鹿を言え、ジオンはムサイを100隻も作っていないだろう?まあ商売になるなら作れる分は売ろう。後は人員だな、当てはあるのか?」
「死にたがりが今たくさん集まっているだろう?」
ああ、忘れるところだ、こいつの制作も頼まなければならない。
「ああ、それともう一つ頼まなければならない事がある、有るんだろう?サイコミュシステム」
私は笑って訪ねた。
クリス・エバート少尉は終始何のことだか分からないが、足早に進む会話にも入れず、レイ大尉の落書きを終始眺めていた。