気づいたらカードゲームアニメの強キャラに憑依した~外伝・カード紹介~ 作:名無しのカードバトラー
1話完結「とある日の訓練。
「準備はいいな?」
「はい。勿論です」
日本軍管区で活動するレジスタンスグループ。
現在、レジスタンス活動はデスサイズによる駆逐もあって一切行わずに潜伏している状態だがだからと言って腕を磨かないわけではない。グループに属する者達はこうして定期的に訓練を行っていた。
当然ながら蜂谷針治も例外ではなく、その実力を見込まれてスカウトされたためにそれに見合った実力を示すように様々な人たちと訓練をしていたのだ。
「行くぞ!」
「はい!」
「「ゲーム、スタート!」」
そして、両者のファイトはこれが初めてではない。幾度となく訓練は行われており、勝率は圧倒的に恐我斯竜が上であった。流石に副リーダーを務めるだけありその実力は本物であった。ちなみに、リーダーである花ヶ咲花蓮とのファイトは全敗しており、圧倒的な力の差を見せつけられていた。
「俺の先行からだな。行くぞ! スタンバイフェイズ! メインフェイズ! 俺は“バスワン”を召喚する!」
恐我斯竜
コスト10→6
バスワン(戦闘モンスター)
コスト4 ダイナソー パワー8000 ダメージ1
召喚されたのはふっくらとした恐竜の姿をしたモンスターであった。コストの割に中途半端なパワーしか持たないが、ダイナソーテーマを用いる者にとってこのカードは最重要なモンスターであり、幾度となくファイトをしてきたためにそのことを理解している針治は顔をひきつらせた。
「分かっていると思うが説明させてもらう。“バスワン”の召喚時効果により、俺は手札からダイナソーテーマの戦闘モンスター1体をコストを支払わずに召喚できる。俺は“ギガザウルス”を召喚する!」
「“ギガザウルス”!? 厄介な……!」
恐我斯竜
コスト6→6
ギガザウルス(戦闘モンスター)
コスト8 ダイナソー パワー21000 ダメージ1
恐我斯竜が“バスワン”の効果で召喚したのは彼のエースモンスターであるいかつい恐竜であった。ティラノサウルスを凶悪化させたような見た目をしているそのモンスターはその見た目に恥じない性能をしていた。
「“ギガザウルス”はコストを軽減して召喚する事は出来ないがコストを支払わずに召喚出来ないわけではないからな」
「そういう抜け穴を付かれるのは本当に厄介ですよ……!」
モンスターサモンでも珍しい効果の抜け道を用いた恐我斯竜に針治は苦笑いを浮かべた。
「続けるぞ。俺は“トリケランス”を召喚する」
恐我斯竜
コスト6→1
トリケランス(戦闘モンスター)
コスト5 ダイナソー パワー15000 ダメージ1
次に召喚したのは盾のように正面が発達したトリケラトプスだった。ダイナソーテーマモンスターが3体いるだけあって相手に与える圧力は相当な物だった。
「俺はこれでターンエンドだ」
「では行きます! 俺のターン! スタンバイフェイズ! ドローフェイズ! メインフェイズ!」
蜂谷針治
手札5枚→6枚
「……俺は手札から“インセクトマン”2体を召喚する!」
蜂谷針治
コスト10→9
インセクトマン(戦闘モンスター)
コスト1 インセクト パワー1000 ダメージ1
モンスターサモンの中では定石と言える軽減モンスターを一気に2体展開した針治はもう一度手札を確認し、次に召喚するモンスターを決めた。
「次に俺はコストを2軽減して“怪蛹蟲アーヴァ”を召喚する!」
蜂谷針治
コスト9→9
怪蛹蟲アーヴァ(戦闘モンスター)
コスト2 インセクト パワー0 ダメージ0
次に召喚されたのは繭に包まれた蟲のモンスターだった。ステータス通り貧弱な見た目をしているが鼓動する繭には自然と警戒させる何かを纏っていた。
「“アーヴァ”か……。そちらも厄介なモンスターを召喚したようだな」
「【羽化】を使用するなこのカードは外せないですからね。そして俺は“カッパー・アント”を召喚する」
蜂谷針治
コスト9→8
カッパー・アント(戦闘モンスター)
コスト3 インセクト パワー10000 ダメージ1
次に召喚したのは銅色をした巨大な蟻だった。蟻は恐我斯竜に向けて威嚇するように歯をカチカチと鳴らしていた。
「これで“アーヴァ”と“カッパー・アント”の【羽化】が発動すれば強力なモンスターが出てくるな」
「その通りです。俺はこれでターンエンドです」
恐我斯竜
ライフ6 コスト1 手札2枚
フィールド
バスワン
ギガザウルス
トリケランス
蜂谷針治
ライフ6 コスト8 手札2枚
フィールド
インセクトマン
インセクトマン
怪蛹蟲アーヴァ
カッパー・アント
針治はこのターン、次につながる盤面になるようにモンスターを展開した。1コスト軽減できる“インセクトマン”2体に【羽化】の効果でほぼ全てのモンスターを消化できる二体のモンスター。針治のデッキの中では最良の1ターン目と言えるだろう。
「俺のターン! スタンバイフェイズ! ドローフェイズ! ヒールフェイズ! メインフェイズ!」
恐我斯竜
手札2枚→3枚
コスト1→3
「……ふ。これはいいカードを引いた。俺は手札より“ウルフ・ラプトル”を召喚する!」
「げっ!?」
恐我斯竜
コスト3→0
ウルフ・ラプトル(戦闘モンスター)
コスト3 ダイナソー パワー9000 ダメージ1
召喚されたのはラプトルに似た、何処か犬を思わせる恐竜だった。ウルフと名の付く通り犬のようでありながら狩人の如き威圧感を放っていた。そして、このモンスターはその威圧感に相応しい凶悪な効果を持っている。
「“ウルフ・ラプトル”の召喚時効果発動! 俺はデッキから“ウルフ・ラプトル”若しくはコスト2以下のダイナソーテーマモンスター1体を手札に加える。……が、自分のコストが0の時、代わりにコストを支払わずに召喚出来る。現れろ! 2体目の“ウルフ・ラプトル”!」
“ウルフ・ラプトル”が遠吠えのように咆哮をする。すると、何処からともなく2体目の“ウルフ・ラプトル”が戦場に現れ、針治を威嚇した。
「そして2体目の“ウルフ・ラプトル”の召喚時効果により更に3体目の“ウルフ・ラプトル”を召喚する!」
これで恐我斯竜のフィールドには3体の“ウルフ・ラプトル”が並び、速攻ともいえる展開を見せてきた。
「最後に、3体目の“ウルフ・ラプトル”の効果で“ライガー・ヴァース”を召喚する」
デッキに入れらる同名カードは3枚まで。当然3体目の効果は自然とコスト2以下のダイナソーテーマモンスターに限られることとなり、それに従い召喚されたのは“バスワン”と同じく丸い体を持ったどこか愛嬌を感じる恐竜だった。
恐我斯竜
コスト0→0
ライガー・ヴァース(戦闘モンスター)
コスト2 ダイナソー パワー6000 ダメージ1
「“ライガー・ヴァース”の召喚時効果発動! コストを支払わずに召喚された時、自分のコストを2回復する」
「斯竜さんの速攻コンボ……! 不味い……!」
恐我斯竜
コスト0→2
ただでさえ断ったコストで4体のモンスターをして見せたのに最終的には1コストしか減っていない状態になっていた。
「バトルフェイズに入る。俺は“ギガザウルス”でアタックする! そしてアタック時効果を発動する! 俺は手札より“太古の化石”をセメタリーに置く事でアタック終了時まで“ギガザウルス”のパワーを+5000、ダメージ数を+1する」
ギガザウルス
パワー21000→26000
ダメージ1→2
「更に今手札からセメタリーに置いた“太古の化石”の効果発動! デッキからコスト6以下のダイナソーテーマモンスター1体をコストを支払わずに召喚する。俺は“モラブレックス”を召喚する!」
恐我斯竜
コスト2→2
モラブレックス(戦闘モンスター)
コスト6 ダイナソー パワー18000 ダメージ1
“ギガザウルス”のアタックを起点にティラノサウルスのパチモンのような見た目のモンスターが召喚された。圧倒的な展開力に針治は苦虫を噛み潰したような表情をする。これは何度も見てきた
「“モラブレックス”の召喚時効果発動! 相手フィールドのパワー10000以下の相手モンスターを2体まで破壊する。俺は“カッパー・アント”と“インセクトマン”を破壊する!」
「くっ!」
ブロッカーともなれる2体のモンスターの消滅。それは針治に対して決定的ともいえる打撃を与える結果となった。何故なら、針治の2枚の手札に防御系のカードはなかったのだから。
「アタックを続けるぞ。“ギガザウルス”のこのアタックをどう防ぐ?」
「っ! “インセクトマン”でブロックだ!」
手札に防御札がない以上少しでもダメージを減らすためには“ギガザウルス”の攻撃をブロックするしかなかった。何しろ、自身の効果で与えられるダメージは2となっているのだから。そして、その選択は恐我斯竜に針治の手札を把握させる結果となった。
「成程。軽減モンスターでブロックするという事は手札に強制的にアタックを終了させる系のカードはないという事か」
「っ! それはどうでしょうね? もしかしたら全体除去系のカードを持っているかもしれませんよ?」
「それならばブロックせずに既に使用しているはずだ。それをしないという事は手札にその類のカードもないという事。精々が1体を対象とする疲労系カウンターマジックか」
「……」
針治は改めて背筋が凍る思いを感じた。ここにきて大分経つがその中でも目の前の男がただ者ではないと理解していた。しかし、それすらまだ甘い想定であったと理解させられた。
「(これが、
圧倒的な経験から来る直感と予測。それらを全て完璧に仕立て上げるプレイング。それらが目の前の恐我斯竜には高水準で備わっているのだ。
「さて、“インセクトマン”を破壊したことで“ギガザウルス”の効果が発動するが、“アーヴァ”は相手の効果を受けないからな。意味はない」
相手からの妨害を受けず、自分の真価を発揮するその時までひたすらに耐える“怪蛹蟲アーヴァ”もこの盤面においてはただの置物でしかなかった。
「覚悟はいいな? 俺は“モラブレックス”、3体の“ウルフ・ラプトル”、“バスワン”、“ライガー・ヴァース”でアタックする!」
全モンスターによる一斉攻撃。改めて、針治は手札を見る。そこにはやはり防御できるカードの姿は存在しなかった。
「……俺は、全てをライフで受ける!」
蜂谷針治
ライフ6→5→4→3→2→1→0
その言葉を聞き、恐竜たちは一斉に針治に襲い掛かる。牙が腕が足が肉体が尻尾が四方八方より襲い掛かり、針治のライフを一気に削り取った。
並のサモナーなら失神し、トラウマになってもおかしくないそれらを針治は見事耐え切りつつもその場にしりもちをついた。
「……はー! さすがにライフ一気にはきついですね」
「お疲れ様。今回
「そうですね。今回の試合でよくわかりました。早速デッキを確認してみようと思います」
恐我斯竜より差し出された手を取り、再び立ち上がる針治。そこには米沢サモン大会で負けた男の姿はない。あるのはレジスタンスに身を投じたことで自信を取り戻し後々アース帝国の厄介な敵となるサモナーの姿であった。