気づいたらカードゲームアニメの強キャラに憑依した~外伝・カード紹介~ 作:名無しのカードバトラー
円谷
ライフ3 コスト2 手札0枚
フィールド
ドロー・ナイト
見習い騎士-ラプア
湖畔の騎士-バスラット
流浪の騎士-ヘルテア
ハウンド・ナイト
フィールドマジック
ノヴレス・オブリージェ
東海林健吾
ライフ6 コスト1 手札5枚
フィールド
レッド・ミノタウロス
ハーゼルゲ
猫の賢者ニャコラ
カブキツネ
ビースト・ソルジャー
ビースト・ソルジャー
月に1度の公開バトル。レジスタンスグループのリーダー、東海林健吾は看守の円谷とバトルをしていた。バトルは3ターン目までを終了したが円谷はたった2回の自信のターンで最良の盤面を整えていた。
フィールドマジック、“ノヴレス・オブリージェ”の効果でパワー上昇は出来ず、“バスラット”の効果で健吾のモンスターの召喚時効果は発動できなくなっている。更にバトルフェイズに入れば“ヘルテア”の効果で健吾のモンスターのパワーは3000下げられ、“バスラット”の効果で円谷のフィールドのナイトテーマモンスターはパワーを4000上昇する。実質的に7000アップと言っても過言ではなく、更にブロック時には自身のパワーを6000もあげられる“ハウンド・ナイト”。
まさに鉄壁の布陣とも言うべき代物であり、ここからターンを重ねるごとにこの夫人はより完璧なものとなっていくだろう。それを防ぐためにも健吾はこのターンのうちにこの布陣を少しでも切り崩す必要があった。
「(厄介な……)俺のターン! スタンバイフェイズ! ドローフェイズ! ヒールフェイズ! メインフェイズ!」
東海林健吾
コスト1→3
手札5枚→6枚
「……」
しかし、現状において健吾が出来る事はないと言ってよかった。何しろ彼のコストは僅か3であり、マジックを発動するには少ないと言わざるを得なかった。モンスターの召喚だけであれば問題はないが今の手札で相手の布陣を切り崩せるカードはなかった。
「俺は効果によりコストを4軽減して“シルバー・マンモス”を召喚する!」
東海林健吾
コスト3→3
シルバー・マンモス(戦闘モンスター)
コスト4 アニマル パワー12000 ダメージ0
よって、健吾がとった策は防御を固めつつ盤面をそろえていくことだった。今はコストが足りない為、健吾が出来る事はほぼないと言ってよかった。
「俺はターンエンドだ」
現状、切り札である“レッド・ミノタウロス”でも円谷の布陣を突破する事は不可能だった。今はただ耐える事しか出来ない。
円谷
ライフ3 コスト2 手札0枚
フィールド
ドロー・ナイト
見習い騎士-ラプア
湖畔の騎士-バスラット
流浪の騎士-ヘルテア
ハウンド・ナイト
フィールドマジック
ノヴレス・オブリージェ
東海林健吾
ライフ6 コスト3 手札5枚
フィールド
レッド・ミノタウロス
ハーゼルゲ
猫の賢者ニャコラ
カブキツネ
ビースト・ソルジャー
ビースト・ソルジャー
シルバー・マンモス
「私のターン! スタンバイフェイズ! ドローフェイズ! ヒールフェイズ! メインフェイズ!」
円谷
手札0枚→1枚
コスト2→5
「どうやら貴様に手は残されていないようだな。私は手札より“騎士団の叙勲式”を発動する! このカードの効果で“ドロー・ナイト”をセメタリーに送り、デッキから2枚ドローする!」
「手札を増強されたか……」
円谷
コスト5→2
手札0枚→2枚
円谷の手札は大量展開の代償として0枚だったがこれで多少なりとも手札を回復されてしまった。たとえ残ったコストが2だけだったとしても前のターンの動きを見れば決して警戒を怠る事は出来なかった。
「私は手札より“バリューブル・ナイト”をノーコストで召喚する!」
円谷
コスト2→2
バリューブル・ナイト(戦闘モンスター)
コスト4 ナイト パワー8000 ダメージ0
円谷が召喚したのは形状が不安定な形をした盾を持った騎士だった。盾はまるで液体のように蠢きながらその形を絶えず変化させている。
「“バリューブル・ナイト”は自分フィールドにパワー10000以上のナイトテーマモンスターが存在する場合、コストを支払わずに召喚出来るモンスターだ。私はこれでターンエンドだ」
“バリューブル・ナイト”には相手のバトルフェイズ時に【アタック宣言時】効果を発動できなくさせる効果を持っている。むろん、それを発動するには相手モンスターが3体以上存在しないといけないが健吾のフィールドには7体のモンスターがおり、十分に対象圏内だった。
「私はこれでターンエンドだ」
「ちっ! 俺のターン! スタンバイフェイズ! ドローフェイズ! ヒールフェイズ! メインフェイズ!」
東海林健吾
手札5枚→6枚
コスト3→5
「っ!」
そして、引いたカードはまさに健吾の
「(こいつを召喚するには……)すまない相棒」
健吾はフィールドを再確認して歯噛みした。現状、このカードを召喚するには“レッド・ミノタウロス”を犠牲にするしかなかったからだ。
「……っ! 俺は“レッド・ミノタウロス”をセメタリーに送り、“大森林の獣王-キング・ライオネル”を召喚する!」
瞬間、“レッド・ミノタウロス”が咆哮する。まるで、健吾の悔しさを理解し、後は任せたと言わんばかりの咆哮を。そして、“レッド・ミノタウロス”の体はポリゴン状に砕け散り、その破片が再構成されていく。足りない分は増加して補填し、やがて長身の獣人が姿を見せる。獅子の顔をしたそのモンスターはまさに王を名乗るに相応しい風格で円谷とそのモンスター達をにらみつけていた。
東海林健吾
コスト5→1
大森林の獣王-キング・ライオネル(
コスト8 獣人 パワー29000 ダメージ1
「“キング・ライオネル”!? 厄介なカードを……!」
「“キング・ライオネル”は自分フィールドの獣人及びアニマルテーマモンスターの数だけ召喚コストを4まで軽減できる。残念ながら召喚時効果は発動できないがそれでも十分だ」
それはまさに圧倒的なパワーによる盤面の制圧に等しかった。このカードの召喚により、円谷のロック戦術は呆気なく崩壊した。最早このカードをモンスター達で止める事は不可能だった。そして、たとえマジックカードによる妨害を企てても豊富な健吾の手札がそれをさせはしない。
「俺はバトルフェイズに入る!」
「っ! “ノヴレス・オブリージェ”の効果でパワー上昇はさせない! 更に“ヘルテア”の効果で貴様のモンスター全てのパワーを-3000する! 更に“バスラット”の効果でナイトテーマモンスターのパワーを+4000する!」
ハーゼルゲ
パワー10000→7000
猫の賢者ニャコラ
パワー5000→2000
カブキツネ
パワー9000→6000
ビースト・ソルジャー
パワー13000→10000
ビースト・ソルジャー
パワー13000→10000
シルバー・マンモス
パワー12000→9000
大森林の獣王-キング・ライオネル
パワー29000→26000
見習い騎士-ラプア
パワー1000→5000
湖畔の騎士-バスラット
パワー16000→20000
流浪の騎士-ヘルテア
パワー22000→26000
ハウンド・ナイト
パワー12000→16000
バリューブル・ナイト
パワー8000→12000
お互いのパワーがすさまじい勢いで変動する。その結果、健吾のモンスターは大きく弱体化し、円谷のモンスターは大きく強化された。しかし、それでも“キング・ライオネル”を止めるには至らない。
「行くぞ! 俺は“キング・ライオネル”でアタックする! そして“キング・ライオネル”の効果発動!」
「馬鹿な!? アタック時効果は無効化されているのだぞ!」
円谷は思わず叫んでしまったがこれにはカードのテキスト上の問題があった。“バリューブル・ナイト”が無効化するのは【このカードのアタック宣言時】である。基本的にアタック時効果を持つモンスターの多くがこのテキストだが、“キング・ライオネル”は違っていた。
「残念だが“キング・ライオネル”のテキストは【パワー25000以上のモンスターのアタック宣言時】だ。“バリューブル・ナイト”が無効化する【このカードのアタック宣言時】ではない!」
「くそ! そんなの無効にできるわけがないだろうが!」
実際、このようなテキストを持つモンスターは“キング・ライオネル”一体だけだろう。似たような効果はあれど同じ効果はこのテキスト表記では基本的にない。
「俺は手札を1枚セメタリーに置き、アタックしたモンスターよりパワーが低い相手モンスター1体を破壊する! 俺は“ヘルテア”を破壊する!」
「くっ!」
東海林健吾
手札5枚→4枚
現状、“キング・ライオネル”を相打ちで止められるモンスターだったが効果の前にあっけなく破壊された。これで“キング・ライオネル”を止められるカードは完全になくなった。
「ライフで受ける!」
円谷
ライフ3→2
そして、これ以上の猛威を止めるべく彼女が選択したのはライフでダメージを受けるというものだった。幸いな事に“キング・ライオネル”はその強大な効果の代償としてか与えられるダメージ数は1しかない。
「俺はこれでターンエンドだ」
そして、エンドフェイズに入ったことでモンスターのパワーは元の数値に戻っていく。しかし、次からは健吾のモンスターに弱体化補正が入る事は、ない。
円谷
ライフ2 コスト2 手札1枚
フィールド
見習い騎士-ラプア
湖畔の騎士-バスラット
ハウンド・ナイト
バリューブル・ナイト
フィールドマジック
ノヴレス・オブリージェ
東海林健吾
ライフ6 コスト1 手札4枚
フィールド
ハーゼルゲ
猫の賢者ニャコラ
カブキツネ
ビースト・ソルジャー
ビースト・ソルジャー
シルバー・マンモス
大森林の獣王-キング・ライオネル
「厄介な……!」
円谷は険しい表情で“キング・ライオネル”を見る。現状、あのモンスターを止めるカードはフィールドにも手札にもない。となればここからドローするしかない。では引くことが出来るのか? それは難しいと言わざるを得なかった。何しろ、この盤面を覆せるモンスターは円谷のデッキにたった1枚しか入っていない。そう、彼女の切り札が。それを引く事さえ出来れば健吾に勝利はないと言っていい。
「……」
円谷は呼吸を整えるとデッキに指をかける。ナイトテーマモンスターは彼女にとって正義の象徴だった。幼少期、米沢サモン大会でナイトテーマモンスターを使い、堂々としたバトルを繰り広げていた優勝者の姿を見て以来彼女もそうありたいと努力を重ねてきた。その結果、こうして悪を閉じ込める正義の番人ともいえる看守になる事が出来た。
「(悪に屈する事は出来ない! 私のデッキ、力を貸してくれ!)私のターン! スタンバイフェイズ! ドローフェイズ! ヒールフェイズ!」
円谷
手札1枚→2枚
コスト2→6
「……っ!!!」
彼女が信じる正義の心。それは彼女のデッキに、届いたのだ。
「私は“湖畔の騎士-バスラット”をセメタリーに送り、“騎士王-メドラレウド”を召喚する!」
騎士は剣を捧げ、その姿を変化させていく。変化が終わった時、姿を現したのはまさに騎士の王と呼ぶにふさわしい人物だった。清純なる蒼き鎧を身にまとい、純白の剣を持ったその人物は湖畔の騎士すら霞んで見えるほどの覇気で威圧しながらフィールドに降臨した。
その圧倒的な覇気は全てのモンスターを怖気づかせる程であり、“キング・ライオネル”ですらその騎士を見て一筋の汗を流していた。
円谷
コスト6→0
騎士王-メドラレウド(
コスト8 ナイト パワー25000 ダメージ2
「“メドラレウド”は自分フィールドのフィールドマジックの数だけ召喚コストを軽減できる。これでギリギリだけど召喚出来たわ」
「厄介な……!」
真の切り札は最後まで取っておく。そういう意味では健吾は負けたと言っていいだろう。健吾の手札にはマジックカードを妨害するカードはあれどモンスターを止められるカードはなかった。つまり、この騎士王を止める事は出来なかったのだ。
「バトルフェイズに入る! 先ずは“メドラレウド”の効果で自分フィールドのナイトテーマモンスターのパワーを4000上昇させる!」
見習い騎士-ラプア
パワー1000→5000
ハウンド・ナイト
パワー12000→16000
バリューブル・ナイト
パワー8000→12000
騎士王-メドラレウド
パワー25000→29000
まさに“バスラット”を進化元にしてよかったと思えるような強化に健吾は歯噛みする。これで“騎士王-メドラレウド”は“キング・ライオネル”とパワーが並んだことになる。
「バトル! 私は“騎士王-メドラレウド”でアタックする! そしてアタック宣言時に私は手札1枚をコストに“メドラレウド”の効果を発動する!」
その効果とはフィールドマジックの数だけ相手モンスターを破壊するというもの。このカードゲームにおいてコスト制限やパワー制限等がなくただモンスターを破壊するという効果は強力である。このテキストの前には6龍であろうと無力なのだから。
「私が破壊するのは当然“キング・ライオネル”だ!」
「くっ!」
騎士王は一気に加速すると疲労する獣王に剣を突き立てる。一瞬の隙を突かれた獣王は苦し気に呻きながらもギッ! と騎士王をにらみつけるがやがて力尽き、破壊された。最後まで闘志を燃やした獣王に敬意を表しつつ、騎士王は当初の目的である健吾への攻撃に入った。
「だが! “キング・ライオネル”の破壊時効果を発動する!」
「無駄だ! “騎士王-メドラレウド”の効果により、モンスター効果の発動を1ターンに1度だけ無効にする!」
“キング・ライオネル”には破壊された時にセメタリーからコスト7以下の獣人若しくはアニマルテーマモンスター1体をコストを支払わずに召喚するという効果があった。それさえ発動出来ていればまだ健吾にもチャンスはあったかもしれない。しかし、その芽は完全に潰え、健吾の勝利は完全に消え去った瞬間であった。
「止めだ! 私は“メドラレウド”でアタックする!」
「……ライフだ」
東海林健吾
ライフ1→0
騎士王の一撃によって健吾のライフが完全に尽きた。その瞬間、バトルの勝者が決まり、観客たちから歓声が上がる。凄まじい接戦の末に勝利をつかみとったのは円谷だった。獣王を失った健吾はその後も円谷に決定打を与える事が出来ず、逆に円谷は騎士王を筆頭に最強の騎士たちを召喚して健吾のライフを瞬く間に削り切って見せた。
守りに入る騎士は鉄壁と言っていいが一度攻めに転じた騎士たちの攻撃は苛烈だった。健吾はそのことを身をもって知ることとなったのだ。
「これにて公開バトルは終了である! 各自持ち場に戻れ!」
円谷と健吾のバトルで最後だったらしく、すぐさま看守の怒号が飛ぶ。囚人たちは無用な折檻を避けるべく素直に指示に従っていった。健吾もディスを返却すると持ち場へと戻っていく。
ふと、円谷の方をちらりと伺った。同僚らしき数名の女性看守と何かを話しておりその表情はいつも通り硬い。
「(……この中では一番の強者だったな)」
健吾は円谷という看守の警戒度を最大限にする。もし、彼女が立ちふさがった場合、たとえ勝てたとしても苦戦は必須。脱獄には至らない可能性が高いだろう。
「(脱獄の時にかち合わないといいが……)」
健吾は脱獄の前に判明した強い看守の存在に嫌な予感を覚えつつ自分の仕事に戻っていくのだった。