紅茶の良い匂いと、少々の瓦礫の匂いが漂う部屋。いや元々部屋だった一室と言うべきだろう。夏油傑はソファに眠っている
一名を除いて。
夏油傑の方に居たヴィランは彼の個性によって生み出され"何か"に数の暴力を受け現在は拘束されている。
「頼む話を聞いてくれ!俺が悪かったって。ごめんって。まじでごめん!この件から手を引く。
「ん?」
「聞こえてるだろぉ!」
「はぁ……ヴィランに農家が務まるかよ」
「聞こえてんじゃん!」
そんな茶番をしている最中夏油のスマホに一件の画像が届いた。
「あまり舐めるなよ。ここにはな俺達の最高戦力であるバイエルさんが来て「ねぇ、バイエルってこの人?」……すぅ……はい」
紆余曲折ありながらも五条と夏油は無事に合流。護衛対象である少女と彼女のメイドと軽い紹介を交わした。
そして───
「めんそーれー!!」
今彼等は沖縄に居る。
ヴィラン御用達の闇サイトにて、天内理子には懸賞金が賭けられていた。その額100億円。だが、幸いなことに期間が設けられていた。その期間を休暇を兼ねて沖縄にて過ごしてしまおうという算段である。
「それにしても、こんな所に居て本当に大丈夫なんでしょうか?」
「まぁ流石に
「はぁ……でもいいのかもしれませんね」
「えぇ、そうですね」
「うぇ~い」「ブハハハっきもっきもなのじゃ!」
「悟。大丈夫かい?」
「桃◯100年に比べりゃあこんなの屁でもねぇよ」
「こっちに来てからずっと個性を使い続けているだろ」
「大丈夫だ。マジで問題ない。それに、俺達で最強だろ」
「……あぁそうだね」
「はぁ……はぁ……」
「頑張ってください理子様。あと少しです」
「うん」
鳥居を潜る。階段を登る。ただひたすらに登る。周りには鬱蒼と生い茂る木々。
「皆、お疲れ様。目的地はすぐそこ。ここら辺に担当の方がいるはずだ」
「これで一安心じゃな」
「ですね」
安堵の空気。
「悟。本当にお疲れ」
緊張の解れ。
「はぁ……二度と御免だガキの重りは」
胸には鈍い感覚。
「ああっ……」
視界が徐々に暗くなる。感覚をうまく掴めない。手から意識が滑り落ちる。
「悟!?」
咄嗟に芋虫を召喚して放つ。距離を稼ぐことしかできないが時間を少しでも稼ぐ。
「悟!しっかりしろ!悟!」
信じたくない光景が目の前には広がっていた。
脳が情報の処理を終わらせている。それと裏腹に感情は未だ情報の咀嚼を終えていなかった。
親友だったものと彼からできた血溜まり。
血の量から察するに死んでいるだろう。脳の冷静な部分はそう告げた。
たとえ生きていたとしても救助が来る前に死ぬ。
ならどうするか。護衛対象を守り抜く。それしかできることはない。それ以外は考えるべきではない。
「黒井さんは理子ちゃんを連れて先に目的地へ!」
「……はい。理子様行きましょう」
「…………うん」
「ったく。勘が鈍っちまったか」
「お前は何者だ」
「まぁ待てよ。お前の護衛対象、そいつを黙って引き渡せば命は助けてやるぜ」
「そうか……死ね!!」
私にとっての目標。それは理子ちゃん達を逃がすこと。
とりあえずは龍をぶつけて戦い方を決める。これでやられてくれれば……!?
馬鹿な!硬化の個性もつけていたんだぞ!それをいとも簡単に。
これは長期戦も視野に入れるべきだな。
「狙いは何だ」
「時間稼ぎのつもりか?いいぜ乗ってやるよ」
……こちらの狙いはバレバレか。
「ヒーローってのも大変だな。守るものが多くて」
「何故私達を狙う」
「なぁに、ちょっとした金稼ぎだよ」
「……そうか……やはりお前は……死ね!」
予備の龍を呼び出し、距離を取る。そしてくちばしをドリル状に変形させた鳥を射出する。そこに間髪入れずに同じように口を変形させた魚で弾幕を形成。
当然ながら弾き落とされる。だが何とか誘い込むことさえできれば。
着地の瞬間で決める。
いかに化物じみた身体能力を持ってるとは言え重力に引きづられ落ちるはずだ。
口をトラバサミの形状に変化させたミミズを準備する。その間も弾幕の形成を忘れない。こちらの狙いを悟られたらそれこそ詰みだ。
着地の一瞬。その隙を狙う。
「なるほどな」
捕まえた。この一瞬を無駄にはしない!
『芋虫』+『発光』+『集光』+『多脚』+『鋼鉄』+『固定』+『圧縮』+『増強』+『放出』。
「これで死ねッ!
個性『創構操術』。
他者のDNAを摂取することで対象の個性をストックできる。しかし、ストックした個性はそのままでは使用できず、個性を生命体へと再構築しなければならない。
また、生命体を創造する際、個性を組み合わせて創造することも可能。
芋虫を土台とし、発光と集光でエネルギーを確保。多脚と鋼鉄、固定により安定性とビームに耐えうる耐久を確保。圧縮、増強により威力を強化。放出で押し出す。
もはやヒーローとして持て余す威力。当然デメリットも存在する。一度に多数の個性を使用する点。少々の溜めが必要な点。使用後、一定時間個性が使用不可になる点。
必中必殺でなければならない最後の切り札。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
急いで呼吸を整えなければ。追手がいないとは限らない。理子ちゃん達の所に向かわないと。
クソ。反動でうまく立てない。私はヒーローなんだ。絶対に二人を殺させるわけには。
何故だろうか……背中が熱い。
「嘘だろ」
体に上手く力が入らない。早く、行かないと……。
「ったく。危ねぇな。俺じゃなかったら死んでたなありゃ」
「ヒーローなら死なねぇ程度に切っといた。ヒーロー志望のお前等がヴィランに負けたってこと、長生きしたきゃ忘れんな」
「さてと……とっとと片付けるか」
夏油傑
個性『創構操術』
他者のDNAを摂取することで対象の個性をストックでき、ストックした個性を使用するには、個性を使用した生命体の創造が必要。
創造できる生命体の数は1週間で最大5体。
また、創造した生命体は玉状にして飲み込むことでストックでき、任意のタイミングで召喚できる。
生命体には脳を介して命令を飛ばせ、ある程度の範囲なら遠くにも召喚できる。
地獄の底から蘇った男!スパイダーマッ!
生きてます。死んでません。生きてます。
約一年ぶり……ですかねぇ。
すみませんでした。
モチベが終わり散らかしていたこと、学校生活が大変だったこと、プロットやらストーリーを見直したり、作り直したりしていたら遅れました。改めてすいません。
今回も読んでくださりありがたい限りです。本当。
お気に入り登録とか、感想も本当ありがとうございます。
感想はできるだけ返信したいんですが、口下手なのでうっかりネタバレしそうで中々出来てません。すいません。全部目は通してあるのでどうかお許しを。
次回は今回ほど遅れないようにします。遅れたら腹を切ってお詫び申し上げます。